『絶望に啼け 上』の続編です。
Aエリア課長補佐 内海 曳斗と課長 赤嶺 栄人のお話。
前作では、Aエリアに課長補佐で配属された同期の内海から襲われた赤嶺。
それは、自分が6年前に酔って赤嶺をレイプした復讐のひとつであることが明らかになりました。
最悪の関係の2人ですが、合併が噂される某大手企業へ会社の顧客リストを渡したらしい職員が探すことに…。
しかし、会社の顧客リストを盗んだ真犯人は――
今作は、その続きになります。
かつての上司であり、想い人でもある冴木に頼まれて会社の顧客リストを盗んでしまった赤嶺。
内海によって犯罪行為を暴かれただけではなく、冴木に抱いていた信頼も裏切られ、全ての責任と罪を負わされることに…。
上巻に散りばめられていた伏線の回収だけではなく、ストーリーはさらに複雑になっていきます。
想像していたよりも会社組織を巻き込んだ大掛かりな設定に驚きました。
某大手企業による合併の裏に隠されていた衝撃の事実…そして、その隠蔽に巻き込まれた内海と赤嶺が危険に晒されます。
しかし、スリリングな展開だけではなく、ちゃんと2人のラブストーリーも進んでいますよ。
絶望に囚われ復讐を胸に生きてきた内海も、孤独になりたくなくて優しい思い出に逃げていた赤嶺も、本当の気持ちに気が付きました。
――自分を選んで欲しい。
上巻同様に、ネタバレなしで本編をご覧ください。
最後まで目が離せないハラハラドキドキの連続になっています。
内海と赤嶺が共に命の危機に直面した時は、まさかのバッドエンドが脳裏に浮かびました…。
Hシーンは、上巻とは異なり気持ちが通じ合っています。
おまけに、車中と病院のベッド…なんとも心臓に悪いシチュエーショでしたが(笑)
とは言え、病院でのセックスは甘く切ない雰囲気で思わずウルっとなりました。
単純に「好き」という想いだけでは片づけられない6年間の絶望と孤独、そして後悔。
6年前のレイプから始まった執着の復讐劇…最後は何物にも代えがたい愛情へと変化していきました。
もしかしたら、それは最初から純粋な想いだったのかも知れません…。
ようやく障害がなくなった2人。
この先は、肩を並べて歩んで欲しい。
人間の憎悪や執着心だけにとどまらず組織犯罪も加わった先が読めない展開に惹き込まれること間違いなしです。
読後は、内海と赤嶺の幸せを願わずにはいられないでしょう。
2人の詳しいプロフィールが書かれた「bonus track」も必見ですよ。
これだけの内容を上下巻で綺麗にまとめ上げた紫能了先生に感服いたしました。
次作も楽しみにしています。
初めて読んだ紫能了先生の作品です。
Aエリア課長補佐 内海 曳斗と課長 赤嶺 栄人のお話。
某大手企業との合併の噂が囁かれる中、Aエリアに新しい課長補佐が配属されました。
それは、課長である赤嶺の同期 内海曳斗。
「またお会いしましたね」と挨拶された赤嶺でしたが、内海には全く覚えがありません。
後日、開催された歓迎会の席で、お酒を飲み過ぎてしまった赤嶺。
そのまま内海の部屋に泊まることになりましたが、突然 内海に襲われて…。
――個人的には、この作品は好みが分かれる設定だと思いました。
それは、外的要因と内的要因のどちらに焦点を置くかによっても異なりますが、現代の企業形態には当てはまらない部分が多いように感じたからです。
逆に、時代背景が平成初期~中期であれば、違和感も薄かったかも知れません。
しかし、紫能了先生の美麗な絵柄と緻密なストーリー構成は素晴らしいと思いました。
また、内海と赤嶺がそれぞれに抱える憎悪と執着心に複雑な人間関係が絡む組織犯罪も加わり、話題の「シチューBL」のインパクトを超える作品に仕上がっています。
この作品を読まれた方は、海外のサスペンスドラマを観ているような感覚を味わえるでしょう。
6年前の入社歓迎会 同期の赤嶺の機転により素行の悪い上司から助けてもらった内海。
その瞬間に、赤嶺に対して芽生えた信頼と恋心…しかし、それは脆くも崩れ去り、憎しみへと変わっていきます。
…あの日、路地裏で赤嶺にレイプされたことで。
一方、赤嶺は、6年ぶりに内海に再会しても、入社歓迎会の日の出来事どころか内海を覚えていませんでした。
そして、内海に襲われたことで、自身が犯した過ちを知るのでした。
ここからは、ネタバレなしで本編をご覧ください。
独占欲、支配欲、自己顕示欲…など、あらゆる人間の欲望が渦を巻き、その裏では闇組織が暗躍するスリリングな展開になっています。
上下巻に表紙の背景が黒→白へ、表情が憎悪→愛情へと変化しているところも注目ですよ。
Hシーンは、どれも悲痛な思いが感じられて辛かった。
どれも美麗であるが故に重く心にのしかかります。
いつか、心身ともに結ばれた2人の甘いセックスが見たいな…。
下巻に期待します(泣)
描き下ろし『bonus track』
(おそらく)pause5とpause6の間のお話。
赤嶺が目を覚ますと横には内海が寝ていました。
しかも、2人とも全裸で…。
内海の正体と赤嶺の犯した罪…この先 2人はどこにたどり着くのか?
あぁ、上下巻同時発売は本当にありがたい。
同時発売でなかったら発狂していたかも(笑)
初めて読んだ潜えむ先生の作品です。
ジッノティルマ家の御曹司, ジャスパー(α)と漫画家志望 久慈 大成(Ω?)のお話。
実姉で人気BL作家の華代のアシスタントをしている大成。
本当は少年漫画家志望ですが、もう1人のアシスタント 葵と共に華代の作業を手伝っています。
現在、華代が描いているのは「オメガバース」設定。
そもそもBLに興味がない大成は、会話の流れで華代を怒らせてしまいました。
「お前の大嫌いなBLにお前を出してやるわ‼」
華代の作品にモブとして登場させられた「タイセイ・クジ」君。
その後、締め切りに追われ3徹中の大成は華代の命令でコンビニに行くことになりました。
まさか自分がトラックに轢かれるとは思わず…。
今までに異世界転生は読んだことがありますが、オメガバース設定は初めてでした。
自分がアシスタントとして携わっていたBL漫画に転生するとは斬新ですね(笑)
同時に、異世界転生としては王道のトラックに轢かれたり、モブとして転生したりするパターンなので安心感を覚えました。
冒頭に、オメガバースについて華代とアシスタントの葵が熱く語ってくれるので、オメガバースを知らない方でも物語に入り込みやすいと思います。
大成が転生したのは、BL・オメガバース・魔法…と、あらゆる設定が詰め込まれた異世界です。
「ちなみに俺は当然モブ」だと思ったら、α4の1人で当て馬 ジャスパーの「相手」になりそうな予感が…。
華代の描く物語では転校生の設定になっていた大成ですが、転校早々にジャスパーを殴り、おまけに事故チューまでしてしまいました。
ただの事故…と思いきや、大成とキスしたことでジャスパーに異変が起こります。
この出来事がきっかけで、大成の決まっていなった「種」にも変化の兆しが現れて…。
Ω化とBL展開を回避するためにジャスパーから逃げる大成。
この展開は、作家(華代)による当て馬救済措置なのか?
あるいは、運命の出会いなのか?
大成の知らない間に、片想いのモダモダである成長イベント1人でクリアしたジャスパー。
ジッノティルマ家で催されたジャスパーの伴侶探しでは、大成を同伴させ堂々の結婚宣言までします。
一方、「種」が決まっていなかった大成は、αのジャスパーに惚れられてΩになりそうになっていました。
ジャスパーの強引な結婚宣言後に目が覚めるとベッドの上…。
お酒+ベッド+全裸+外された首輪+噛み痕+涙目=の答えは番?!
このお話には、当て馬は登場しません。
脇キャラとしては、華代の物語 メインCP ペリドットとトウル、α4のアンドリュとルベライト、学校の先生(名前不明)が登場します。
Hシーンもありません(笑)
事後のような描写はありますが、ジャスパーも大成も記憶がないことからセックスした可能性は低いかな。
続編に期待します!
描き下ろし『成長イベント step③~④辺りのジャスパー』
庭のベンチでうたた寝をしていた大成が起きると、ジャスパーとトウルが喧嘩をしていて…。
突然 オメガバースの世界に転生して、「種」や「黒魔法」などと言われても、大成の思考や気持ちは追い付きません。
しかし、苦手だったジャスパーの優しさや一途さに触れ、少しずつ変化していきます。
「俺のものになれ」
個人的には、オレ様キャラのジャスパーが大成だけに見せる可愛い表情に萌えました。
もともとはメインCPの当て馬ですが、じつは純粋で男前なのが良かったです。
このまま大成と番になって欲しい!
1巻はちょっとケンカップルだったので、2巻はラブラブ♡イチャイチャな2人が見たいな~。
ちなみに、表紙で1巻とは気が付かず、最後で続編があることを知りました(笑)
潜えむ先生のTwitterや本編にあとがきがないので詳細は不明ですが、夏の連載再開を楽しみにしています。
異世界転生がお好きな方はもちろん、オメガバースが苦手な方にも読みやすいと思いますよ。
気になっている方は、ぜひご覧ください。
『マスク男子は恋したくないのに』の続編です。
高校2年生 才川 綴と同級生 佐山 圭悟のお話。
前作では、一年中マスクをしている陰キャの佐山にリア充の才川が興味を持ったことから距離が縮まって…。
下巻では、お付き合いを初めて2ヶ月後から描かれています。
季節は秋——文化祭の出し物を決める時期になりました。
2年B組は「ホラーハウス」に決定。
目立つ才川はモンスター役(吸血鬼)、目立つのが嫌な佐山は大道具になります。
さっそく書類を届ける役目になった佐山が廊下を歩いていると男子生徒にぶつかってしまいました。
自分にも非があるのに失礼な態度の男子生徒。
佐山に気が付き声を掛けました――‟マスク男子の佐山くん“
2巻では、恋人になった2人のイチャイチャが見られると思ったら、なんと当て馬が登場しました(笑)
しかも、当て馬は人の女を寝取ることで有名な2年D組の敦賀。
この敦賀の登場により2人の仲がギクシャクするのですが、同時に、お互いどれだけ大切な存在なのかを痛いくらい感じるのです。
前作よりも、全てがパワーアップした読み応えのある2巻。
参号ミツル先生のストーリー構成がすばらしく、才川のバッグボーンも判明します。
pixivだけではもったいない!
ぜひ、紙でも電子でもコミックスをご覧ください。
やたらと佐山に絡む敦賀のせいで態度がおかしくなる才川。
そんな才川を心配する佐山ですが、何故か避けられているため思うように話が出来ません。
一方、クズだと思っていた敦賀が不器用なだけで本当はいい奴なのだと気が付いた佐山。
自分に重ね合わせて才川のことを考えます。
才川にもっと踏み込んで先に進まなければ――と。
佐山は敦賀に同情しているけれど、ソコおかしいからね?!
もちろん騙した女が最悪だけど、親友の元カノとシちゃいかん!!
…と、モヤモヤしました (•ω•;)スミマセン
佐山が優しいから敦賀の中で何かが芽生えてしまいましたよ…。
今作も作品全体に萌え要素が詰まっているので、ドキドキしながら最後まで読み進められます。
夜の公園、文化祭、ロッカーに隠れるシチュエーションなど、DKの青春が詰まっているのでニマニマすること間違いなし!
とくに、文化祭でコスプレする才川の吸血鬼は必見です。
佐山もコスプレして欲しかった。
このお話には当て馬が登場します。
しつこいですが、2年D組の敦賀ですよ!
脇キャラとしては、才川のお父様、佐山のお姉様、小林さん、同級生達がモブで登場します。
個人的には、佐山のお姉様が陽キャで受けた(笑)
Hシーンは、コマ数が短いこともあり薄めです。
才川の焦りと切なさが感じられ、恋人同士の甘さなどはありませんでした。
しかし、セックスをしてなくても2人の気持ちが通じ合う場面が多いので満足出来ると思いますよ。
描き下ろし『文化祭の夜』
本編のその後のお話。
学校でやらしいことをする才川と佐山。
佐山の初フェ〇が見られますよ!
pixiv掲載『10.5話』
時は遡って、夏祭り前のお話です。
pixiv掲載『10.8話』
小林さんの「マスくま」とその想いが語られます。
全てが異なる2人がお互いを必要とし、求め合うピースは不格好かも知れない。
でも、それが2人のカタチ。
参号ミツル先生の丁寧な心理描写や2人の感情や距離感の表現は変わらず、より深い部分に言及した今作。
敦賀の登場やそれに付随して才川の過去も判明し、胸がギュッとするエピソードが多かったです。
…が、もっと甘いイチャイチャが見たかった~。
うぅ、3巻が発売されると信じて待っています。
初めて読んだ永乃あづみ先生の作品です。
永乃あづみ先生のデビューコミックスになります。
こちらは、表題作の他に『ワケありでも可愛いがってくれますか?』が同時収録されています。
獣人×人間CP
怜次の世話係 椿と大学生 篠崎 怜次のお話。
獣人を従えることは、金持ちのステータスの一つになっている社会。
名家の次男に生まれた 怜次にも獣人の世話係 椿がいます。
椿と初めて会ったのは怜次が小学校4年生の時でした。
あれから月日が経ち、怜次は大学生、椿は従順な世話係に成長します。
――しかし、怜次はいつからか椿に対して恋愛感情を持っていたのでした…。
獣人は商品であり、‟人権“なんてない。
私設育ちで読み書きが出来ない椿に怜次は勉強を教えました。
怜次の尽力に報いるように、凛々しくたくましく育ちます。
どんな時でも怜次に従順な椿ですが、不意に怜次にキスをされて発情してしまいました。
怜次は椿とは結ばれない運命だとわかっていても、椿を求め、また椿にも求められたいと願います。
椿と交えたことを嬉しく思う怜次ですが、椿にとっては発情期の事故。
――と思ったら、事態は思わぬ方向に…。
人間×獣人の設定はなかなか構成が難しく、また独特の世界観が問われる題材だと思います。
こちらの作品は主従関係をテーマに種族を超えた愛情と絆を感じられました。
永乃あずみ先生は絵柄や心理描写を丁寧に描かれているので読みやすかったです。
ただ、ほとんど篠崎家内で話が進むため、椿以外の獣人を目にする場面がなかったのが残念でした。
人間と獣人が共存している描写があったら、もっとストーリーに深みが出たと思います。
…とは言え、全体を通してキャラの性格や言動にメリハリがあり、展開にも緩急があって良かったです。
長男を優遇する篠崎家で、次男の怜次は小さい頃から兄より目立たないようにと無理強いをされてきました。
そんな家庭環境の中、怜次にいつも寄り添い傍にいてくれた椿。
種族は関係なく、特別な感情を抱くのも自然なことなのでしょう。
一方、発情して怜次を「番」にした椿は違っていました。
「恋」がどういうものか…獣人の椿にはまだわからなかったのです。
種族が異なれば思考や性質が異なるのは当然なことですが、さらに人間と獣人は社会的な立場に差があるため、お互いに分かり合うのは難しい。
ただ一つ、同じ気持ちで繋がれるとしたら、それは「愛」なのかも知れません。
前半から後半に向けてドラマテックな展開が繰り広げられます。
しかし、最後が駆け足だったように感じました。
ページ数の問題でしょうか? (´•ω•`;)ションボリ
他にも、2人のバックボーンや怜次と家族の関係など読みたいエピソードがありました。
それだけ作品に入り込めたと思います。
このお話には、当て馬は登場しません。
怜次のお父様が当て馬なのかな?
脇キャラとしては、怜次のお見合い相手の親子が登場します。
娘のハルコはマジでやばい(笑)
見合い相手だけど嫌いじゃないよ!
Hシーンは、想像以上にエロかったです。
欲を言えば、結合しているところをもっと見たかった。
椿のしっぽがどうなっているのか興味津々です(笑)
描き下ろし『はじめての二人』
本編のその後のお話。
同時収録作品『ワケありでも可愛いがってくれますか?』
大学1年生 真広と大学2年生 蒼矢のお話。
街を歩けばスカウトされる日常のイケメン蒼矢。
誰もが容姿しか見てくれないため、性格も口も悪くなってしまいました。
ある日、大学で声を知らない男性から声を掛けられて…。
落とし物を拾ってくれたことが縁で、お付き合いを始めた真広と蒼矢。
可愛くて初々しいカップルのお話でした。
これからは、些細なことでも2人で話し合いながら仲を深めて欲しい。
種族や主従関係、幼馴染など萌える要素があり、切なさの中にふんわりした甘さ感じられる作品に仕上がっています。
「どうしてもあなたと離れたくない!」
椿が自分の気持ちに気がついた時――2人の運命が動き出す。
まだまだ粗削りではあるものの、期待できる作家先生だと思いました。
新連載も楽しみにしていますので、ぜひまるっと1冊を表題作でお願いします♡
初めて読んだ みよしあやと先生の作品です。
こちらは、表題作の他に『2番目の人』が同時収録されています。
サラリーマン 星谷 友昭と美容師 吉屋 奏のお話。
高校卒業して7年目のお正月。
今年も音信不通の幼馴染からの年賀状は届きません。
幼馴染の18年間をそんなに簡単に捨てられるのか…友昭はやるせない気持ちでした。
正月休みも終わり、仕事が始まると髪が伸びたことに気が付きます。
予約していたヘアサロンを訪れた友昭は、現れた担当者を見て驚きました。
それは、音信不通の幼馴染 奏だったのです。
高校卒業後、大学と専門学校で進路がわかれた2人。
どこで何をしているのかわかりません。
しかし、2人が持っているのは、最強でありながらジョーカーにもなる「幼馴染」のカード。
そのカードを手元に残している友昭と手放した奏が再会したとき、止まっていた2人の運命が動き出しました。
連絡が途絶えたあの日から…友昭は奏のことを考えて過ごしていました。
そんなある日、友昭は奏と奇跡的な再会をしますが、奏は嬉しそうではありません。
なんとか奏を繋ぎ止めたい友昭でしたが、成り行きで奏を自宅に泊めることになり…。
一方、ずっと友昭のことが好きだった奏。
高校の時に友昭から「ずっと俺の大事な幼馴染で親友だよ」と言われたことで自分の想いは告げられなくなりました。
そして、友昭から逃げた奏は、友昭以上の誰かを探し、付き合い、別れる…その繰り返し。
どんなに好きでも想いは届かないと、必至に忘れようとする奏の想いが切なかったです。
本気の恋だからこそ、忘れたくても忘れられない。
初恋は心のどこかで燻り続けて、些細なことで再燃します。
「俺の世界は お前がずっといるか、ずっといないかでしか、もう廻んないんだよ‼」
中途半端な気持ちで向き合えば、また奏は傷つき、そして姿をくらませる。
…が、奏は「幸せ」でも同じことをするタイプでした(笑)
うーん、手放したカードと忘れたい初恋が手元に戻ってきたら受け止め切れないよね。
しかし、そんな奏をめげずに追いかける友昭がストーカーばりに素晴しかった(笑)
そもそも恋愛感情がなければ、幼馴染といえども、ノンケが男性を抱くことは難しい。
自分の気持ちに気が付いて本当に良かった。
このお話には当て馬が登場します。
奏の元カレ ササミロックのベース 剛くんです。
暴力行為はダメですが、友昭に協力してくれたから見逃そう(笑)
いつか剛くんの恋も叶うといいな。
Hシーンは、本編に2回、描き下ろしで1回あります。
本編のセックスは、どちらも甘さが薄いのでエロさも薄いかな…。
でも、いつも強気な奏の流した涙にはグッときました。
好きな人に抱かれたら幸せだよね。
この先も奏を泣かせられるのは友昭だけなんだろうな。
描き下ろし『お互い様と言うことで』
本編の2回目のセックスの続き。
同時収録作『2番目の人』
大学生 畑中 弥とユキのお話。
ゲイ専用のクラブで今日も一夜限りの男性とセックスするユキ。
ある夜、クラブで迷い犬のような大学生 弥と知り合い…。
とにかく弥がイケメンだった♡
弥には新しい恋をして欲しいけれど、ユキはビッチ過ぎるので心配です(笑)
続きが気になるラストでした。
幼馴染から恋人になった2人のラブラブ♡イチャイチャがもっと見たかったな。
それでも、偶然の再会から怒涛の展開の中にちゃんとモダモダや当て馬の登場があり読み応えがありました。
また、それぞれの気持ちを上手に表現していたので感情移入がしやすかったです。
個人的には、行方不明になった奏が居た場所が気になりました。
いつか、奏があの場所を選んだ理由を番外編で読めるといいな~。
気になっている方は、ぜひご覧ください。
幼馴染BLが好きな人にもおすすめですよ。
最近、ハマっている暮田マキノ先生の作品です。
大学1年生 鳥飼 寿里と大学2年生 蛯原 天のお話。
大学生になった天の行動は、携帯アプリ マドモアゼル・ハーミットの「占い」によって導かれています。
1日の運勢からラッキーカラーまで…全て占いの通りに過ごしていました。
ある日、学食でラッキーフードのカルボナーラを食べていると声を掛けられます。
学食にはたくさん空席があるのに、何故か天のテーブルに座る男性。
それは、構内でも有名人の2年生 鳥飼寿里でした。
露骨に嫌がる天にお構いなしで話しかける寿里。
どうやら天を知っているようで…。
暮田マキノ先生は繊細で儚さが漂う作品が多いですが、こちらも人間の心の弱さをテーマにしていて、全体的には切ない雰囲気がありますがドラマテックに仕上がっています。
また、冒頭では理解できない場面も読み進めて行くうちに明らかになるストーリー展開に惹き込まれました。
「占い」で幸せになれるのか?
高校生の天は先輩と付き合っていました。
天にとっては本気で大切だった初めての恋。
しかし、先輩は天を男子校の「お遊び」の相手としか見ていませんでした。
事実を目の当たりにし深く傷ついた天は、先輩が当時ハマっていた占いを自分もすることで「幸せ」になれるのか試すようになります。
毎日、毎日、占いをチェックして、その通りに行動する。
そうしないと自分の心の拠りどころがなかったのでしょう。
でも、その占いを始めたことは、ある意味「運命」だったのかも知れません。
一方、学食で天に声を掛けた寿里は、いつも人に囲まれている人気者。
毎日のように天にアタックするも拒否されるとあっさり引き下がり、イマイチ本心が掴めません。
ただ、寿里の言動は天の占いと重なることが多く、天は「運命」という言葉が頭をよぎらないように注意していました。
うっかり、恋なんて落ちないように――と。
最初は寿里のミステリアスな部分にドキドキしながら読んでいたのですが、途中からは寿里の色っぽさに持っていかれました。
全てを見透かしているような眼差しとぷっくりとした唇で微笑む寿里はヤバい(笑)
個人的には、天の長所がわかるエピソードがもう少し読みたかったです。
きっと、誰よりも優しくて誰よりも純粋なんだろうな。
初めはぎこちなかった関係も寿里の優しさと誠実さにより、2人の距離は少しずつ縮まります。
甘やかされてズブズブにされて、自分が特別な存在だと錯覚してしまう。
寿里に愛されて天も恋を意識し始めた頃に、突然予想もしていなかった出来事が起こりました…。
ここからは、ネタバレなしで本編をご覧ください。
おぉ!と、思わず唸ってしまいますよ。
このお話には当て馬が登場します。
天の高校時代の初恋の先輩 多田芳樹。
マジで地獄に堕ちて欲しい…。
脇キャラとしては、寿里の大学の友人、寿里の叔母が登場します。
天に友人がいなかったので寂しかった(泣)
Hシーンは、不思議なエロさがあるんです。
コマ数は少ないですが、エロスと愛情が溢れ出ていました。
もっと見たかったよ (๑•̥̥̥́ω•̀ू๑)グズン
最終的にはHAPPYENDですが…やや駆け足だった感は否めません。
天視点がなかったので気持ちがわからず、最後は天の感情に寄り添えませんでした。
うーん、とっても残念。
描き下ろしでもいいので、ココの部分を描いて欲しかった…。
それでも、暮田マキノ先生の綺麗な絵柄と魅力的なストーリーで読み応えがある作品です。
「占い」という身近な題材にどこかリアリティさも感じられました。
辛い失恋が運命の恋を手繰り寄せる。
気になっている方は、ぜひご覧いただくことをおすすめします!
初めて読んだ すめし先生の作品です。
開発部 後木 大智と営業部 先立 守のお話。
ゲイの大智は同じ会社の営業部にいる先立先輩に恋しています。
しかし、先輩はノンケ。
ある日、若い子に流行っていると嘘を付き「ラブホ男子会」に誘ってみました。
35歳と言う年齢を気にしている先輩は知ったかぶって誘いに乗り、大智とラブホテルへ!
いざ、ラブホ男子会を体験すると、ベッドの上でお酒を飲んで食べて歌ってお風呂にも入れる。
すっかり気に入ってしまった先輩ですが…。
いくらなんでも先輩がチョロすぎる(笑)
しかも、大智も先輩もエロい!
もうチョロくてエロいって反則だよね~。
おそらく全ての腐女子の皆様が壁になりたいと思うであろう「ラブホ男子会」。
一体、彼らはラブホで何をしているのか興味津々。
人目を気にせず、食べて飲んで歌ってお風呂に入って…その後は?
大智の誘いにまんまと引っ掛かった先輩は、初めてのラブホ男子会でハマり、第二回目も即答でOKをします。
…が、しかし、第二回目はちょっと様子が異なりました。
それもそのはず、たださえ先輩のことが好きなのに、ラブホに2人きりなんて我慢できるわけがない!
とうとう大智は寝ている先輩の背中越しに告白をしてしまいます。
いや、告白だけならまだいいんです。
その後、大智はオナ○ーを始めました…。
途中から目が覚めていた先輩は寝たふりをしながら混乱します。
うぅ、先輩は大智に距離を置くんだろうな…と思ったら全然違いました。
なぜそんな展開に(笑)
そうだ!先輩はチョロいだけじゃなく、ちょっとバカだったんだ!
このお話には、当て馬は登場しません。
脇キャラとしては、2人の同僚 左同誠くんが登場します。
先立先輩を「まもちゃん」と読んでいるので、おそらく同期でしょうね。
もっと登場して欲しかった~。
Hシーンは、本編ではコマ数が短いこともあり、エロさが薄いです。
その分、2人がイチャイチャしている感じかな。
しかし、ご安心ください…ご希望のエロは描き下ろしでフルコースを味わえます(笑)
とにかく先輩が可愛くて、大智が好きなったのも納得でした。
描き下ろし『その後の二人』
付き合いだして2週間後のお話。
最初から最後まで、大智の一途さとおバカな先輩にエッチなHAPPYオーラ全開の作品。
途中、モダモダがありますが、それすらもエッチだった(笑)
これからもラブホを開拓して欲しいと思いつつ、2人の自宅も見てみたい。
完全ラブコメディなのに、純愛?の要素もあり、いろいろなテイストが楽しめる1冊でした。
気になっている方は、ぜひご覧いただくことをおすすめします。
初めて読んだ小夏うみれ先生の作品です。
ウサギ×オオカミの獣人CP
高校生 緑川 珀兎(ウサギ)と高校生 狼ノ森 南月(オオカミ)のお話。
動物の先祖から進化した獣人は種族を交えて同じ社会で暮らしています。
肉食上位種のオオカミは発情すると草食下位種のウサギを喰べたがる――
高校生の南月は、性に方便な他の獣人とは異なってクールで紳士だと人気がありました。
ある日、学校で道に迷った転校生に教室を尋ねられます。
初対面なのにどこか見覚えのあるウサギ…絡み付く視線に危険を察知した南月ですが…。
ケモミミ好きにはたまらない獣人BL(笑)
小夏うみれ先生の絵柄が綺麗なことにまず驚きました。
少女漫画やTLでも全く違和感のない可愛らしいタッチです。
ストーリーは王道ですが、獣人にもある「発情」を上手に取り入れているのでドキドキしながら読めました。
小学校で会っている南月と珀兎。
その時からずっと南月を好きだった珀兎は高校に編入して会いに来ました。
一方、小学校で初めての発情をした南月はウサギの男子に怪我をさせたことがトラウマになっていました。
しかし、珀兎の長年の恋心は南月に再会して爆発!
南月の許可が出るまでは我慢すると言う珀兎ですが、かなりギリギリまで攻めるのが良かった(笑)
その後は、気持ちが通じ合っていない2人のモダモダがありますが、さまざまなシチュエーションで楽しませてくれます。
チャラい外見とは異なり珀兎の想いはめちゃくちゃ重かった(笑)
でも、多少?強引でも南月のことを一途に想っているところが◎です。
最初は拒絶していた南月も少しずつ珀兎に惹かれていく過程も良かったな。
あれだけ珀兎にグイグイ迫られたら好きになっちゃうよね~。
このお話には、当て馬は登場しません。
脇キャラとしては、南月のクラスメイトのオオカミくん達が登場します。
とくに、天然でおバカな獅堂ハヤテくんがお気に入りです。
あこの高校にはオオカミとウサギ以外の獣人はいないのか知りたかったかな。
Hシーンは、本編に1回だけですが、エロは他にもありますよ。
ケモミミのセックスってエロいですよね (〃艸〃)♡
しかも、絵柄が綺麗なのでエロさも倍増しています。
イチオシは体育着姿の南月ですよ~。
きっとチクビを凝視しちゃうと思います(笑)
南月はもちろん、トロけている珀兎の顔もたまりません。
2人のセックスをもっと見たかった…。
描き下ろし『一番のごちそうは』
コンビニで珀兎の好きなニンジンキャンディーを見つけた南月。
そのキャンディーを買って珀兎のお家に行きましたが…。
反則的な可愛さの南月にじつはメロメロな珀兎。
これからは、今までの分もいっぱい南月を愛するんだろうな~。
全体的にラブコメディですが純愛がテーマの作品なので、読後はHAPPYな気持ちになれますよ。
個人的には、シッポに感情が出てしまう南月が可愛かった♡
ケモミミ好きな方にも、エッチなラブコメディがお好きな方にもおすすめです。
初めて読んだ ゆざきさかおみ先生の作品です。
電気工事士 漆原 冬真とWEBメディアライター 小鹿 日路のお話。
ある夜、映画館のレイトショーで出会ったトーマとヒロ。
そのまま飲みに行き、お互いがゲイであることを知りました。
お酒で酔った勢いもあり、ホテルに入ったけれど…トーマのチン〇が自主規制するほど大きくて…。
今まで読んだことがない設定でとても新鮮でした。
世の中には、攻めのチン〇が大きすぎて悩んでいるCPがどれだけいるのでしょうか…。
うーん、これはかなり切実な問題ですよね。
この作品は、自分のチン〇にコンプレックスを抱えているトーマをヒロが救い出す!…と言うような単純なお話ではありません。
もっと深くもっと複雑な問題が絡んでいます。
「愛」があれば、挿入できなくても「幸せ」なのか?
最初は、不安を抱えているトーマが明るく前向きなヒロによってサポートされます。
しかし、挿入を伴うセックスが出来ないことから、ヒロに申し訳ない気持ちになるトーマ。
「お互いが楽しめるセックスを目指していきましょう?」
優しいヒロの言葉に、トーマは2人で多様なセックスを楽しむための一歩を踏み出しました。
…が、数ヵ月後、あれこれ試しても1割~2割しか入らない現状に関係がギクシャクしていきます。
「挿入=セックス」じゃないとわかっていても、やはり相手のことを考えると焦ってしまう。
相手を思えば思うほど、不安になり悩んでしまいますよね。
そして、愛する人と身体も結ばれたいと思う気持ちもどこかにあるんだと思います。
いつの間にか「挿入」することが目標になってしまった2人。
だんだんお互いの気持ちがすれ違っていきます。
とくに、ポジティブなヒロがマイナス思考になってしまうと抜け出せません。
一方、恋愛初心者のトーマも自己嫌悪に陥っていました。
クローゼットゲイな上に経験もほとんどないので苦しみます。
いや~、それぞれの気持ちがわかるから辛いですね。
どちらも真剣だし、どちらかが悪い訳じゃないし…。
2人が納得いく着地点が見つけられるのでしょうか?
後半では脇キャラが登場してドラマのようなストーリー展開で進みます。
ここからは、ぜひ本編をご覧ください。
このお話には、当て馬は登場しません。
脇キャラとしては、ヒロの高校時代の先輩 橘さん、トーマが知り合ったBarの店長 彩人さんが登場します。
橘さんも彩人さんも器の広い男前だった…。
悩み事って、他人の意見や考えを聞くことで解決に繋がることもありますよね。
Hシーンは、想像よりもエロかったです!
紙は白抜きで真っ白だったのですが、それでもわかるほどのトーマのチン〇の太さ(笑)
あまりの太さにビックリしました ∑(๑º口º๑)!!
それを自分のアナ〇に挿入しようとするヒロに愛を感じましたね。
挿入しなくてもセックスを楽しむ2人のやり取りは見応えがありますよ。
描き下ろしは、本編のその後のお話です。
彩人さんのBarにツケを払いに来たヒロとトーマ、そして…。
ゆざきさかおみ先生の綺麗な絵柄と新鮮なテーマで物語に惹き込まれました。
登場人物や背景なども丁寧に描かれているのも良かったです。
また、全体的にコミカル要素で仕上がっておりキャラも魅力的なので重く暗い雰囲気にならず読めました。
難しい問題にメンタル面とフィジカル面の両方から迫った異彩を放ったBL。
恋人たちの数だけ幸せのカタチがある。
トーマとヒロが行き着いた幸せのカタチ。
この先は、何でも話し合ってゆっくりと愛を育てて欲しいな♡
気になっている方は読まれることをおすすめします!