お笑い界を舞台とした、歳の離れた先輩と後輩の話としてはとても良かったです。
人気者ゆえに外野からあれこれ言われがちな飯田の、飄々としているようでいろいろ飲み込んでいるのが垣間見えてくるところとか。
「情熱はない」と言い切ってしまう小峰の、そうは言いつつ静かなパッションが確かにあるところとか。
二人がだんだん親しくなって、心を通わせて、お互いの存在が支えになっていくところとか。
とても良いんだけど……ラブストーリーとしては、あまりハマらなかったです。
キャラクターがあまり好みじゃなかったせいもあってか、この二人がどうしてお互い恋愛感情を抱くようになったか、よくわからなかった。普通に信頼とか敬愛の関係なら、よくわかるんだけど。
飯田が小峰にタバコをあげるシーンは絶妙な色っぽさが漂って、ここからどういう風に恋が芽生えていくのか楽しみだったんだけど、そのあとが一足飛びに進展してしまって置いてきぼり。最後なんて十足ぐらい飛んでしまった気が……
漫画としての読み応えならもっと高得点だけど、“萌え”で判定するなら個人的には【萌0】でした。
下巻冒頭の、梶とお兄さんの話がすごく好きでした。
お兄さんが聖人すぎるとは思うものの、兄弟の絆がいいなーと素直に感じられました。
違う境遇で育ちながら心の底で繋がっている梶&社長兄弟と、ずっと寄り添って生きている虹郎&楓兄弟、どちらも良いです。裏表紙がカップルじゃなくて兄弟2ショットって珍しいけど素敵。
上巻の終わりで虹郎の気持ちを知った梶。青天の霹靂に戸惑っていそうに見えたから、これが下巻でどういうふうに虹郎に傾いていくのか楽しみにしていたんだけど、あっさり両思いでした!となってしまって拍子抜け……
それぞれの兄弟は、梶が虹郎を「可愛くて仕方ないって空気」出してたと言うけれど……私にはあまりそう見えなかったかな。仕事上ではすごく信頼しあってる相棒だけど、プライベートでは楓と同列ぐらいとしか。
虹郎のときも思ったけど、そこは、相手には見せなくても読者にだけは見せておいてほしい。これはもしかして……と推測させるヒントだけでいいから。
ストーリーは粉飾決算から耐震偽装と、複雑に作り込まれていて凄いですが……マタハラの件と同様、最後を美談みたいに収めちゃったのがなんだかモヤモヤ。大義名分のために関係ない人を巻き込んだ、ってところはちゃんと正面から背負ってほしかった。巻き込まれた一般人は精神的にも相当なダメージがあるよ、これ。保障したらチャラってものじゃないでしょ。
逆に梶が、自分も兄も綺麗なままではないと虹郎に吐露したシーンはグッときたんだけどな。
如月兄弟がやたらと女性にランチを奢らせる描写も好きではなく……ちょこちょこと、肌に合わない部分が気になってしまいました。
ゼネコンを舞台に談合だなんだという難しい話を、雰囲気でフワッと見せるんじゃなくメインストーリーとしてガッツリ描いていることに、まずは脱帽します。
二転三転する情勢にハラハラ!とか、意外な展開にビックリ!とか、悪いヤツを出し抜いてスカッと!……みたいなのがお好きな方にはハマるんだろうなと思います。
私個人はそういうのはあまり求めておらず、“これミスリードっぽいな”とか“この人あとでキーパーソンになりそう”とか穿った見方をしてしまうタイプの人間なので、残念ながらそんなにハマれなかったです。
いろんな人の思惑が絡み合うヒューマンドラマとしても……善人でも悪人でも魅力的に思える人物が見つからず、敵はただただイヤなヤツ、味方は何だかんだで物分かりがいい人ばかり、と感じました。
マタハラやお見合いの話は女性キャラが出てきたけど、どちらもスッキリしない展開。特にマタハラのほうは最後いい話っぽくまとめちゃったのが、かえってモヤモヤきてしまった。
で、肝心のラブストーリーのほうも、急に出てきた感が強かったのが残念。
虹郎が梶に気持ちを見せないようにしてきたのはわかるけど……梶のいないところで、読者にだけはチラ見せして欲しかったな。微妙な表情だけでいいから。
以下、下巻へ……