同軸リバ!
最高です。
好きだから、
相手の事が好きだからこそ、
愛されただけ、愛したい!
こんな風に、素直で純粋に、セックスを楽しもうとするのって、
尊い。
この1冊に、二つのお話が入っていますが、両方とも同軸リバです。
表題作は、パッと見た感じ受けっぽい小柄な子の方が最初に攻めなのも、オトコ!って感じでいいし、ガタイのいい子の方がちょっとヘタレだったり、でも攻めてていきなりガツガツになっちゃう感じも初々しくてかわいいです。
同録作の方は、短編な分、そのまま続けて攻守交替しちゃうのがいい。
どちらも合わせて、登場キャラ4人分、全員のイキ顔がタップリな所もなんだかお得です。
十代と二十代で出会ってから、ほぼ10年毎の人生の区切りの時期を、行きつ戻りつしながら、二人の暮らしの、その最期までを描き切った作品は珍しい。
更に、年齢を重ねてからの性的な肉体の触れ合いまでも、しっかり描いている作品なんて、ほぼ読んだことなかった。
最近の初読み作家さんのご本は、びっくりするくらい絵が綺麗でお上手だったり、びっくりするくらいすごくエロエロだったりする。
でも、この作品にあるのは、地味な高齢者同士の、美しくもなければ、エロエロでもないセックス描写。
だけど、これがしみじみと良いって思えるのは、お話に力があってこそ。
こういう作品が存在できるのが、BLの世界の広さなんだと思う。
「この作品がBLアワードにノミネートされなきゃ死ぬリスト 2021」で興味を惹かれたので購入。
カバーイラストの、ブルー系の色使いがとっても素敵。
ある日、突然死んでしまった同級生が、幽霊となって目の前に現れたら、、、
自分にだけ見える幽霊と、幽霊の未練をひとつづつ叶えながら、ひと夏を過ごすことで成長していく少年。
もう、全然、非BLでも成立しちゃうファンタジーだけど、ちゃんとBL。
ちゃんとエロいシーンも盛り込んであるけど、エロへの進み具合も、すごく私好みのペースで申し分ない。
原作と作画がわかれていることで相乗効果が現れていると思う。
ストーリーにも、絵にも、神です。
私の中では中原一也作品=マッチョオジ&ギャグ枠の印象が非常に強いんですが、このタイトルといい、このカバーイラストの笠井先生描くところの美形(未来から来たアンドロイド)といい、いや、ホンマに中原一也??と半信半疑で読み始めたのですが、これは泣かされちゃうお話でした。
越えられない寿命の話にはほんとに弱いの。
主人公、さすがに挫折した小説家だけあって、SFな設定の難しいところを素直に受け入れちゃう柔軟性があるので、読んでいる私の方も細かいことは気にならない。
そして、ちゃんと売れていく小説家だけあって、モノローグ含めて全体に文章が詩的で美しい。
エピローグも含めて、気持ちよく泣けたのでプラス評価です。
あの、同級生だった二人の、たどり着いた、ハレの日を見られるなんて、
ここまで描いてくださったことに感謝したい。
最初の「同級生」が出てから、もう10年以上たっているのですが、彼らの世界の時間はその半分くらいの速さで進んでいるのかな。
でも、それはそれとして、物語世界の中の時代認識が、確実に2019年の認識になっているのだなぁと、草壁がMVのロケハンに行った先での担当とのさらっとしたやり取りで感じました。
この、何気なさそうな、ごく自然に出た担当の彼の言葉の「だってへんでしょ」と、この後に続く、佐条父子の激しいシーンでの佐条父の言葉の中の「変」との対比に時代の流れを感じたし、また同時に、この時代感覚の変化を草壁が感じたことが彼に結婚式を決意させたのかと感じました。
とにかく、こんな風な、幸せな結婚式が描かれるのは、今、だったのだなと、あらためて感謝したいです。
表題作は、私が絶対好きなタイプのSF系BLでした。
SF系のお話の場合、設定や展開にちょっとでも引っ掛かりを覚えると一気に萎えちゃうこともあるのですが、この作品は設定や説明の端折り方が絶妙。
読後に色々思い返すと、ツッコミどころはそれなりにありますが、読んでいる最中は、そこはフワッとしてても、その先が気になるワクドキ感が上回るというか、
描きたいのは、その世界での二人の関係性っていうのがはっきりしているので、諸々細かいところがザックリ端折られていても気にならない。
絵も見やすい好きなタイプの絵柄で、新刊時に見落としていたのが信じられないくらい大絶賛の神です。