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夜画帳 1 コミック

Byeonduck 

とにかく、絵が綺麗。

ありとあらゆるところで絶賛されている今作品。
電子書籍の広告バナーにも使われていて、すごく気になっていた作品でしたが、個人的に縦読みの漫画ってどうにも苦手で手が出なかったので、紙媒体の刊行を心待ちにしていました。

んーとまず、びっくりしたのがお値段ね。
950円(税別)という強気のお値段。
普通のコミックスよりちょっと分厚い…?それにしても普通のBLの1.5倍のお値段とは。と思いつつお買い上げ。でも読んでみて納得。フルカラーなんですよ。

フルカラーである意味あるかな?などと失礼なことを思ったんですけれど、もうね、とっても綺麗なんです。

絵柄がとにかくすんごく綺麗。
綺麗なだけではなくって、表情とか、しぐさとか、そういうものの描き方が非常にお上手なんですね。で、そこに色がつくことでその綺麗な絵柄がパワーアップします。

特に唇。
ぷるっぷるの艶々です。

その唇であんなところをなめたり、キスしたり、とんでもなくエロいです。

と、絵柄のことばかり書いてしまいましたが、内容についてもレビューしようと思います。





主人公はナミン。
春画を描きわずかな金銭を得ることで日銭を稼いでいましたが、今は筆をおいている青年です。

そんな彼のもとに一人の男性がやってくる。
スンホと名乗るその男性はナミンに春画を描いてほしいと迫るが、ナミンに断られるととんでもない強硬手段に出ます。ナミン、拉致られます。

スンホはナミンを自宅に軟禁し、自分の閨を見せ、その姿をナミンに描かせようとするが―。

このスンホという人物がとんでもない男性です。
高貴な家の長男でありながら男色にふけり享楽的に日々生活している。気に入らないことをする奴はバッサバッサと殺しちゃう。

えー…。
俺様は嫌いじゃないけど、これは行き過ぎてて萎えるわあ…。

とか思いつつ読み進めたのですが。

なんて言うんですかね。
韓流ドラマっぽいっていうのか。
とにかくストーリーに起伏が多く、波乱万丈な展開です。
1巻ということもあってかストーリーの入り口に過ぎない感じ。

ナミンは孤児ですが、その理由とか、彼を育ててくれたお師匠さんとか、そういった彼のバックボーンもまだまだ解明されていません。

で。
ヤな奴ばっかり登場します。

スンホはもちろんのこと、スンホのセフレ(って言って良いのかな)とか、ナミンが敬愛してやまないお師匠さんとか。ナミンが気の毒すぎて萎え萎えな気分になってしまって、読み始めたとき、これは私の趣味じゃないなーって思ったんですよ。

が、スンホがナミンに惹かれていく、その姿に萌えが徐々に湧き上がってきました。春画を描かせるために連れてきたはずのナミンに、スンホが少しずつ堕ちていく。

そしてナミンが可愛い。
健気で、一生懸命で。なのに、報われない。

ああ、これは続きが気になって課金してしまう漫画だなーと。

そして秀逸なのが、表情の描き方。
登場人物たちの思考や性格が、目線や表情、しぐさ一つで読み取れる。
その一方で、彼らの「抱えるもの」がすっきりと分からないために、その行動の一つ一つが気になって仕方がない。

甘々で優しいストーリーを好まれる方には、もしかしたらハードルが高いかも。
でも、こんなに続きが気になる作品もそうそうないなという、そんなストーリー展開。お好きな人にはドはまりするであろう、噛めば噛むほど味が出る、そんな作品かと思われます。

スンホが稀代の好色家、ということで濡れ場はかなりあります。
そして、スンホがイケメン。身体つきも綺麗でバッキバキの腹筋を惜しげもなくさらけ出しているので目が楽しい。

評価で悩みましたがまだ物語の入り口ということでちょっと抑えめにして萌で。
次巻を楽しみに待っていようと思います。

万人受けしそうな可愛らしいお話。

作家買い。

んー。
評価が難しいな、というのが読後の感想。

決して面白くないわけではないし、萌えどころもきちんとあるし、野原さんらしい伏線を回収しつつ進むストーリー展開は素晴らしかったし、相対的には凄く面白い作品だと思うんです。

でもなんて言うのかな。
優等生すぎる。
っていう感じがしました。

丸く丸く収めようっていう意図が感じられたからかも。

事故で突然の死を迎えた大学生の健一。
自分は死んだんだなーと思っていると目が覚める。
あれ?生きてる?
と思うけれど、目を覚ました場所は、健一の記憶のある「前世」の自分・ケインだったー。

というお話。

なぜ前世に転移?
と思ったのですが、それにもきちんと理由がある。

現代の知識を生かして、前世、というかケインが生きている時代を乗り切っていくという展開なんですね。

そこに、ケインの時代では当たり前のようにいる魔物とか、魔物から身を守るために魔法を使うとか、貴族と平民という階級が存在しているとか。

すんごくお上手なんですよ、その繋げ方が。

そしてケインはとあるピンチに見舞われますが、そのピンチも周囲の人たちの協力と理解の元するっと潜り抜けていく。とにかくストーリーが平和なんですね。痛い展開になることもなく、ケインのピンチは自身の健一の時の記憶を頼りに潜り抜けていく。

あらすじにも書いてあるのでここでも書いてしまいますが、ケインは夜だけ猫の姿になってしまう。そして、彼らの住まう国の王子・リヒトールもまた、昼間の時間は豹になってしまう。

猫と豹。
可愛いんですよ、二人とも。
姿かたちもですが、お互いが昼の間あるいは寄りの時間帯だけ動物になってしまうことに気づかなかった間の2人のほのぼのなやり取りとか。街子さんの描かれるクロネコの可愛さと言ったらなかった。ここだけで萌える腐姐さま、絶対多いよなー、という。

痛い展開になることがほぼないので、バッサリ言っちゃうと締まりがない感じ?ご都合主義な感じ、と言ってもいいかも。

が、何回も書きますが、面白いし、萌えます。モフモフも、良い。

完全に好みの問題ですね。
個人的にはもう少しハラハラする展開が好き、というだけ。こういう書き方が正しいかどうかわかりませんが、万人受けする可愛らしいお話だと思います。

朝春は相変わらずカッコいい。

作家買い。
「ほんと野獣」は個人的に小鉄子作品の中でもかなり好きな作品なのですが、んー、最近ちょっとトーンダウンしたかなという気もしています。

ネタバレ含んでいます。ご注意ください。




朝春×輝は相変わらずのラブラブカップル。
輝、ゲームにはまりすぎて朝春に怒られる。
山瀬先輩、如月さんとの関係を進展させるべく奮闘する。

といった、のんびりほのぼのベースで展開する巻でしたが、朝春のおじいちゃんが入院するという事態が起こったことでちょっと雰囲気が変化していきます。おじいちゃんのお見舞いに、輝を伴って田舎に帰省する朝春だったが―。

小鉄子作品と言えばなかなかくっつかず、くっついた後もエッチに行くまでが長いという焦らしプレイ的な作品も多いですが、今作品はその小鉄子作品の中では異色と言って良いでしょう。かなり甘々でエロ度も高い作品。朝春×輝の濃厚な濡れ場が大きな魅力の一つでもあります。

が、反対に言ってしまうと、くっついてからが長いこととか、二人の関係は揺るぎないものになっていることもあって、波乱を起こさせるためにはほかの人物たちを投入させるしかないわけで。

朝春×輝の2人はめっちゃ好きで、この二人をずっと読み続けたいと思う気持ちも本当ではあるのですが、もうそろそろ食傷気味になってきた感も否めなかった。特に、朝春のおじいちゃん。

ナイスガイの朝春の祖父ということで、おじいちゃんもめっちゃナイスガイ。
カッコいいです。
カッコいいんですけどね…、ちょっとやりすぎじゃないかなーと。

丸く収めよう感がちょっと鼻についてしまった感じ。
いやいや、こういう展開がお好きな方は多くいらっしゃると思うんですよ。周囲の人に応援され、幸せを感じる恋人同士の姿に。

完全に好みの問題です。ごめんなさい。

輝の家のゴタゴタに巻き込まれけがをする朝春とか。
朝春の恋人疑惑があったりとか。
ビッチな輝の元カレとか。

もう、ストーリーとしては出尽くした感があって、そろそろぼちぼち卒業かなーと思う一方、朝春のカッコよさを見たくてついつい手に取ってしまう。如月さん×山瀬先輩のCPもね、小鉄子さんらしいなかなかくっつかないCPでどうなるのかとヤキモキはするのですが、いかんせん山瀬先輩に華がないので今一つ萌えきれないというか何というか。

一言で今作品を説明すると、

今巻も朝春はカッコよかった。

という一言に尽きる、そんな1冊でした。

お子の可愛さに悶絶

初読みの作家さまでしたが、電子で立ち読みしてめちゃめちゃ面白そう!と思って購入。

タイトルや表紙からも推測できるように、今作品は子育てもの。が、なんていうのかな。王道の子育てものとは一線を画す、そんな作品だったように思います。

ネタバレ含んでいます。ご注意下さい。





主人公はリーマンの鍵野。
35歳、仕事も楽しく、ゲイの彼は気の向くままに一晩限りのアバンチュールを楽しむイケメン。イケメンゆえに相手に事欠くことはなく、今日も今日とてカラダだけのお付き合いを楽しんでいる。

そんな鍵野のもとに、3つ年上の姉の訃報が届く。突然の知らせに驚く鍵野だったが、姉の愛息子である海を半年という期限付きで預かることになりー?

というお話。

まず、萌えポイントは鍵野という男性。
35歳にして男の色香満載なイケオジ、さらに受けさんという美味しい設定。

このおじさんの色気がマジでヤバいです。

で、この鍵野さん、子育てを甘くみてましてですね。右往左往しながら、奮闘する姿に不謹慎ながら萌えてしまった。

海の預け先が見つからず困っていた鍵野に救いの手を差し伸べたのが彼の上司。シングルで子育てする人を応援するというコンセプトのシェアハウスはどうかという提案だった。そこなら近くに海の保育園のあてもあると聞いた鍵野さんはとりあえずそのシェアハウスに向かうけれど。

BL作品で、シェアハウスって時々登場しますが、今作品のシェアハウスもとても魅力的です。で、このシェアハウスの住人の高石くんとセフレになるのですが、この流れが独特っていうのかな。

子育て中でありながら、鍵野さんはセックスを我慢できない。子どもが中心になるべきストーリーにおいて、この鍵野という男性はなかなか豪胆な生活です。

鍵野さんは彼なりに甥っ子である海を愛している。
愛してはいるけれど、突然子どもを預かることになったわけで、聖人君子のように清廉ではいられないのは、これ当たり前のことで。綺麗事で済まさないストーリー展開が素晴らしかった。

ともに暮らし、少しずつ距離を縮めていくシェアハウスの住人たち。
扱いに困りながらも、海ときちんと関わろうとする感情。
鍵野が、一晩限りの相手と刹那的な関係しか持てない、その理由。
遊び続けてきたことの、つけ。

などなどバックボーンはかなりてんこ盛り。若干盛りすぎでは?と思ったりもしましたが、それぞれがきちんと回収されながら展開していくストーリーでとても面白かった。

あとね、海の可愛さにはひれ伏すよね。めっちゃ可愛いの。ママが急にいなくなり、大人たちに振り回され感情を露わにすることができなかった海が、少しずつ自分の思いを出せるようになって本当によかった。

鍵野さんはゲイという性癖を抱え、それゆえに孤独に生きてきた。他人と深く関わることを避けてきた。が、海という存在を得て、彼は人として成長していく。海を庇護しているようで、実は救われたのは鍵野さんのほうだったんだなー、って。

脇を固めるサブキャラもナイス。
いやいや、彼らメインのスピンオフ描けるのでは?と思うほど、魅力たっぷりな存在でした。

初読みの作家さまでしたが、とにかく絵が綺麗です。高石くんと鍵野さんはセフレになるという展開であること、鍵野さんはほうぼうで遊んでいたこと、などからエロ度はやや高め。

その多い濡れ場が、中見さんの美麗な絵柄で紡がれていて、そこにも萌えました。

とにかく絵が綺麗。濡れ場もエロい。

八重咲さんの作品は電子で何話か読んでいましたが、とにかく絵柄が綺麗です。

お顔はもちろん、綺麗なバッキバキの腹筋とか、胸筋とか。
攻めさんだけではなくて、受けさんがムキムキなのがまた良い。ということで、可愛らしいビジュアルの受けちゃんが好きなのよ!という腐姐さまにはもしかしたら若干不向きかも。

が、これがデビュー作とは思えない画力でして、今巻の発売も心待ちにしていました。

2CPのお話が収録されています。ということでレビューを。ネタバレ含んでいます。ご注意ください。





表題作『夢見る調教師の理想のご主人様』。
可愛らしいビジュアルの男の子たちを落札するオークションがある。
そこで落札される男の子たちが、ご主人様のもとに買われていった際に困らないよう(閨でちゃんとご主人様に奉仕できるように)、調教する男性がいる。

今作品は、その調教師の史也が主人公のお話です。

飼われていく男の子たちを可愛がり、酷いことは決してしない史也。彼の手によって開花された男の子たちは、無事ご主人様に買われ、巣立って行く。

けれど、史也の希望は、自身が優しいご主人様に買われ、可愛がられること。
ごつい身体、可愛くない風貌をしている自分には、そんなご主人様は現れないことを知っているけれど。

そう思っていた史也だったが、ある日、セレブの城崎という男性に商品と間違われ、そのまま抱かれてしまい―?

というお話。

スパダリ攻め×オークションで買われた受けちゃん、というストーリーは多くあれど、オークションで売られる男の子を調教する男性、が受けさんになるというのはなんとも斬新。しかもムキムキな男性だ。

でも、史也という男の子がとにかく可愛いの。その、中身が。
調教師になった経緯とか、男の子たちに優しい、とか。

その史也を買った城崎も。
お金持ちで、イケメンで、何でも持っている彼の、素の姿にギュギュ―ンときました。

しいて言うと、二人の恋愛というベクトルが性急すぎたかな、という気もしました。恋愛ありきのストーリー展開で、個人的に恋が成就するその過程に萌えを感じるので、そこがあっさりだったのが残念といえば残念でした。

終盤に収録されている『清純ダークサイド』。

リーマンの藤川くんが主人公。
要領の悪い彼はいつも仕事を押し付けられ、日々疲弊している。今日も今日とて終電帰りの彼はヤンキーに絡まれてしまう。殴られ、お財布を取られ、でもどうでもいいと思っていた彼の前に現れてヤンキーたちから救ってくれたのは佐野という男の子。

日々の生活に疲れ切っていて、お財布とかどうでもいい、と告げた藤川くんに、佐野くんが告げたのは「自分を抱いてほしい」というセリフ。そのまま藤川くんは佐野くんを抱くことになるけれど―。

というお話。

佐野くんが藤川くんに抱いてほしいと頼む、その理由とかきちんとあるのですが、バッサリ言っちゃうとよくある展開ではあります。

が、佐野くんに惚れちゃった藤川くんが、佐野くんに振り向いてほしくて頑張って自分を変えようとする。その藤川くんのガッツがなかなか良い。

どちらのお話も、あっさり身体の関係を持ってしまうこともあって、恋愛の成就という点に重きを置いた作品ではありません。

綺麗な身体に、エロエロな濡れ場を堪能するが良き作品かと思われます。

エロはねえ、とにかくエロいです。
あれやこれやと致していますし、ぶっちゃけ絵が綺麗なので読んでいて目が幸せになります。

個人的にはもう少しストーリーがしっかりしている方が好きなのですが(ごめんなさい、完全に好みの問題です)、デビュー作でこの画力の高さは素晴らしい。今後も注目したい作家さまでした。

ラブ度は低いが。

あらすじと、そして奈良さんの描かれた表紙につられてお買い上げ。
樹生さんて、俺さまな攻めさんが多いイメージですが今作品の攻めさんもめっちゃ俺さま。いっそ清々しいくらいの豪胆な攻めさんでした。


ネタバレ含んでいます。ご注意ください。





主人公は塾で講師をしている晴斗。
真面目で優秀、けれどちょっぴり運のない彼には腐れ縁の友人がいる。ハーフで見目麗しく、実家はお金持ち、ちゃらちゃらと遊んでいるくせに常にトップの成績を収めてきた眞弘だ。

彼がいるせいで常に彼は2番手。
イケメンの彼の周りにはいつも女性がいて、眞弘と行動を共にすることが多い晴斗は女性たちからも嫌われる。そして何より、眞弘は横柄で、俺さまで、いつも無理難題を吹っかけてくる、そんな友人だった。

だった、という言葉通り、眞弘は交通事故であっけなく命を落としてしまう。びっくりしすぎて実感がわかない晴斗だったが、そんな晴斗の前に死んだはずの眞弘が現れて―?

というお話。

タイトルから推測できるのでネタバレしてしまいますが、



以下壮大なネタバレがありますのでちょっと下げます。


*********************************************








眞弘は、閻魔大王の息子。
そう眞弘に言われ、あっけにとられる晴斗だったが。

読み始めた当初、眞弘が亡くなった人を裁くとか閻魔の跡を継ぐための修行をするとか(閻魔の息子だし)、そういうストーリーなのかな?と思いつつ読み進めましたが、着地点は意外なほど、純愛。この出だしで、こういうストーリー展開か!と圧倒されました。

樹生さんらしい俺さま&執着攻めさんと、シリアスさをはらみながら時々コミカル、といった世界観を持つストーリー展開で、めちゃめちゃ面白かった。歴史上の人物を絡ませながら、どれだけ長い期間眞弘が晴斗にご執心だったのか、という流れで、さすがベテラン作家さま。ストーリー展開がお上手だな、と。

で、登場人物たちがとにかく魅力的。
なんて言えばいいのかな、悪い人がいないんですよ。誰もが葛藤や後悔を抱え生きている。そんな彼らの想いをきちんと汲み取るのが晴斗。序盤、地味キャラだなーと思った晴斗ですが、眞弘がずっと一途に晴斗を愛し続ける理由は彼の持つ本質故なんだな、と気持ちがほっこりしました。

読み始めたとき、眞弘の理不尽なまでの俺さまっぷりにちょっと萎えたことは否めない。否めないのですが、読み進めるごとに彼の可愛さが見えてくる。彼のすべては晴斗のためにある。晴斗だけが彼の望みであり、晴斗を手に入れるためなら手段を問わない。

全てを持ち、パーフェクトに見える眞弘の一途な想いがすごく可愛い…!

ただ、強いて言うと、二人の恋愛というベクトルはかなりあっさりというか今ひとつ盛り上がりに欠けた気もしました。眞弘の強引さがこの作品のキモだと思うのですが、少し強引すぎちゃったのと、晴斗の眞弘への思いが見えづらかったせいかな。

あと、2人の濡れ場が…。
晴斗が寝てる間に眞弘があれやこれや致してしまうので、両想いエッチ、という甘さが控えめだったからかも。

ということで、ストーリーはとても面白かったのですが、BLとしての萌え度がやや低かったのが残念と言えば残念でした。が、樹生さんらしいシリアスさとコミカルさ、シュールさが非常にバランスよく詰まった一冊だったように思います。

奈良さんの挿絵は今回も素晴らしかった。
眞弘のヤバいくらいの色香にKOされ、モブさんたちでさえ等しくカッコいい。

奈良さんの画集、出して欲しいなーとしみじみ思ったりしました。

萌えないわけではないのですが。

宮本さんて、スパダリ攻め×健気受けを多く書かれる作家さまのイメージが個人的に強いのですが、今作品もそのイメージを損なうことのないお話でした。

作中、見覚えのある国が登場するなと思っていたのですが、『銀の祝福が降る夜に』の舞台と立地的にお隣という繋がり。ストーリー自体は前作未読でも問題なく読めます。






主人公はアンリ。
両親はアンリが12歳の時に亡くなり、その後は姉が育ててくれたがその姉も結婚。独りぼっちになったアンリだったが、村の人たちの助けもあり貧しいながらも日々幸せに過ごしている。

そんなある日、アンリは山に出かけるが天気が急速に崩れ、洞穴で雨をしのぐことに。そこに一人の男性がやってくる。見目麗しく身に着けているものも高価そうなそれらを身に纏うその男性・ジークフリートはその見た目を裏切り気さくで優しい人物で、二人で楽しく一晩過ごした。

が、その後、アンリのもとに使いがやってくる。領主の一人で王太子のジークフリートのもとに来て欲しい、と言われ―?

というお話。

アンリの住む国・アドレアは5つの領地に分かれていて、5人の王太子がそれぞれ治めていること。
5人の王太子のうち、最も優れている人物が次期国王になること。そのためには「番」の存在が必要であること。
獣人、がいること。

などなど、多岐にわたるバックボーンを孕む作品ですが、そのどれもがきちんと絡みながら進む展開はさすが宮本さんといったところか。そこに、なぜジークフリートがアンリを自分のもとに呼び寄せたのか、という部分を軸に、ジークフリートとアンリの「関係」を追う展開。

ちょっとファンタジー要素も加わり、非常に宮本さんらしい展開だったな、と。

ただしいて言うと、先の先まで見通せちゃうっていうのかなあ…。
もう一捻り欲しかったなという感想も持ちました。

スパダリ・ジークフリートに愛されるアンリ、という王道の展開に加え、ジークフリートが王になれるのかとか、アンリの持つ特殊能力とか、アンリに意地悪を言ってくる人物の存在とか。痛い展開になることはなく、スパダリ×健気受けというテッパン、ちょっとファンタジー要素の加わったストーリー展開と、決して面白くないわけでも萌えなわけでもないのですが、バッサリ言ってしまうと「王道」過ぎてしまったな、という感じ。

反対に言うと、痛い展開になることはほぼなく、終始温かな空気感が漂うストーリーで、かつ萌えツボをきちんと押さえた作品ですので、多くの腐姐さまの萌えを滾らせる作品かと思います。

迷い、すれ違い、最後に欲したものは。

じゃのめ先生の前作『お伽噺は泡と消え』がとっても良かったので今作品も購入してみました。小学生の時に出会い、大人になるまで(詳細は書かれていませんが)の、数十年にわたる拗らせ愛のお話でした。

いじめという、人によっては地雷になりかねない要素がある作品ですので苦手な方は注意が必要かもしれません。

ということでレビューを。ネタバレ含んでいます。ご注意ください。




主人公は漫画家の武田。
彼は幼いころからの夢だった漫画家になるという夢をかなえ、今日も今日とて漫画を描く。

が、彼には心に痛みを伴う棘のように刺さって抜けない存在がいる。
幼馴染で、「絵」という共通の夢を持ち、恋人だった「はず」の、長内という青年だ。彼に裏切られたことによって、武田は凄惨ないじめに遭い、不登校になり、引き籠った末に漫画家になったという過去がある。

すでに振り切ったはずの、暗黒の過去。
それが、大好きだった小学校の時代の恩師を招いての同窓会に出かけたことで長内に再会し―。

というお話。

クラスで浮いた存在だった武田と長内。
お互いが、唯一の存在だった過去。
絵描きになることを夢見た長内と、漫画家になりたい武田。

そんな二人が、近づいていくのは必至だった。

けれどある日、長内が武田を裏切ったことで彼らの関係は破綻する―。

突っ込みどころは割と多い。
ネタバレになってしまうので詳細は書きませんが、長内の裏切りによって武田は不登校になりますが、その点について武田の両親とか何も言うことはない。
いやいやいや。
もし自分の息子が「あんなこと」をしでかしたのなら冷静ではいられないだろうし、その後武田が友人たちからリンチを受けるのも納得がいかない。先生や保護者が、その間に入るだろうからして。

「長内の裏切り」という、今作品において最も重要なポイントになるであろうこの出来事について周囲の大人たちが一切登場しないことで、何となく薄っぺらい感じっていうのかな、リアルさを欠いてしまったように思いました。

けれど、何度も迷い、間違い、すれ違い。
その果てに求めたのは、結局、お互いの存在だったのだと。その二人のぐるぐる感に萌えました。

「絵」が二人を繋ぎ、憎しみと嫉妬を生んで一度は切り離し、けれど彼らを再度つなぎ合わせたのもまた、「絵」だった。「絵」と「愛」、その二つの因子が愛憎を生む、そのストーリー展開が素晴らしかったです。

幼さゆえに相手を傷つけ、そして自分も傷つけあった彼らに、これから幸あれと心からのエールを送りたいです。

秋成の過去。

作家買い。
『砂楼の花嫁』の、シリーズ4作目です。今シリーズはタイトルに数字が振られているので順番が分かって親切だなとか思いつつ。

あとがきで遠野先生も書かれていらっしゃいますが、シリーズ1作目の『砂楼の花嫁』が刊行されたのは2008年。長きにわたり続編が書かれている人気シリーズで、私もすごく好きな作品なのですが。

個人的な好みで申し訳ないのですが、前作でハミードに恋人(って言って良いのかな)ができましたが、その恋人が女性というのがどうにもこうにも残念で、それ故に今作品も読もうかどうしようかちょっと悩んだんですよね。いや、ごめんなさい。

でも、円陣さんの描かれたこの表紙!
いやー、これは買っちゃうでしょ…。美しい!

ということでレビューを。ネタバレ含んでいます。ご注意ください。




イズディハール、そしてハミードのものに、一通の招待状が届く。
その招待状は彼らがアメリカの大学に留学していた時の学友だった人物の婚約披露パーティ。義理もあって、彼らは秋成を伴いそのパーティーに赴くが、そこで秋成は一人の人物に再会してしまう。

それは年下の又従兄弟のワシル。
両親亡きあと母親の祖国・ザヴィアにあるローウェル家に引き取られた秋成だったが、そこで冷遇され続け、挙句の果てに直系の孫ではなく遠縁にあたるワシルに家を継がせた秋成の祖父母。

さらに秋成はテロリストとしてザヴィアから永久追放されている身だったため、ワシルとは接点がなかったが、そのワシルにこともあろうに身体の秘密がばれてしまい―?

という、秋成のピンチから物語はスタートします。

さすが遠野先生というべきストーリーにぐっと引き付ける描写で、一気に物語の世界観に引きずり込まれました。

で、ここから怒涛の展開が始まります。

ワシルとの再会で秋成の過去をいったん魅せ、そこから始まるのはザヴィアで起こったクーデタ―。ワシルは名家・ローウェル家と、祖父母を置き去りにして自分だけ国外に逃げ、秋成に救いを求めてきた。秋成は、国に残ったままの祖父母を心配してザヴィア二行くことを決意するが―。

これね、何が凄いって、1作目からの伏線がきちんと回収されていること。
秋成の軍人としての過去とか、シャティーラに残ることになった経緯とか、そういうものの裏側が描かれているんです。なので、今シリーズがお好きな方にはたまらない造りっていうのかな。いろいろな角度から、今シリーズを堪能できる感じ。

反対に言ってしまうと前作未読の方には今一つ話が分かりづらい側面があるので、未読の方は前作から読まれることをお勧めしたいです。

秋成がザヴィアで出会うクーデターの仕掛け人である軍人さんとか、あれだけ秋成を冷遇し続けた祖父母が実は…、という展開は非常に良かった。彼らは一本筋が通っていて、自身の信念がある。カッコいいです。

が、うーん。

まずワシルね。
彼がクソ過ぎて萎えた。
序盤秋成に対して行う卑劣な行動とか、クーデターが起きて真っ先に逃げるとか。

そのワシルに救助を依頼されたからといって、手を差し伸べるなんて、秋成、アンタできた男だよ…。なかなかできる事じゃない。でも彼は守るものがなくなってしまったわけで、これから暴走しないといいな、とか思いつつ。

そして祖父母の救助に関しても。
秋成が彼らを救済したいと思う、その感情が今一つ理解できなかった。あれだけの過去を抱え、それでいてなお祖父母を慕う感情があるという、秋成の優しさとか素晴らしさを描いているのかもしれませんが、今作品の根っこにあたる部分に共感できなかったのが残念。

さらに秋成を溺愛しているイズディハールの存在があるので、どんなピンチに陥っても安心、というバックボーンがあるためか、秋成のピンチに緊張感が伴わないのも萎えポイントかも。個人的には秋成とクーデターのリーダーの大佐とのいちゃこらがあったらよかったな。

総じて秋成と、そしてイズディハールがひたすらカッコいいという萌えポイントで、ごり押しした感のある作品だったように思いました。秋成の男性を主に打ち出したときのカッコよさは半端ない。イズディハールの妻、という立場ゆえに秋成が「女性」であるシーンもそこそこありますが、やっぱBLなんでね。こういうカッコよさに萌える方は多いんではないでしょうか。

さて。
終盤でとある悲しい出来事が起きます。このエピソードって、遠野先生ははじめからこうしようと思って書いてたのかなあ…。跡継ぎが必要な立場の人、が主人公なのでこういう結末もありなんかなあと思いつつ、ちょっと切ない気持ちにもなりました。

個人的にはハミードを幸せにしてあげて欲しい。
何なら3Pでも良いんだけど、今シリーズ的にはそれはないんだろうな。

あ、あと、円陣さんの挿絵は今回も神過ぎて悶絶しました。

ストーリーもバックボーンも面白いが

あらすじとタイトルに惹かれて購入。
間宮作品てスパダリ×薄幸受けって多い気がしますが、今作品もそのイメージを損なうことのないCPのお話でした。

主人公は大学生の律。
幼少期に事故で父を失い、その事故のために母親は心を病み入退院を繰り返している。そのため金銭的に余裕がないが、さらに律はオメガ。しかも発情期を抑える薬が効かない律は日常生活さえままならず、経済的にも精神的にも困窮する日々を送っている。

そんな律は、ある日とあるピンチをバイト先の常連さんである浪川に助けられる。そのことをきっかけに、律は浪川に援助を受けるようになるが―。



序盤から、律の薄幸さがこれでもかと描かれていて、薄幸受けちゃん大好物なので一気にストーリーに引き込まれました。

律の家庭の不幸。
オメガであることによる差別や生きづらさ。
こういった因子が上手に絡み、一生懸命に生きようとする律が、少しずつ追い詰められていく様に胸が痛くなりました。

そんなときに現れた浪川というアルファの男性。
律のピンチにもれなく駆け付け、どんな時でも律を守ってくれる。

圧倒的スパダリ感を放つ浪川さんですが、王道のオメガバものと一線を画すのは、浪川という男に付き纏うダークな空気感。清廉な、明るい日のもとだけを歩いてきたのではないであろう闇の雰囲気があるために、ストーリーに奥行きがあるのです。

律には子どもの時からずっと手を差し伸べてくれていた存在があるのですが、「律を助けてくれる」、その人物の存在も良かった。律の環境、オメガであるという性、そういった因子がきちんとつながっている、そんな感じ。

浪川さん、とってもツボな攻めさんでした。
ストーリーも良き。
バックボーンも面白い。

が、今一つストーリーに萌えきれなかった。
なぜか。
それは、今作品の主人公である律がいまいち好きになれなかった、というところに起因しています。

なんて言うのかな。
筋が通ってないっていうか。

彼は貧困故バイトを掛け持ちしていますが、コントロールできない発情期のためにバイトが長続きせず困窮から抜け出せない。そこに持ち掛けられた裏の仕事。

困窮から抜け出せるのであれば受けよう、でもしたくない。

いやいや。
収入源がない彼にとって、そして入隊を繰り返す母親を抱える彼にとって、仕事を選んでいる場合か、と。子どもの時から援助してくれた足長おじさんにこれ以上甘えたくない、と思いつつ、けれど彼は浪川さんからの援助(いろいろな意味でも)はあっさり受ける。身体の関係もあっさり持つ。

しっかりしてるのか、その場に流されてしまうのか、うーん、なんだかなあ、と。

ストーリーは本当に面白んですよ。
律と浪川さんの繋がりとか、彼らの心に抱えるものとか、裏社会との対立とか。
きちんと伏線を回収しつつ進むストーリーで、最後までハラハラしっぱなしだし。

が、その割に結末があっさりだったのもちょっと肩透かしを喰った気分になりました。律の両親とか、浪川さんとの関係とか。

総じてすごく痛い展開にはなりませんし、何より浪川さんのスパダリ感が半端なくどんなピンチでも大丈夫という空気感が常に漂っているので安心して読める作品ではあるのですが、個人的にはもう少ししっかりした受けさんが好きなこともあってもう一声ほしかったな、というのが正直な感想です。