幼児性愛を描いた作品は内外問わず古くからある「タブーの定番」ではありますが、はらだ先生の画力の高さが悪い方に功を奏してしまい、原作ではひたすら嫌悪感が先走って一度に読了できず、何度かに分けて読み切ったのですが、音声だとすんなり視聴できてしまい自分でもびっくりでした。
理由はおそらく、やっていることは異常ですが、耳に入ってくる声と口調はごくごく普通の青年だったせいだと思われます。
性行為の異常性よりも衝撃を受けたのが、幼児だったにいちゃんがおっさんに恋愛感情から身を委ねていたというくだりです。
幼児は被害者としてしか見ていない大人目線は傲慢なのかもしれないと思わされましたし、そういうことも無いとは言い切れないのかもしれないと考えさせられました。
かと言って、その主張を聞き入れる大人は存在しないか、存在しても公に同調する立場を取ることは保身からできないのが世の常なので、悲劇がさらに増幅されるのだろうなと想像して、ゆいの苛立ちが理解できたような気がします。
アフタートークで斉藤壮馬さんと加藤将之さんが内容の重さを理解した上で真摯に向き合われていらっしゃることがよくわかりましたし、お2人の演技力のおかげで原作では目に入ってくる情報が先立って、真意に触れる前に前に嫌悪感が強くなってしまっていた部分が理解できたので、これぞ音声作品の醍醐味だなと思いました。
原作で抵抗を感じた内容でしたが、思い切って視聴してみてよかったと思える作品でした。