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女性ともふみさん

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リアルなのにどこかリアルじゃない

散々に迷って、この評価。
だって、とても読みやすく普通に読み物として面白かった。でも読み終わってふと気づいたんです。
あれ?
自分の中に何も残ってないんじゃないだろうか。

それぞれの人生で躓きを味わった港とヤマトが、日本から遠く離れたアムステルダムで出会い、恋愛のような友情のようなそれでいて確かな関係性を築いていきます。
エピソードを重ねて互いに感化され合い、やがて心開ける相手になってゆき、停滞していた二人の人生を進める優しい物語です。

でもその一方で感じるのは、恋愛、友情、挫折と再生、生活クラスの違い、異文化の海外での生活の苦労や発見…そういう色んなものをあまり掘り下げずに上澄みを掬ってるということ。
それがこの作品のカラーなんだと分かってはいるんだけど、作品を味わい噛み砕いて自分の血肉にするのではなく、ショーウィンドゥに飾ってあるものを眺めるような距離感が最後まで残ってしまいました。

金銭感覚、性に対する考え方、人生観、交遊関係等々、港とヤマトは基準や経験がわりと異なるんですよね。でも、大きな摩擦がない。いや触れられているんだけど焦点は当ててないんです。異なるものが出会った時の化学反応を見せてくれない。
だから二人とも、本当は一体どういう人間なんだろうと思ってしまった。人柄の輪郭は分かる。でも生身の人間性が掴みきれなかったのです。

アドバイスになるような素敵な言葉やはっとする言葉もたくさんあります。でもそれはエピソードに委ねきらず、結局は台詞や思考で語らせている。
だからかな。リアルなのに、どこかリアルじゃない。

自分が泣きたい時、笑いたい時、癒されたい時、辛い時、ロマンスを味わいたい時、独特の世界観に浸りたい時、自分の視点では得られない新しい発見がしたい時等々…人生には色んな時機が訪れるけど、どのタイミングでも私はこの作品を思い出さない気がするのです。