上巻から引き続き、多様な人間が“人生の終わり”に向き合う様を見ることが出来ます。
丸木戸先生は既存の搾取構造を描くのがとても上手な作家さんだと思うので、アイドル(まどか)が追い詰められていく光景がリアルで苦しくなりました。弟との対比がまた辛くて...。
主人公二人だけでなく、周囲の人間のキャラクターもきちんと肉付けされていて、だからこそ読み進めながら痛みを感じました。
下巻では表紙の通り、律の視点で語られる場面が多く、上巻の真澄視点の物語だけでは分からなかった律の本心に触れることが出来ます。
二巻構成は最近の流行でもありますが、このお話は上下巻で読めて良かったと思います。ふたりのお話に深みが増しました。
とことんリアルな心理描写でありながらファンタジー(SF?)要素も含まれている今作、ラストがどうなるかは是非お手に取って確かめてみて下さい。