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女性てるてるせぶんさん

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読み物としては面白かった

 ストーリーは他の方が詳しく書かれているので割愛します。

 散りばめられた伏線が積み重なって真相へと導かれていくストーリー展開は、ミステリーを読んでいるようで面白かったです。

 ただ、恋愛の部分はスパイス的な感じで、切なさや萌えはあまり感じられませんでした。
 裏切った相手である攻めに対する疑問が完全に払拭されないまま、二度目の人生では徐々に受けが攻めに惹かれていくのですが、拷問で爪を剥がされたり歯を抜かれたあげく首を落とされるという一度目の人生が悲惨すぎて、攻めに惹かれる心情に寄り添えませんでした。
 物語の最後で、一度目の人生では意図的に裏切ったのではなく、不可抗力でそうなってしまったのだと明かされますが、それまではずっとモヤモヤが残っているので、告白シーンでも、喜びや感動は薄かったです。

 最後に攻め側の事情がわかったときも、受けに対して気持ちがあったのなら、手紙を送って事情を説明するくらいはできたんじゃないかと思ってしまいました。有力な貴族の跡取りなのだから、処刑される受けを見殺しにするのではなく、何か助ける手立てはあったのではないでしょうか。

 あと、悪魔がより多くの魂を欲していたのなら、一度目の人生で悪魔と契約したときには、なぜ悪魔は攻めにそれを教えなかったのか疑問です。他人の命でも契約できるのなら、最初から、受けを陥れた人間の魂を犠牲にして、受けを生き返らせることもできたのでは。
 それに、きっと下っ端の騎士たちは隊長の命令で荷物を運ばされていただけなのに、不正に加担した人が全員命を奪われてしまったのは、犯した罪に対して罰が重すぎるのではないかと思いました。

 以上のように、色々と細かいことは気になりましたが、読み物としては面白かったです。


佐伯密に人としての魅力を感じない

一穂ミチさんは心理描写や比喩表現がお上手で、匠に適度に職業的なところも絡めてあって、好きな作家さんの一人です。
ですが、この作品についてはあまり好きになれませんでした。
辛口コメントなので、苦手な方は読まないでくださいね。

あらすじについては他の方が詳しくご紹介してくださっているので、割愛。

先に「is in you」を読んですぐにこちらを読んだのですが、こちらのお話は、「is in you」で当て馬として出てきた佐伯さんの義兄(妻の兄)であり幼馴染でもある良時の目を通して、佐伯密の人となりと妻の十和子も交えた三人の関係を明らかにしていくお話でした。

最後まで読むと、三人の各々の心情や生き方が理解はできる。理解はできますが、全てに共感はできませんでした。
一番共感できたのは十和子です。

良時については、自分だけが健康という負い目や博識な密への劣等感から密への気持ちを長らく封印していた、というのはわかります。
けど、妹の夫が海外で現地妻何人も作って好き勝手やってるのを薄々知っていて、「男の性だから仕方ない」で容認していたのには、女の私は嫌悪感しか感じませんでした。密と十和子に体の関係がなかったことを知っていたのならまだわかるのですが、当時は普通の夫婦関係だと思っていた上での容認だったので。
あと、密に男とも関係があったことを告白され、その場の勢いで密を抱いたことについても、ずっと女性が性愛の対象だった良時が、いくら長年秘めてきた思いがあったにせよ、40超えた痩せぎすのオッサン相手にいきなり最後までできるのかと、リアリティのなさを感じずにはいられませんでした。

密については、優秀すぎる頭脳と喘息という病気を併せ持って生まれてきたがために、こんな偏屈な人間に仕上がった、というのは理解できるのですが、良時と十和子以外への態度が人としてどうかというレベル。
いくらお互いに割りきっているとしても、海外の現地妻を性欲処理の相手としか見てないし、良時の前妻(不倫で子供作って離婚した)への罵倒は、あんたにそこまで言う資格あるのか!?と思ってドン引いてしまいました。決して不倫を容認するつもりはありませんが、料亭の一人娘で跡継ぎを望まれているのにずっと子供に恵まれず、昔馴染みとつい過ちを犯してしまった前妻の方が、まだ共感できます。

十和子についても、何の病気でもないけどただ生まれつき体が弱い、で最後まで通されてしまったので、お仕事関係の描写はあんなにリアリティあるのに、何故そこだけ曖昧にしているのだろうという疑問がずっと頭から離れない感じで。心情に完全には感情移入できず。

他の方が最初は良さがわからなかったけど、読み直したら理解できた、と仰っていたので、内容を完全に忘れた頃にまた読み直してみようと思いますが、とりあえず初読では、私も良さがわかりませんでした。

エンターテイメントとしては面白いけど…

 新興の都市開発グループ御曹司の受けと、庭師として突如転がり込んできた男の息子である攻めとの、執着因縁もの。

 彼らが出会った中学時代から話が始まり、高校生、社会人と、時系列に沿って話が進んでいきます。
 前半部分は両親の期待に応えて品行方正・成績優秀であろうとする受けの、それ故に甘えられない寂しさだとか内に秘めた鬱屈した思いの心情描写がとても精緻で、幼少期に虐待を受けていたらしい攻めとのちょっとアブノーマルな関係性に、その後の展開を期待しながら読み進めました。
 
 後半は、背景となる都市開発グループの設定も自然だし、文章も読みやすく、スリリングな展開をそれなりには楽しめましたが……、あまりにも予定調和すぎて、一番の泣かせどころでガッツリ感情移入できなかったところが、評価が「中立」の所以です。
 もちろん、素直に感動される方もたくさんおられると思いますが。私の場合は、前半からの期待が大きかっただけに、不完全燃焼で終わってしまった感が否めず……。

 こういう作品は、最後を普通のラブラブカップルで終わらせるのではなく、二人の関係の異常性、危うさを少し残した余韻の方が私は好きです。完全に個人的な意見ですが。

すみません。ちょっと辛口で。

このシリーズのファンで、番外編や他のカップルの作品含め、全シリーズ読んでます。
今回は、ユウトの新相棒との確執と麻薬密売組織を絡めたお話。ネタバレになるのであまり詳しくは触れませんが、シーズン1でのコルブスとの因縁に関連する部分も少し出てきます。

もちろん、英田先生の御作品なので、事件を絡めたお話の展開としては、BLの枠を越えた面白さがありますし、今回の事件を通してディックとユウトの絆が更に深まり、BLらしいところも存分に楽しめました。
しかしながら……、これ一冊だけであれば十分に満足できたのでしょうけど、どうしてもシーズン1を引きずってしまって……、つい物足りなさを感じてしまいました。
漠然とした感覚なのでうまくは説明できませんが、アメリカ社会のダークな部分への考察だとか、個々の人物が抱える事情だとか、それをふまえた心の通い合いだとか……、細かいところでちょいちょいシーズン1に比べて物足りなさを感じてしまい、やはりあれを超える感動はもう来ないのかなと寂しくなってしまいました。

今回は1冊で完結ですし、作品容量的には仕方ないところはあると思います。
もちろん、これ1冊だけで考えれば、十分に満足できる一冊でした。

色々とツッコミどころ満載ww

今まで読んだ鯛野先生の作品の中で一番面白かったです。

セックスせずにエロ動画を撮って配信し金を稼ぐという、セフレとも言えない体の関係からスタートするのですが、ありがちにそこからすんなり恋愛に発展するわけではなく、二人とも芸術者気質の不思議ちゃん(晴良の方は役者ですが)なので、早く自分の気持ちに気づけよ!と読んでるこっちがついついツッコみたくなるゆるふわ感がなかなか斬新でよかったです。
あと、役者の晴良を好きすぎる劇団仲間の竹内さんや、義弟(天くん)のエチシーンに立ち会って相手の男(晴良)を真剣にスカウトしてるお義兄さんなど、脇を固める残念すぎるイケメン達もツッコミどころ満載で私的にはツボでした(笑)

前作からの謎が解けてすっきり!

前作が面白かったので、こちらも購入しました。
前作単体でお話が完結していて続編が出るとは思っていなかったので、嬉しいサプライズでした。

原稿を書き上げた後、興奮して誰彼構わず襲ってしまう悪癖の持ち主の円城寺先生と編集者の倉田が晴れてお付き合いを始めた後のお話です。円城寺先生の悪癖の方は、相変わらずのようでした(笑)。
ストーリーとしては、自分が小説のモデルにされていることに倉田が気づき、二人の関係が少しぎくしゃくしたり、温泉旅行の浴衣エチで仲直りしたり(私も、できれば温泉エチも見たかったですww)、同棲話が出たり、円城寺先生の前の編集担当(女性)が登場したり、そういったエピソードが綴られていました。他の編集者に対する先生の悪癖(特に山田さん!)については、私もずっと気になっていたので、今回謎が解けてよかったです。

おまけの裏社会男×バーテンダーの話は、借金の肩としてのセフレ関係から始まったありがちな話で特に印象には残りませんでした。
前作もそうですが、「最高の小説家」単体の方が良かったと思います。

ちょっと物足りなさが…

最初の大学生編が面白かったので、続編のこちらも迷わず購入しました。

結果から言えば…、大学生編と比べ、私はちょっと物足りなさを感じてしまいました。
前回にも増して甘々だしラブラブだし、坂口は可愛いし高東は束縛系だしで、もちろん萌え要素もたくさんあったのですが、私が重い実先生の作品で一番好きなのは、独特な切り口で表現される切なさなので、そのジレジレした切なさが今回はちょっと物足りなかったな、という気がしました。

あとは中西兄弟の方も、前作で見られた弟君の兄へのちょっとアブノーマルな執着が薄れていて、メインカップルを盛り上げるための友情出演みたいな感じがしたのが残念でした。

Punch↑ 6 コミック

鹿乃しうこ 

正直、がっかりです(泣)

 このシリーズが大好きだったので、私個人の感想としては、正直今回の巻はとても残念でなりません。
過去の牧さんの壬生さんへの気持ちも、かつて浩太が裕也さんに寄せていた純粋な思いと同じだと頭では理解できるのですが、そこに渋沢さんというパラフィリアが絡むだけで、これほど不快に感じてしまうとは…。そんな渋沢さんに陶酔するあまり言いなりになって他の男と関係を持つ壬生さんに対しても、一途を通り越して「気持ち悪い」という印象しか持ちませんでした。
 せめてこの巻が『Punch』の続巻ではなく、新たに渋沢さんと壬生さんを主人公とした別作品として発刊されていたなら、もう少し冷静な目で読めたかもしれませんが、今のところは二人の歪んだ関係に牧さんと浩太を巻き込まないで〜という気持ちが強いです。この先、浩太が泣くような展開にならないことだけを祈っています。゚(゚´Д`゚)゚。

完結おめでとうございます!

まずは十年もの間、連載を続けてこられた日高先生、出版社様、読者の方々に、完結おめでとうございますと申し上げたいです。

一時は愛憎が複雑に絡み合っていた二人が無事に二人で生きていく道を見いだしたことには深く感銘を受けました。が、一つだけ物足りなさを感じたのは、養子を取って二人で育てていくという無難なラストに収まったことでした。結局、二人とも久世家の呪縛からは逃れられなかったのだなと。あれだけ桂木が紡績業で手腕を発揮し、暁人が留学までしたのだから、産業面で自分達や使用人達の居場所を作り、久世家の爵位を返上して完全に身分差のなくなった二人で生きていくのもあの二人らしいなと思っていたので。

何はともあれ、素晴らしい作品をありがとうございました!

掴みはOK

書けなくなったスランプ中の作家が海岸に倒れていた全裸の青年を保護するところから話が始まります。作家は記憶喪失らしい青年を家に置く条件として『ペット』か『愛人』になる選択肢を提示し、青年は迷わず『愛人』を選びます。
青年の記憶喪失は実は『フリ』で、その正体と狙いを追っていく形で話が進みますが、全裸で海岸に倒れていたというかなりミステリアスな出だしに反して青年の正体は早い段階で推測できてしまい、ちょっと物足りなさを感じてしまいました。サスペンス要素を期待しないのであれば、さらっと読めて普通に楽しめると思います。