2.5なので?と思っていたら短編集でした。
☆橡の諸事情
前巻で出てきた烏天狗の首領、橡が父親の腹違いの兄弟(卵)を託され、その卵が孵ったという騒動。橡は既婚者では無いので当然子育ては未経験。昼夜問わず泣く赤子に睡眠時間も削られすっかり疲労困憊の橡。その事情を聞き、健康面の確認や子育てについて涼聖に助言を貰うために涼聖宅へ。
前巻で気になっていた橡さんの登場がとても嬉しく楽しく読みました。
☆陽ちゃんのツリーハウス
トム・ソーヤーの冒険からツリーハウスに興味を持ち、琥珀の祠を作ってくれた元宮大工や地域のおじいちゃんたちが陽のためにかなり本格的で和風なツリーハウスを作ってくれるというお話。
☆涼聖さんのお友達
涼聖の先輩医師が休暇をとって遊びに来ると言うが、ただの休みという訳ではなく訳アリのようで…というお話。医者と言えども働く以上サラリーマンっぽいところもあって大変だなぁ、先輩早く元気になってね~と祈りながら読みました。
☆月草様と狛犬兄弟
すっかり陽にメロメロな月草様。そういえば狛犬兄弟も小さい頃から見ていたよな…という、狛犬兄弟が小さかった頃の回想のお話。狛犬兄弟は小さい頃からそんな感じなのね、とほっこりします。
☆特別編
涼聖と琥珀が喧嘩をしている?というお話で、実際には喧嘩ではなく琥珀の勘違いで琥珀が怒っているだけなのですが…。涼聖は過去の罪をまだ引きずってるはずだよね~?とニヤニヤ…バレないかハラハラ…みたいな気持ちで読んでました。
シリーズ2巻。前作では狐の神様の琥珀と陽、そして医者の涼聖の3人の物語だったのが、登場人物が増えてきた内容になっています。
まず登場するのが、間狐ならぬ伽羅。ずっと琥珀に片思いをしていたのに琥珀からは弟扱いしかして貰えず、挙げ句涼聖に攫われるという何とも不憫なやはり狐の神様。しかも現在の格で言うと伽羅の方が妖力は高いそう。
それから琥珀たちが住む地域にほど近い神社の神様の月草。彼女は神界の中でも難攻不落の絶世の美女だと言われているそうだけど、陽にメロメロなやはり神格の高い神様。
そして気になるのが琥珀が守っている地域と隣合わせの場所を治める烏天狗の首領、橡(つるばみ)。
それぞれにキャラの濃い(なんせ神様だから)登場人物が出てきて陽の教育をどうするか、陽が成長するにつれて大きくなる妖力を抑えなければ地域に歪みが生まれるからどうしようか、という話が本筋で進んでいきます。
個人的には橡がすごく気になるのでまだ続くこのシリーズの常連さんになって欲しいなと思っています♪
北欧が舞台で、 Ωは文明から離れた民族以外、人工授精でなければ誕生しない数の少ない貴重な存在になっている世界観。Ωは繁殖能力をなくしたαの存続のために国によって管理されている。ハルは珍しく自然妊娠で生まれたΩで、自分の両親を知らない。気づいた時には施設にいて、施設長の養子にされていた。今や珍しくなった自然妊娠で生まれたΩを観察するために。そして余計な知識を身につけないようにハルは世の中のことや文字の読み書きも教えられないで育ち、施設の中で18歳になった。自分のことを「ハルくん」と呼び、施設の人にお菓子や食事を作る仕事をしている。
そんなハルが施設の買い物に出た時に偶然出会ったのがコンラッドという医師。彼はハルの養父の実子だった。施設長親子が事故にあい、息子は死亡、父親は意識が戻らないという。コンラッドはハルと出会った短い時間で恋に落ち、ハルを救うために施設から連れ出してくれるが、逃亡先のフィンランドの北の果てでハルは初めての発情を迎え、コンラッドと結ばれる。しかしコンラッドの父親の容態が急変し、2人は離れ離れに。その後ハルの妊娠が発覚するが、コンラッドとは連絡が取れないまま、4年の歳月が経っていた。
コンラッドとの子どもユッカの教育のために、ユッカを連れてコンラッドの元へ向かうことを決意したハル。再会したコンラッドは事故の影響で視力も記憶も失っていた。
コンラッドと出会い、自分とは何か、自分の幸せとは何かを考えるようになったハル。そんなハルが下した決断に涙が出ました。
悪いのはコンラッドの父と兄、そして自分たちの繁殖のためにΩを利用し続けていたα社会なんだけど、その犠牲になったハルや不正を正そうとしたコンラッドが可哀想すぎました。タイトルにも書いたのですが、ハルにとって辛い展開が長すぎるんですよね。記憶をなくしたコンラッドのお世話をするシーンも、記憶をなくしたはずのコンラッドがハルとの思い出をぼんやりと覚えているシーン、そして何も告げないのに一目見てコンラッドを父親だと分かったユッカにも泣いてしまいました。
BL小説なのに(?)2人が致しているシーンは1回しか出てこないし、甘々な展開はなくて辛い境遇が多いんだけど、だからこそ2人が心を通わせ合うシーンがずしーんとくるんでしょうね。じんわりずっしりのお話が読みたい時にオススメです。
dom/subってSMっぽいなって少し苦手だったんですが、この本は少し違ってました。まず、domが刃物向けられてるのにニコニコ応対しちゃうかなり変人な(?)執着攻めで、domっぽくないって思いました。そして一方のsubはと言うと、侯爵子息だからめちゃくちゃ強気でdomに支配されることを完全に拒否している。完全に攻め→→→→受けみたいな構図。
ずっとdomを拒んで生きてきたから奏羽の体調はすごく悪くて、朦朧とした時に言ってしまったのが「お尻叩いて」だったんですよね。これにはビックリしましたけど、何故それを口走ってしまったのかがとても悲しい。subである自分を認めてくれない父親が唯一自分に構ってくれるのが折檻の時だけだったから。決して叩かれることを望んでいるのではなくて父親に振り向いてもらいたい、それだけの理由だった。
dom/subってdom優位でプレイするものって思っていたけど、subを満足させることがdomの満足に繋がるってことが描かれていて、ちょっと誤解してたかな…と考えを改めようと思いました。そしてこんなに「殺す」って言ってる受けちゃんが出てくるBL読んだことないです(笑)しかもまさかのセーフワード。それだけ強気の受けってことで、そこも好きなポイントでした。
どうでもいいけど個人的に好きだったシーンはフェ⚫の時に指絡めた手繋ぎしてるとこでした。なんかすごくえろかったです~(好き)
うまくいかない就活中の大学生Ω尊人が偶然見かけたガチャ。それは芸能人とのチェキ券やデート券を含むものだった。最後のひとつを引いた尊人。その内容は人気俳優宮原隆一の婚約者券だった。信じられない思いで名前や連絡先を入力した翌日、宮原のマネージャーと名乗る男が訪ねて来て、宮原のマンションに連れていかれる。
人気俳優のはずの宮原が何故か尊人にグイグイ迫ってきて運命の番と言われる。勢いに飲まれるようにそのまま同居生活を始めるが…。
自分の結婚相手をガチャに託すなんて、今話題の新興宗教かのようだけど、宮原の生い立ちを聞くと彼の寂しさが窺えるんですよね。家族に対して飢えていて、きっと憧れもあっただろうに、やはり世の人に向けられるのは俳優宮原隆一としての眼差しだけ。ただの1人の男性として見られることに飢えていて、それをガチャで婚約者探しに託したというんです。そんな博打のような…とは思いますが、それを引き当てたのが尊人で良かったと思います。
尊人も仕事一筋の両親のもと育ったことから親の愛情に飢えていたので、まっすぐな宮原からの愛情が恥ずかしくもあり、嬉しくもあり。初めから燃え上がる愛情で始まった生活とは言えなくても静かに徐々に愛を育んでいく2人(途中から3人)がとても微笑ましかったです。
最後にちょっとした出来事が起きますが、何か大きな事件が起きるとか危機的な状況になるでもなく、とにかくほのぼのと家族になっていくお話で、安心して読めました。
現代に生きる、生まれつき耳の聞こえない、そして唯一の身寄りの祖父が亡くなった悠羽が狼王の物語が記されたタペストリーの世界へ時を超えてタイムトリップするお話。
狼王の婚淫の続編と思って読みましたが、そこまで前作の影響を受けている感じではなさそうです。前作の後のお話で、同じ世界観ではあります。
悠羽は狼王の身に起こる出来事をタペストリーを通して知っているので、過去にタイムトリップして狼王を守るために行動していきます。初めのうちはタペストリー通りに事件が起きていくのだけれど、自分の行動が狼王を守ることにつながっていくのか自問自答していきます。
単純に未来から過去へタイムトリップして過去を変えていくだけではなく、元々の時代より少し過去へ戻ったりなど、トリップする時代が変わることもあり、読んでいて少し混乱してしまいましたが、ひとまずハッピーエンドという形で収まります。
ちょっとタイムトリップがごちゃごちゃして実際に起きた事件など、分かりにくいかな…と思わなくもないですが、狼王のモフモフや溺愛の安心感は充分楽しめる内容でした。
幼少期のはっきりとした記憶のない愛生がぼんやりと覚えているのは狼王の背に乗せられて森を走ったり、体を舐めてもらったりして育ててもらったこと。そんな愛生は20歳になり、施設の存続のため施設長からある侯爵に金を無心するように言われ、国を越えてとある森へとやってくる。初めて見る光景のはずなのにどこか既視感を感じる愛生。その侯爵は名前も国籍もない愛生に名前と国籍を与えてくれた恩人だった。
森で会った侯爵は愛生のことを覚えておらず、冷たい態度を取られる。それどころか殺されそうになるが、何故か侯爵の感情を刺激することが出来たとして殺さずにいてくれると言う。マフィアに借金した施設長を正すために侯爵と施設に戻った愛生はそこで施設長の逃亡を知ると共に襲われてしまうがそこを救ってくれたのは侯爵で…。そこから老犬タロと侯爵との森での生活が再び始まる。
侯爵と愛生の記憶にある狼王の関係や、森の秘密、侯爵の秘密、そしてタロの最期など、そこからの流れが見所です。
読んだ感想は美女と野獣やロミオとジュリエット、そして眠れる森の美女を色々ブレンドした、おとぎ話のようなストーリーだな、というものでしたが、それはあとがきで華藤先生も仰っていました。徐々に明かされていく色んな真実に置いていかれないように後半は必死で読みましたが、感動の涙がありつつ、収まるべきところに収まってくれて良かったです。
残念ポイントとしてはせっかくのyoco先生の挿絵がなかったことです。電子だからかそういう仕様だからかなんでしょうか…。yoco先生の麗しいルドルフをたくさん拝みたかったです。
タイトルのまま、王子様がお嫁に来ちゃうお話ですね。誰のところへかというと、現実主義の警察官の官舎でした。そして意外にもファンタジーのお話で、異世界から飛んできた王子様でした。王子の住むお城の近くにある池と、警察官の官舎の浴槽が満月の夜に繋がり、行き来できることに。そう、まるで国民的アニメの机の引き出しのようでした(笑)
警察官の岳はリアリストなので、王子が異世界からやってきた人間とはとても認められません(そりゃそうだ)。ほぼ職質をするも、ファンタジーの国の王子設定を覆すことが出来ず(なぜならホントに異世界からやってきたから)、結局次の満月まで居候させることに。
ちょっと珍しいのは途中まで攻め視点なんですよね。それもそのはず、異世界から来た受けのアシェル王子の気持ちは私たちには理解し難いから。
アシェルはあと数日で20歳になり、決められた婚約者と結婚することが決まっていたが、身を焦がすような恋をしたことがないからとお祖父さんと同じ冒険をしようと思って池に飛び込み、岳のところまで来たのです。
小林典雅先生のお話らしく、というのはもちろんですが、やはり今回は攻めと受けの住む世界が違いすぎて、2人の噛み合わなさっぷりがとても面白く読めました。
アシェル王子にくっついてきたリスのピムが役に立つのか立たないのか、とても可愛らしい存在で癒されます。
「発育乳首」からの流れでこの作品を読みました。シリーズかな?と思ったけどシリーズではなさそうですが、ここで出てくる乳首開発グッズや貞操帯を見ていると「発育乳首」で坂本が開発したグッズでは…?と読んでてニヤニヤしてしまいました。
こちらは週刊誌の記者、北見が芸能ネタを追ってとあるクラブに足を踏み入れられたら闇オークションにかけられていた…という、トンデモ展開なんだけど、実はそれには裏があって…というお話です。
こちらも攻めが3人出てきて受けちゃん大変です!クラブの謎オーナーリウ、オークションで北見を5億で(!)競り落とした井上、そして桐生の同僚で同じ週刊誌の記者、羽川。
見所としては北見が追っていた芸能ネタは無事スクープ出来るのか、なぜ北見は嵌められて闇オークションにかけられることになったのか、井上と1番謎なリウの目的は…?が解き明かされていくところでしょうか。そしてこちらも4人の関係がどのように終止符を打たれるのか、打たれないのか…も面白いところです。
1対1の恋愛模様に飽きてしまった方は是非。