ポッチさんのマイページ

神作品

PREMIUM レビューアー

女性ポッチさん

レビュー数2

ポイント数51

今年度41位

通算--位

  • 神1
  • 萌×21
  • 萌0
  • 中立0
  • しゅみじゃない0
  • 絞り込み
条件

指定なし

  • レビューした作品
  • 神作品
  • 萌×2作品
  • 萌作品
  • 中立作品
  • しゅみじゃない作品
  • 出版社別
  • レーベル別
  • 作品詳細
  • レビューした著者別
  • レビューした作画別
  • レビューしたイラスト別
  • レビューした原作別
  • レビューした声優別
媒体

指定なし

  • 指定なし
  • コミック
  • 小説
  • CD
  • DVD
  • ゲーム
  • 特典
発売年月
月 ~
レビュー月
表示モード

読みごたえのある作品。

作家買い。
村崎さん作品はファンタジー色が強いものが多いなと思っていますが、今作品もそのイメージを損なうことのないファンタジー作品でした。

何しろ、タイトルにご注目。
「人生七周目の予言者」が主人公だからして。人生七周目、ってどゆこと?
と思いつつ読み始めました。





主人公は薬師のルカ。
薬師として村人たち薬を提供はするものの、彼は予言者として名を馳せている。
これから起こる事故や災害、そういったものをぴたりと言い当ててしまうのだ。ルカの美貌と相まって名が広まっていくが、ルカ自身は注目を集めることなくひっそりと生きていきたいと願っている。

ここでポイントになるのが、「なぜルカは未来を言い当てることができるのか」という部分。タイトルの「七周目」というところから推測できるように、彼は25歳の誕生日を迎える前に早逝。死んでは「同じルカ」として生まれ変わってきているのだ。しかも、地こそ違えど、同じ国に。だから…、と話は続きます。

25歳の誕生日を迎える直前に自分は死んでしまうということを思いだしたルカは、なんとか25歳の誕生日を迎えたいと願う。そして、7周目の今人生で、彼は自分が死に至る際に、王弟のウィルフレッドと関わりができる…、というところで己が死んでいたことを思い出す。ウィルフレッドに関わりを持たずに生きていこう。そう決心しているルカだったが…。

生まれ変わりとか、転生、というお話は多くあれど、「ルカ」の人生を、時を巻き戻すかのようにして何度も生まれ変わるという斬新な設定で、読み始めてすぐに一気にこの作品の持つ世界観に引きずり込まれてしまいました。

ルカはなぜ「ルカ」として生まれ変わるのか。
なぜ25歳の誕生日を迎えることができないのか。
ウィルフレッドと関わりを持つと(前の人生ではウィルフレッドに会ったことはない)死んでしまうのはなぜか―。

と、多くの謎を孕んだ作品です。

前世のルカの記憶、という部分を頼りに彼は先読みをしているわけですが、もちろんすべてを知っているわけではない。王族に絡んだ事項については、ルカは接点がないので知りようもない。

が、全くかけ離れていたと思われていたルカと王弟のウィルフレッドに、意外な接点があって…。

今作品の面白さは、ルカの転生、生まれ変わりの理由にあるかと思われます。
きちんと伏線が絡められていて無理がない展開になっていて非常に読みごたえがある。そこに、ウィルフレッドとルカの恋の行方が絡み、二転三転しながら進むストーリーでめちゃめちゃ面白かった。

そのストーリーに、小山田さんが挿絵をつけてくれているという眼福さよ。
ルカの中性的な美しさも、ウィルフレッドの硬派なカッコよさも、きちんと描き切っていて萌えが爆上がりしました。

キャラがまた等しく魅力的。
ウィルフレッド、ルカの二人はもちろんのこと、ウィルフレッドの兄で現国王でもあるエリス、エリスの娘のシャーロット、みんな温かく、そして優しい。ウィルフレッドに至っては王弟というハイスペック男子でありながら、ルカの一挙手一投足に翻弄される可愛さもある。

読み進めるごとに伏線が繋がっていく、そのストーリー展開の手腕に圧倒されました。あ、あれはこういう意味か―!と何度思ったことか。

非常に面白く、読みごたえのある一冊。
キャラ良し、ストーリー良し、挿絵良しの、文句なしの神作品でした。

最高過ぎて。

待ちに待った『囀る~』の8巻目。
7巻は黒を基調にした百目鬼のイラストで、カッコよすぎて萌え禿げましたが、8巻はグレーを基調にした矢代さんのイラスト。色に意味があるのかなあ…。ヨネダ作品は伏線がとにかくすごいので、いろいろ深読みをしてしまいます。

ということで本誌のレビューを。

百目鬼を、堅気に戻してあげたかったのだと個人的には解釈していますが、手放した矢代さん。が、その思いとは裏腹に百目鬼は桜一家に属していた。4年という月日を経て、再び出会ってしまった二人。

偶然利害が一致して共に行動することが増えたけれど。
矢代を「お頭」と呼び一心に慕っていた百目鬼の姿はそこにはなく。
すれ違い、交わることのない二人の姿に胸が痛む。

自分の身体を武器に多くの男たちを手玉に取ってきた矢代さんですが、百目鬼と再会して変化を見せはじめた、気がしました。前巻で網川さんに「人は変われるのか」という問いを受けたとき、矢代さんは「変わるもの」と返しました。

それが今巻に繋がっているのかな。

ちなみに前巻で描かれていた仁姫誘拐事件。
それが、今巻に繋がっています。ヨネダさんは一体どこまで見通して作品を書いているのかと、いっそ感心します。

そして、矢代さんと百目鬼の関係も。
「あの」矢代さんが百目鬼との距離を測りかねている姿に切なさがグーッと湧き上がってきました。『囀る~』って、個人的にあまり好きじゃないキャラってそう多くはないのですが、その数多くないヤな奴キャラの一人・井波。ホントあいつ嫌いだわー。天罰が下ればいいのに。

子どものころから母親の夫にレイプされ続け、それ以降は男に抱かれないと快楽を感じないようになり。そして今。井波のせいで、また矢代さんは。

でも、矢代さんが壊れたトリガーを引いたのは、百目鬼なんじゃないかな。
もちろん彼が悪い、ということではなくて。

リンゴを齧ったイラストがあります。
知らなければ、ずっと知らずにいられた。
けれど百目鬼と出会い、彼に愛され、矢代さんは「愛」というものを知ってしまった。自分の欲しいものが何なのか、分かってしまった。
リンゴを齧った後のように、矢代さんは、知らなかった時には戻れない。
だから、百目鬼との距離感も測りかねているし、インポになっちゃったんじゃないかな。自分が本当に触れて欲しい人は誰なのかを、矢代さんは感覚として理解してしまったのだと。

そんな風に思いました。

で、ですよ。
百目鬼―!
「彼女」はなんなん。あんなにおぼこくて、頭しか知らなかった君が、あんなにスマートに服を脱がし身体に触れる。そのしぐさ一つで、矢代さんも女性の存在に気付いた。

BLにおける女性の存在って嫌いではないですが、んー、あの描写は哀しかったな。不穏な空気は間違いなく漂っているので。ただ、百目鬼に限って…、とは思うんですよね。

矢代さんが、百目鬼にとって「お頭」ではなくなって以降、百目鬼の矢代さんに対する仕草がグッときます。最後のシーンなんか、もうもう…!百目鬼の怒りを、矢代さんが感じる五感で読者に魅せる。さすがです、ヨネダさん。矢代さんが他の男と性的な接触をすることを良しとしないのは、理由は一つしかないと思うので。

すれ違う二人にモダモダしつつ、でも矢代さんを幸せにしてくれるのは百目鬼しかいないので、そろそろ幸せになって欲しい!

と思いつつ、次巻を待ちたいと思います。

ぜひとも手に取っていただきたい特典。

アニメイトさんで、『「高嶺の花は、乱されたい(2)」 アニメイト限定セット』を購入するとついてくる特典小冊子です。有償特典なので、本代とは別に363円(税込み)は必要ではあるのですが、本誌で描かれている出来事の裏側を描いた内容になっていて、これはもうぜひ読んでいただきたい!と思ったのでレビューを書こうと思います。

本誌の内容にも触れたレビューなので、注意されてください。





16Pの小冊子ですが、中身は漫画です。
時系列は本誌でハナちゃんがスターニャックスの本社で社員登用研修を受けるタイミングでヒートを起こしてしまったとき。

連雀さん以外のアルファを拒絶していたハナちゃん、を助けに来てくれた連雀さん。というカッコいいシーンを、連雀さん視点で描いたお話です。

ハナちゃんの上司の吉野さんから、ハナちゃんがヒートを起こしたことを聞いた連雀さんは…。

という内容なのですが。

漫画のタイトルが「高嶺の花に誰?って言われるまで」。
そのタイトルから推測できるように、本誌101Pに続くところまでが描かれています。

連雀さんの、ハナちゃんに向ける愛情がこれでもかとたっぷり詰まっている内容で、めちゃめちゃ萌えました。ハナちゃん、愛されてるね。

このエピソードが本誌に収録されていないのはもったいない!
ラブ&エロ、そして最後のオチがまた良い。
ぜひとも多くの方に読んでいただきたいなあ、と思う素敵な内容でした。

優しさと温かさが詰まってる。

作家買い。
小鉄子さん作品はファンタジー色が強いものも多いですが、今作品もどちらかというとファンタジーに分類されるのかな?





主人公は西園寺商事の社長の子息・誠。
彼は淡い恋心を抱いている人物がいる。西園寺商事で、入社2年目という若さでありながら有能で社長秘書を務めている東くんだ。一度社内ですれ違ったことがあり、その時に一目惚れしてしまった。

とはいえ、相手も自分も男。
自分の恋心の成就は求めていない。

が、本社に戻った誠に秘書としてあてがわれたのは、その東くんだった。あまりの嬉しさに双子の妹・真実にそのことを告げると、真実は兄の恋を応援しようとある「こと」をし始め―?

というお話。

あらすじにも書いてはあるのですが、激しいネタバレを含みますので少し下げます。お嫌な方はここでストップされてください。


********************************





真実は誠に瓜二つのぬいぐるみ(「誠ちゃん」と命名)を作り、誠がネガティブな感情を抱いたときには、誠の意識が誠ちゃんの中に入り込んでしまうというまじないをかけたのだった。

バリバリファンタジーですが、そのファンタジーさをまるで本当に起こり得そうなことのように錯覚を抱かせ読ませる手腕はさすが小鉄子さんといったところか。

硬派な攻めさん×攻めさんが大好きで性格良しの可愛い受けちゃん、て小鉄子作品ではテッパンと言えるCPですが、今作品もそのイメージを損なうことのないCPのお話でした。

東くんはイケメンなうえに優しいし、素の性格は豪胆でカッコいい。
小鉄子作品のカッコよい攻めさんが大好きなのですが、今作品の東くんという攻めさんもドツボに突き刺さるイケメン(見た目も中身も)でした。
誠の方も社長令息というハイスペック男子ながら傲慢なところは一切なく素直で優しい男の子です。

さらに二人を取り巻く周囲の人たちも優しく温かいので、東くんと誠の恋の成就だけに焦点を当てて読むことができます。スーツでびしっと決めている東くんがぬいの誠ちゃんをポケットに入れている姿にギャップ萌えです。

どこをどう切り取っても、カワイさと温かさと優しさがみっちりと詰まった1冊。
小鉄子作品はほぼほぼ読んでいますが、その中でもとても好きな作品になりました。続きが今から待ち遠しいです。

ハナちゃんの可愛さにKO

『高嶺の花は、乱されたい』の2巻目。
『高嶺の花は、散らされたい』で恋人同士になり、『高嶺の花は、乱されたい』の1巻で登場したハナちゃんの両親のクソさに胸が痛くなり、そこから続くお話です。

母親から連雀さんとの付き合いを反対されメンタルボロボロのハナちゃんは連雀さんに首を噛んでほしいと切望するが―。

2巻では連雀さんのうちに秘めた想いが透けて見えてくるようになりました。連雀さんがハナちゃんの首を噛まない理由は?

まだその理由については描かれていません。
ちょいちょいと、連雀さんがオメガに対して複雑な思いを抱いているのだろうということは見えてきますが、まだまだ焦らしプレイ続行中であります。

ということで、2巻のメインは「当て馬くん、登場!」という部分でしょうか。

母親に、いわばだまし討ちのように連れて行かれた先で、ハナちゃんはお見合い相手と引き合わされてしまう。連雀さんラブのハナちゃんはきちんとお断りして帰ってくるが、その後意外な場所で、そのお見合い相手・鷹司さんと再会してしまいー?

と話は続きます。

えっとですね、この鷹司という男性がですね、

良い!
めっちゃ良い!

左京作品なのでイケメンさんなのが当たり前なんですが、何やら腹黒ぽくて良い。
彼が何を考えてハナちゃんとのお見合いを受けたのか、その理由も気になります。

ストーリーとしてはややシリアス展開ですが、ハナちゃんがとにかく可愛くって堪りません。連雀さんへの想いが溢れてくるハナちゃんを見ているだけでこちらもほこほことした気持ちになります。所々で描かれる、ハナちゃんの連雀さんおパンツへの執着心が健在なのも良い。

そして連雀さんも。
口では辛辣なことを言いながら、常にハナちゃんファーストなのが読み取れる。それなのに、いや、だからこそか?なぜハナちゃんの項を噛まないのか、その謎がクローズアップされてくる感じ。彼の過去編が待たれます。

ハナちゃんの、連雀さんラブ、から見えるハナちゃんの執着心は可愛いし、連雀さんのえっぴ(ハナちゃん命名)なところも素敵すぎるし、どのページをめくっても萌えとラブしか詰まってない。

当て馬・鷹司さんとの今後、連雀さんのオメガへの想い、そして、二人の恋の行方。続きが早く読みたい!

あ、あとアニメイトさんのアニメイト限定セットについてくる小冊子。
あれ、本編に入れてほしかった。読める人と読めない人がいるのは残念な気がしました。
これから買われる方には、ぜひともアニメイト限定セットを買うことをお勧めしたいです。

何から何までパーフェクトな神作品。

作家買い。 
しかも草間さんが挿絵を描かれているということで発売日を心待ちにしていました。
尾上作品はほぼほぼ読んでいますが、毎回泣かされます。けれど、今作品ほど温かな涙が流れたのは初めてかも。切なく、けれど温かく優しいお話でした。

ネタバレ含んでいます。ご注意ください。





主人公は駆け出しの画家・桂路。
実家は大企業を営む富豪だが、両親の敷いたレールに乗ることを拒否し画家を目指す青年。しかも母親にゲイバレし、以来実家とは距離を置いてバイトをしながら画家としての成功を夢見ている。

そんな桂路が唯一心を許していた家族は彼の兄の麒一郎だった。
画家を目指す桂路の夢を応援してくれていた優しい兄。が、その兄が病死。遺産相続争いをしたくない桂路は、麒一郎の優秀な秘書である緒川が差し出した書類に、ろくに目を通さずにサインと押印をするが、兄から「意外なもの」を相続することになってしまいー?

ごめんなさい、ちょっと激しいネタバレがあります。少し下げますので、お嫌な方はここでストップされてください。





*************************************

麒一郎が桂路に託したのは、彼の秘書見習いの慧という青年の存在だった。

いやいやいや。
どゆこと?

と、慧という青年の存在について疑問符が頭の中に一杯浮かんでしまいました。読み手のその謎を、桂路と共に解き明かしていく手腕で、いったいどうなっていくのかとページをめくる手が止められませんでした。

慧という青年は薄幸な子ども時代を過ごしています。気の毒に思った麒一郎が、慧を引き取り、衣食住を、そして名前さえも与え、そして育ててきた。が、己の死期を悟った麒一郎は、自分亡きあと、慧を桂路に託した。

のだと、そう思いつつ読み進めました。

が、さすが尾上先生です。そんな浅いお話ではありませんでした。

慧という男の子は、両親から虐待を受け続け、愛情も、満足な食事も、そして人としての尊厳すらも与えられてこなかった。そんな慧を不憫に思い、慧を一から育てたのは麒一郎。けれど、人間は、生きていくうえで困ることのない衣食住だけでは、人にはなりえないのだと。麒一郎は愛情を与え衣食住を与え、けれど出来上がったのは慧という青年の入れ物だったのかな。

その中に、何を満たしていくのか、何色をつけていくのか、という部分によって、初めて人は人たらしめるのだと。それを補うのに足りる人物として麒一郎が選んだのが、桂路だったのかな。

そんな風に思いました。

そして桂路の方も。
己の足で立ち、目標を見つけた彼が、けれど欠けていたもの。

桂路と慧は出会い、試行錯誤しながら、お互いにお互いを埋めるべき唯一無二の存在になっていったのだと。その過程がめちゃめちゃ温かくて良い。

慧は壮絶な過去持ちさんで、ドシリアスなバックボーンを孕んだ作品ではあるのですが、全体的なバランスとしてはコミカル寄りです。その大きな理由の一つとしてあげられるのは、慧という男の子の中身。過酷な過去故、彼はいい意味での「普通」を知らない。知らないからこそ引き起こされる出来事がめっちゃ可愛いし笑いを誘います。そこに慧を愚弄する意図は全くないので、ただただほっこりします。麒一郎さんが愛情を与え作った慧という入れ物に、カタチの違う愛情を注ぎ続け、麒一郎さんが埋めた芽を芽吹かせたのは桂路だったのだと。ナイスな兄弟たちが繋いだ愛情のバトンが、きちんと繋がっている。

慧に惹かれている想いを自覚した桂路の行動も可愛い。
彼は駆け出しの画家という設定ですが、それがきちんと生きているストーリー展開なので、話が上滑りせずに奥行きを与えている感じなのも良い。

慧は血縁者にこそ恵まれませんでしたが、麒一郎さん、そして桂路が彼を温かくサポートしていくので、そこも心が温かくありました。そして何より有能な秘書さんの緒川さん。

いやー、彼が最高過ぎるイケオジでした。
そうくるかー!

シリアスさをベースにしながらも、「自分」を見つけるために模索し、そして大切なものをつかみ取っていく、成長物語でもあり、何より人の温かさがじんわり染み入ってくる良作。

草間さんの麗しく温かな挿絵も素晴らしかったし、控えめに言って最高過ぎる、そんな1冊でした。

Devil Life コミック

SHOOWA 

SHOOWAさんらしさがたっぷり詰まった1冊。

作家買い。
SHOOWAさんと言えば、コミカルなものからシリアスなものまで描かれる引き出しの多い作家さまですが、「SHOOWA」という作家さまの真髄、と言っていいんじゃないでしょうか。今作品はそのどれもが上手にミックスされたバランスの良い作品でした。





ソロモン王に封印された悪魔たちがいる。その数、72体。
そのうちの一人・68番目の悪魔のベリアルが封印を解き脱走。ベリアルを手助けしている、同じく封印されていたオセと共に。

ベリアルを再度封印すべく、ソロモンはマルコシアス(愛称はマル)と共に捕獲に挑むが―。

旧約聖書の、古代イスラエルの王・ソロモンの使役する72の悪魔を著した「ソロモン72柱」を軸に紡がれていくお話です。それぞれのお話に数字が振られていますが、その数字は、登場する悪魔を示しています。

ソロモン王、とか、封印された悪魔、とか。
ワードだけをとらえるとちびっとシリアス系のお話?と思いますが、SHOOWAさんらしいコミカルさを孕みながら進むストーリーで、どちらかというとコミカル寄りなお話に仕上がっています。

半分くらいまでは悪魔たちとのドタバタコメディを呈した展開ですが、後半半分は「Devil Life 35」。35番の悪魔はマル。ということで、マルとソロモンの二人のお話に移行していきます。

二人の過去の回想からスタートします。
ソロモンとマルの繋がり。過去。そして、二人の相手への想い。
前半のコミカルさはどこへ?といった感じ。でも、それが良い。SHOOWAさんさんの描くそこはかとなく漂うシリアスさがめっちゃツボなのでどんどん引き込まれてしまいました。

ソロモンの抱えるもの、マルのソロモンへの想い。
2人が出会い、だからこそ生まれた繋がりが切なくて、でも萌える。

ソロモンは悪魔を使役するうえでキスしたり身体の関係を持ったりしますが、マルとは身体の接触はありません。そこがいい。彼らは使役する人・される人、という繋がりですが、セックスをする関係ではないからこそ、彼らの関係や愛情の、その中身が見えてくる感じ。

SHOOWAさんらしいコミカルさも、切なさも、シリアスさも含み、さらにSHOOWが描くイケメンさんたちがとにかく眼福で満足度120%です。

甘くて、優しくほのぼのなお話が読みたいときは不向きかも。
けれど、甘々なだけではないストーリーだからこそ、二人の間の絆と信頼関係が見えてくる。

めっちゃ最高な1冊でした。
続編プリーズ。正座して、お待ちしております。

糖度120%、エロも120%。

作家買い。
タイトルに「2」とついているところからもお分かりになると思いますが、『はかなげ。』の2巻目。1巻未読だと理解できません。未読の方はそちらから読まれることをお勧めします。

で。

しうこさん作品は時にドシリアスで痛い作品もありますが、今作品はもうもう…!っていうくらい甘々な作品でした。坊ちゃんが可愛くって美しすぎてヤバいです。過去にはとんでもないクソガキだったのに(いや失礼)、篠田の教育と愛情の賜物ですね、はい。

お互いの想いを隠さないようになった二人ですが、でも、周囲の人たちにカムアウトするか否かはまた別のお話でして、とくに坊ちゃんは極道の息子なわけで、篠田は坊ちゃんの教育係だったわけで、その辺りはどうすんの?というお話でした。

坊ちゃんの父親という人は割とクソ男として描かれていたので、坊ちゃんが傷つくことになったら嫌だなあ、と思いつつ読み進めました。結末はぜひとも手に取って確認していただきたいです。

『大本気。』の爽くん×迅の二人も登場していますが、こちらも安定の甘々っぷり。遊馬と上手に絡ませ登場させる展開の仕方はさすがしうこさんといったところか。二人のおっさんズたちが手玉に取られた感がめちゃんこ可愛くって微笑ましかった。

最後に『アブナゲ。』の大樹×赤石さんのお話も収録されています。
しうこ作品の「○○気。」シリーズが大好きなので、こうして時々彼らに会えるのは嬉しい限りですが、3CPともとにかく糖度の高いお話になっているので安心して読めました。坊ちゃんの身体を心配しつつ、暴走してしまう篠田さんが特にお気に入り。

あともう一人のツボキャラが、弁護士Jrの中条さん。彼にもぜひとも「○○気。」シリーズの仲間入りをしていただきたい…!

甘々に、さらにしうこさん×ジュネット、ということでエロもてんこ盛りです。美しすぎる絵柄に、甘々とエロエロがこれでもかと詰め込まれた1冊。とっても満足度の高い1冊でした。

色々な愛情に満ちた、温かな1冊。

『星空を見つめたそのあとで』の2巻目。
続きものなので前作未読だと理解できません。1巻未読の方はそちらから読まれることをお勧めします。

車いすユーザーであるというハンディキャップを乗り越え恋人同士になった冬吾×すばる、のその後のお話です。


くっついた後のお話って、浮気疑惑とか、当て馬くん登場とか、別れの危機とか、そういう展開になるものも多い中、今作品はそんな余計なものは一切含まれていません。冬吾とすばるの、信頼、愛情、そういったものが日に日に深くなっていく。その過程に焦点を当てて描き切った作品です。

すばるは車いすを使っていて、日々の生活で不便を感じることも多い。
多いけれど、それは不幸なことでは決してなくて、車いすを使っていても生活しやすいように住居を構えればそれはハンディキャップではなく彼の「個性」になっていくんだなあ、としみじみ思いました。すばるのためにその環境を整えようとする冬吾の深い愛情が胸にじんわりと染み入ってきました。

そして、彼らを語るうえで外せないのは、彼らの家族、友人たちの存在。
2人を温かく見守る周囲の人たちの温かさも、めっちゃ良かった…。

男同士の恋であること、車いすユーザーであること。
それは人によっては障害になりえるが、反対に、それを受け入れ当たり前のように思う人たちの中では、それは障害ではないのだと。

今作品は「星空」がテーマになっていますが、2巻に入ってもそこにブレが無いのも良かった。

冬吾×すばるのお話なので、ベースは恋愛が軸にはなっていますが、様々な愛の形を描いた秀作。1巻が凄く良くて、2巻はどうだろう、トーンダウンしちゃうかなあ…、と少し危惧していましたが全くの杞憂に終わりました。

2巻もめちゃめちゃ良かった。
読後、胸がほっこり温かくなる、そんな愛情に満ちた1冊でした。

ストーリー良し、キャラ良し、挿絵良しの文句なしの神作品。

滝沢さんの新刊は中華風ファンタジー。
中華風。ということで、パンダですよ、パンダ。滝沢さん作品に奈良さんが挿絵を描いてくださっているという神コンビに加え、奈良さんの描かれた表紙のパンダにKOされつつお買い上げ。

ネタバレ含んでいます。ご注意ください。




主人公はワン・ルイ。
宮廷で道士として働いていたが、今は小さな村で仙術と生薬を仙薬を作り、それを村人たちに渡すことで生計を立てて暮らしている26歳の青年だ。

そんな彼がいつも思い出すのは宮廷で友人だった武官のサーシェンという男。
身にまとう衣類で低い身分だとわかるサーシェンは、ふらりとやってきてはルイの作る粥をうまいと言いながら食べてくれた男。友人のいないルイの唯一の友達だった男。

彼に何も言わずに宮廷を去ってしまったことを寂しく思うルイだったが、ある日、ルイの住む村にやってきた皇太子は、そのサーシェンで…?

と、序盤はやや既視感ありありな展開で始まります。
孤独で薄幸な青年と、彼を想っているのであろう高貴な身分を隠して接していた攻めさん、といった構図です。

が、ここから怒涛の展開を見せます。
サーシェンがルイに託したのは、言葉を話す子パンダ。
サーシェンの愛人のふりをしながら、子パンダがなぜ人語を話すのか調べて欲しい。というものだった。

え、え、なんて?

と、頭の中に?マークがいっぱい飛び交いながら物語は進んでいくのですが。

ルイが道士になった理由、彼に友人がいなかった理由、サーシェンが身分を隠して宮廷の中を動いていた理由。それが、人語を話す子パンダ(「スー」という名前があります)の謎解きと上手に絡みながら進むストーリー展開が秀逸です。

ルイという青年は薄幸青年と言っていいでしょう。
親はなく、優秀な道士として芽を出すもその役を追われ。しかも自分の見た目がキモくて人から疎まれている(と、本人は思い込んでいる)。

が、雰囲気としてはシリアスモードではありません。
理由は二つ。
一つはサーシェンがルイを溺愛していること。
とにかくルイを守るために奮闘しますし、ルイを守るための力が、彼にある(いかんせん皇太子だ)。

もう一つは、ルイが天下一品の天然さんであること。
かと思われます。

ルイは、周囲から送られる下心に全く気付かない天然ちゃんであります。
そこから起こる勘違い、すれ違い、やり取りが、コミカルで笑いを誘う。

そしてもう一つ、忘れちゃいけないのがパンダちゃんの存在。
ルーが人語を話せる理由が、設定としてはかなりハードでシリアスなバックボーンです。彼が人に甘え抱っこされたがる理由も涙を誘う。

なのに、哀しいだけじゃない。
コミカルさもきちんとあるし、とにかく可愛い。

1冊通して、シリアスになりそう…、でならない、コミカルに振り切りそう…、でそうはならない。その絶妙な匙加減がとにかくドツボでした。

で、そこにさらにプラスとして加わる因子が、奈良さんの挿絵です。
まあビューティフォーです。
麗しいです。モフモフで可愛いです。中華風ファンタジーということで、彼らの纏う衣類の美しさと言ったら!最高か。

ストーリーの結末としては、正直アッと驚くものではなく予想の範囲内ではありましたが、そこに行きつくまでのストーリーがとにかく面白くって可愛くって、少し切なくって。二転三転する展開も読みごたえがありました。

受けさんを溺愛する攻めさん、てBLでは王道ですが、今作品のスパダリ・サーシェンは溺愛、というかもう一途。スパダリで圧倒的な権力を一身に集める彼の、献身なひたむきの愛情にはもう萌え禿げる。ルイも優しく好感度の高い受けさんで彼の天然っぷりはめっちゃ可愛いのですが、個人的にサーシェンの深い深い愛情に萌えがストップ高でした。

ストーリー良し、キャラ良し、挿絵良しの、文句なしの神作品です。