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表題作臆病ウサギのお嫁入り

レクシュア、オオカミ科の神官
ミミ、年に一度の貢物となったウサギ科の少年、16

その他の収録作品

  • 尻尾の秘密
  • あとがき

あらすじ

半獣人と動物たちが共存する世界――。貧しい島国・ウォルトリアから、未知の大国・ルズガルト王国へ貢物として贈られることになったウサギ耳の少年・ミミは、獰猛な大型獣が闊歩すると伝えられるルズガルトで、生贄として食べられると思っていた。ところが、ミミを迎えたのは故郷とはまったく違う豊かな街と煌びやかな王宮の人々。そこで“神官”といわれる青年・レクシュアに引き合わされ、彼の館でルズガルトのしきたりを学ぶことに。実はそこは、ウォルトリアの客人を貴族たちの花嫁として送り出すための場所で…!?

作品情報

作品名
臆病ウサギのお嫁入り
著者
石原ひな子 
イラスト
古澤エノ 
媒体
小説
出版社
幻冬舎コミックス
レーベル
リンクスロマンス
発売日
ISBN
9784344843813
3.5

(17)

(2)

萌々

(7)

(7)

中立

(0)

趣味じゃない

(1)

レビュー数
5
得点
59
評価数
17
平均
3.5 / 5
神率
11.8%

レビュー投稿数5

ただ甘いだけじゃない

獣人とうさぎと嫁入りという好きな要素がタイトルからてんこもりだったので、購入してみたこちらの作品。買って大正解でした。
終始甘いお話かな~と思っていたのですがそうではなく、途中このままくっつかないのか...?とはらはらした気分になったり、この残りページ数でどう話を終結させるんだろう?とどきどきさせられました。
甘いだけでなく、物語としてとても楽しく読むことができました。

ーーーーーーー感想とネタバレーーーーーーー

番紋のようなイメージで”運命の人”にはお互いに同じ形の痣が身体のどこかにできます。”運命の人”同士は良い匂いを感じたり、相手になにかしらの波長を感じたりと、相手が”運命の人”だと感じることができるよう。
物語の最初、ミミがレクシュアに対面した段階で、運命の番みたいな感じかな~と察したので、物語のどこでそういった描写が出てくるのかどきどきしました。

攻めのレクシュアは、オオカミの獣人。神官として身寄りのない子どもたちの世話をしています。普段は、敬語な彼が少しずつ一人称が”俺”になったり言葉が崩れるのがギャップでした。

受けのミミは、ウサギの獣人。感情にあわせて上下する耳の描写がとても可愛かったです。とくにおびえているときには耳が垂れ下がる...良いですね~大好きです。

物語終盤までずっと両片想いのような感じで、読んでいるこちらはとてももだもだした気持ちになります。運命だとわかっていてもすぐにはくっつくことができないお互いの立場が苦しかったです。
両片想い期間中は甘くて、終盤でようやく愛に変わるような感じです。

そしてこの物語脇キャラたちがとても良い役割をしています。彼らのスピンオフも読んでみたいな~という気持ちにさせられました。
ただほのぼの甘いだけではないので、ぜひ読んでみてください。

1

捕食者のびびり+耳しっぽ 最高

エノ先生が耳付きを描かれていると知り、購入。石原先生、めっちゃお久しぶりでした。期待以上に耳しっぽ描写に萌~♡全体評価でいうと萌かなと感じたのですが、耳しっぽ好きな方には萌え転がり間違いなしと思う本編250Pほど+あとがき。

年に1度、潮の流れが変わる日、小さな島国ウォルトリアから1艘の舟が出ていきます。毎年それに乗るのは1人だけで、今年は満場一致で選ばれた真っ白ウサギで超美人さんのミミ。獣人属がいる南の大国ルズガルト王国へ人柱として送られるのです。人柱として送られた人々は戻らないし、全くこの先が分からないため、「餌として食べられるのがましか、このまま海上を漂って餓死するのか、嵐などで溺死するのか・・」などと考えながら眠ったミミ。強い衝撃で目覚めると、どうやらルズガルト王国から迎えが来たようで・・と続きます。

攻め受け以外の登場人物は
ララン(前にウォルトリアからルズガルトに来た人柱、サーバルキャット、警戒心むきだしツンツン)、ジェレミラ侯爵(ウォルトリアから来た人柱を嫁に望んでいる貴族の一人)のお二人が活躍、その他ルズガルト王国関係者複数、お子様は少々。

**大好きだった耳しっぽ等について

攻めさんはオオカミ科。イケメンでちっこい三角耳がめっちゃ可愛いです。神官長なので誠実真面目な書きぶりなのですが、しっぽで感情がだだもれ(笑)。片や受けさんは耳がとっても表情豊か。ルズガルド王国に来た当初は、「餌として食べられる」とびびりまくりで、耳はぺしょぺしょ(爆)カラー口絵がルズガルド王国での最初の夜の絵(攻めさんに添い寝してもらってる)ですが、へたり耳がめっちゃ可愛いです♡♡♡

そう、受けさんは捕食されると思い込んでるので、受けさん、前半はめちゃビビっています。このビビり度合いが「誰も知らない異国にぽいっと到着しちゃったら、こうなるよなあ」ととてもシンクロ。それが攻めさんに惹かれ懐き、一緒に生活している孤児たちに和み、だんだん慣れて、耳しっぽのみならず、笑顔をみせて・・・可愛い~。

受けさん可愛いですが、もう一人の元人柱、ラランもめっちゃ可愛い。子供たちに「しゃーっって怒る」と言われるように「あー猫!」という方。最後「怒っているんだけど撫でられて動けなくって、爪たててんのに、爪たてられてる方が喜んでる」というシーンがめちゃくちゃ可愛かった(笑)猫好きな方にも良いわ!と思ってもらえるシーンなのでは。

ああ、面白かった。長くなってすいません。

あとがきによると、石原先生は体調不良であられたとのこと、今回出されたので、体調は良くなっておられるよう願います。先生、ご無理ないよう、また素敵なお話を楽しみにお待ちしております。

1

可愛いが過ぎる

初読みの作家さまですが、あらすじに惹かれ購入。

内容はすでに書いてくださっているので感想を。






あらすじを拝見した時、痛い話かな、と思ったんです。

貢物として、大国・ルズガルト王国にウォルトリアから人を差し出さなくてはならない。
とか、
ウォルトリアから差し出されたミミが真っ先に連れていかれた場所は、花嫁として教育される場所。

とか。

なんか、ウォルトリアの住民たちが「モノ」のように扱われるお話なのかなって。

ところが、ところが、です。

ウォルトリアから赴いてきた「貢物」は、「客人」として丁重に扱われ、衣食住にも事欠くことなく、ルズガルト王国でも幸せに暮らしていけるように手配してくれる。

ルズガルト王国って、めっちゃ良い国じゃん!

と思わずニヨニヨしてしまいました。
温かく、優しいお話ですが、BL的な恋愛要素もきちんとあります。

ミミは、連れていかれた場所(孤児院のようなところなのですが)で孤児やウォルトリアからやってきた客人たちのお世話をする神官のレクシュアを好きになってしまうけれど、レクシュアは仕事を全うするまじめな青年ゆえに「客人」であるミミの思いは成就することはない。

健気で可愛いミミ。
そして、まじめで優しいレクシュア。

そんな二人をさらに追い詰めるのが、ミミを身請けしたい貴族の存在。

が、この貴族さんもなかなかナイスガイ。
貴族さんに身請けされていくのか、はたまたレクシュアとの恋を成就させることはできるのか。

が、基本的に痛い展開になることはほぼなし。
ミミとレクシュアの、二人の愛情が透けてみているからかも。

透けて見えている大きな要因は彼らの耳だったり尻尾だったりするわけですが、これがまたクッソ可愛いのなんのって。嬉しいとゆらゆら揺れたり、ピンと立ったり。彼らのケモ耳が、ストーリーのスパイスになっていていい味出してます。

終盤、ややご都合主義的な展開になったのが残念といえば残念でしたが、優しく可愛いお話を読みたい気分の時にはぴったりのお話でした。

あと、レーターの古澤さん。
表紙を拝見した時にあまりツボに入らなかったのですが(いや、失礼!)中のイラストはめっちゃ綺麗でドツボに入るイラストでした。レクシュアはイケメンすぎるし、ミミの可愛さは筆舌に尽くしがたし。
古澤さんのイラストのおかげで、萌え度は確実に上がりました。

悪い人は出てこないし、レクシュア×ミミの少しずつ進む恋心は非常に可愛かったし、最初から最後まで優しく温かい空気感に満ち溢れていました。

2

あったかくなりました。

初読み作家さんです。
出版社あらすじの『実はそこは、ウォルトリアの客人を貴族たちの花嫁として送り出すための場所で…!?』が気になって、気になって。
メッチャクチャ『可哀想な受け』のお話かと思ったんですね。
思ったのとはかなり違ったのですけれど、ゆったりと進むお話が心地良くて、かなり癒されました。

お話の最初、ちょっと頭にきたんですよ。
二度と帰ってこられないと解っているミミと家族の別れのシーンに涙しながら「極貧の国に対して『毎年、その年1番の美しい16歳を贄として捧げろ』なんていう要求をするルズガルトっていう国はとんでもなく悪い国だな」って。
それがね、あっという間に「誤解だった」って解って、ルズガルトの一般市民が「ウォルトリアの人って綺麗だよなー」って思っているという。更にも増して『ウォルトリアの客人が貴族の花嫁にされる』というのも、嫌なら『イリゼラ(神の子)の館』という、ウォルトリアから来た人達が初めにルズガルトでの生活を学ぶ所に帰ってきてもいいんです。

ちなみにこの『イリゼラの館』は親のない子が暮らす所なんですけれど、ルズガルトって随分養子縁組が盛んなんですよ。ルズガルトでは『誰とでも結婚できる』のですけれど、同性や種族が違った結婚では子どもが産まれないので、子どもを引き取りたいカップルが多くて、大概1年以内に引き取られるのだそうで。
なにこれ、とってもいい国じゃん!

ちょっと拍子抜けしたのですけれど、でもそれが「がっかり」じゃなくて、ゆるゆる続くお話がとても心地良く感じたんです。
そして、このお話、悪い人がひとりも出てこない。
その表現が上手か下手かの違いはありますけれど、みんな他人の事を思いやっているんですよ!
これ、最高に気持ちが良かった。

思いやりが過ぎるのは、時に恋の成就の障害になります。
じれったいと言えばじれったいのですけれども。
でも、このじれったさの中で『臆病なミミに優しくしてあげたい』と思っているだろうレクシュアと『何故だか解らないけれど、この人の側は安心できる』と思うミミが添い寝をしているのは、本当に癒された。
オオカミとウサギだったから余計にねー。

疲れている時とかギスギスしている時に(まさしく私は今そういう状態)読むと、本当にほんわかします。
湯たんぽみたいな手触りのお話でした。

3

優しいおとぎ話風ファンタジー

表紙やタイトルからフンワリ可愛い作品をイメージしてましたが、実際は落ち着いた雰囲気の優しいおとぎ話風ファンタジーでした。
健気で真っ直ぐな主人公が、置かれた場所で幸せを掴むまでー。
ちょっぴり切なくはあるものの、そんな優しくあたたかい物語だと思います。

ところで、石原先生の新刊ですが、何と4年ぶり!
体調不良で仕事を入れないようにされてたとの事です。
大好きな作家さんですので、こうして新刊を出して貰えて大変嬉しいです。
待ってましたよ! 先生!!

内容ですが、神官でオオカミ科の青年・レクシュア×貢物としてやってきたウサギ科の少年・ミミによる、おとぎ話風ファンタジーになります。

貧しい島国ウォルトリアの有耳属のミミは、その美貌から獰猛な獣人属が住むとされる大国・ルズガルド王国への年に一度の貢物として選ばれます。
恐ろしい獣人達に食い殺される恐怖に怯えながらルズガルドに向かいますが、想像と反して丁重に迎え入れられ戸惑うミミ。
ルズガルドに慣れるまで、神官であるレクシュアの館で面倒を見てもらう事になりー・・・と言うものです。

まずこちら、ハイファンタジーになりますが、世界観が面白かったりします。
ミミですが、動物の耳や尻尾だけある有耳属でウサギ科。
他に全身が獣で人間型の獣人属がいたりして、色んな有耳属や獣人属が入り交じりながら生活をしてるんですね。
で、貧しいウォルトリアから人柱と言う認識でルズガルドにやって来たミミ。
が、実はルズガルド側では、年に一度やってくるウォルトリアの美しい人間を、皆で歓迎して大切にしていた、と言う設定。

ミミはウサギ科だけあり、とても臆病なんですよ。
家族の為にと悲壮な覚悟をして海を渡る主人公が、思いもよらずあたたかい歓迎を受け、大切に扱われるのにまずやられちゃうのです。
個人的に、こういう逆転劇が大好きなんですよね。

また、そんなミミをあたたかく見守り、受け入れるのが神官のレクシュア。
ミミと同じ、有耳属の青年です。
彼は親の居ない子供達の面倒を見る、いわゆる児童養護施設みたいな所の責任者。
子供達の面倒を見、教育して、子供を希望する者達の間に入り引き渡すー。
職務に一生懸命の、真面目で理性的な男になります。

で、レクシュアの許で子供達の面倒を見ながら、穏やかな毎日を過ごすミミ。

レクシュアはかなり過保護と言いますか、とても優しいのです。
故郷の家族を想い泣くミミを真摯に慰め、寂しがれば一緒のベッドで眠り、気分展開に市場に連れ出す。
そんな彼に、どんどん惹かれてゆくミミ。
しかし、レクシュアはあくまで皆の保護者であり、自分は大勢の中の一人に過ぎないー。
更に、ルズガルドで人気のある「ウォルトリアからの客人」であるミミは、いずれ貴族に嫁ぐ事が決まっていて・・・と言う流れです。

レクシュアですが、とにかく真面目なんですよ。
こう、明らかに彼もミミに惹かれているのです。
が、いずれ貴族に引き取られるミミの想いに応えるなんて、中途半端な事は決して出来ないー。
その為、自身の気持ちを押し殺す。

また、自分が貴族に嫁がなければ、レクシュアに迷惑がかかるー。
レクシュアの立場を思いやり、自分を望む貴族の許へ嫁ぐ決意をするミミ。

両者の気持ちが分かるだけに、切なくて仕方ないんですよね。
互いが相手の幸せだけを願って行動するのに、結局は二人とも不幸。
こういうスレ違いって、胸が痛んで仕方ない・・・(TдT)

ここに、レクシュアの言い伝え「赤の刻印」とか、ミミより前に来たウォルトリアの客人・ラランが絡んで、ロマンチックなストーリーが繰り広げられワケですが!
クッ、この「運命の相手」と言うのに弱いんですよー!!

あと、実はちょっと気になる所もあって、若干説明不足感があるんですよね。
新事実が周知の事のように出て来たり、何でこの時点で、この選択をしなきゃいけないの?みたいな。
それと、オチがちょっと上手く行き過ぎな気もします。
まぁ、個人的には全然許容範囲なんですけど。

そんな、優しくてあたたかくて、ちょっと切ない。
とても好みで素敵なお話でした。

8

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