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デートリッヒ

まさかBLでマレーネ・デートリッヒに出会うとは。

座裏屋先生の世界観は独特で、いつもス○ッツの「♪昔あった国の映画で〜」の詩を思い出してしまうのですが、なるほどあのメランコリックな空気は、古き良きハリウッド(アメリカ)が描くヨーロッパ(異国)の醸し出す香りなのだな(ハリウッド初期は、欧州から沢山の監督俳優を招いていた)と妙に納得し、それを現代に変換出来る座裏屋先生の力量にまずは感服致しました。
中でもこの「コヨーテ」は冒頭から出色で、異国情緒溢れる演出の中、マレーネ(ヨシュ)とリリー(コヨーテ)の、恋の鞘当てから始まります。そこからのサスペンスフルな展開、二人の甘くも苦い愛のシチュエーション、、、とまあ物語の賛辞は他レビュアーさんが書き尽くして、他に言葉が見つからないので、変化球として私が愛した(多分座裏屋先生も?)マレーネ・デートリッヒの話でも。

デートリッヒはドイツ生まれの女優で、ジョセフ・フォン・スタンバーグ監督「嘆きの天使」での演技(と脚線美)で注目され、監督と共に30年代のハリウッドに招かれました。「モロッコ」(市川崑監督の「悪魔の手毬唄」のも出てきましたねぇ。日本初のトーキー映画)がヒットし、数々の主演作「上海特急」(上海リリー!)「間諜27」「恋のページェント」経て、大女優となります。当時は、これも後世に名を残す大女優グレタ・ガルボと人気を二分していました。時代が変化し、引退してもなおその人気は衰えることはなく、90年代にはマドンナの「Vogue」でもオマージュされており、マレーネの伝記映画が企画された時は(途中で立ち消えになったけど)マドンナが熱烈にマレーネ役に立候補したそうです。
数々のポートレートでも妖艶な眼差しでレンズの奥を見据えていますが、あの時代のお目々クリクリなハリウッド美人というよりは、まさに「麗人」(笑)。代表的な「モロッコ」のシルクハット姿が有名で、細い眉と、陰影を駆使したポートレートは、男・女の性を超越した退廃的な美を焼き付けております。数々の浮名を流し、バイセクシャルの噂もありましたが、あの麗人ぶりはさも有りん、確かに女も惚れてしまうほどの美しさ。大戦中は母国ドイツ(ヒトラーのお気に入りだった)の独裁主義に反対し、有名な楽曲「リリー・マルレーン」を引っさげてアメリカ軍の慰問に回りました(特徴的なしゃがれ声がまた渋い)。…と長々書きましたが、「コヨーテ」でマレーネを冒頭にあげた座裏屋先生も、きっと彼女の力強い美に魅入られたのかと、、、なーんて勝手に妄想してしまったり。
ちなみに、私のお気に入りはスタンバーグ監督「間諜27」の男前っぷりと、ビリー・ワイルダー監督「情婦」。特に「情婦」はアガサ・クリスティの戯曲、ワイルダーの手腕、マレーネの演技力が合わさった秀逸!な作品です。

来年(2020年)2月には待望の第3巻が出ますね。座裏屋先生の物語作りには雑念がないので、期待を裏切らない作品であることは確信しております、、、早くヨシュとコヨーテに会いたい!

爆弾ドクズ

電子版「悪魔を憐れむ歌」で梶本レイカ先生の鬼才ぶりにどっぷりハマってしまい、「コオリオニ」上下巻すぐさま購入。今回電子版はレーベルも変わっていろいろ書き下ろしもあるのかな?BL浦島太郎としては、うへ〜こんな読者を圧倒する作家がここ10年内に生まれていたのか、とただただ感服です。

さて、あらすじは割愛、感想のみですが。
とにかく登場人物ほぼクズです。クズって言うか「社会不適合者」。
警察官鬼戸と、女房気取りのヤクザ八敷の物語。
とくに八敷翔という男は、積極的クズなんですよ。女の臓器だって平気で売る。他人に共感できないのに、依存はする。破滅型と言うには自分に素直過ぎて、生存本能がハンパない。もうね、どんだけ魅惑的だろうと、現実では絶対側にいて欲しくない、一目だって会いたくないキャラクターなんです。同じサイコパスでも、刑事の鬼戸はちょびっとは社会に適合しようと足掻く姿が描かれていますが、八敷にはそれもない。 ロシアの血を引いた美しさに、幼馴染の元旦那役・佐伯いわく「神の子ドクズ」。でも、わたくし的には、勝手に「爆弾ドクズ」と呼びたいです。八敷の身体は導火線みたいで、エンコ切りや輪姦で、傷つきながらもじわじわと、周りの人間を追い詰めていく。それはチキンレースのようで、脱落者には死が待ってるんです。そこにはラブはなく、欲と本能のみ。鬼戸との関係も、始めはラブというにはあまりも欲と共依存にまみれ過ぎて、、、

でも、何故か強烈に惹きつけられてしまったんです。
「BLはファンタジー」を覆す梶本レイカのリアリズムは、大波に襲われる様な感覚で、私は一気に「梶本ワールド」に飲み込まれました。上下巻の、登場人物の視点の変化は流転のようで、でも説得力があり、そして読後は「ペッ」って浜に吐き出されるんですよ。この才能は異端審問レベルです。ハマる人は疲労と恍惚が待ってます。でも嫌悪も漏れなく着いてくるかもです。

最終話、傷を追った鬼戸と八敷は大海に漕ぎ出します。鬼戸は瀕死なのか?血に気づいた時の八敷の表情は嘆きなのか、「ハメやがったな」の悔しさなのか?ピカレスクとしては、最後は死で添い遂げるのがロマンでしょう。その後の書き下ろしは読者サービス?
正直、二人のサイコパスには戻ってきて欲しくないです。だってクズだもん。日本を平和にしたいもん。

でも、満点の星空の下、果てない地平線に進むボートは何故か悲壮感はなく、、、鬼戸と八敷に絶叫したい自分がいたんです。

「愛おしい!!愛おしいっ!!なんでこんなにもいとおしいんだっっ⁉︎」って。

チッチとあっくん、みやもとそんとたのけてー

今年GW中、新旧問わず読み漁った結果、何度も読み返したのがこの作品です。
子供が出てきたり、産んじゃったりする物語は全然好きじゃないんですよ。
でもね、どハマりしました。

題名通り父子家庭同士の、年月を経た愛の物語です。

ハマりどころは、、、BL神がいるのなら「えっ?そこぉ?」と怒られそうですけど、仕方ないよ、父子家庭の息子たち、チッチとあっくんにノックアウトされまちゃいましたもん。「とんとん、あっくんよー」なんてドア叩かれたら、もうね、BLとか関係なく可愛すぎて。大人の男性はあんなに骨太に色っぽく表現できて、子供はあんなに愛らしく描けて、、、井上佐藤先生の画力にメロメロです。

さて、溺愛チッチとあっくんは横に置いても、この作品は本当に大好きです。
劇画タッチの絵柄は一見リアリズム、BLに良く見られる「女性性」はあまり感じられませんが、読めばしっかりBがL(いやguyがLかな?)してるんですよね。線が太い男たちの色っぽさにもう病みつきになりました。子育てBLなのにエロいんですよ〜、さすが井上佐藤先生、「10 dance」も艶っつやなワケだ。
チッチ父の宮本さんは好青年っぽいけどツンデレの甘えん坊。自分でもそれが分かっているだけに、我が子のため(そして子育ての悩み、辛さのため)一度は逃げるように田所と決別します。そして子供も作っちゃう。中小企業ながらもやり手リーマン、家事も育児もこなす(風の)大人の男・田所は、宮本との別れにやさぐれ、酒に溺れながらもあっくんのために再生します。そして年月を経て、、、

かなり「男っぽい」BLです。デリヘル合戦も、男の小さな見栄っ張りと、愛らしくも思えてしまう。そして二人の愛の根本には、父親としての、子供たちへの慈しみに溢れています。うん、だから切ないんだ。(他のレビュアーさんたちのレビューが秀逸過ぎて、私の駄文はここまでということで)

表題作・他2作も良かった!
『ララルー』婀娜っぽい男たち、とは言い得て妙ですが、フェロモン漏れしている男たちは程良くエロくて、リバ上等の方にはおススメです。
『201』これが一番リアルかもね(笑)

そして『オオカミの血族』と続いていくのでした。