2008年刊、電子書籍にて購入、挿絵なし。
軒並み攻めキャラのDV率が高い水原さん作品。
今回も非情な新興暴力団の組長・鷲谷のインパクトが強烈だった。
重傷を負ったところに鉢合わせした縁で気弱な大学生・史也を気に入ったはいいが、独裁的な性格を発揮して無理矢理レイプした末に自身の愛人に据える…
といった痛さ満載な展開はいつも通りだった。
一応史也には同郷で友人未満の邦彦って知り合いがいるのだが、ヤクザ者の鷲谷にはてんで歯が立たない。
この手の哀れな受けキャラの側には大抵人当たりのいい男がいても、救済の当てにもならないんもんだなぁ…だから"当て馬"って言葉がしっくりくるのか。
たとえ史也が気弱でも、内に何かしら意志を秘めていて…って片鱗が見受けられたならまだしも、暴力的で独裁的な鷲谷との力関係の偏りが目立つ。
う~ん、この手の展開をBLに括るって無理じゃね?って事で"中立"判定を下したものの、水原さん作品の人物の性格付け(背景)には一目置いているので一概に切り落とせないのだよなぁ。
ヤクザ攻めでも妙にインテリで博学なキャラが多いってのもあるし。
鷲谷の場合は、年老いても恐らく存命している父親の関係が拗れてしまったのが切なかった。
そんな複雑な気持ちで読了したら、作者あとがきで『BL(ボーズラブ)というよりもVL(バイオレンスラブ)状態』と書かれていて超納得!!だった。
そうか、VLですか!!
読了後の最大の収穫がこの一言ってのが何とも言えない(^_^;)