2005年発表作品。
前半〜終盤まで、かなり好きな展開!
学生時代からの片想い。
恋が終わったら飽きられて離れるしかない、だから恋人よりも頼り頼られる相棒/参謀でいたい…だからこの心は押し殺す。
そんな受けの鋼のようなメンタル。
対して攻めはカリスマ性のある魅力的でリーダーシップのある風間。
勿論恋の相手は途切れなく、男も女も問わず。
今、受けの相沢は風間の後を追って入社した玩具会社で、大きな企画を確実にモノにしていく風間の片腕として活躍している。
そのまま親友として、相棒として、片腕としてやっていけるはずだったのに、その心が綻び始める…
風間が好き、恋をしている、風間の腕に抱かれたい…
そんな相沢の苦悩、自分の心への抵抗、これ以上はもう…という恐れ。
そんな相沢の描写が胸に迫る。
一方、風間は全てを手に入れてきた傲慢さで、相沢に戯れを仕掛けてくる。
そんな風間の描写がもう…読者として腹が立って仕方ない!
相沢の気も知らないで。
ストーリーの展開と共に、相沢はどんどん追い詰められていく。
風間はどんどん調子に乗っていく。
そんなある意味スリリングな攻防があって、そこに誰もが笑顔になれる玩具を人々に贈る、癒しの猫型ロボットを完成させるというお仕事BLの側面もあります。
さて、ついに風間と相沢の結界が破られます。
その時の相沢が飲み込まれる歓喜、官能、そして終わった、と思う絶望感。
読んでて胸が締め付けられる思い。
なのに風間がぁ!
なんだ男に飢えてたのか?気をつけて帰れよ。だって。
はあ⁇
もう怒りですよ…相沢は萎縮してるし。
だから、ほんとに「攻めザマァ」を望んでたんですけど。
甘いんですよ…相沢が許しちゃうの!
本作の大きなテーマっていうのは「誤解とすれ違いに10年費やした両片想い」。
だから風間の方も実はずっと相沢が好きで、でも相手にされてないと思い込んでいて、それで色々な相手と付き合っていた、それどころか毎回相沢に見せつけていた、という真実があり。
でも視点は一貫して相沢だから、風間はただのプレイボーイみたいなんですよね。
相沢をあんなに傷つけて…でも風間の真実を知った相沢は歓びが先に立つ。
相沢良かったね!と一緒に喜ぶべきなんでしょうねぇ…
私の趣味でいうと、後半急に物語力が弱くなった感あり。残念。
2021春、実写化するという事で、JR某S駅のそこかしこにドラマのポスターが貼ってありまして。
私は実写ものって苦手で今までどれも見てなかったのですが、各登場人物の一人ひとりのポスターを見て興味が湧きました。
今をときめく若手イケメン俳優たちが大集合。BLあるあるの一言コメントもクスリと笑える。
とりあえず原作の方を読んでみよ〜、というわけで。
内容は、数多あるBL作品の、よくある設定、よくあるセリフ、よくあるシチュエーション、よくあるカップリング、などなど…
あるあるすぎて、ニヤつきながら「そうそう」と読む。
主人公はそれらのBLトラップを見極めながら、横目で見ながら、すんでのところで避けながら、なんとかBL恋愛の「当事者」にならないように傍観者の位置を死守している。
うん。面白い。
実写ドラマの方を見るかどうかはまだ決めてないけど…
とりあえず主人公のモブ役は仮面ライダー俳優。原作よりも随分とイケメン過ぎるような気もします。
まあ、ほんとにモブでBL世界に巻き込まれねーだろ…?では面白くないので、やっぱりソッチ行っちゃった〜!くらいの顔面は必要なのかもしれない。
一言、
美しい〜……‼︎
その一言。
ストーリーとしては、日常とは離れたファンタジー的な要素と恋愛が混ざる感覚で、銀閣博士の系譜に連なっている作品のように思える。
主人公は、奴隷出身のティム。
雇い主の魔術師・シルヴァンに恋して、どうしても思い出が欲しくて、魔法の小瓶の液体を飲んでまでも。
そして想いは達せられる。
そんな可愛くて切なくて不思議なストーリーが、池玲文先生の超絶美麗画で繰り広げられて、これがファンにとって面白くないわけがない。
最の高に決まってんでしょ。
シルヴァンxティムのCP以外にも、シルヴァンの依頼人のエーリクの願いもまたエロくて切なくて、でもクスッと笑ってしまう。
池先生なら「人間椅子」を如何様にも、耽美にも陰惨にもグロでも描けるのです。しかし、こんなに真剣ゆえのトンチキ、斜め上の純情に仕上げる。
やっぱり読者の期待の何歩も上をいきますね…さすが。
そして再びシルヴァンとティムに話は移って、2人は甘〜い雰囲気。
イメージでいうとシルヴァンが絶対的/支配的存在だと思うんだけど、シルヴァンも何とも可愛らしい。おどおどしたティムに優しく甘く。
従来のBLを一歩変えたかな?くらい、なんか新しくてすごくイイ感じ。
近未来なのか別世界なのか、奇妙なマスクをつけ浮きでる文字でコミュニケーションするシルヴァンの美しい不思議さに魅了されています。
水名瀬雅良先生の大ファンです。
こちらは2021年発表の最新作。
内容は…
超オレ様の傲慢イケメンに振り回されてパシリにされてる地味で大人しい伊織。
だが、伊織はそんな支配者にずっと恋をしている。
何も気づかぬ暴君の神宮寺は、男とも試したい、お前ならできそうと…
傷つく心は隠して、抱いてくれるならそれでいい。
だけど、華やかな神宮寺には自分の存在など邪魔なだけ…離れた方がいいのか⁉︎
…もうBLあるある展開ではあるんだけど。
水名瀬雅良先生の美麗絵柄と嫌味のないラブシーンは非常に上品で、こういうストーリーは正直何度も読んでるような王道なんだけど、それでも引き込まれてしまう。
傲慢なオレ様も、自分以外の他の人間も伊織に興味を持っていると知って急に独占欲に目覚める。
伊織は俺のモノなんだよ…
しかし、伊織の本物の恋心を知り、自分の心に気付く神宮寺。
わかってるけど、わかりきった展開なんだけど、伊織に謝って伊織に優しくしてくれる、そんな神宮寺の変貌した姿を見ると、読者として安堵するというか。
本当に、伊織良かったね…!とグッとくる。
心が折れるような不安展開などもなく、基本的に安心して読める作品。
絵柄も美しくてファンの期待にキッチリ応えている作品だと思います。「萌x2」で。
「TARGET」シリーズの3作目。
私は1作目の「LOVE TARGET」は既読。
このシリーズは、警察のキャリアやSITやSATを舞台とする作品で、あんまりイマドキではないけど私はすごく好きです。読みやすい。
一言で言うと「再会愛」もの。
そこに階級の上下主従関係、命をかけるSITという任務、過去事件の関係者による逆恨み、子供が巻き込まれる事件…
が絡んで、ハードボイルドに、サスペンスフルに、スピーディーに展開していきます。
本作の主人公は、キャリア管理官の寒河江。妻とは死別のシングルファーザー。子供はまだ保育園児の双子。
(同じ保育園に1作目の受け・藤森医師の息子も通っています。)
学生時代、教授の自宅でその日初めて出会った別学部の神蔵。
ワイルドな魅力の神蔵に食事に誘われたが、彼の自宅でいきなり…
…といってもレイプともいえない、微妙な無意識の中で応じる肉体の慄きというか。
抱かれて、感じて、知らなかった世界を見た。それなのに翌朝神蔵はなかったことにしよう、と。
神蔵の言葉も、寒河江の見せた表情を誤解して口から出してしまった失言。
でもやはりそれを言われてしまったことで、あの一夜が過ちになってしまって苦しんだのが寒河江。
同じ警察官になりながらキャリアとノンキャリアへと道が分かれた2人は、それぞれ警察という組織の中で上司の薦める妻を娶るも、寒河江は忘れられない想いにずっと罪悪感を抱き…
そんな中、異動先でSITのリーダー神蔵に再会してしまった!
すれ違う想い、消せなかった想い、再び燃え上がる想い…
そんな誤解とすれ違いの鉄板展開をベースにして、寒河江に送り付けられる脅迫状、幼い寒河江の息子たちに迫る危険、同時に起きる立て籠もり事件、解決に奔走するSIT、交渉人、内心を抑えて指揮を執る管理官・寒河江。
2時間ドラマ的ともいえますが、緊迫度もあり面白い。
シリーズ他作品のカップルも微妙に登場しつつ、ラストは神蔵が過去の懺悔的に激しく寒河江を求める…!
このへん、ワイルド系の神蔵がクールだけど弱っている美人を追い詰めていく感じで萌えます。
抱かれる寒河江のエロチック度も抜群。水名瀬雅良先生の挿絵も最高でした。
(あとがきの挿絵がまた…あの双子のその後です。楽しみ楽しみ。)
この物語、すっごく好みでした。面白かった〜。
題名の「40男」は、攻め。ノンケだけど結婚経験無しの独身、今も特に恋人なし。
「美貌の幹部」は年下の優秀な上司。どうやらゲイ。
舞台は訪問販売の化粧品企業、視点は攻めの宗一郎。
購買部所属だった宗一郎が関東第一エリア支社に異動を命じられるところから物語は始まります。
新しい上司は、いわゆるキャリア幹部。年は下だが非常に優秀で、自分にも他人にも厳しい。
だけどこの上司・篠宮がいい!
彼の仕事哲学?これがとても感心というか、良かった。
その篠宮に感化されて、畑違いの業務に戸惑っていた宗一郎も本気になって仕事に取り組む…そんなお仕事BL的な側面がまず好ましかった。
勿論BL的にも。
篠宮は仕事は遣り手だけど恋愛では不器用というか…不慣れなツンデレさん。
ただ、元々ノンケの宗一郎が篠宮にグラつくきっかけが、働き過ぎの篠宮が体調不良に陥った事。篠宮の見せる思いがけない弱さにクラッとくる…まあ王道的ともお約束とも言える展開ではあるかな?
ところが本気で宗一郎が篠宮を口説く時、篠宮は更に弱みを見せるんですよね。そこがまた…!
…という感じで、2人のラブシーンはかなり官能的です。挿絵もすごくいい!
「キスの代わりに」
その後の中編。
化粧品販売レディたちの慰安旅行での、超多忙な篠宮たちの激務話。
また、この旅行に参加した「謎の美女」に篠宮が苦悩の嫉妬心に駆られて…というストーリー。
これもお仕事BL的には色々いい場面もあったけど、こちらはちょっとイマイチ。
表題作だけだったら神くらい好みだったけど…惜しい!「萌x2」で。
購入したのは特装版です。レビューはこちらに。
さて、想いが通じた!となるとやっぱりダメだ、となるWシンヤ。
ヤキモキさせてくれる!
ただ、私の個人的意見/スタンスとして、初めっからずっと…
この2人、ヤらなくていい
そして、今回は杉木が鈴木にできる全ての事、ということで、ダンス界の頂点たちを鈴木の元に集める、という展開になってきた。
これね…
私的にスゴイ既視感なのよ。コレよコレ!っていうね。
むかしのマンガ、◯香智子先生の「パートナー」。
私が社交ダンスに激ハマりした根源のコミックスですが、コレも初めはマツリカという女の子がダンス界で勝ち上がっていく、というストーリーで、勝負と恋愛と、のいかにもな少女マンガだったんだけど。
後半フランツという男とそのバックグラウンドの力が影響してくるあたりからメッチャ政治的展開になってくるのよね。
とはいえ、リアルタイムで読んでた時は深い部分はわからなかったんだけど、今「10DANCE」を読む事で、ダンス界っていうのはスポーツの要素もあるんだけど、実はヨーロッパの上流階級の力関係/政治色が色濃い、というのをバッチリ思い出したのよ。
今回、ダンス界というものを知り尽くしている杉木が、持てる全てのツテで最上級のコーチ、ブレーン、パトロンを鈴木につける。
このことの意味がすごくよくわかる!
つまりは、ザ「政治」。
これは大変に刺激的です。
さて、BL的には。
ラブシーン的なものはありません。だけどよりキリキリするような、ムズムズするような。
私はもはやBL展開よりダンス漫画として読んでるんで、今巻でまたBLの匂いが強まったことに逆にちょっと戸惑ってる。
ナニも進んでないのに、むせ返るように官能的な2人の心の中。
BLとダンスとどっちに比重?
微妙だよね。
私としては、杉木が手配した鈴木を取り巻く最上級のパトロンチーム、彼らのダンス界/上流階級・超富裕層のネットワーク、影の影響力/政治力がむっちゃ興味ある!
次巻、それぞれ最強の「教官」を得て技術的に、それ以上に強力な後ろ盾を得ての立場的にどう進化するか。
まずダンス中心に期待したい。
気になる世界観「Dom/Subユニバース」のアンソロジーが出た!
マンガが5作品、コラム3作品の収録です。
冒頭に『Dom/Subユニバースの設定について』という説明が4ページ。
これはわかりやすくて助かります。
グレア、クレーム、といった用語の説明や、主なコマンド(命令)の用例などもきちんと書かれています。
以下、ざっと掲載順に。(作者様敬称略)
「劣等感レッテル」吉永だらお
Switchの生徒たちにいじめを受けているDomの三島。
Domなら周りを支配できるんじゃないの?という元々の朧げなDom/Subの知識を覆されるような作品がトップを飾っています。
え?という戸惑いのまま、三島の置かれている惨めな境遇とそこに現れる圧倒的存在感を持つ転校生の姿にぐいぐいと引き込まれて読む。
その転校生はSub。
三島をいじめるSwitchたちを圧倒的暴力で制圧し、三島を自分のDomに指名する…
反転して自身のDom性に目覚める三島の姿は薄暗い。
収録1作目がこのようなストーリー展開なのは意外性があって良かった。
絵柄はちょっとごちゃついてるけど…勢いはあり。
「俺がSubなんて認めない!」にこ山P蔵
全てを持っている財閥の御曹司は…Subだった!
自分で認められない御曹司は、試しにDom/Subマッチングイベントに参加してみるが…
プロ調教師にSubとしての快感を教え込まれる、というお話。切り替わった御曹司はとってもポジティブです。
「幸せへのプラスいち」世津
幼馴染のシロと四葉は、DomとSwitchのカップル。そこにSubのクラスメートが加わって…
Dom/Subの3Pもの。三角関係というよりも3人で一つのカップルというような世界を作る感じ。ずっとモメないで進んで行ければいいけどね。
Sub君が体格の良いイケメンで、Domの方がちょっと子供っぽい絵です。
「週末パンパァ♡」浜木水竜
平日は、大手企業の若きやり手社長。だが実はSubで…
週末はパートナーと赤ちゃんプレイ!そう、パンパァって…「欲しいまま甘やかす」という意味です。
スタイ、ベビーボンネット、紙おむつ、赤ちゃん言葉等ゴリゴリなので、好き嫌いは分かれそう。かく言う私も苦手ジャンル…
「首輪ひとつに甘噛みふたつ」うえちゃ
幼馴染のDom/Subカップル。
天使みたいだったSubの那々がどんどん背も伸び、キスも愛撫も上手くなってきて…
そこに那々が浮気している、という噂が!
このお話も展開が面白い。私の好みよりちょっと擬音が多かった。
コラム
高比良りと「ヤクザ主従domsubについて考えてみました」
絵柄は綺麗系、素敵な刺青。この設定は作品で読んでみたい。
まくの
萌えシチュエーション3件。
①ペットプレイ用リゾート、②言葉責めカウンセラー、③デリバリーSub
小鴨
コマンドに萌える。特にSwitchに興奮、とのこと。
作家コメント
意外とSM絡みの関係性は無くて、愛ある支配と服従の本能、という部分がきちんと読み取れた。
しかし、見た目Domだけど実はSub、みたいな話が多い感じなので、その辺はより練ったものが読みたい。
全体に面白かったです。
激カワ・ちょいエロのライトラブコメ、第14巻。
引き続き安定感は最高。安心して読める。
今回の主なストーリーは、
①山瀬先輩と如月のじわじわ
②輝(あき)が礼人に張り合ってスマホゲームにのめり込む、そして朝春に怒られて抱き潰される
③朝春のお爺さんが入院した事で輝と共に帰省する
③がメインのストーリーです。
お爺さんは朝春がちょっと変わってて、好きな女の子もできない事を心配していた。
しかし今は付き合ってる子がいる、しかも男。それは死ぬ前に見ておかなければ。
そんなお爺さんですが、輝はいつも通りの真っ直ぐさでお爺さんを納得させます。
そしてお爺さんが提案するのは「結婚式」で…⁉︎
朝春と輝はますます離れがたいパートナー。甘くて可愛くて。
あとがきで私も驚きました。
2人は付き合ってから1年半なんですね!1巻の発売は2008年…時空が歪んでいる〜