私はあまり好きではありません。
登場人物ほぼ全員の性格が悪く、不快指数がかなり高いのですが、それでも評価をマイナスからプラスに引き上げるほどの要素が、強いていえば絵くらいしかなくて、キツかったです。
主人公の性格が極めてドクズでも、性悪なりに共感はできないが理解はできる部分があれば読めますが、人の心理としてだいぶ突飛な部分があり、かといって悪すぎていっそ清々しいというほど突き抜けているわけではなく、小悪党・小市民的な因業キャラとして笑いと共感を誘うわけでもなく、何だコイツ……と嫌な気分になるばかりでした。
瀬野の母や実家の隣人、白島の母や兄嫁など、主要人物の掘り下げエピソードの部分にもやたら嫌な感じの人物が出てくるので、掘り下げに納得するよりも物語の隅々まで使って読者を不快にしてきてなにが楽しいのだろか、というのが勝りました。
いい感じのセリフ、カッコウの雛鳥の生態、ルバイヤートetc. そういったキーワードを上手いこと転がすことと伏線の回収に重点がおかれていて、人の心理は置き去りな印象を受けました。
本作はしばしばストーリー重視のBL作品として挙げられますが、そりゃ全体の中でストーリーを展開させていく場面の方がエロよりもずっと多いけれど、商業BL作品にはストーリー重視で名作なものは他に沢山あるので、あえて本作を選ぶことはないと思います。
私には刺さらなかったけどこういう作品が好きだという人もおられることでしょう。面白くなかった訳ではないです。ていうかある意味面白かったです。ある意味とは。
ストーリーの大半はエロとギャグです。アサリとなんでかまぐわい番になってしまった人の心の揺らぎ……知ったことかあ!! 考えるな感じろ!!!!! 的な。すごい勢いで触手エロです。触手大好きな方はどうぞ。
ミル貝がかわいいです。人化バージョンはもっぱら稚貝ですが、時々急成長します。褐色肌でオラついてる受けです。褐色ギャル男受けが好物な方はミル貝さんをどうぞよろしくお願いします。
ミル貝の水管ってなんかあれだけどいいのかなありのままで……と思ったら大人ミル貝氏のそれにはモザイクがかかっていてやっぱりねと思いました。
正直、誤って購入ボタンを押してしまった時は泣きましたが、一年半ぶりに再読してみたらそんなに悪くないなと思いました。
ミル貝が可愛かったです。
ミル貝が可愛かったです。