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女性ポッチさん

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もう一声ほしい。

みずかねさんホイホイされてお買い上げ。
真宮さんの新刊は、タイトルからも推測できるようにオメガバもの。ネタバレ含んでいます。ご注意ください。




主人公はベータの良英。
両親亡きあと孤児院で生活していた良英だったが、ボランティアで施設にやってきた国際的ピアニストの菱沼美都子に目をかけられ、彼女の家に引き取られることに。美都子の夫は大企業のCEOをしており、裕福な家庭だった。

菱沼家には賢人という良英よりも一つ年上のアルファの息子がいたが、賢人と同じように教育を与えられ、育てられた良英は常に感謝の思いを抱いていた。ベータではあるものの優秀で勤勉な彼は、賢人の希望もあり、若きCEOとなった賢人のバトラーとして働くように。恩人である菱沼家と、そして尊敬する賢人に尽くそうと決意を新たにする良英だったが…。

というお話。

ここまではあらすじにも書いてありますが、アルファでスパダリの賢人に愛されるベータの良英のお話、なんだろうなあ、と思いつつ読み始めました。

賢人は、ザ・スパダリです。
良家の御曹司で、アルファで、イケメンで企業家としても有能で。
ついでに、ベータやオメガに対する差別に果敢に立ち向かおうとする正義感に溢れた好青年。オメガバもののアルファの攻めさん、と言ったらスッと思い描けるような、完璧な男性です。

対して受けの良英。
オメガバの受けさんのテッパン、と言えば薄幸なオメガちゃん。
という予想を裏切り、彼の性はベータです。オメガバものでベータの受けさんは、皆無ではないもののそう多くはない。

アルファ×ベータの恋。
うんうん。どんなお話かな?

そう思いつつ読み進めました。
が、うーん。
なんて言うんですかね。

あらすじ以上の内容はほぼほぼ無いような気がしました。

良家の御曹司のスパダリ・賢人と、平々凡々のベータの良英。
身分違いの恋、といったところか。その壁を、二人でどう乗り越えていくのか―、というのが今作品の軸だと思われますが、ごめんなさい、良英のぐるぐる加減が少しくどい。賢人に抱くのは単なる憧れであり、感謝の念であり、完璧男子の賢人にふさわしいのは自分ではない。と、そこをずーっと繰り返している感がありました。モダモダジレジレの恋の行方は、決して嫌いではないですし、むしろ好きな展開ではありますが、ちょっとくどいっていうのかな。

反対に言うと痛い展開になることはほぼほぼないですし、傍から見ていて賢人の良英ラブは見ていて気持ちがいいほどの突き抜けっぷりです。良英の天然ちゃんぷりも可愛いんです。さらに受けがベータという設定は美味しくはある。が、もう少し二転三転するお話の方が好き、という完全に好みの問題なのですが、もう一声ほしかったな、というのが率直な感想です。面白くないわけでは決してないのですが、心に引っ掛かる部分が少ない。

あ、あともう一点。
ホイホイされたみずかねさんの挿絵が、作中一枚も書かれていないのが残念でした。電子で買いましたが、紙媒体なら挿絵があったんですかね?表紙の二人が麗しすぎて萌え滾ったので脳内捕捉しながら読みましたが、そこもがっかりポイントでした。

もう一捻り欲しい

作家買い。
あらすじを拝見して、めちゃめちゃ切ない系のお話かな?と思いつつ手に取りました。秀さんの新刊はタイトルからも推測できるようにオメガバもの。そして、学園ものでもあります。

ネタバレ含んでいます。ご注意ください。





「華園学園」と呼ばれる全寮制の学校があるのだという。
一年間通い、無事卒業できた暁には己の夢がかなうのだという。が、卒業生、在学生共に口を閉ざし、噓か真か分からない。そんな学園。

その華園学園に入学するためには試験などは一切なく、学園からの入学招待状が届いた者だけが入学できる。そして、今作品の主人公は、その華園学園に入学することが叶った煌という名の青年。オメガで、親はなく孤児院で育った22歳の男性です。

家庭を知らずに育った彼の夢は、誰でも利用できる気楽なカフェを作ること。華園学園を卒業し、その夢を叶えたい。そんな思いで入学してきた煌だが…。

というお話。

この華園学園、という学園はですね、あらすじを拝見したときには高校生くらいの男の子たちが集う学園だと思い込んでいたのですが、入学してくるのは年齢も性も(アルファやオメガといったオメガバースの性のことです)も様々な男性たち。そして一風変わっているのは、学園内にカーストが存在していること。

薔薇、マーガレット、そしてかすみ草。
3つのカーストに分かれていて、それぞれ特権もある。煌は当然のように、最下層のかすみ草に入れられますが、彼はベータでマーガレットに振り分けられていた誠司という男性に惹かれていきー、と話は続きます。

オメガで、学園内ではかすみ草という最下層に振り分けられた煌、ということで、これはとんでもなく薄幸なお話なのでは?と期待しつつ読み始めました。

が、うーん。

ちょっぴり拍子抜け、という感想がしっくりくる気がします。
煌は入学早々同じオメガでかすみ草に振り分けられている玲一という男の子と仲良くなります。彼は明るく天真爛漫で、入学早々にアルファの和明という男性と恋に堕ちます。玲一という青年は出会った当初のままのイメージ通りの優しい男性なのか、和明と玲一の関係はどうなっていくのか、そして何より誠司と煌の恋の行方は、と、ぐっと引き付けられる因子は沢山描かれていますが、その結末は、というと…。さらに言うと、華園学園という独創的なバックボーンが非常に魅力的な作品なのですが、ああ、そういう…、という肩透かしを食らった感じがしました。

個人的にはもう少し捻りが欲しかったなあ…、という感が否めず。
完全に好みの問題です。私のツボには刺さらなかったなあ、という。

シリアスな作品を予想しながら手に取りましたが、基本的に非常に優しいお話で、オメガバと聞いて思い描くイメージをいい意味で裏切るお話です。痛いお話や受けちゃんが可哀想な作品は読みたくない、という方にはお勧めな作品かと思います。

バックボーンは非常に面白いが。

前作がとっても面白かったので、新刊も楽しみに待っていました。
待っていましたが、サマミヤさんの美麗表紙…!書影を拝見して、テンション高く発売日を心待ちにしていました。

ネタバレ含んでいます。ご注意ください。






大学生の玻璃が主人公。
彼は幼い時に両親を事故で亡くして以来、叔母の真珠に育てられてきた。
外国人の血は入っていないはずの玻璃だが、見た目はハーフっぽく、さらに結婚歴のない叔母に育てられてきたということから子どもの時からハブられ、いじめられてきた。そんな過去を持つ彼は、人と慣れあうことを良しとしない青年。

そして彼にはもう一つ不思議な力があった。
「石」の本質を見抜く力を持っていること。
真珠以外には話したことはなく、彼は大学での研究に没頭している。

そんなある日彼は水晶のネックレスを見かける。
デザインはともかく、その水晶自体の美しさに惹かれた玻璃はそのネックレスを買い求め身につけることにするが、研究中の事故に巻き込まれたときに異世界トリップしてしまい―?

というお話。

タイトル、玻璃という名前と彼の持つ能力、そして真珠の仕事(ジュエリーデザイナー)。
というところからも読み取れるように、今作品は「水晶」がテーマになった作品です。

玻璃が、異世界トリップしてしまった地・ルウミ国は、とある危機に瀕していて、その危機から抜け出すために玻璃の持つ力が必要だった。というストーリー展開なのですが。

面白いんですよ?
ストーリー自体はとっても。
ルウミ国の現状とか、封印されてしまった巫女、とか。危機に陥っている理由、とか。面白いんだけれども、うーん。既視感がありすぎる、と言えばいいのか…。

人の持つ負の感情が、ネガティブな思いとか負の感情に作用して、悪影響を及ぼしていく、といった展開なのですが、んんー、こんな内容の少年漫画があったような…、という。

設定としては既視感ありありなのですが、ストーリーとしては王道ではあるんですよね。面白くない、というわけではない。が、何がツボらなかったかというと、登場人物たちです。

ルウミ国の王子であるスヴェン。
彼が、BLではテッパンと言えるスパダリさんです。
イケメンで、優しく、国を深く愛し守るために奮闘する時期国王。
倒れていた玻璃を放っておけず救助に奮闘するところとか、文句なしのスーパーダーリンです。

なんだけれども、彼が玻璃に惹かれた理由が今一つ分からない。
気づいたら恋に堕ちてた、という設定はあるにせよ、彼は初っ端から玻璃に心惹かれているのが分かる展開で、バッサリ言ってしまうとご都合主義的な感じがしました。

そして、玻璃の方も。
幼いころに両親を事故で亡くすという薄幸少年ではありますが、その後は叔母の真珠に愛され、金銭的な不安もなく育てられてきた。過去のいじめがあったにせよ、友人たちを作ることもなく勝手に壁を作って人との関わりを避けてきた。個人的にはあまりにお子さま過ぎて今一つ好きになれず。ルウミ国にトリップしてしまった後も、なんだかツンツンしてて可愛くない…。

そんな玻璃が、自分の意思とは裏腹にルウミ国にトリップしてしまい、そこでスヴェンと出会い、少しずつ人としても成長していく、という成長物語ではあると思うのです。その彼の姿に萌える方がたくさんいらっしゃるというのは理解はできますが、全くもって個人的な感想になりますが、好きになれない受けさんでした。

今作品は人の心の隙に入り込む悪意、というのがベースになっていることもあって、登場人物たちが良い人、というよりは内にいろいろ秘めている人、というのがメインになっていて、キャラに感情移入できなかったのが敗因かと思われます。

とはいえ、BL作品にありがちなキラキラとか、男前な登場人物たち満載!といった感じではないので、そういった意味で独創的な作品ではあります。

あとは、これに尽きる。
サマミヤさんの挿絵が今作も麗しい…!

まるで絵本から抜け出してきたような、絵に描いたような王子様・スヴェンのカッコよさにKOされまくりでした。

うーん。

『Manner of Death』のコミカライズ版の2巻目。
同名のドラマは未読、小説は既読です。

監察医のバンが、一人の女性の遺体を「事件」と判断したことから始まるミステリー。バン本人に向けられた暴力、友人の検察官の拉致事件、犯人ではないかとバンが疑った塾講師のテーンとの出会い。そういったものを軸に進むストーリーです。

小説のコミカライズということでどうしても端折られてしまう部分は多いのですが、それでも小説よりは視覚で補えるコミックの方がハードルが低いかもしれません。

さて。
小説は既読なので、ストーリーがどう動くのかは理解したうえで読破しましたが、うん。

梅本さんの絵柄はとっても綺麗なんですよ?
綺麗なんですが、ごめんなさい、この作品のイメージとはちょっと違うなあ、という感想を強く持ちました。殺人事件というシリアスなテーマを描いた作品なのに、なんて言うのかな、可愛すぎちゃう、と言えば良いのか…。もう少し骨太な絵柄を描かれる作家さまの方がしっくりきた気がしました。

翻訳ものなので(というか外国のお話なので、と言った方が正解か)どうしても日本の文化と違う部分があって、小説はその部分に引っ掛かって理解するのに時間がかかることがありました。コミカライズになると、そこを梅本先生が上手に補完して描いてくださっているので理解はしやすい。しやすいのですが、内容と絵柄のミスマッチという部分から全体的なバランスがちょい微妙というか…。

あと、小説を2冊のコミックにまとめたという事情もあると思いますが、事件の解明、そこから二人の恋愛の成就、と内容が盛りだくさん過ぎていて、展開が早すぎる感も否めなかった。個人的には事件部分をじっくり読みたかったという好みかと思いますが、失速感、あっさり感が強かったなあ、と。まあ、完全に好みの問題です。BL作品ゆえに、テーン×バンの恋の行方に重きをおいてほしいという方には読みやすいかも。

ただ、私は小説が既読なので理解できましたが、バンの元カレが急に出てくるくだりには一瞬頭の中に?マークが駆け抜けました。コミック版は初読みの方に理解できるのかなあ…。

小説のコミカライズは、もともと難しいと感じていますが、ごめんなさい、今作品は今一つ萌えがやってこなかった。次回作に期待。

絵柄も良いし設定も良いが。

初読みの作家さま。
今作品がデビュー作でしょうか?おめでとうございます。
あらすじと、電子書籍さんの立ち読み部分を読んでみて、綺麗な絵柄に切ない系のお話かな?と思ってそのままお買い上げしました。ネタバレ含んでいます。ご注意ください。





高校2年生の古橋くん。
真面目で品行方正、優しく穏やかな彼はある日トイレでびしょ濡れになった同級生を見かける。いじめられているかも。そう心配になった古橋くんはその彼・久我くんについて友人に聞いてみることに。すると、本来は一つ上の学年の生徒、だが、レイプ未遂の被害に遭い、結果留年した生徒なのだという。

本来の同級生たちと学年が別れ、クラスで浮き気味な久我くんに心を配る古橋くんだったが、ある日、久我くんが男子生徒たちに襲われているシーンを目撃してしまい…。

というお話。

噂話が先行し友人が少ない薄幸青年の久我くん。
一方ワンコさながらの好青年・古橋くん。
うんうん、久我くんは美少年ゆえに友人だと思っていた人物に襲われてトラウマ持ちなのね?それをワンコ・古橋くんに愛され幸せを手に入れるお話ね?

そんな風に予想しながら読み進めました。

が、うーん。

なんて言うのかな。
ちぐはく感が凄い、っていうのか…。

久我くんは男に襲われて留年し、という薄幸青年ですが、さらに生徒たちからもある種の侮蔑と性欲発散の意味もあって襲われ気味。それに対して恐怖心と自身に対する肯定感も低い男の子。

なのに、ですよ。
古橋くんには自分から迫ったりする。かと思うと顔が近づいただけで怖いし、他の男たちに対する拒否感もすごい。
これがね、古橋くんに対してもおどおどしているというか消極的に関わるということなら理解できるのですが、古橋くんに対してだけ敢えて煽ってみたり自分から迫ってみたりする。

なんで?
と、そこが引っ掛かり話に入り込めず。

さらに言うと、久我くんを襲った人物と久我くんの関わりの描写がほとんどないために、なぜそうなったのか、二人の今の関係は、久我くんの心情は、と部分がさらりとしか読みとれず感情移入しづらい。久我くんがレイプ未遂にあったのも久我くんから誘った、という彼が孤立することになった噂話も、なぜそういう話になったのかも全然わからない。ほかにも、え、ああ、うん…、みたいな感じが否めなかった。

久我くんと古橋くんの恋の成就というか恋心が育っていく、いわばBL作品としてキモとなる過程も全く読み取れず、終始おいていかれた感にまみれた感じ。なし崩し的に想いが通じ合ってしまった、みたいな?

絵柄は綺麗ですしバックボーンは非常に魅力的。
タイトルの意味もとってもいいんですよ。久我くん、という男の子の繊細で複雑な内面と、彼の傷ついた感情を端的に魅せるツールになってるんです。なのに、いやそれゆえにかな。期待しつつ読み進めるといきなりはしごを外された感があって残念な気がしました。

綺麗な絵柄にナイスなバックボーンのお話を描かれる作家さまなので、次回作に期待したいと思います。

独創的な世界観には萌えるが。

春原さんはお医者さんを主人公にしたお話が多い作家さま、のイメージが個人的に強いのですが、今作品の主人公・セナ(瀬奈)も整形外科医。が、「医師」というバックボーンはメインではなく、整形外科医が異世界トリップしてしまう、というファンタジーものです。

ネタバレ含んでいます。ご注意ください。




気づいたとき、「僕」は全く知らない場所にいた。
そしてそこで彼に声をかけてきたのはリシャールと名乗る男性。警戒心もあらわに「僕」に声をかけてきたリシャールだったが、「僕」の顔を見た彼は自室に連れて行き、そしてそこでリシャールに激しく抱かれてしまう―。

んん?

という出だしで始まる作品ですが、さすがベテラン作家さまと言うべきか。話がどうなるのか気になり一気にこの作品の持つ世界観に引きずり込まれてしまう。そして、全く謎だった「僕」と「リシャール」の関係や、彼らがいる世界について読者にきちんと魅せる手腕はさすがの一言。「僕」の名前がセナであることや、そして彼がどこから来たのか、なぜリシャールがセナを救いそして抱いたのか―、を端的に読ませる。素晴らしいです。

あらすじにも書いてあるのでここでも書いてしまいますが、セナは本来は瀬奈という名の整形外科医。そんな彼が現世で様々な苦境に立たされ、そして異世界トリップしてしまう。たんなる医師ものではなく、異世界トリップものでもなく、バックボーンが複雑に絡んだストーリー。

面白いんですよ、とっても。
リシャールは王子であるということか、それに絡む利権争いとか。
セナがトリップし、そしてリシャールと出会い、その出会いがリシャールを救うとか。てんこ盛りのバックボーンを上手に回収しつつ進むストーリー展開で、伏線の回収の仕方が非常にお上手だからでしょうかね。

が、うーん。
ちょっとご都合主義的な感が否めないというか…。セナやリシャールは様々な理由で襲われたりしますが、そのどれもがシリアス過ぎないのでもう一声ほしいかな、と。まあこの辺りは完全に好みの問題ですかね。

セナはリシャールの運命で繋がった番、なんだそう。
それを証明する一つの指針として描かれているのが、「セナはリシャールに抱かれる時だけ濡れる」(どこが、とはあえて書きませんが)という部分にはちょっぴり萎え萎え。そして、子を孕める、という部分にも。

それではBLである必要性がない気がしてしまった。
オメガバとか、男同士でも子を成せるというバックボーンを持つ作品は沢山ありますが、いやそれでもですね、「濡れる」という描写が個人的には萎えポイントでした。

あともう一点。
女性が複数の男性に性的な凌辱を受けたのであろうとわかる描写があります。
こういう描写は小説には珍しくないですし、ストーリーの動かし方として必要だったということもわかります。直接的な描写もありません。ありませんが、いかんせんこの世界的な情勢。力を持つ男たちが相手を屈服させるために、あるいは己の欲を発散させるために女性を凌辱する、ということが分かる部分は不快感しか感じなかった。

リシャールとセナがもつオッドアイの描写とかは非常に独創的で美しい世界観を持つお話でしたが、二人の間の愛情が「聖なる番」とか「運命」というもので結ばれたものだとしたらちょっと陳腐な感じも否めない。そこに終始してしまっているので、痛い展開になることもありませんしほのぼのベースなお話にはなっているのですが、二人の間の愛情が、もっときちんと育っていく過程があったなら、あるいはもう少し萌える作品だったように思います。

が、この作品の持つ世界観は非常に面白い。ジャックとかシモンといったナイスガイも登場していたので、ぜひとも彼らのスピンオフを読んでみたいと思いました。

評価で悩みましたが個人的萎えポイントがいくつかあったので、萌えより一つ下げて「中立」で。痛すぎるお話が苦手な方にはお勧めかと思います。

好きな人はハマりそう

『犬浦くんは片重い』。
「片想い」じゃなくて、「片重い」なんだ。と思って、へえ、なんでだろ?と興味を惹かれて手に取りました。

が、お値段1000円。税込みで1100円。え、1000円?と二度見しました。ちょっとお高いですね…。と思ったりもしつつ。




高校生の犬浦くんはイケメンで女子にも人気が高い。でも彼は女子の皆さんのことには興味ナシ。彼のすべては同級生の兎本くんに向いていて―。

というお話。

兎本くんは金髪でヤンキー。
犬浦くんが、イケメンでも可愛いビジュアルでもない兎本くんに一途に想いを寄せているのには理由があって…。

んー。
バッサリ言ってしまうとよくあるお話です。さわやかイケメンの犬浦くんが、ヤンキーで自分には全く興味を示さない兎本くんに執着しあれやこれや奮闘する、といったお話。タイトルの「片重い」は、そういう意味なんですね。

犬浦くんのちょっとぶっ飛んだ執着心を楽しむが良き1冊だと思うのですが、うーん、ちょい辛口の感想になりますが、まあそれだけ、というのか。犬浦くんが兎本くんに惚れてしまったその理由はきちんと存在していますし、兎本くんが可愛いというか良い子だというのは分かるのですが、それ以降は特にこれと言って何かがあるわけではない。兎本くんのビジュアルがあまり可愛くないのも個人的にはマイナスポイントだったかな。兎本くんの可愛さ(見た目というだけではなくって、その中身も)が分からない。

兎本くんの可愛さが分からないので、兎本くんに惚れてるのかな?と思う男の子が他に登場していますが、それにも、ん?と思ったり。不良コンビが登場してきますが、彼らの面白さとかも今一つ分からなかった。この辺りは完全に好みの問題かと思いますが。

評価が低いのは、私の好みではなかった、というだけ。犬浦くんの突き抜け具合は非常に面白かったです。描き方によってはドシリアスにも振り切れるバックボーンを持つお話をコミカルに描いた作品なので、お好きな方にはハマる作品だと思います。

好みによるとは思うが

2022年3月に刊行された『ふたりの夜のすごしかた(上)』の続編にして完結編。
続きものなので前巻未読だと理解できません。未読の方は上巻から読まれることをお勧めします。


上巻は若干のすれ違いやモダモダ感はあったものの、全体的には非常に甘々なストーリー。上巻だけで完結でもよかったと思う内容でしたが、下巻もあるということでどんな展開になるのかと少しドキドキしながら下巻を手に取りました。

んー。ごめんなさい、ちょっぴり辛口のレビューです。お嫌な方はスルーでお願いします。




上巻で、身体を繋げることはなかった流星×蛍の二人。
挿入までは求めてこない流星に焦りを感じた蛍が取った行動は―?

という展開。

この二人のお話はあっさりと片が付き、後半は流星のアシスタントをしている桃真くんのお話へと移行していきます。蛍がとあることをきっかけに出会った腐男子くん・陽平。陽平は、桃真の同居人で、かつセフレで―。

というのが後半部分のお話なのですが。


ひたすら甘いお菓子を口に入れ続けられた、っていう感じ。
甘いだけ、旨味なし。みたいな?

村上作品と言えば甘々、でもそこに一匙加わるエッセンスが極上。
そんなストーリーを描かれる作家さまのイメージが個人的に強いのですが、そのスパイスというか旨味というか、そういうものがあまり感じられない作品だったなあ、と。

村上さん、作家買いする好きな作家さまなんですよね。
なので、期待値も上がっちゃう。さらに、今作品は上下2巻の作品ですし。2巻完結にせず、それぞれ独立させたお話だったら、あるいはもう少し萌えたかも。「下巻」の意味があまり見いだせなかったのが残念でした。

とはいえ、可愛らしい絵柄にシリアスさはほぼ皆無な作品なので、痛い展開が苦手な方とか、甘々ほのぼのなお話が読みたいときにはぴったりかと思います。完全に好みの問題ですね。

次回作に期待。