ポッチさんのマイページ

萌×2作品

PREMIUM レビューアー

女性ポッチさん

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BL、ではない気もするが

お値段がちょっとお高めで(だって税込み1100円だ)買おうかどうしようか少し悩んで、結局お買い上げ。

彼女に振られ仕事一筋。
そんなリーマン・篠原さんはある日倒れている青年を見かける。放っておけずに声をかけた篠原さんだったが、その青年は自分は吸血鬼だと言う。ヤバい奴かも、と思う篠原さんだったが、やけくそで腕をその青年に差し出すとガブリと血を吸われてしまい―?

仕事に没頭し、食事も満足に取らない篠原さんの血はすんごく不味い。
それなら自分(吸血鬼)が食事を作り、それを篠原さんに食べさせ、美味しくなった血を自分が頂く、という構図になればお互いにwinwinじゃない?

そう言う吸血鬼に丸め込まれる形で、吸血鬼と同居することになる篠原さんだが。

というお話。

吸血鬼、インキュバス、などなど、BLではおなじみの人外のお話ですが、二人の間に身体の接触どころか恋愛感情すらもない、という。BLジャンル、なのかな?今作品は。ほんのりとBL風味はありますが、BLという括りにするのはちょっぴり無理がある気がします。

でも、めっちゃ面白かった。お腹が満たされた後は、セックス。
そんな流れが多いBLにおいて、異色と言えるほのぼのストーリーです。せっせと食事を作り篠原さんの血を美味しく育てる吸血鬼の彼ですが、その食事シーンが非常にコミカル。「私が育てました」の件には爆笑。

が、本来人の食事を必要としない吸血鬼がなぜ美味しい食事を作ることができるのか。
吸血鬼の彼には「円」という名前と20歳という年齢がありますが、それはあくまで戸籍上のこと。なぜ、円は偽りの戸籍を持っているのか。

コミカルに進むストーリーでありながら、円の過去や吸血鬼仲間とのやり取りが間に盛り込まれることで、コミカルなだけではなく切なさとか、愛情とか、そういうものが突然ぶっこまれてきて、思わずしんみりしてしまう。そのストーリー展開が秀逸でした。

これ、続きものではないんですかね。
え、ここで終わり?というところで終わっていて、まだ謎の部分もあったりするのでぜひとも続きを読んでみたいです。

「男同士の恋愛」ではありませんが、今作品にはいろいろなカタチの「愛情」が描かれています。がっつり萌えるBLが読みたいときには不向きな作品。が、非常に深い愛のお話がベースになっていて読後心がほっこりと温かくなりました。

切なさと、けれどそれを上回る深い愛情に萌える

電子でずっと追いかけていて、コミックス化されたら買うと決めていた作品。受けさんがハンディキャップを抱えた青年なので、その設定が苦手な方は不向きな作品かもしれません。が、切なくも温かく優しいストーリーでした。

ネタバレ含んでいます。ご注意ください。





膝から下が生まれつき動かないために車いすを利用しているすばる。
車いすを使っているということで生活に制限があることもあるが、彼はそのハンデを受け入れできることを懸命にしようとする明るい青年だ。

すばるはデザイナーで、友人・明里を介し仕事を受けることも多々あるが、ある日明里がすばるに依頼してきたのは明里が手掛けるプラネタリウムのパンフレットの表紙のデザインの仕事だった。そしてその仕事は、すばるが憧れてやまないフォトグラファーの冬吾が撮った星空を利用したもの。その仕事を介しすばるは冬吾と出会うことになるが―。

凄くお上手だなと思ったのは、すばるの車いすの描写の仕方。すばるは自身のハンデを受け入れてはいるけれど、そこに至るまでに様々な葛藤があったのだとわかる描写が時々描かれていて、だからこそ「すばる」という青年の中身がきちんと見えてくる。

自分の足で歩くことができない。それ故に諦めてきたことがたくさんあること。
冬吾の写真が、自由に動けない自分の代わりに様々な世界を見せてくれること。
だからこそ、冬吾への憧れの気持ちが上滑りせずに読者の胸に迫ってくる。

初めて二人が出会ったのは冬。
そして少しずつ季節が巡っていく、その過程で、二人は心を通わせていくけれど―。

すばるのハンディキャップを乗り越えていくのは、すばるだけではなくって冬吾も。そのシーンがとっても素敵でした。子どものころから車いすであるという現実を少しずつ受け入れてきたのであろうすばる。そのすばるが、冬吾と出会い、恋をして、だから憶病になって。でも、そんなすばるを丸ごと受け入れ、すばるとともにそのハンデを乗り越えてくれた冬吾のカッコよさに悶絶しました。

冬吾はスパダリ感あふれる青年ですが、その彼も心に抱えるものがあって。
その冬吾の「何か」を溶かしていったのがすばるだったのもよかった。お互いがお互いの唯一無二の存在だったんだなあ、って。

実は季田さん初読みでして。
どんなお話を描かれる作家さまなのか存じ上げずに読み始めましたが、今作品はエロ度はかなり控えめです。エロは少なくともこの満足度の高さよ。とにかく可愛い!

星。
車いす。
写真。
登場人物は多くはないのですが、ストーリー中に登場する因子が上手に絡んで進むストーリー展開でめちゃめちゃ萌えました。ベースとしてはシリアス寄りだと思うのですが、すばるのハンディキャップを不必要にシリアスにすることはなく、あくまで二人の恋を軸に描いた良作。

季田さんの違う作品も読んでみたいと思います。

可愛い。

『酷くしないで』の11巻目。
前巻で念願の一人暮らしを始めた真矢、という展開でしたが、11巻ではその「一人暮らし」が仇となりネムくんピンチ!のお話です。





ラブラブな(あれ、死語かな?)日々を送る真矢くん×ネムくん。
今日も今日とて、一人暮らしを始めて誰にも邪魔をされなくなった真矢くんの部屋でイチャコラしているところをアパートの隣人に見られてしまう。寄りにもよってその隣人は、ネムくんのバイト先の(ネムくんは塾講のバイトしてます)生徒でー?

今までイケメン・真矢くんはモテモテでしたが、真矢くんと出会い恋をして、良い方向に変わったネムくんがクソ可愛くなりましてですね。ネムくんもモテモテです。隣人・アオくんもだし、あれ、彼実はネムくん狙いじゃね?と思う人もちょいちょいと登場していて、わー、不穏な空気になって欲しい!と鬼畜なことを思ったりもするのですが、真矢くん×ネムくんの二人がもうどうしようかっていうくらい甘々で信頼関係もばっりちでごちそうさまでした。という気分になりました。

ネムくんもですが、真矢くんが大人になっていてそちらも悶絶しました。
高校生の頃はねー、あんなやんちゃだったのにねえ…、と近所のおばさんの様な感想を抱きつつ、真矢くん大好きなので今巻も彼のイケメン(見た目だけじゃなくて中身も)にKOされました。

前巻で萌え禿げた九谷さん×沖野くんの出番は今巻はちょっぴり。沖野くんは相変わらずポヨポヨで可愛いです。二人で制汗剤を買いに行くシーンが可愛い!あと「定例報告会」。爆笑必至です。

今回も甘々と萌えがたっぷり詰まった可愛らしい1冊でした。

壮大な愛の物語

作家買い。
華藤さん作品て、今まだ3月なのに今年に入ってすでに2冊目。筆が早い作家さまだなあと感心します。

華藤さんの新刊は、華藤さんらしいヨーロッパが舞台のお話。スパダリ×薄幸受け、というCPのお話ですが、そこに複雑に絡む因子が加わりめちゃめちゃ面白く、そして萌える1冊でした。普段ネタバレ上等でレビューを書いていますが、んー、どこまでネタバレしていいのかこんなにも悩む作品もそうそうないなあ…、という複雑なお話でした。ですので、なるべくネタバレしないようにレビューを書こうと思います。







主人公は日本人の父とアイルランド人の母を持つハーフの青年・ユイ。
生まれたときから父はなく、母親も数年前に亡くなり天涯孤独の身の上の彼はとある事情から教育をまともに受けたこともなく、それ故に貧困に喘いでいる。病院のリネン室で働いてはいるが生活に余裕はない。

そんな彼が唯一楽しみにしているのが、国立劇場で行われている交響楽団の定期公演。とはいえ貧しいユイには劇場に行くチケットは買えない。その公演をライブ配信してくれるティールームがあって、そこでお茶一杯で公演を見ることができるのだった。

ユイは、半年前から指揮を執るようになったクライヴという指揮者のことを密かに思っていて―。

うんうん、貧しい薄幸少年がスパダリに愛でられ愛されるお話ね?

そう思いつつ読み進めましたが。
いやいや、そう来るか―!という予想を遥かに上回る壮大なお話でした。

ユイは実は余命半年。
詳しい検査をするために自身が働く病院に入院することになるのだけれど、そこでクライヴと出会う。出会う、と言うと語弊があって、実は「再会」という言葉が正しい。けれどクライヴの方はユイのことを知っている様子はない。

んー。
んんー?
どゆこと?

彼らは子どもの時に出会っていますが、そのことをクライヴは忘れてしまっているんですね。で、ユイはいうと、クライヴが自分のことを覚えていないことを寂しく思いつつそれで良いと納得している。そこには二人の深い因縁があって。そして、そこにユイの余命が幾ばくも無い、という事情も絡んでいます。

ユイの抱える身体の秘密。
ユイとクライヴの過去。

そこに照準を当てて読み進めましたが、いやはや、まだまだ怒涛の展開が待っているのです。あらすじにも書いているのでここでも書いてしまいますが、輪廻転生ものの側面も持ち合わせているストーリーです。

バックボーン、てんこ盛り屋過ぎませんかね?
という感じのお話なのですが、それらがきちんと絡み伏線を回収しつつ進むストーリーで、てんこ盛りのバックボーンがきちんと生きている。素晴らしいです。さすがベテラン作家さまです。

余命半年と言われたユイが、己の命を懸けてでも守りたかったものはー。

輪廻転生もの、と書きましたが、いわゆる普通の生まれ変わりものではありません。二転三転していくそのストーリー展開も秀逸で、結末がどうなるのか気になってページを捲る手が止められませんでした。

愛した人を幸せにするもの。
それは何なのか。

途中ハピエンが想像できず、もしかしてバドエン、あるいはメリバ?と思いつつ読み進めましたが、結末のハピエンに持っていくストーリー展開に圧倒されました。ああ、なるほど!っていう感じ。

クライヴもユイも、昔も今も自分ではどうしようもない唸りに巻き込まれてしまう薄幸な身の上の青年でしたが、お互いがお互いの幸せになっていく。二人の歴史を紡いでいく、そのキーになっている。まさに割れ鍋に綴じ蓋。

帯に「ぼくの命をあなたにあげる」という文句が書かれていますが、この言葉の重みを読後しみじみ感じ入りました。はじめは、その言葉通り、ユイは「命を懸けて」クライヴを救おうとする。

けれど、その言葉の本当の意味は、ユイという存在がそこにあるだけでクライヴは救われたのだと。お互いがお互いの生きる糧になっているのだと。壮大な愛のお話で、萌えが滾って仕方がない、そんな1冊でした。

『言ノ葉ノ花』のその後のお話

2007年に刊行された砂原さん作品の『言ノ葉ノ花』がコミカライズされ、同名コミックスが2020年に刊行されました。

今作品は小説版の『言ノ葉ノ花』の後半部分に当たる『言ノ葉ノ星』のコミカライズです。

『言ノ葉ノ花』は、突然人の心の声が聞こえるようになってしまった青年・余村のお話。人の声が聞こえることで裏の顔を見ることができるようになってしまい、人と関わりを持たずに生きていこうと決意していた余村が、彼に想いを寄せる長谷部と出会ったことで再び前を向いて歩きはじめるところまで。

『言ノ葉ノ星』はその後の2人を描いたお話です。
小説版は『言ノ葉ノ花』に『言ノ葉ノ星』も収録されていますが、コミカライズ版は名前を変えて上下2巻完結で同日発売になりました。

以下、ネタバレ含みます。ご注意ください。






人の心の声が聞こえる余村は、紆余曲折を経て長谷部と恋人同士になった。余村の秘密を知ってなお、彼を深く愛してくれる長谷部と共にこれから一緒に歩いていける。こんな未来が自分に訪れるなんて―。

そんな幸せをかみしめる余村だったが、突然人の心の声が聞こえるようになったのと同じく、突然、再び人の心の声が聞こえなくなってしまい―?

かつてあれだけ人の心の声を聞きたくないと願っていたはずなのに、いざ聞こえなくなると長谷部の感情が分からなくて怖くなる。そんな不安な思いは、仕事の面でもプライベートでも、少しずつ余村の心を蝕んでいって…。

かつて表面上は親切、でも心の中では余村を疎んでいた同僚の小寺と偶然再会してしまったこと、そして長谷部が女性の同僚と二人で食事をしている姿を見てしまったこと。そんなアクシデントが重なり、どんどん追い詰められていく。

と、上巻はそこまで。

人の心の声が急に聞こえるようになったり、そして急に聞こえなくなったり。
そういったことに振り回される余村が気の毒でしたが、でも、「人と関わること」「信じること」ってどういう事かなとしみじみ考えさせられる作品です。

ベースとしてはシリアス寄りなストーリーですが、長谷部×余村の閨のシーンがめちゃめちゃエロいんですよ。この時はまだ長谷部の心の声が聞こえていたのですが、「可愛い」とか「勃ってる」とかそういう長谷部の感情がダダ洩れなのでいたたまれなくなる余村が可愛い。そして、そういう感情が聞かれても困ることはないと思う長谷部の男気にも萌える。

小説は既読なので、二人の「これから」については知ってはいますが、でも三池さんの描き方が非常にお上手で、余村の追い詰められていく感情が胸に迫ってきて切なくなる。上下同日発売って素晴らしい。これから買われる方には2冊まとめて買われることをお勧めします。

キノコが「大人」になったよ…

作家買い。
作家買いですが、「『月と太陽』シリーズのスピンオフ」ということで発売を楽しみに待っていました。将大の弟・将太のお話。

ワタクシ、阿部さん作品の中でも『花にくちづけ』シリーズが特に大好きでして。『花にくちづけ』の続編の『花といっくん』に将太が初登場していて、なんとも癖のあるキノコちゃん(将太の髪型からきている愛称)がとってもツボだったのです。

今シリーズの順番としては、『花にくちづけ』→『花といっくん』→『月と太陽(全2巻)』→『華と楽』で、今作品『猫、愛を知る』と続きます。なので、今シリーズ未読の方は『花といっくん』もしくは『月と太陽』だけでも読まれてから今作品を読まれると、将太のクソさが(いや失礼。褒めてます)がよくわかるんじゃないかなと思います。

極道・山田組の孫息子、将太。
中学生のころからビッチさんだった彼は、中学生の時に家庭教師としてやってきたいっくんに薬を盛って眠らせてから性的に襲うというクソな、いや、やんちゃな男の子でしたが(このエピソードが『花といっくん』に収録されているお話)、その将太が大学生になりました。という時系列のお話です。




ある日、将太の教育係の中村さんの四男で、かつ母親の従兄弟に当たる詩郎が東京から帰ってくることに。すかした風の詩郎にイラついた将太は詩郎に嫌がらせをするためにハニートラップを仕掛けることにするが―。

というお話。

今シリーズ中、ちょいちょいと登場していた将太。
まあ、やんちゃという一言では片づけられないクソっぷりを発揮していたキノコちゃんですが、今巻でもなかなか飛ばした青年です。

可愛いビジュアルを武器に、いろいろな男たちを手玉に取り遊んできた将太。
そのつけがやってきたのか?
まだ大学生という若人でありながら、将太はまさかのEDになってしまった。

さらにほかにも警察沙汰になりかねないようなことにも手を染めていて。

極道の息子という立場もあって、彼はこのままいったらどうしようもないクソになりそうな、そんな青年になってしまっています。そこに登場するのが、詩郎という男性。彼と関わっていく中で、将太はどう変わっていくのか―。

将太はね、あれなんですよ。
お子さまなんですね。
欲しいものはどうしても欲しい。
自分が思うままに行動したい。
そんなお子さまで我儘な将太を、おそらく周囲の人たちは「仕方がない」で治めてきたんじゃないかなあ…、と、そんな風に思いました。そんな我儘キングの将太に、初めてガチンコでぶつかりぺしゃんこにしたのが、詩郎だったのではないかと。

詩郎という男性もなかなかに破天荒です。
見た目はさらりとした好青年。が、その中身は…。

阿部さんの描かれるクズ男。
もう、めちゃめちゃドツボです。
めっちゃクソなんだけれど憎めない。その中身に男気がある。
そのバランスが絶妙なんだな。これが。そのバランスが少し崩れたらとんでもなくクソな男になってしまうのですが、阿部さんならではの危うい気怠い色香を纏う男が出来上がる。これぞ阿部マジックか。

詩郎という男性も、何かちょっと違ったら単なるクソ男になってしまう。が、阿部さんらしい男気のある、男の色香満載な男性なので、将太と共にKOされてしまいました。

将太も。
彼は22歳という若者でありながら、彼の出自のせいなのか、はたまた彼の素質からなのか。妙に達観しているところがある。欲しい欲しいと駄々をこね、けれど手に入らなかったものは彼が本当に欲しかったものなんだろうなあ、とちょっと切なくなりました。詩郎に出会ってすぐに将太は詩郎を敵認定しますが、あれって兄ちゃんのジャージを着てたからなんじゃなかろうか。ブラコンだからね、将太は。

その手に入らなかった愛しい兄ちゃんも少しだけ登場しますし、あと椿姐さんと結婚した様子も垣間見れて嬉しかった。できれば花ちゃんやいっくんにも会いたかったなあ。

ただ、んー、もう一声ほしかったなあ、という気も。

詩郎が東京から大阪に帰ってきた理由とか、将太が詩郎にメロメロになってしまった過程とか、その辺りをもう少し書き込んでほしかったなあ、と。詩郎の雄味に将太は惹かれたようですが、その気持ちは痛いほどよくわかるカッコよさでしたが、そこがあっさりしているので今一つしっくりこない感があったのが残念と言えば残念。

が、お子さまだった将太が、詩郎と出会い恋をして、そして大人になっていく過程に萌え。そして詩郎さんのバッキバキの筋肉にも萌え。

今シリーズ大好きなので、まだまだ続いていって欲しいなあと切望しています。

あ、あとカバー下。
愛され四男に爆笑しました!

ゲームの世界にトリップするお話。

作家買い。
サマミヤさんの描かれた表紙も麗しく、どんなお話かなあとテンション高く読み始めました。



保険会社で営業事務として働くリーマン・織人。24歳。
年齢=恋人なしという彼はちょっと弱気で人に物事をはっきり言うのが苦手な青年。その性格に付け込んだように仕事を押し付けられ、仕事を辞めてやる!と思っている。そんな彼はある日とあるゲームを自身の荷物の中から発掘。RPGで、主人公の仲間だと思っていた聖騎士が実はラスボスで…、という内容のゲームを何周かしたところで、彼は突然そのゲームの中にトリップしてしまい―?

というお話。

突然トリップし茫然とする彼だったがはじめは「これは夢だ」と思う。
が、もしかしたらほんとにゲームの中にトリップした?と気づき…。

そしてそこで彼はゲームと同じ内容をたどっていくわけですが。

最近、こういうゲームの中にトリップする、という内容のものって多いですが、個人的にはゲームはほとんどしないので今一つ話に入り込めないんですよね。ゲームをされる方ならもっと違う読み方をされるのかも。

織人はゲームの流れそのままに、聖騎士団の副団長のシルヴィスと出会い、そして魔物討伐をしたりしていくわけですが、織人にはシルヴィスがどういう立ち位置の人で、これからどういう経緯をたどるのか、ということを知っている。ゲームそのままの設定でありストーリーだから。

闇落ちしラスボスと化すシルヴィスと、そのラスボスを倒す存在なのが織人、という展開なので、織人とシルヴィスはいうなれば相反する立場。そのシルヴィスと織人の恋の行方は―?という部分を軸に進むストーリーです。

まずシルヴィス。
彼がカッコいいです。とっても。
神の加護を受けた聖騎士団員。強く美しく、そして優しい。
そんな彼の素の姿が可愛くってギャップ萌え。そして彼が抱える孤独にも。

織人は、まあ「ずるい」んですよね。
だってシルヴィスがどういう人で、これからどういう行動をとるのか、ということをゲームを介して事前に知っているわけですから。シルヴィスが望むものや、どうすれば彼を救うことができるのかその答えを、織人は知っている。

が、そううまくいくはずもなく奮闘する織人という青年がまあ可愛いのなんのって。弱気で、人からは下に見られる、というと語弊があるかもしれませんが、とにかく自分でどんどん行動して行くタイプの青年ではありません。その彼がシルヴィスのために奮闘し、少しずつ逞しくなっていく過程がカッコよくって萌える。

人々からの期待、今は亡き兄への複雑な思い、そういったものを抱えたシルヴィスが闇落ちしてしまうのか?、という部分がベースにあるので若干シリアスさはありますが、全体の雰囲気としてはコミカルでほのぼのです。織人、シルヴィスのパーティに加わるリリアーナとグレゴリーがいい味を出していることもありますし、シルヴィス×織人の掛け合いが楽しいこと、そして彼らを取り巻く周囲の人たちが非常に優しいからかな。

シリアス過ぎないので、さらりと読める可愛らしい1冊でした。
シルヴィス×織人の2人の掛け合いはとっても可愛いのですが、一転、閨のシーンになるととんでもなくエロいです。ページ数は多くはありませんがまっさらな織人を快楽で堕とすシルヴィスがとってもエッチでした。そのシーンをサマミヤさんの美麗挿絵が飾るという眼福さ。

コミカルで、シリアスで、でも二人の深い愛情もきちんと描かれているバランスのいい作品でした。

めちゃめちゃ可愛らしいストーリー。

タイトルについた「魔王様」の言葉から、もしかしてファンタジーもの?と思いつつ手に取りましたが、現代日本が舞台のお話。海野作品は懐の広い大人な攻めさん、が多い気がしますが、今作品庫そのイメージを損なうことのない大人な攻めさんが登場するお話でした。





悠真は現在ゲイバーで店員として働く可愛らしい青年。
24歳だがその年に見られることはまずなく、可愛らしい風貌から儚く優しい性格だと人から見られるが、中身は豪胆な青年だ。

そんな彼は、ある日働いているバーで一人の常連客に仕事が終わったら話がしたい、と声をかけられる。その客は見た目が強面で、バーのスタッフたちから「魔王」というあだ名がついている男性だった。断る機会を失ってしまった悠真は、仕方がなく指定された公園に赴くが―?

というお話。

魔王、もといその常連客の峰守さんは、実際に話をしてみるとそのビジュアルからは予想外ともいえる可愛らしい内面を持つ男性だった。動物が好きで、甘いものが好きで、そして優しくて。そんな峰守さんに少しずつ惹かれていく悠真だったが、峰守さんはなかなか手を出してこない。そんな峰守さんの本音を知りたくてあの手この手で迫る悠真だったが…。

可愛らしいビジュアルとは裏腹に豪胆な中身の悠真。
強面で魔王というあだ名がつくほどのお顔をしているのに中身はめっちゃキュートな峰守さん。

見た目と中身のギャップに悩む男性たちの恋のお話。

視点は悠真で、なので読者は悠真の感情によって読み進める形になりますが、悠真の目を通して見えてくる峰守という男性がめっちゃ可愛いの。強面のビジュアルと相反するように可愛いもの好き、ってBLでは珍しくないストーリー展開ですが、そのギャップだけではなくって、峰守さんは本当の意味でも大人の男性なんですね。強く、優しい。

悠真は自身の見た目と中身のギャップに悩んでいますが、その本当の意味に気づくことになるのは、紛れもなく峰守さんの存在あってのことだったなあ、と。自分を好きになることができて本当に良かった。

ベースとしては非常にコミカルなんですね。
峰守さんの見た目の怖さだったり、その見た目に相反するような可愛らしさと誠実さだったり、二人のちょっと噛み合わないやり取りだったり、非常にほのぼのなお話なのですが、そのほのぼのでコミカルな中に、きちんと己と向き合うことの難しさとか、本当の意味で大人になっていく過程が描かれているので、コミカルなだけではないし、切ないだけでもない、非常にバランスのいい作品でした。

で、小椋さんの挿絵が可愛い!
今作品の持つ世界観にぴったりで、萌え度は確実に上がりました。

今作品がデビュー作?

あらすじに書かれた「! ! ! 大注目のデビュー作! ! ! 」という文句に惹かれてお買い上げ。デビュー作、なんですよね、今作品が。めちゃめちゃ高い画力で、正直びっくりしました。

ということでレビューを。ネタバレ含んでいます。ご注意ください。





青柳理一、27歳。
クールな美貌を持つ彼はホテルチェーンを筆頭に幅広い事業を手掛ける桃源財閥専属のボディガード。彼は創始者のひ孫であり跡継ぎとなる信康の幼少期からずっとそばにいて守り続けてきた有能なエージェントだ。常に冷静沈着、クールな対応から「氷の男」と呼ばれている。

そんな彼はある日、警護室室長から一人の新人の教育係を任されることに。
橘という名のその新人はとにかく自由気ままな性格。もらった給料をすぐに使い込んでしまい、家を借りる金銭にも事欠いているという。家を借りられない橘を引き受ける形で、渋々自分の家に居候させることになってしまった理一だったが―?

というお話。

このお話は上下巻まとめて同日発売になりましたが、2冊完結ものということでバックボーンもてんこ盛り。

まず、その一つとしてあるのが「氷の男」と称される理一の素の顔。
麗しいビジュアルに有能なエージェント、そして常に信康ファーストで仕事の鬼。が、そんな華々しい表の顔の裏は、なんとまっさらさん(DTかつ処女)という美味しい男性。

そしてそんな理一にグイグイと踏み込んでいくのが新人エージェントの橘。
強くボディガードとしては有能だが、彼の素性はどう探っても得ることはできないというミステリアスさを秘めている。かと思うと、本人はいたって明るく破天荒。遊び好きで手の付けられないやんちゃな坊ちゃんである信康を早々に手懐けてしまう、そんな人懐っこさも秘めている。

橘は実はどこかの御曹司だったりする?

そんな予想を立てつつ読み進めました。

まっさらさんゆえに無自覚に色気を振りまく理一に理性ぶった切られた橘がキスを仕掛けたり(この時の理一の腰砕けっぷりがけしからんエロさです)、やんちゃでとんでもないクソガキだと思っていた信康が実は非常に可愛らしい子だったりと二転三転しつつ進むストーリー展開が実に秀逸でした。

綺麗な絵柄に引き込まれるストーリー展開。
これがデビュー作?と驚く秀逸さを孕んだ作品でしたが、それゆえに気になって仕方がない部分も。

理一は信康ファーストで有能なエージェント。
という設定でありながら、仕事中に橘とのあれやこれやを考えて仕事がおろそかになる描写が多く、めちゃめちゃ気になりました。むしろ、橘視点で、あれやこれやを理一に仕掛けているのにも関わらず理一は仕事中は橘とのプライベートはガン無視、の方がストーリーに一貫性があった気がしました。

あと、社長室勤務の佐久間さん。
ナイスガイが多く登場する今作品においてめちゃ嫌な奴で、異色の存在でしたね。まあ、いやな奴がいた方がスパイスが効いて良いんですけれども。

が、言葉と経験値が足りないが故にすれ違っていく橘×理一の二人のグルグルっぷりが可愛い。そして橘という男性の素性は一体…?という謎がどんどん深まっていく上巻でめちゃめちゃ面白かった。

上巻は橘と理一の2人の想いがくっつくまで。
そして橘の素性が分かるところまで。
そこで次巻に続く!になるので、上下巻まとめて買われることをお勧めします。

二転三転する「転生もの」のストーリー

作家買い。
笠井さんの描かれた美麗なイラストが表紙を飾っていますが、受けさんのシャツがはだけていることと攻めさんの手が股間に突っ込まれていることからリアル書店ではちょっと買いづらい、かもしれません。

タイトルは『転生オメガバース!』ですが、今作品の前半に収録されているのは『幕末オメガバース!』。後半半分が『転生オメガバース!』の2段階のお話です。
「幕末」、「転生」そして「オメガバース」。
この三つの因子が上手に絡んだお話でした。ネタバレ含んでいます。ご注意ください。



『幕末オメガバース!』

時は幕末。
開国を迫る黒船に対抗し続けてきたが、南虎藩の寝返りに会い幕府は政権を西都の帝に譲り渡すことに。大きな時代のうねりの渦中で、幕府派と新たな帝派には小競り合いがそこかしこで起きており、放火や暴動も起きていた。それに対抗すべく奮闘しているのは幕府側の白羽家の嫡男・菊夜叉。

菊夜叉はオメガ。本来ならば権力者たちの側室になるオメガであるが、武士の家に生まれついた者として武士として生きたい。そう願い武芸に勤しんできた菊夜叉だったが、時代の変動は皮肉にも彼に味方することに。武士として、都で暴徒と化す帝派の面々を拿捕しようとしていた。

が、ある日菊夜叉は南虎藩の3人の男たちに拉致されてしまう。
そこで、その3人のうちの一人、叢雲に、「自分の番になって欲しい」と懇願され―?

というお話。

叢雲は南虎藩の人間。そして、アルファでもある。
そもそも南虎藩の叢雲は菊夜叉が拿捕したいと思っていた敵方の人間なんですね。が、単にそれだけではなく、二人の間にはもっと深い因縁があってー。

叢雲は菊夜叉が自分の運命の番だと言い張る。
けれど、そんな言い分は菊夜叉には関係ない。オメガだからという理由でアルファに搾取されるだけの人生はまっぴらだと突っぱねる。が、菊夜叉の身体は良しとは無関係に叢雲に惹かれていくー。

「運命の番」という言葉で二人がくっつく、というストーリー展開であるならばなんと陳腐なことか。

そう思いつつ読み進めたのですが。

いやいや。
さすが宮緒先生。
そう来るか―!という斜め上を行くストーリー展開でした。

宮緒作品らしいワンコというか執着攻めさんのお話ではあります。
叢雲はどうしても菊夜叉を手に入れたいと願い行動しますが、菊夜叉を番にしたい人物が他に二人いて、そのため叢雲の菊夜叉への行為(というかセックス)は非常にねちっこい。菊夜叉を取られまいとする思いからくる行動ではありますが、そのためエロ度はやや高めの作品です。

さらに最高なのが、菊夜叉という青年がクソがつくほどカッコいい。
アルファに手籠めにされそうになっても心まで屈しない。まさに尻で抱く、を地で行く青年です。常に相手を支配するのは己なのだと。身体を凌辱されても、それでも屈したわけではないと。儚いビジュアルとのギャップに萌えが滾りました。

見た目は豪胆、でも菊夜叉に嫌われたくないともじもじする叢雲も可愛すぎて最高か。

で。
ええ、タイトルは『転生オメガバース!』ですから。
『幕末オメガバース!』だけで終わるお話ではありません。

「転生」という言葉通り、叢雲と菊夜叉は転生して、そして出会い―。
というのが後半の『転生オメガバース!』のお話になります。

『幕末~』の結末が曖昧なまま終わっていて、あれ、どうなったのかな?と思う終わり方をしていますが、それも『転生~』を読むとストンと理解できるストーリーになっていました。

転生した二人は高校生として出会いますが、まあ宮緒作品ですから。
はい、出会って、恋をして、幸せになりました。
という展開ではありません。
二転三転しつつ進むストーリー展開で、最後までどうなるのかハラハラしつつ読み進めました。

ストーリーも面白かったですが、笠井さんの挿絵が美しい…!
儚くも強く逞しい菊夜叉と、獰猛で、けれど菊夜叉ファーストを貫く叢雲の野性的な美しさをきちんと描き切っているところはさすがの一言。

できれば、「あの二人」のお話も描いてほしいなあ。
ドロンドロンな二人のエグイお話を、正座してお待ちしております。