なんだかちょっと、ん?と小さな点がひっかかって、ストーリーに流れを任せて没頭することができませんでした。細かいところが気になる質なのが我ながら恨めしい…。
白狐ルナエルフィン(ルナ・受け)は生まれてすぐ捨てられ辛い思いをした。↓
けど、王様に拾われて番の黒豹キラトリヒ(キラ・攻め)に出会えた。↑
なのに、キラは番だと分からず冷たく拒絶された。↓
ルナの魔力が解放されて人化した途端、番だと分かったキラに寄ってこられたけど、拒絶されたのを根に持って結界を張って断絶した。↑
と、上がり下がりがあるここまでの展開が全体の5分の1くらいです。
そこから、キラはひたすらルナの傍に仕え、ルナの怒りが解けるのを待つという展開でした。
キラも強いけど、ルナが規格外に強い魔法使いかつ心理的に上位に立っているので、なんとなくルナがえらそうで。終盤にルナが辛い目に遭わされた時も、あんまり可哀そうに思えなかったんです。
でも、受けざまぁという風に書かれてるわけでもないし、なんだろうこのもやもや。そんな中、両想いになってないのに懐いてるからって「子供ができたら」とか早くも想像してるキラも図々しく思えたり。
他の番も登場してたし、ルナのしっぽが増えるたりで、ストーリー途中で飽きたりはしなかったのですが、なんかこう、中立ではないけど萌えからレベルアップはしない作品だったなぁという感じでした。
瘴気に侵された異世界を浄化する神子のために召喚されたアキラ(受)ですが、神子でないと言われて追い出されたので、冒険家になります。そこでジルヴィアス(攻)に会って、という風に進んでいきます。
うーん。召喚されたときは魔力量300だったアキラが、努力して魔力量5万かつ属性コンプリートというチートになったのは頑張ったね!と褒めたいし好感もてますが、ジルヴィアスがいないと困るという雰囲気が薄いんですよね。剣で切ったりとか殴ったりとか物理的攻撃はできないにしろ、魔法がチートなんだから。
チート同士かつ大人で機転も利く二人なので危険もないし、主人公が召喚されてから攻めと諸国を冒険する旅の日記を読んでいる感じで、私には萌えポイントがつかめませんでした。ジルヴィアスがアキラに惹かれる点やアキラがジルヴィアス大好き!となった箇所がいまひとつ腑に落ちず、読んでいて感情が揺さぶられる場面がなかったなぁという感想でした。
ただ、攻めだけでなく、侍従や友人の独白という主人公の知らない心情が、ストーリーの合間に挟みこまれているのは面白かったですし、もう一人の神子が放置した瘴気を浄化したり侍従と再会できたりと疑問が残らずまとまっていて、最後まできちんと解決してて良かったです。
アルベルン侯爵家のルーシャス(受)はこの世界が、前世の自分が読んでいた恋愛小説の世界であり、妹のエアリーナが悪役令嬢の役割だと気が付きます。とはいえ、前世のその記憶が活躍したのは、妹を断罪した婚約者にぶちギレしたくらいで、前世の記憶で異世界を救ったとかいうことはありません。
そういう力や知識より、ルーシャスも妹も両親含めたアルベルン侯爵家一家が仲良く、隣国の王弟クレイオス(攻)がルーシャスを庇うだけでなく、姪の王女シレイアが妹エアリーナを友人としたり家族同士の仲良さがほのぼのとして良かったです。シレイアがあんまりエアリーナを傍に置くのでひょっとして?!と思ってしまったくらいでした。