裕福なお坊ちゃん育ち×劣悪な環境で育った元ヤンみたいなカップルでした。環境の違いも乗り越えて親しくなっていく序盤はワクワクしましたし、攻めと出会い、どこか投げやりに生きていた若い受けに自我が芽生えてだんだん意識高く成長していく様も良かった。
攻めは4つ年上の25歳でこういう話にありがちな包容力のあるタイプではなく、良い所はたくさんあるけど若いのもありまたまだ人間的に未熟。受けが努力して自分を大切にし始めたため一方的すぎる自分の想いに疲れ、傷つき、すれ違っていく悲劇がありましたが…
いわゆる傲慢だった攻めが反省する攻めザマァ的な話ですが、私は受けの方も恋愛以外の色々な恩を受けたのにあの何も言わずに急に消えるというやり方はちょっと酷いと思いました。手紙やメールくらい残してもいいのに、と。そこまで余裕ないくらいに傷ついていたのでしょうが「今までありがとう」くらいは言ってほしかった。この辺が評価萌止まりの理由です。
元サヤになった後も名家のような攻めの実家はかなりめんどくさそうなので前途多難だな、元ノンケの攻めは将来そういうイザコザ達ともちゃんと戦えるのかな?とちょっと不安に思えました。
サスペンス色が強い。中学生の時の同級生達が14年後、監察医・刑事・殺人事件の被害者として再会してしまうストーリー。シリアルキラーも出てきます。わりと読んでびっくりストーリーなので詳しくネタバレできませんが、ハラハラドキドキなかなか読み応えはありました。
こういうサスペンスって順序立てて読みやすくきっちり書くのは難しいと思うけど、水壬先生はさすがベテランなので最後までスムーズに読み切る事が出来ました。最後まで読むのが苦痛になるような作家さんの文章もたまにあるので。
とはいえかなりのトンデモ設定でダークです。芝居がかって大げさな感じのタイトルも読み終わって納得です。ああこういう系の話だったのかあ、と。
BLの萌えというのはあまりなく、サスペンスものでたまたま恋愛パートがBLの内容だったという感じです。なのでストーリーは面白かったですが萌評価で。
「メロンの味」がとても良かった絵津鼓さん。デビュー作の今作がドラマ化という事で話題になってたので読みました。
杉本と妹尾のBL部分は良かったのです。お互い悲しい過去を持ちながら、惹かれあい遠回りしたけど恋人になれた。ドラマチックでスタイリッシュな絵も素敵でえっちシーンも生々しくなくて可愛らしい。
しかし久々に大嫌いなキャラが出てきました。受けの元友人で受けの元彼を奪った女です。今作の前日譚の「モアザンワーズ」という一般マンガが映像化するようで、試し読みもしましたが、何だかこの女性の言い訳のように思えました。こんな人が主役のマンガなんて。今作受けと元彼との恋愛シーンは見れそうだけど結果を知ってると可哀想すぎる。
友人のゲイカップルの間に割り込んで「2人の子供を産んであげる」ってエピソードだけでげんなりです。しかも人口受精じゃないところがあざとすぎる。モアザン…を全部は読んでないので何とも言えませんが、妹尾はこの元友人カップルとは縁を切った方がいいと思うし2人の子供を可愛がるって偽善のように私には思えます。BLで女1人と男2人で男を取り合う三角関係物語は結構好きですが、ウィナーが男性である事が前提なので。
それにしてもスギモンの役をか◯ちーが演じるなんて大丈夫?たしかにイケメンだけどかなりの難役だと思う。この役をちゃんとできたら俳優になれそうですね。相方、どうする?
話は面白かったですが、女性キャラが嫌いすぎて辛口になってしまいすみません。妹尾の元彼の父の会社がスギモン兄の勤めてる会社だったなんて…こんな所でまで繋がってなくてもいいじゃん、世間が狭すぎて可哀想、と思いました。
追記…BLに魅力的な女性が自然に登場するのは嫌いじゃないし、当て馬的な女が最後は負け犬になりギャンギャン言ってるのも面白いですが、今作みたいに一見いい人ぶって実は結果的にすごく嫌な奴で掠奪した後もマウントとってるような人(私にそう見えるだけ)はフィクションなのにむかつく。まあ嫌な奴がいた方が物語は面白いですが。子供が育ったら彼女の夫がまた男に走って駆け落ちでもすればいいと思います(←ひどい)。読み終わった後もこんなに熱くなれるってやはり名作なのでしょう。(2022.9.5.)
高校時代の淡い初恋を引きずったまま大人になって再会し2人の恋心は走り出す…そんなしっとりした大人のラブストーリーなのかなと思って買いました。
…全然違った(笑)。ぶっとびすぎのストーリーになかなかついて行けずおいてけぼりになりそうでした。でもちょっとホラーじみてる怖さというか続きが気になって読んでしまいました。
吉田先生、結構メリバとかぶっ飛び設定アリの先生ですものね。そういう人でした。冒頭から30ページ以内に「ええっ?!」となる出来事の連続で心の中でツッコミが止まりませんでした。受けは婚約者と一緒、攻めは妻子と一緒というBLにあるまじき状況での再会。受けの彼女の麻里奈。彼女が最高にとんでもない女で麻里奈主役か?という存在感でした。彼女の闇が怖かった。受けの出生の秘密もサラッと明かされるし、弟は少年院上がりだし…先生色々ぶっこみすぎじゃないですか?という感じですが最後はうまくまとまります。
攻めと受けの家庭環境は最悪で世間から隔離された北海道の高校時代だけが幸せだったっていう可哀想な話。家族は昼ドラかって位ドロドロしてるけど本人達だけはピュアな童貞同士でした、という不思議な展開です。かなりのトンデモ設定ですが、振り切って読むとギャグのようでもあり楽しい、かもしれない。
表紙のふんわりした感じから想像できないくらい、受けが精神的に酷い目に遭う話でした。職場の先輩に惚れてひょんなことから抱かれたものの、初夜は攻めがヘタクソすぎて流血騒ぎ。痛さを我慢して幸せ噛みしめていたら攻めは寝ぼけて他の人の名を呼び、自分が誰かの身代わりな事を知る。その後その事で攻めを問い詰めると逆ギレされてぶたれて「俺を好きなお前を憐れんだだけ。誰でも良かった。」と振られ、仕事でも遠ざけられる。
いやあ久々に清々しいほど外道な攻めに出会いました。受けは健気とか不憫とか通り越してもう踏んだり蹴ったりという感じです。こんな目に遭ってもまだ攻めを好きな受け。ドMなのか。
最後はハッピーエンドだったけど「本当にいいのか?その攻めで。」という気持ちでいっぱいです。しかし攻めが酷すぎて修羅場も多くて逆に面白かったです。フィクションなので。