渋茶さんのマイページ

萌作品

女性渋茶さん

レビュー数0

ポイント数3

今年度362位

通算--位

  • 神0
  • 萌×20
  • 萌0
  • 中立0
  • しゅみじゃない0
  • 絞り込み
条件

指定なし

  • レビューした作品
  • 神作品
  • 萌×2作品
  • 萌作品
  • 中立作品
  • しゅみじゃない作品
  • 出版社別
  • レーベル別
  • 作品詳細
  • レビューした著者別
  • レビューした作画別
  • レビューしたイラスト別
  • レビューした原作別
  • レビューした声優別
媒体

指定なし

  • 指定なし
  • コミック
  • 小説
  • CD
  • DVD
  • ゲーム
  • 特典
発売年月
月 ~
レビュー月
表示モード

う~ん、身体の秘密設定はなくても良かったかな…

2017年刊。
この電子書籍版ではあとがきとガッシュ文庫恒例・レーターさんの巻末イラストも掲載されていた。

次々に周辺国を攻め落としていく中原の大国・耀の皇帝・貴奨(きしょう)と、彼に攻め落とされた華国の皇子・雪霞(せっか)。
貴奨に捕らえられた時、雪霞は亡き姉・春月の身代わりに女装していたのだが、貴奨の勘の鋭さから性別を偽っているのがばれてしまう。
更にひた隠しにしてきた性の秘密も暴かれた雪霞だが、貴奨は華国の美姫を都に連れ帰り、妃に迎えると決めたのだった…

う~ん、せっかく祖国を滅ぼされた無念、自身の無力さを嘆く雪霞の心境がしっかり書かれていただけに、あっさりと貴奨に絆された展開が惜しい気がしたなぁ…
後半からの後宮内の人間関係は読み応えがあった。
帝の寵愛と切り札となる世継ぎを得たいと思う女同士の権力争いってものが良く伝わってきた。
武恵妃、英駿、劉恒毅といった脇役達も限られた出番の中で個性が掴み易かった。

あと、この話では雪霞の身体の秘密って設定はなくても良かった気がする。
何しろBL小説では、国一番の美貌の持ち主といった受けキャラ設定が今だに根強い支持を得ているし、”ふたなり”と比べるとまだ”姉妹の身代わり”のほうが地雷度は下がるのでは?、と思うのだが。

ちなみに、ふたなりエロを満喫するのが目当てならば、同作者の『愛執の褥』のほうがお薦めだったりする。

鼎さん最強!! だが、しかし!?

下巻は2018年刊。
大抵の上巻って気になる所で終わるので、久々に気合いを出して一気に読んだ。

しかし、何で始終迷惑しかかけなかった花房に対して、最期まで"ちゃん"付けの呼称(人物描写)だったのだろうね。
帰ってきた宮が父・マリアーノを連れてきての鼎との初対面&腹を割った話し合いの場でも、ジェシーや国生まで同席するデリカシーの無さにはイラッときた。
(ま、それを言うと高砂もだが、聞き役に徹した第三者を貫いていたのでギリセーフかな)

…と、どうしようもなく苛ついたところも有ったとはいえ、収まるべきところに収まるものだねぇ…
上巻で抱えていた迷いを自ら吹っ切り、腹を括った鼎のパワーは最強だった。

普段ならマリアーノみたいなピーターパン男ってモロに受け付けないキャラなのだけど、宮の母親に対する愛、息子・宮の幸せを願う気持ちは本物で、ちょっぴり絆されちゃう不思議さがある。
過去の大いなる不幸は取り返せないけれどね。

途中、周囲の余計なお節介で高砂と鼎をくっつけちゃえ!!って暴挙もあるものの、ひょっとして…といった高砂への過去の想いを鼎自らが断ち切ったのは英断だった。
かつて両片想いだった二人がそれぞれ別の道を歩んでも尚、かけがいのない縁を得たというのは貴重な事だと思う。
宮を高砂の元へ嫁に出したかのような心境もサイコーに彼らしい。
これからも高砂にとって是非とも難攻不落な叔父、甥であってほしいものだ(笑)

高砂と宮のカップル誕生に関しては文句はない。
しかしなぁ、国生にはあまり期待できないのだが…
コイツが将来いい男に育つとは到底思えない。
個人的には後半の出来事がもうてんで受け付けなかったものでね…


*何故そう思うのかってのは、以下がっつりなネタばれなのだけどさ…


父の秘密の交際にショックを受けた万座娘の元に日々待ち伏せした挙げ句、いかに万座と鼎がラブラブか、自身がそれに耐え忍んでいるか説き続けたって行為にゾッとしてしまったのよ。
立場上、万座娘には父が男と付き合っていて気持ち悪い!!って拒絶する権利は充分にあるんだぞ。
なのに、その娘の事情は一切無視して、鼎が嫌われるのは許せない、彼程ほど美人で素晴らしい人は居ないって自身の価値観だけをゴリ押しするなんて、やっぱりコイツにはデリカシーが無い。

どうも鼎と国生がくっついても良かったねとは思えないな。
むしろ、鼎には幼少からの顔馴染みだからと絆されるばかりではなく、ピンと引っかかるものがあったら容赦なく振ってもらいたい位だ。

他の読者とは真逆の感想だろうけれど、まぁそういう意見もあるという事で…

つくづく、他人の恋の盲目さって痛いな

上巻、2017年刊。
やっと凪良さん作品を読んだ。
あとがき曰く、登場人物四人交互視点との事だが、ややこしさは感じずに各キャラの個性を掴み易かった、とは思う。
ただ、各章ごとの格言めいたサブタイトルにはピンとこなかったが。

メインの四人だけでなく全ての登場人物がおしゃれで、脳内ではトレンディドラマを彷彿とさせられるものがあった。
主人公・宮から見ての叔父さんの鼎(かなえ)もおじさん(笑)呼ばわりされちゃった高砂もそれぞれモテモテですな。
特に高砂の、無自覚に相手を射止める粋な伊達男ぶりは堪らない。
大人の中で一番紳士然としていたし。

宮が唯一人周囲に気を使い過ぎて委縮する性格が尋常じゃないってのもあってか、周囲の自己主張の強さが目立つ。
良く言えば皆キャラが立っている訳だが。
そこにドロドロしたものは無くとも、どうして我を持った大人達が自身の為に毅然と振る舞っていても縺れが生じるのだろうかね。

それにしても、花房は地雷女級だし、ジェシーは自分が可哀想だからと宮を攻撃してウサを晴らそうとするわで、のどかな生活を引っ掻き回してくれちゃって…
未成年という盲点に気付いていない故、年上の想い人に負担をかけるのに気付けない国生もちょっと苦手かも知れない。
つくづく他人の恋の盲目さって痛いな…なんて感じてしまった上巻だった。

周囲の意図しないところで誤解したり傷ついた宮が、下巻ではちゃんと癒されるのか心配になってくる。
どうも自分は受けが可哀想になってくる展開が苦手なので、早く高砂と宮がくっついて落ち着いてほしい。
鼎が過保護を卒業しても、そもそも宮との叔父・甥関係は変わる事がないから問題はないはずなのだけどね。
そんな鼎も自身の恋愛には踏ん切りがついていないようで…
ま、肝心の自身の三角関係をささっと決着付けて。
 

頼もしい相談者

見た目ゴツい絵本専門出版社の営業×子供向け番組の司会者。
主人公・裕真の仕事は平日15分の子供向け番組一本ながらも、6歳以下の子供達に絶大な人気を得ているおにいさんなのだ。
大型書店の絵本コーナーで子供達に親しげに囲まれている裕真を偶然見かけた塩崎は、自身の営業が行き詰っている解決の糸口として彼に声をかけ、相談に乗ってもらうのを快諾してもらえた。
最初はパッとしない印象の塩崎だったが、裕真の番組を欠かさず見るようになり、仕事のコツも掴めるようになっていった事で前向きになっていく。
だが裕真のほうは、番組スポンサーに無理やり強要された枕営業を拒否した為に交番させられたのだった。

そんなトラブルに見舞われた裕真だが、最初は相談を受けていた側の塩崎が裕真の窮地を切り開こうと奮闘する姿にはグッときた。
塩崎は別段いい男でもないのに、いざとなると頼もしい男ぶりを発揮した。
気が利かないから愛想をつかされてって理由でのバツイチらしいが、前の奥さんは見る目がなかったのだろうな。
ちなみに39歳、いおかさん作品では割合の少ない年の差年上攻めだったりする。

ただ、初めてのエッチ面ではね、理不尽な降板騒動で自棄になっていた裕真が塩崎を押し倒す形で強引に迫ってしまう。
なのに塩崎ってばそんな裕真を受け入れるばかりでなく、労わる気遣いがあってつくづく思いやりのある男だと感じ入った。

この話は2007年刊なのだが、何となく昨今ネットでよく目にする"長いものに巻かれろ"な風潮の限界とか、書店不況の厳しさとかってのも彷彿とさせられる。
塩崎の支えが功を成して、彼が提案した絵本フェアで苦境を切り開き、地道に活動の場を広げていく展開はほっこりできる。

ノンケ×ゲイがくっつくのに都合良い展開とは感じるが、お互いが交流を深めていくうえで絆された末に好きになっていった感はあると思う。
あと、好きな相手が頑張った成果を得て嬉しいといった様子も感じられた。

あー、自分もフニちゃんグッズが欲しいかも(笑)

2015年刊。
ちなみにタイトルにある"若頭"とは、主人公・伊吹の代表作にちなんで付けられた愛称だったりする。
コメディ好きな人ならば「え~、ヤクザ攻めじゃないんだ~、ちぇっ…」となっても気を取り直して楽しめると思う。
小説ではあまり見かけない攻め視点で、おまけにヘタレときたもんだ。
普段なら、兄弟や好きな男の子をモデルにして自作のヒロインに仕立てたりとか、片想いの人を影で追っている…それってストーカーですからっっ!!って奴にはドン引きするのだが、今回の伊吹に関しては不思議と嫌悪感は湧かなかった。
あー、何となく自分もフニちゃんグッズが欲しいかも(笑)

そんなヘタレな伊吹は一目惚れした年上の眞田になかなかアタックできないでいたのに、眞田の大いなる勘違いによって一気に打ち解けていく。
短期間で食事、お泊り数泊、デートにまで発展するのだから恐るべし…
口下手な伊吹と上手く噛み合っている。

途中で眞田は勘違いに気付き、自らの誤爆のような気恥ずかしさから一旦気まずい雰囲気になるものの、立ち直るのも早かった。
恋愛面のリードは眞田が上手いけれど、ベッドでは体格差の都合上、伊吹が頑張りましたとさ。

話全体のドタバタ度は控え目に感じ、少し物足りなかったかな。
個人的には伊吹が内心終わらせたくて仕方がない自身の大ヒット作『若頭シリーズ』並みにはっちゃけてもらっても大歓迎だったのだが。
まぁそれはさすがに編集者・佐田が作風で駄目押しし続ける無茶振り通りになるか…
佐田だけは、この話で唯一苦手なキャラだったんだよなぁ。
気弱な伊吹が渋々要求を飲んで執筆を続けるのを承知のうえで、一方的に意見をゴリ押しするばかりで好きになれなかった(-""-)

第2の当て馬登場!?

2016年刊。
もうじきこの物語の4巻が発売されるのでこの機会にと3巻も入手した。
それにしても『砂楼の花嫁』がシリーズ化するとは意外だったな。
結婚したその後も読める花嫁ものってのは貴重なのだが、主人公・秋成が抱えている性の秘密設定って大衆受けするものではないのでは?と感じていたので…

外見を切り替えると男性的にも女性的にも心情が切り替わる主人公ってのは興味深いが、いくら受けキャラの中性的、美形設定が好みでも"何か違う"感はある。
秋成の妃殿下としての立ち振る舞いが板に付いてきたのを実感できるってのもちょっと複雑だな。
…と思いつつ、男性の身なりで颯爽と活躍するシーンは麗しく、挿絵の眼福効果と一緒に楽しませてもらったが。

公務の合間にプライベートで訪れたエンデでの祝日カーニバル、皆が仮装姿で沸く中でよその男に一目惚れされてしまった秋成。
素性は明かさなかったにも関わらず、恐らくはあらゆる手段を講じてシャディ―ラまで辿り着いたその男の正体は、トゥルンヴァルト公国のアヒム王子だった。
良く言えば情熱的、悪く言えば青臭い執念で王族の特権を濫用して…だけど、育ちの良さ故に憎めない。
ここで第2の当て馬が登場するとなると大抵は波乱を呼ぶ展開となるのだが、う~ん、いつもの遠野さん作品らしい詰めの甘い恋敵で終わってしまっていた。

話全体もロイヤルな雰囲気の中でイズディハールとも男女の夫婦らしくなっていく様子は、何だかハーレクインのようだった。

ところで、第1の当て馬ハミードにも遂に身を固める相手が出現したかっ!?
…の割りには呆気ない展開だったな。
ハミードの相手は男性でも女性でも構わないが、行動力があったりとか考え方が懐深いとか、度量の大きい人物であってほしいとは思っていたのだけどね。
今後の展開は定かではないが、サニヤには単に古風なだけでなく秋成とは違う女性像を築いていってほしいと思うのだがどうなる事やら…

鈍きは幸紀ばかりなり

2020年刊。
平安皇族ものらしく所々風流な部分はあるものの、たまーに妙な所で今時な言い回しもあって引っ掛かった点もあった。
まぁ時代ものは読み慣れていないし、逆に堅苦しい言い回しとかを心配していたので、読み易ければそれで良し!!って割り切ろうと思う。

狼の耳と尻尾を持つ以外は申し分のない凛々しさと知性・品格を併せ持つ皇子に育った敦誉(あつたか)は、比叡山で帝位とは無縁の生活をしていた。
しかし、流行り病で異母兄弟が相次いで亡くなった為に異形の姿でも皇子ならば…といった体で望まなくとも都へ呼び戻されてしまった。
幼い頃より側仕えとして敦誉と生活を共にしてきた幸紀は、いずれは誇らしき主君・敦誉を周囲に認めて貰える機会に期待を寄せるのだが、当の敦誉はそんな雪紀の考えが大いに不服でならない。

初めての出逢いから15年も幸紀を慕ってきた敦誉にとっては、彼に常々「いずれはお后をお迎えして~」なんて言われ続けてムッとするのも無理はない。
敦誉が伴侶として愛情を育みたいのは幸紀に対してのみ、といった想いは幸紀の従兄弟・兼忠ですら瞬時に悟ったのに、鈍きは幸紀ばかりなり…
その兼忠だが、そんな幸紀の至らない鈍さを巧みに援助していて、脇役としての有能さに惚れ惚れとした。

ちなみに、敦誉は狼耳と尻尾持ちではあるが獣とは違ってれっきとした人間だ。
狼っぽい変わった一面といえば、満月の夜と幸紀の身に危険が迫った時に変身するのだが、その辺りについてはあまり深く触れられていない。
幸紀との寝屋の絡みも人同士の行為と変わりはないので、人外攻めに期待していたら肩透かしを喰らうって人もいるかも知れないかな。

敦誉が何故狼の耳と尻尾を持って生まれたかの謎は終盤で明らかになる。
その場面では帝の敦誉に対する想いにほっとする反面、母君の不遇さにはちょっぴり切なくなるかな。

多感な男子にも飴の慈悲…なーんてね

(*注・文中にモロなネタバレを入れました。これって多分いおかさん作品では初チャレンジだと思う。)

2021年刊。
リロードシリーズのスピンオフ、捜査一課班長と彼を慕う飴と鞭のわんこ刑事達の三つ巴ラブ。
おかげさまで刑事ドラマBLだというのに肌色が眩しすぎる表紙もこれで3冊目のお付き合いとなりました…(;´∀`)

しかし、秘密の関係の三人の筈なのに、冒頭から調子に乗ってバルコニーで3P、あっさり誰かにバレて脅されるかもって展開はどうよ!?
今回の目撃者となった高校生の湊は、弱みを握って相手を脅すなんてずるい魂胆の持ち主じゃなかったのが幸いだったが…

正直言って今回は、自分好みじゃないかなと心配したが、ここからおっ!?となる展開に気を持ち直す事ができたかな。
湊に隠し撮りされていても狼狽えるどころか飄々とした様子の若宮と望月はいい意味でふてぶてしかった。
さすがは上司の佐久良が『こんな二人を好きになったんだしな』と腹を括っているだけのものがある。

直近で捜査一課で請け負った自殺幇助の事件と、偶然知り合った湊もまた多感な年頃故、目的を見いだせずにぼんやりと悩んでいる、といった絡め方も上手かったと思う。
それにしても、そんな高校生の湊に対して、無意味にお情け同情感を出さずに巧妙に飴の慈悲を与えるって発想はぶっ飛んでいるな。
まさかスピンオフとはいえ、このシリーズで攻め二人公認のNTRが読めるとは思わなかったよ…
佐久良としては、本当は湊に対して黙って見守ろうとする大人の優しさってのを示すつもりだっただろうに…(^^;)

あと、そもそもの事の発端となったついうっかり見られたとか、あっさりバレたって展開は繰り返さないほうがありがたいかな。
やり手のはずの男設定なのに…と思ってしまうと大いに萎えるのよ…
(その点、本編の神宮はその辺り抜け目ないよな、なんて事を思い出してしまった)
若宮と望月の二人に関しても、捜査上での競い合いと活躍で佐久良に一目置かれる様子を見たいので、次は事件を下さい。

ひとつ屋根の下の距離感

2012年刊、ヘブンノウズ2巻目。
渋澤の厚意を受け入れて彼の屋敷に同居する事にした旭、ミツル兄弟。
常に暖かく見守ってくれる大人達との交流もあり、ミツルも徐々に子供らしい表情を見せるようになった。
同居人達は皆小さい子供に接するのが上手くて感心させられる。
一方の旭もイラストを描くのに集中できて申し分のない環境の中で、渋澤に惹かれ始めて意識してしまうようになる。

そんな中、温泉旅行、クリスマスパーティーで同居人達との親睦を深めていく様子はますますホームドラマに近づいていく…
それにしても旭は酒グセが悪いな。
まー人生経験上、己の酒グセの悪さってのは早く自覚しておくに越した事はないが(笑)

正直、ほのぼのしているねぇ(´_ゝ`)…から、ほのぼのしすぎじゃね!?(・_・;)ってな心境に変わっていった2巻目ではあった。
薫絡みの幽霊ももう少し騒動があるかと思ったが、結構あっさりと解決した気がする。
薫自身の過去についてはさらりとした文章の割りに結構派手な事しでかしたものだったが。

更に渋澤は「恋人は作らない主義」と断言したのもあってか、旭の気持ちに気付いていながらもごく普通に接している。
ひとつ屋根の下の生活、といっても恋に落ちたら平静でいるのは難しい。
旭一人だけが空回りで終わるのかと思いきや、渋澤も内心ぐらついていたとはね…
「セフレでもいいから」と迫った旭に折れてしまうとは意外だったが、まだ安心し切れず、この二人がすれ違う気配は残っている。

良縁、くされ縁、いにしえの縁

2016年刊。
この話は、登場する縁切りを御利益とする狛犬の愛介、幣介がかつて遣えていた神様の子孫である公比古(きみひこ)を慕って、彼の元に押し掛けてきての三つ巴ラブとなる。
神社の入口に向き合って設置されている狛犬ってのも、BLに係ると人外や擬人化キャラになるのだから侮れないものだ…

よくある3Pものと違ったのは、攻めキャラ二人(二匹?)の力関係が互角ではなく、愛介>幣介のような序列があって兄が弟の面倒を見る一方で言い聞かせもあるといった間柄だ。
わんこと狼を混同したり、何だがもふもふ成分が足りない、攻め二人(二匹?)に毎夜精液を飲ませている割りにはエッチ度も低いわと、話の持ち味を掴むまでにちと苦労した。

自分なりにどんな話なのかという感覚を掴めるようになってようやく、良縁、腐れ縁、いにしえの縁を軸にした各キャラの個性が楽しめるようになった。
愛介は妙にノリが軽い割りにジジむさくて幣介は弟キャラ全開だ。
公比古に関しても、元々ブライダルコーディネーターの仕事に熱心なところに好感が持てたから、最初の人が良すぎるって印象から次第にいい人だなぁ…と感じ方が変わっていけた点は大きい。
仲の良かった公比古達四人の男女の友人関係も一山乗り越えて良好さ保つ事ができたってのもほっこりできて良かった。

ところで、天敵・縁結びの神様に遣える白蛇さんも結構キャラが立っていると思うのだけど、せっかく縁切縁結びという話なのに彼との絡みがあっさりと終わったのは惜しい。
当然彼らとも縁の糸が繋がっている訳だよね!?
なにせ千年近くも仲違いしている割りには、ケンカするほど仲が良いって間柄だからねぇ…
それぞれ相反する神様に遣えていても、八百万の神様たちが共存する国の元、末永くその縁も大切にね(笑)