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可愛さ余って憎さ100倍

傾きかけた子会社の整理のため親会社から出向してきた男とそれに反発する営業のエースの話


「社史編纂室で恋をする」で登場した塚森常務のお話です。
前作から8年ほど前の話で会社も違うため、前作を知らなくても全く問題ありません。逆でもいいくらいです。
表題作と書き下ろし短編「大人同士の恋愛事情」の2編です。

鷹羽紡績の子会社三柏紡績の再建計画推進のため専務として出向してきた鷹羽紡績直系親族の塚森(受け)。
反発をものともせず冷徹に整理縮小改革を進めていく塚森に対して、いつまでも敵愾心もあらわな営業のエース・荏原(攻め)

計画は順調に進むのですが、塚森を煙たく思う誰かにより脅迫状は日常茶飯事、時には物が飛んできたり暴漢が襲ってきたりと塚森はいつも危険にさらされます。
それに気が付いた荏原は気に入らないと言いながらも塚森が一人にならないように気を遣いたびたび助けてくれるのです。

話は塚森が受ける攻撃の犯人を突き止め、2年間という改革を終えるまでですが、塚森が気に入らなくてずっと不満の表情を隠さない荏原が不満だと表情で訴えながらも攻撃を受ける塚森を心配してフォローしようとしている姿がなんとも面白かったです。それに塚森はあまり気が付いていないというものなんとも・・
そして私情を挟まず、暴力にも全くひるまず、時には自分を囮にしてしまで行動する冷静な塚森には感心しました。
ただ、平気に思えるだけで決して全くダメージを受けていないわけではない。
精神的にも肉体的に疲弊していることに自分でも気が付いていなかった塚森を荏原がちゃんと気が付いて甘えさせてあげられてよかったです。


全体的にはとても長いスパンで二人の仲は進みます。よく考えればすごーくゆっくりです。くっつくまでに1年近くかかってるんですから。
ただ、時が飛んでるので読んでる時はそれほどゆっくりという感じはしませんでした。もう何か月も経ってるの?みたいな感じでした。

時間はかかってますが、ゆっくり愛を深め合って恋人になるという甘い話ではないので萌えはあまり感じませんでしたが、大人の恋という感じがしました。
こういう強い受けというのはとても好きなのでとても楽しかったです。

書き下ろしは荏原視点で、荏原が結構独占欲の強いタイプだというのがわかったので、これからずっと塚森を愛していくことでしょう。

最後に判明した犯人については、途中からそうかなと思って読んでいたのでやっぱりという想いでしたが、「だったら追い出そうかな」って、優秀な社員だったのに攻撃してきた理由だけが壊れていてとても驚きました。
人物像を深く掘り下げられたわけではなかったので、生い立ちか生まれつきかで心が壊れていたのかもしれませんね。
結局会社を辞めてどうなったのでしょうか、彼の今後が気になりました。

前作の主役の一人・稲葉は友人として登場しています。彼の仕事内容は前作とほぼ同じ。嫉妬を誘発させるいい仕事もしています。
将来、恋人のことで塚森に嫉妬する羽目になるとは露とも思っていなかったと思うとにやにやしました。

死に愛された優しい王弟の優しい伴侶

突然異世界転移し、「迷い込み」になってしまった高校生が薬師となり孤独な王弟を癒す伴侶となる


いきなり異世界トリップし右も左もわからない状態のナギ(受け)。
小さい村だったため薬師がいなかったこともあり、ハーバリストの母親から受けた知識を生かし薬師となって4年。
ナギの処方する薬は評判を呼び遠くからも客がくるようになります。
そのうちの一人が皆が「白い人」と呼んで畏れるグウィン(攻め)。
いつも肩こりや頭痛不眠に悩まされている彼は王都からわざわざ薬を貰いにやってきていたのですが、最近は王都の自分のもとへ来てほしいと懇願してきてナギを困惑させます。
ナギはいきなりトリップしてきた自分を受け入れてくれた村への恩義もあって頷くことができないでいたのですが、ある日、実は王弟であったグウィンは王命でもってナギを迎えに来るのです。
病に伏している国王のためにナギの知識を生かしてほしいと。
急性期は過ぎているとはいえ原因がわからず一進一退の国王の病状。
隣国のきな臭い話。
死の精霊に守護されているため畏怖され遠巻きにされるグウィンの孤独。

ナギはグウィンとはすんなり恋人になれるけどその他の問題が山積みで常に薬と向き合いながら心をくだきます。


この世界は何にでも精霊がいて(風とか水とかだけじゃなくラベンダーとかホオズキとかの個別のものから病気の精霊まで)すべての人が何らかの精霊の守護を受け、精霊を感じることができます。
しかし、異世界からきたナギは精霊を感じることができません。
が、何故か全ての精霊に気に入られており「精霊の愛し子」と呼ばれるようになるのです。
このチートな能力と元の世界の知識もあって、問題解決に尽力するのです。

強力な死の精霊に守護されていることから畏怖されていたグウィンでしたが、精霊を感じられないナギにはほかの人と変わることなく接することができるグウィンの伴侶になるべくトリップしてきた「迷い込み」だったのでしょう。


二人とも早々にお互いのことが大好きだったので恋に関してはあっさりしたもので、周りの人も全く偏見がありませんでした。
グウィンは王弟だし、子供が生まれてややこしくなるよりは男の伴侶の方がよかったのかもしれませんが。

国王の病気の快癒や隣国の陰謀の阻止と話はうまくまとまっていましたが、隣国の陰謀は阻止しただけだったので二度と手を出してこないくらいぎゃふんと言わせてほしかったというのが本音です。
暗殺未遂の真相もわからないままだし。
自害してしまった薬師はかわいそうでした

結局なぜトリップしてしまったんでしょうか。
何か知ってたみたいな母親の言動もちょっと気になるところです。

やっと二人が落ち着いたところで終わってしまったので、もう少し先まで読みたかったです。

無自覚美青年


同棲(結婚)詐欺にあった者同士の犯人捜し。


天涯孤独な大学生の清瀬幸喜(受け)が親しくなった女友達・桃香と成り行きでルームシェアすることになり、渡された鍵で指定されたマンションへ行くと、そこには金髪碧眼の男・テオ(攻め)が・・・
このマンションはテオが桃香と結婚する予定で購入した億ションだというのです。
幸喜は敷金礼金として30万を桃香に渡しており、マンションを買ったテオに比べれば微々たるものとはいえ、幸喜にすれば大金をだまし取られたと警察に行こうとするのですが、セレブなテオは醜聞になることを恐れ自分たちで探し出そうと提案してきます。
自分よりも大金を貢いでいたテオのことを慮り警察へ行くことはやめるのですが、立ち退きすることは決まっていて行くところのない幸喜はテオの提案によりマンションで暮らすことになります。
居候することに引け目を感じる幸喜が朝食を作ったり、桃香が行きそうな場所へ食事や旅行に行ったりとテオと過ごすうちに、自分が思った以上に寂しかったことに気付き、桃香が見つかったらこの生活が終わってしまうことを寂しく思うようになるのです。


読み始めたときは詐欺にあったもの同士が共に犯人を捜している中で恋人になる話かと思っていたのですが、前提が違ってびっくり。
確かに、読んでいておかしいところがたくさんありました。
テオのようなセレブを騙して食事やさまざまなものを貢がせていた桃香が幸喜にはすべて割り勘でいたこと。
食事や旅行での聞き込みはすべてテオがしていて、それを幸喜はあとで話に聞くだけなこと。
旅行先で会うかもなんていってわざわざ京都旅行へ連れ出したこと。
幸喜のバイト先の店長へ嫉妬紛いな態度をとったこと等々。
でも、初めて幸喜が部屋へ訪ねて行った時の態度はどう見ても桃香に騙されて驚いている感じだったので騙されました。
実は幸喜に一目ぼれしたテオの作戦だったというのですからびっくりです。

バレてしまってからは開き直っていましたが、有能な成功者なテオが実はヘタレだったといのがこの話のキモでした。
うまくいってよかったねとテオの肩をたたきたくなるようなお話でした。

終始幸喜視点で進むので、できればテオ視点のSSを読みたかったです。
皆の態度で幸喜が美人さんなのは何となく分かるけど、実際どんな感じなのか客観的な評価を読んでみたい。
こんな大それた詐欺を仕掛けるくらい幸喜のことが好きなテオですからきっと幸喜の可愛いところをたくさん語ってくれたのではないでしょうか。


寂しかった幸喜がそのことに気付いたことが本当に良かったです。

沼の中に竜宮城


不動産会社の青年が仕事先で沼に斧を落としてしまい「金の斧、銀の斧」よろしく神様が出てきて気に入られる話。と見せかけて再会もの。

初読みの作家さんです。

相続した山の処分に困った依頼者により該当の山を査定するために三重にやってきた水上来人(受け)。
山に入った途端、携帯は県外になり、よせばいいのにそのまま先へと強硬し、見事迷子になってしまいます。
夕方になりこのままでは下山できなくなると焦りだしたころ、草を刈るのに使っていた斧を沼に落としてしまいます。
先輩からの借り物の斧を落として焦る来人に沼から声が・・・



なんとも愉快な話でした。
沼の中に入ったのに、何故か竜宮城はあるし、広大な海の中と変わらないし、海洋生物の分布を無視した無茶苦茶な魚介類たちはいるし。まさに浦島太郎。

魚介類は食べられるために順番に待ってたり、かなりシュールでした。
そのまま面白おかしく海の中で暮らすのかと思ったら、真面目な来人は仕事を理由に‪一時‬撤退します。
二日も連絡しなかった来人に社長はおかんむりでしたが、水難の相でも出ていたのかあらゆる水のトラブルにあい、風邪をひいてしまうのです。
熱が下がり、再び訪ねようとするも既に他社に委託されたあとで...。


特に面白かったのが先輩の角田との会話。
海皇神との日々に思うところのあった来人は、風邪で寝込んでいた来人を看病に来た角田と向き合おうとするのですが、友達として距離を縮めようとする来人と実は入社以来ちょっと気になっていたという角田との会話がお互い盛大な勘違いにより角田にとってはどんどん卑猥な会話に発展していって興奮していくのが面白くて、この勘違いにいつ気付いてがっかりするのかと思ってわくわくしていたら、まさかの海皇様の介入。
酷い目にあった角田の角田は大丈夫だったのでしょうか。
元はといえば看病に来てくれたのに、ちょっとした勘違いでえらい目にあった角田にはちょっと同情します。
でも、楽しかった。

現代の話や海の中の話、過去の話やゼウスや天照大御神が登場してどんどんファンタジーになっていったり、かなりバタバタしていたようで、ちゃんと収まるところに収まって綺麗に終わってよかったです。


来人の初体験はかなり濃くてびっくり。
触手もびっくりながら、中に出して溢れた分が乳首やペニスから吹き出すのはかなりびっくり。
初心者なのに大丈夫かと来人を心配しました。

せっかくなので、授かった子供の誕生まで読みたかったな。

20年間寂しく待っていた海皇神の想いが報われてよかったです。

あなたがいるから


町おこし企画のご当地アイドルグループプロジェクトで責任者代理になった受けがオーディションを受けに来た隣県の大学生と幼馴染とユニットを組み、頑張る話。


特筆すべきものが何もなく、過疎化に苦しむ田造市。
市役所の観光企画課に勤める石山周太(受け)は産休に入った先輩の企画立案したご当地アイドルグループプロジェクトの責任者代理をすることになります。
オーディションの応募も少なく、結局応募してきた隣市の大学生・中村秋楓(攻め)と幼馴染の逸郎と周太の3人でユニットを組むことになってしまいます。
人前に出るのが苦手で歌も踊りも得意ではない周太は四苦八苦しながらも一生懸命、他の二人にフォローされながらプロジェクトを進めていくのです。


周太視点の表題作と秋楓視点の「たづくりであいましょう」の中編2編。

表題作では、サポート役だったはずなのに責任者の突然の妊娠で責任者代理を任されることになった周太が企画を進め、苦手なアイドルの仕事をし、なぜか秋楓が気になって仕方なくてもやもやし、と一生懸命な姿が印象的です。
ただ、人見知りで自信のなさがなかなか払拭できず、人前でいつもおどおどしているような感じがして大丈夫かなーと心配になりました。

が、秋楓視点では一転、とてもかわいらしく、また社会人としてまだ大学生の秋楓を守らなければと一生懸命な姿が好印象でした。


二人の恋に関しては、恋愛初心者の周太が迷走するくらいで大きな障害もなくさらっとしています。
秋楓ははじめから周太のことが大好きなのがそこかしこにみられましたので、周太は気づいていなくても甘々です。

お金もない、特産品もない、有名人もいない、ないない尽くしの中で一生懸命田造を盛り上げようと頑張る姿(仕事との両立大変じゃないかと心配です)やご当地アイドル企画を皆が皆喜んで協力的なわけではないけどそれでも周太の周りの人たちのやさしさがとても心にしみる話でした。



猫を助けて異世界へ


事故にあいそうになった猫を助けて命を落とした天涯孤独な青年が異界に連れてこられて家族ができる話。


横断歩道を赤信号で渡っている猫を助けようと飛び出したトリマーの青年・亮太(受け)はトラックにはねられてしまいます。気が付いたら何故か知らない場所で寝ていました。傍には泣きじゃくっている10歳くらいの猫耳尻尾の男の子が。
猫耳尻尾の男の子・珠洲は亮太に自分を助けたため亮太が死んでしまったこと、自分は異界の人獣であること、珠洲の能力で亮太をこちらの世界へ連れてきたことなどを説明してくれますが、どうも現実味がありません。
初めに皇帝に会って住居と仕事を貰うのだと言われ、珠洲に宮廷へと連れていかれ、そこで初めて本当に自分は死んでいることを思い知るのです。

ここは人獣(獣姿と耳尻尾のある人両方になれる)と半獣(耳尻尾のある人)の住む世界で、人獣を助けて命を落として連れてこられた人間がごく少数存在します。
虎の人獣である皇帝・シア(攻め)を怖がらなかったこと、亮太が見目麗しいため男色家の担当長官に預けるのはためらわれたこと、毛並みの悪いシアを洗いたいと申し出たことなどから皇帝自ら珠洲とともに当面の面倒を見るということになります。
ずっと夢見心地で現実感が湧かなかった亮太でしたが、珠洲に色々教えてもらいながら新しい環境に慣れようとするのです。



両視点で話が進むので、お互いの気持ちと共にこの世の中の情勢などもわかりやすくなっています。

シアの方は最初から亮太のことが気になっている様子がよくわかります。
亮太の方は懸命に慣れようと努力し珠洲と仲良くしていましたが、実際には少しづつ疲弊していっています。
大分世界に慣れてきたように感じていたころ、火事現場に居合わせてしまい、取り残されている女の子を助けるため現場に入った亮太は女の子が助かったと思ったとたん生きる気力を失ってしまいます。
亮太視点だったし、頑張って馴染もうとしていたし、シアや珠洲ともうまくやっていたので、深層ではこんなに疲れていたのかと驚愕しました。きっと自覚していなかったのに些細なきっかけで表に出てしまったのでしょうね。
人生を終わらせようと思うほど疲れてしまった亮太も、火事現場から逃げるのを諦めた亮太を下から眺めるしかできなかった珠洲も心中を考えると心が痛かったです。
そして、このシーンが一番心に来ました。


この事態を乗り越え亮太が再び生きることを決めてめでたしではなく、今度は前皇帝による皇帝の座をかけた決闘が行われることになり、さらに一波乱あります。

恋愛面では、シアの方は好意駄々洩れですが、愛すること愛されることを知らない亮太は自覚するのにすごく時間がかかります。
メインは亮太が前向きになり皇帝の問題が解決することであり、その流れの終着点が二人の結婚という流れだったため、甘々な話な割にはシリアス部分が多かったように思います。


最近はやりの異世界召喚とかでは結構あっさり自分の状況を受け入れて前向きに行動していることが多いので、初めは意外に思いましたが、普通そんなにあっさり受け入れられるわけないよなーと妙に納得してしまいました。
それでも、亮太自身の努力もさりながら周りの優しさにも救われて、亮太が幸せになる明るい未来が見えてよかったです。


千年の刻を超えた愛

平安時代の恋人を助けるため転生先に追いかける健気な陰陽師


小さい頃から人とは違うモノが視える伊織(受け)は今までとは違う悪霊に襲われます。普段なら触れられることのない霊に突然触れられたことで恐慌状態に陥る伊織を助けてくれたのは又従兄弟でまだ小学生の昴(攻め)でした。
初対面であるはずの昴は伊織のことを知っているようで「これからはずっと伊織を守る」と言ってくるのです。
実は昴には前世の記憶があり、伊織とは前世で恋人同士だったというのです。伊織には到底受け入れがたい話なのですが・・・


伊織は前世で呪いによって殺されており、呪った相手が転生先まで追いかけていくことを知った昴が伊織の近くに転生しようとしむす
転生先を探すのに手間取った結果、10年の年の差ができてしまったのでした。


10歳差というのは成人してしまえばあまり感じませんが、小学生と高校生はいけません。
記憶があるので会話だけ聞いていれば年の近い者同士の会話なのですが、いかんせん見た目は子供。
想像すると、某高校生探偵と同じ構図を思い浮かべてしまって萌えられません。
私的には言葉遣いが年相応ならもう少しましだったかもしれないのですが・・・


途中途中、伊織の前世の記憶が夢として明かされており、その中ではちゃんと成人男性カップルの内容になっているのでそちらは違和感ないのですが、舞台も主役も現代なので他人の話を読んでいる感じです。その上、秋風(前世の伊織)の性格がどうにも好きになれない。
優しいと藤墨(前世の昴)は表現していましたが、陰陽師として働いている藤墨に対し、料金を取ることを悪いように言うのはどうなんだろう。ぼったくるというのが気に入らないのでしょうが、自分は宮中で仕事を持っているので代書するのは人のためといいつつ趣味なのでしょうが、藤墨は商売なのです。
特に呪詛返しなど失敗すれば術者だって被害を被ることもある危険を伴う仕事であるし、希少な技術には敬意を払うべきだと思うので金持ちからぼったくってもいいんじゃないかと。「霞でも食べて生きていけるんじゃないか」なんてちょっと酷いと思いました。

とは言え、ちゃんと恋人らしくしていたのは藤墨・秋風組なのでその部分は良かったです。
ただ、秋風であろうと伊織であろうと本質は同じなので、才能のある藤墨や自分を追いかけて理を曲げてしまった昴が自分と結ばれるのは良くないのではと悩むところは同じで、どちらも勝手に自己完結して勝手に動こうとしないで、相手と話しろよと思ってしま
いました。


呪いをかけてきた相手(八つ当たりも甚だしい)や怨霊となった横恋慕女や昴と同じく恋人の傍に転生しようとして失敗して彷徨うことになってしまった女性など、問題は山積みでした。
こんなに詰め込んでどうなるんだろうと心配になりましたが、力技ですべて一発で終わらせてしまうのはさすがでした。
転生に失敗した女性のことも昴のことを気遣うあまり勝手な行動をとってしまった伊織のことも大団円となりきれいにまとまっていてよかったと思いました。
ただ、最後はちょっと駆け足でした。
まぁ、あのままではなんともできなかったので一気に10年経つのは仕方のないことでしょうが、再会してからエッチして終わりっていうのはちょっと残念。
もう少し余韻が欲しかったな。

そして、細かいことを言うなら、季節が秋というのがこの話のキーだったとはいえ、アメリカでは飛び級で大学生とはいえ日本でならまだ高校3年生の秋はアウトなのではと思ってしまいました。
高校生同士なら気にしないのですが、仮にも教職に就いている大人だし、もう少し我慢しても良かったんじゃ...。

10年愛



天然で超鈍感なフローリストをずっと想い続ける後輩ハーバリスト


両親から受け継いだビルオーナーとして花屋とハーブカフェ、教室などを弟の実弦と一緒に切り盛りする奏真(受け)に片想いする、そのカフェのマネージャーとして奏真を手伝うハーバリストの蓮見(攻め)の話。

蓮見は出会って以来奏真のことを想っていましたが、奏真は出会った当初女性と付き合っていたので告白することもできず、仕事も同じなこともあり告白失敗後の気まずさへの恐怖からずるずる10年経ち我慢できなくなってきたころです。
やっと告白が失敗したときの対処も考え、そろそろと思っていた矢先、奏真を狙う写真家の男が現れ大慌て。

天然で植物に対して不思議な力を持つ緑の手の持ち主である奏真は人とはちょっとずれた言動の持ち主です。
思ったことを率直に伝えるのですが、その伝え方がともすると誤解を与える原因になるのですが、いくら蓮見や実弦が注意しても理解できません。
そして、自分がある種の男性に好かれるということもわかっておらず、ピンチに‥



自分の気持ちを悟った奏真が思ったよりも思い切りが良かったのがいい意味で驚きでした。エッチも積極的で、恥ずかしがってされるがままということもなく、なんだかんだで自分で動いていたのが印象的でした。
天然で思ったことを他意なく言ってしまう奏真なので、本人は自覚なく甘々なセルフを言い続けて、二人きりじゃないところでは蓮見はずっと理性と闘う毎日となるのではと思うと想像するだけで楽しいです。

尺の関係か最後が駆け足になってしまったのがちょっと残念。
エピローグ的なものがもう少し読みたかったなと思いました。
ブラコンの弟君には結局話したのかな。
まー黙っていても即バレだとは思いますが。
それにしても今までも陰で蓮見と実弦が天然の奏真を守って頑張ってたんだろうな。
留学中によく何もなかったもんだ。


当て馬の人はちゃんと話せばわかってくれますし、性格の悪い人がいなかったのでストレスなく読めました。
この作者様にしては理性的な攻め様だったように感じました。
絶倫なのは変わらなかったです(笑)

今流行の乙女ゲーム


乙女ゲームの悪役令嬢の兄に転生してしまったゲームのシナリオライターが妹を教育し没落を阻止しようと頑張る中で攻略対象である義弟を攻略してしまう話。


生まれてきた妹を見たとたん、自分が前世でシナリオの一部を担当した乙女ゲームの中の悪役令嬢の兄に転生したことに気が付いたアルレイン(受け)。
アルレインは妹のアリシアと共にヒロインを虐めた末断罪されるという自分たちの未来を変えるため、アリシアを悪役令嬢にしないよう教育します。
結果、アリシアはとてもいい子に育ち、攻略対象者の一人である婚約者の王太子との仲も上々で、別の攻略対象者の一人である義弟ユイシス(攻め)と自分たち兄妹と義弟との仲もいい感じです。
このまま、ヒロインに関わらなければ自分たちの未来も安泰と思われました。
そうこうするうちに、ゲーム開始時期がきます。

ゲームのシナリオ通りにいかず、うまくいったと思っていたアルレインですが、ユイシスが自分のことを恋愛対象として見ていることを知ります。
アルレインは自分のせいで本来ならヒロインを好きになるはずだったユイシスの恋を台無しにしてしまったのではと後悔するのです。

そしてヒロインもまた転生者であり、逆ハーレムルートを狙っていたヒロインが自分の思い通りにいかないのは同じく転生者であるアルレインのせいだと気付きます。

ヒロインはアルレインを邪魔に思い、排除に動いたことででアルレインにピンチが・・・



今流行の悪役令嬢の話は結構好きでいろいろ読んでいますが、その兄弟が妹を悪役にしないために頑張る話は少ないので新鮮でした。
頑張った甲斐あって、妹はいい子に険悪なはずの義弟とは恋仲になってしまうのですが、貴族社会なのに家族も受け入れてくれたため、さらっと終わった感じがします。

そして、主人公たちの恋愛の決着がつけば話は終わってしまうので、結局乙女ゲームの結末が中途半端に終わってしまったのがちょっと残念でした。
この二人の話がメインなので当然なのですが、逆ハーレム狙いのヒロインが破滅するところも読んでみたかったです。

ヒロインの動きが理解出来ませんでしたが、事件が起こらないとユイシスとの仲も進展しないので仕方なかったかとは思いますが、あまりひねりはなかったかなーと思いました。でも、さらっと読める楽しい話だったと思います。

優良物件だった年下彼氏が実は億ションだった件


甥っ子を引き取ることになった会社員を下階に住む大学生が手伝っていく中で育った恋


両親を小学生の時と高校生の時にそれぞれ亡くし、唯一の肉親だった兄夫婦もまた、まだ2歳半の息子を一人置いて揃って事故死してしまった会社員・絢(受け)。
引っ越した先で出会ったのが、大阪から甥っ子の駆を連れて帰る時に偶然隣り合わせた大学生亮太(攻め)でした。
駆に懐かれているとはいえ慣れない育児に疲弊していく絢を亮太はさりげなく手伝ってくれるのでした。


ワンオペ育児は本当に大変で、絢が疲弊してくのが気の毒でした。
つい時間を考えて効率よく動こうとするのを邪魔する幼児という構図ができてしまうとイライラしてしまい、つい怒鳴ってしまったり、すぐに熱を出し呼び出しをくらうため仕事が滞り、大切な仕事が任されなかったりと慣れない育児に加えて仕事面でもメンタル削られる絢。
つい駆がいなかったらと思ってしまうのも無理からぬことだと思います。
それでも、そんなことを考えた自分に自己嫌悪し駆に愛情を注ごうと頑張る絢はすごいと思いました。

そんな絢に対して普通なら夫婦ですることだからと亮太は絢を励まし手伝ったくれます。
この亮太のゆるゆるした話し方が絢の荒んでいく心には染み入るんだろうなと思いました。
亮太はとてもいい人で、地域のボランティアにも積極的に参加する幼児慣れも老人慣れもしているコミュ力の高い人でした。
生い立ちはなかなかハードな人でしたが、そんなことは微塵も感じさせないので、話を聞いたときは驚きました。
亮太はあっという間に駆にも懐かれて家族の中にするっと入ってきます。
ほんわかなし崩しに家族になるのかと思いきや自分に厳しい絢はそれを良しとしません。

進展しづらい2人を助けてくれるのは、キューピッド役の二人のオネエさま・杏里とサトミ。
絢が過労で入院した際、亮太が面倒見切れない日中駆の面倒を見てくれることになった亮太の知り合いのオネエさまでしたが、バーのママをしているだけあって空気を読むのがうまい。そして、子供の面倒を見るのも料理を作るのも。
二人がくっつく時も亮太の将来を気にして絢が身を引こうとした時もにぎやかに、でも引っ掻き回すでもなく絢の話を聞いてくれるすごく頼れるオネエさまでした。
杏里とサトミのインパクトがすごいのでともすれば亮太が霞みそうな勢いでしたが、二人のことを知って応援してくれる先輩がいるのは本当に心強いことでしょう。

このことをきっかけにどんどん距離を詰めていく二人でしたが、亮太が若いことを気にして身を引こうとするんですね。
タイミング悪く亮太が実はすごい人だとわかってしまい、連絡も取りにくくなってしまいます。
この絢にはちょっとイラっとしました。
身を引くといいながら未練ありまくりで亮太のためというより自分が傷つかないためみたいな感じにも取れる態度は、絶対亮太を傷つけたと思うし、亮太が可哀そうだと思いました。杏里もサトミもそんな絢を責めるでもなくの話を聞いてあげていて素晴らしい。私なら胸倉掴みそうになるかも。

亮太が頑張ったおかげでちゃんと元さやになって本当に良かった。


それにしても、亮太の「男とははじめてだけどここはつかったことがある」というセリフが衝撃的でした。
一体いつ?とか考えてしまって行為に集中できなかった(笑)