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なぜか、読むと賢くなれる

衝撃の本格ファンタジーBL「その世のどこか、地図にない国」から3年ぶりの続編が登場。
今度の舞台は砂漠に囲まれた地、ターキア王国。
隣国オライエに現れた不審な使者を調査するため、現地に向かった北の大国ガルシェの第三王子シンとその従者リアンドロス。
現地で彼らが偶然交友を深めたのは儚げな私塾教師ヤシュムと、彼に一途な思いを抱く無知でいたいけな青年アマルだった。
しかし例の不審な使者の正体がアマルであるという情報が飛び込み、身辺調査を開始したシン。
何のために?そして彼の本当の正体は?
シンが究明した真実は、アマルにとってあまりに残酷な現実に繋がってしまい――。

となるんですけど、この時のアマルの愕然具合が本当に強烈で。
「良かれと思ってやっていたことが、全て裏目に出ていた」の至上最悪クラスが一度に降りかかるんですよ。世間知らずのピュアボーイに。もう彼の心はバッキバキの複雑骨折です。

しかし、そこからのヤシュム先生の言葉がですね……染みるんですよ。
傷ついてバラバラになった心もまるごと包みこむ慈愛に満ちた言葉。
血の通う人間にしか紡げないような言葉。

これ、ヤシュム先生が聖人君主じゃなかったからこそ良かったと思うんですよね。
アマルに半端な知識を与えてしまったこと。
身体を鎮める目的でセックスの相手をさせてしまっていたこと。
自ら命を絶とうと考えていたこと。
それでもアマルからの恋慕を拠り所にズルズルしてしまったこと。
彼自身も間違いだらけで悩み多き存在だったから、説教臭さなく真っ直ぐにアマルに、そして読者に届いた気がしました。


で、その盛り上がりだけで終わらせず、エピローグまで面白いのがこのシリーズのすごい所。
2年後のアマル君、前作の攻様に負けず劣らず大化けします。
で、前作に負けず劣らず拗らせてる笑。
そこですかさずシンがナイスアシスト。
その後が至極のワンシーンでした。
図書館の本を取り出したら、その隙間から最愛の人の姿を見つけ駆けだしてく
というベタに美しすぎる演出。
作画構図ウマー作品だからこそ成り立つ神々しさでした。

最後はアマルの「僕に依存していいよ」という言葉から一歩を踏み出せたヤシュム。
だけど恐らく、二人の関係を本気で依存と呼ぶ人はいないと思います。
二人の間にあるのは愛情であり、絆であり、つまりは人と人との健全で強固なつながり。
それはむしろ依存症の対極にあるものだと思うから。

面白くて、人生の教訓も貰えて、薬物依存にまで詳しくなれる、実に一石三鳥くらいのマンガじゃないですか?
絵も綺麗でギャグも滑らず、ピアスや花、隣国の友人など前巻とのリンクも素晴らしい。
かつ、聡明な登場人物たちに刺激され、読む度に知見が広がるお気に入りのシリーズです。


あ、一個だけ言うなら

ムキムキ元軍人バージョンも、ちょっとだけ見たかった……。

供黒はフォーマットで本領を発揮する

前半、128期 供黒編

まず供威の男前度に圧倒されます。

力持ち。
温厚で誠実。
サラッとタクシーを捕まえてくれる。
心配してすぐ現場まで駆けつけてくれる。
フォロー上手。
謝れる、というか譲れる。
包容力がある。
心配りが的確。
気遣い上手。
褒め上手。
美味しそうにご飯を食べる。
いざとなったら相手の習性を利用しつつ上手く誘導できる。
実はマウントも取れる。
セックスが上手い。
多分まだまだ覚醒する。

次にそんな供威の側にいるからこそ、より一層かわいく映る黒瀬を愛でます。

上だとか下だとか1人で張り合ってる。
始終理不尽なツッコミをし続ける。
眉間に皺を寄せてすぐにツンモード。
ビッグマウスでプライドも高い。
なのにベッドでのガードは意外と脆弱。
大抵の状況は的確に読めるのに供威に対してだけ重度の距離感音痴。
自分の言動がどれだけ供威を刺激しているのかガチで無自覚。
カラダは感度良好。

はい、終始この美味しいパターンの繰り返しでした。最高。
供威がいるから黒瀬がかわいい、黒瀬がいるから供威が男前。
相乗効果バンザイ。

黒瀬本人は認めたくないでしょうが、どうやら供威のバディというフォーマット内にある限り、何をしたところで黒瀬の言動は全てかわいく見え、BC度も爆上がりしていく一方という素敵な法則が働いているようです。

黒瀬のBCのポテンシャルを見抜き、かつそれを存分に生かしきれる供威というTCをあてがった特別人事課の采配はすさまじいですね。

本編自体は、やることはやりつつも関係性としては、も……もうひといき頂戴!!と叫ばずにはいられない絶妙なところで終了。

今後、理性と遠慮の皮を脱ぎ捨て覚醒した供威や、色々自覚した後の黒瀬のアレコレなんかも見られるのでしょうか??
というかお願いだから見届けさせて欲しい…。


後半、118期 聖桃編

こちらも文句なしの面白さ。
なのですが、エロさはさすが118期!ってなくらいマシマシです。

いやはや桃月のカムボーイの仕事がとにかくやばい。
エロを軽く通り越して卑猥の域。
なのに本人は服をぬぎぬぎしながら国防のために超頭脳戦を繰り広げているというギャップに脳が大パニックを起こしました。
普段絶対一緒に使わない部分を刺激されるという意味ではある意味脳トレかも。

もちろんエロだけじゃなく展開も丁寧に作り込まれていて、

あるきっかけから桃月の首に手をかける聖前、
その意図を察し焦って妥協案を提案する牛通堂、
その展開を天然にボケ倒す桃月、
しかし牛通堂の発言から桃月は仕事の大事な着想を得る、
という流れが実にパーフェクトすぎて痺れました。

子猫プレイ用の首輪ってなんじゃいな!!
なんでそんなの千散さん持ってるの?!
それ持ってるってどういう経緯で牛通堂さん知ったの?!
というツッコミは思わずこぼしちゃいましたが。
それは……いずれわかると信じましょう。


うーん…118期の安定感+ミステリアス感、128期の緊張感+フレッシュ感、どちらも気が抜けないくらい面白くて参ります。

秋草室長のコンプライアンス完全無視の無茶振りも含め、あらゆる意味でドキドキが止まらない8巻。

個人的には買うかどうか、読むかどうかはもはや問題ではありません。
果たしてこの巻は人生で何回読み返すことになるのか、というレベルの問題なのです。

マイナー調ブレンドで楽しむ芸能モノ

ハンサム敏腕芸能マネージャー×ダイヤの原石美少年
ってなるとすごいキラキラ感なのに、

二番でも良いからとすがる死んだ恋人の知人×恋人の死を受け入れられない魔性受
ってなるとすごいヘビー感。

この全く異なる波長を吉田先生が上手に掛け合わせてくれました。
脅威のブレンド力……。

正直要素だけを取り出すなら、
芸能モノとしては、出会いが葬儀って暗すぎるし、死んだ人の話ばっかりしているし。
未亡人モノとしては、25歳×20歳ってちょっと若すぎるし。
それぞれ単独のテーマだと反発して使いにくい設定だらけなんですよ。

ところが、吉田先生らしいあの憂いを帯びたマイナー調の雰囲気がですね、
芸能と死ネタの二軸をうまーく調和させているんです。
違和感は消え、王道なのにどこか新しい設定に生まれ変わる。
だから読みやすいのに記憶に残る作品になる。

新しさだけを追い求めた作品はついて行くのにパワーが必要だし、
王道だけの作品は読みやすい代わりに他との違いがわからない。

吉田先生はこのジレンマをナチュラルに崩してくれる稀有な作家さんだと思います。

もう、雰囲気作りがとにかくお上手で。
序盤の冷たくジメっと暗い雰囲気から、
幹の椿に対する執着と情熱が徐々に高まる様子から、
天馬の死に葛藤する椿の姿から、
ドラマチックなラストへの見事な着地。

余計な説明よりも、エピソードでキャラの性格や心の距離を描いてくれる所もまた楽しい。
風邪をひいた幹の見舞いにビールを持ってきてしまう椿の非常識さ。
その理由を答えた瞬間の椿のいじらしさ。
説明はなくとも、幹がついポロっと告白しちゃう気持ちが痛いほどわかります。

全体を通して、最初はマウントを取りに行っている幹が、徐々に公私混同甚だしくなり、椿に翻弄されていく姿も良いですね。
吉田作品安定の受重心です。

ラストも華やか!というより、暗い部屋にポッっと間接照明がともったような奥ゆかしさと安心感に包まれます。

雰囲気の好みはあれど、好きな人はきっとすごく好き。
そんな希少なマイナー調芸能BL。
なかなかのハイレベル作品で、おススメです。

古典的ハード×革新的ソフト

今回もえげつないくらいの神作。
欠点があるとすれば、すご過ぎて読後、他の人の作品じゃ物足りなくなってしまう副作用くらいかもしれない……。

今作は簡単に言うと、古典的ハードに革新的ソフトを組み合わせたスタイルなんですけど、その掛け合わせ方がとにかく抜群なんです。

ハードの世界観は普遍的幼なじみパターン。
幼少期からの攻→受片想い。近すぎる距離感。
ある日、攻が自分から離れるかもしれない!という事件発生。
自分の気持ちに気付く受。
告白して大団円のラブラブエッチ。
という一切の癖のないストレートな王道展開。

それを癖だらけのソフトの世界観が揺さぶり、厚みと深みを持たせていきます。

これにより実は、読者は序盤から軽くパニック状態。

導入はシンプルで、
隣同士に住む幼馴染同級生モノ。
攻は世話焼き、受は天使で天然。って感じなんですけど、

よくよく読んでみると、
受は素っ裸で朝勃ちさせてる寝起きの悪い麻雀好き。
攻は着替えの手伝い名目に寝ている受にエロいことをしまくり。

……へ?!どゆこと?!
とつかまれたら最後、もうページをめくる手がとまりません。

幼なじみ、わかる。
受のポケットから麻雀牌、どゆこと?
世話焼き攻、わかる。
朝勃ち処理でも目覚めない、どゆこと?。

この独特のリズムが読者をグイグイ引っ張ります。

そうか、俺、せーちゃんのこと好きだったんだ!
って気づいて、次のシーンでパンツが一枚もなくて、攻にパンツを探してもらう件とか。
すっごい良い雰囲気での初キスシーンなのに、荒木酒店のレトロデザインタオルが主張しすぎな件とか。
モノクロマンガなのに、赤黄のトップスに緑のデニム合わせていたり。
コンドームのパッケージがITOSHINO、XLという遊び心だったり。
容赦のない麻雀スラングだったり。

キュンとドキドキと???のオンパレード。

見たことあるようで、見たことない展開。
予測不能のようで、でも最後まで安心できる展開。
常識的なテンポの中の心地よい非常識。
最初から最後まで王道と邪道のいいとこどりみたいな作品なんですよ。

だから、読みやすくて、心地よくて、新しくて、麗しくて、微笑ましい。
そこに重い実先生お得意の神アングル+神表情のエロシーンがたっぷり。
正直濡れ場だけでもお値段以上の価値があるかと。

ハードがごちゃついていると、読む気にならなかったり、上手く波に乗れなかったり。
ソフトが充実してないと肩透かしみたいな読後感になる中で、このバランスの良さはお見事です。
様々なワザで最後まで読者を飽きさせず、
でもストーリーの柱は二人の普遍的な愛情という点はまさにBLエンタメの至高。

本編も書下ろしも「やられた……」と突っ伏しちゃうくらい、イイハナシダナァEndで大満足。
何度でも読み返したくなる最高のクリスマスプレゼントでした。

時短でも萌は減りません!美味しいトコだけ切り取った最高のショート

正味12Pに込められた懇親の萌えの破壊力がすごい。
無駄がない。

こうでしょ
こうでしょ。
こうなって。
こうでしょ。
萌え爆発!!!

忙しい現代腐女子に最速でMAXの萌えを供給してくださる先生方に頭があがりません。

ヘタレ男子端場(攻)は奇跡的に片想い相手の右田(受)から告白され付き合えることに。でも右田が以前友人とこぼしていた「がっつかれたら引く」という言葉にショックを受け、自分の欲望は必死にセーブして過ごしていた。その態度を右田は「俺のこと大して好きじゃない?」と勘違い。「仕方なくでもいいから抱いてくれ」と切なげに誘われ、押し倒され、端場の理性はついに崩壊。これまでに無いくらいの暴走を見せてしまい……

何といっても、受の右田くんの襲い受感の色っぽさがヤヴァい。
一見爽やかイケメンなのに急に獲物を狩るような空気を纏う瞬間がたまらない。
そもそも付き合っているのに両片想いというシチュなのが美味しすぎる。
懇願しながら本能むき出しで攻め立てる端場くんも可愛すぎ。
確実に萌えの急所を突いてきます。

ラブあり、エロあり、すれ違いありでこのページ数、このお値段は向かう所敵なしでは??

このレーベルのショートはいくつか読んでいますが、今の所この作品がダントツでお気に入りです。

やいのやいの我慢大会してるカップルが可愛らしいのなんのって

1巻ではチョロかわ日和くんがわけもわからず巨ツノ穂高に喰われまくりの「あーれー」展開が見所でしたが、今回はお預けプレイ…だと?

「いんらん」になることを恐れて断食を提案した日和。
それをあっさり受け入れ、翌日から穂高は我慢して我慢して我慢しまくります。
なのに日和は、穂高が我慢できなくなって自分を喰う展開を願っていたりいなかったり……ちょっぴり面倒くさい性格だな!かわいい!
自分から欲しいとは絶対言わない変な意地があるくせに、クラスメイトに二の腕をさすらせたり、巨ツノ先輩の薬師にお節介をやったりと、もう四方八方にチョロすぎる。
的確なツッコミをしたかと思ったら、言動が案外適当過ぎて、抜け感が半端ない。

そこに睨みを効かせなきゃだわ、我慢大会でツノも下半身も爆発しそうだわで常に忙しそうな穂高くん。今回はレモンアメが大活躍です。

こんなにも日和を喰いたいけど、我慢しているその理由がピュアすぎて悶絶しました。
ついでに、けなげVS律儀による中世の拷問エピソードには爆笑です。

そして我慢して我慢して我慢して解禁された捕食行為のエロいこと。
日和の誘い方もけしからん。
さらに無意識にツノ舐めちゃってるし。
ツノってかたくてやわらかいの??
っていうかツノ舐めプレイってあんなエロいの??
っていうかツノ舐められると穂高あんなになっちゃうの??

そんな鬼知識もどんどん明らかになり、ますますこの世界観にハマっちゃいそう。
続編にまだまだ期待の神作品第2巻でした。

連続再生したい

全くブレない月村テンプレートが最高です。
正直100回くらい読んできたパターンのシャッフルなんですよ。
「薄幸の超絶美形」「カフェ店員」「同級生幼馴染」「両片想い」「風邪の看病」「勘違いと受の自爆的暴走」…
新しさゼロ。なのに心地よさは100点満点。

これは盛り盛りの設定ではなく、キャラ同士の関係性やラブへの心理描写を大切にしているからなんですよね。
しかも脇キャラを含め、地の文も会話文も冗長過ぎず、端折り過ぎずで丁度良い。
刺激性、エンタメ性は低いのですが、ザラつきなく、とことんシンプルに萌えを誘うテクニックは地味にスゴい。
新しさなんて無くても、毎度新作発売が待ち遠しい稀有な作家さんです。

攻の好意はかなり駄々洩れなのに、「その解釈になる?」という月村受流の天然ぶりは今作も健在です。
天然美形受の暴走に焦って必死になる攻様にも毎度萌えざるを得ない。
毎度期待通りのものをご提供頂き感謝しかない。
第2幕も、攻に想いを寄せる綺麗な女の子が悪役というBLあるあるパターンで実に最高でした。

そんなコード進行なので、読み手への負荷が圧倒的に少ないのもポイント。
いつでも読める。何度でも読める。
疲れて眠くて日本語が読めなくても、この本なら読めちゃいます。

月村作品の楽しみ方は読書より音楽鑑賞に近いかもしれないですね。

このBメロからサビにかけてが最高なんだよなーって感じで
蒼士の「おまえはずっと俺と一緒に暮らすんだ」っていうセリフを眺めてます。
読んでないです。
本当にぼーっと眺めてるだけなんです。
なのにスッと萌えられる。
こういう感覚が癖になって連続再生を繰り返しちゃう月村作品は数知れず。
2時間で普通のBL作品を1本読むなら、今作を4回リピートで読みたい気分です。

シンプル&コンパクト。音楽みたいに楽で楽しいBL小説。ひととき癒されること間違いなしです。

凄まじくて2400字で納まらないんだけど

レビューなっが!と思った方には申し訳ない
作品が凄まじすぎました

① ご褒美みたいな作品

シリーズを読んできた分だけ面白くなるよう設計されたストーリーデザイン。
よくある「シリーズものですが今作だけでも楽しめます」の真逆を行きます。

皆のこと ちゃんとわかってる?
あのシーン ちゃんと覚えてる?
という問いが散りばめられ、その問い自体にもワクワクし、
シリーズを咀嚼した自分の答えが上手くハマった時、ご褒美みたいな面白さを体験できます。

1想起

わかりやすい所で言うと、冒頭のビーチや中盤のホームパーティーシーン。
シリーズのイケメンたちがわんさか出てくるあの場面です。
忙しい本編では彼らのカッコよさを一から説明する暇など無いのが正直な所。
ゆえに初見さんにはおよそ伝わりきらないであろうサラッとした描写が並びます。
特にヨシュアやルイスなんて、いくら「その美貌が」と書かれていても魅力の半分も伝わらないのでは…と心配になるくらい。

でも、シリーズ読者にはこれで十分なんです。
だって彼らの溢れる魅力をその数行で瞬時に想起できちゃうから。
例えばヨシュアの過去、ロブとの出会い、俳優転向までの道が自然と脳内に描けちゃうから。
その瞬間ビーチもホームパーティーも顔や上辺だけじゃない、生き様まるっとカッコイイ正真正銘のイケメンパラダイスになります。
そのオールスターぶりに眼福を得つつDEADLOCKの新たなストーリーも進むことができる。
まさに過去作を読み込んできたご褒美のような贅沢時間です。

2熟慮

でも、こうしたキャラプロフィールなどの表面的部分に留まらず、今作にはもう一段深い問いも組み込まれています。
過去の出来事、当時の彼らの感情思考、その後の変化をきちんと覚えていますか?
それが今の彼らに与える影響は?という問い。

ユウトが囮捜査でギャングと初接触する緊迫のシーン。
敵の部下カミロからシェルガー刑務所にいたことを指摘され、驚くユウトと読者。
まさかネトと一緒にいたところを目撃されていたなんて。
その瞬間思い出すのは、あの塀の中のスリル溢れる空気感。
プリズンギャングたちと交わした激しい言葉の数々。
ネトと親しくなるまでの複雑な経緯。
当時のドキドキと今のドキドキが見事に重なる瞬間です。
それは作品の立体感、そして読者との一体感が生まれる瞬間でもあります。
このシンクロ体験も過去作を読んできたからこそ味わえる特典です。

また、思わぬ形で話題に上る過去のジム・フェイバー殺害事件。
今度は当時のディック、ユウト、ネトの困惑と痛みを思い出さずにはいられません。
複雑な心境で会話に参加する彼らの視線に息をのみ、改めて紐解く正解のない答え探しにうーんと唸る。めちゃ深い。
こちらもシリーズを読んだからこそ、より心がザワつくシーンでした。

そして決定的だったのは、クロウとコルブスの繋がりにより今作の運命までもが動いてしまった点。

コルブスは、死んでいる
しかし、死んでなお生きている
ユウトの中で、ディックの中で、元ホワイトヘブンの中で、彼らを巡る運命の中で。
書かれてはいないけれど、シリーズを通してそう感じてしまう。
いつの間にか読者もコルブスに囚われ、この命題に関してイケメンもBLも関係なく夢中になってしまう。
DEADLOCKの一つの究極はここなのかな
と思わず考えさせられる深みのある展開でした。

3予感

さらに言うと、脳内で過去と今をリンクさせたからこそ気付くものもあります。

それが、未来への予感

キースもきっとこの出会いで変わっていく

その根拠はBUDDY一冊では足りないかもしれない。
でもシリーズを通し、出会いで変わった皆の姿を見てきた読者には無理なくそう思える。
ああ、これは過去シリーズを燃料にどんどん前へ進む物語なんだなぁと確信しちゃうんですね。
こうした素敵な余韻も、過去作を読んできたご褒美に他なりません。

② BLとブロマンスの有機的な融合

一方、BUDDY単体での魅力も恐ろしいほど素晴らしい

今回のテーマ、バディ。
ディクユウが大好きなので、ユウトとキースの関係性を受け入れられるか正直不安でした。
が、これが想像以上に良かった。

まずバディもの特有のブロマンス感自体が良い。
特に中盤以降。
コカイン吸入事件からキースのマンションに至る一連のやり取り。
苦しみも含めて過去を開示し深まる理解。
相手の中に自分を見つける真剣な眼差し。
最後も名前で呼ぶとか呼ばないとか。
縮まる距離がめちゃめちゃアツい。
しかし誓ってセクシャルなものではない。
そんな描写は出てこない。

それに対してディックとの親密さはもう完全にラブなわけです。
それも尋常じゃないラブ。
ユウトが病的と言っちゃうくらい。
ディックの描写はいつだって心も身体もユウトにメロメロ。
エッチも激しく、二人はラブラブでエロエロ。

もうね、この対比が良かったということに尽きますね。
人間関係を何でもかんでもセクシャルラブにブチ込まない上品さを感じつつ、ディックが嫉妬する十分な理由にもなる。

ラブじゃないのはわかるが、ブロマンスは否定できない現状。
その先を勝手に勘繰れる要素だけは揃っている。
カレーとシチューみたいに完成品は違うけど、材料が似てるんですよね。
実物・現実ではなく、その匂いたつ関係への嫉妬っていうのがね、BL作品ではちょっと斬新。
だけど わかる ディックの気持ち。
正直ダブルで萌えました。

ユウトとキースのブロマンスについて、あえて絆を弱めることなく、ラブに歪めることなく、真正面から描くからこそ引き立つディックの激しすぎる愛情。

当て馬や横恋慕ではなく、こういう見せ方もあるんだなーと
男性同士の関係性の超複雑構造に大満足です。


他にもこの本やばばばと踊り狂いたくなる所が多々ありましたが、文字数制限のため書ききれません。

でも要するに、このシリーズ本当面白いよっていう話です。

まだ読みたい。
また読みたい。

そんな作品って話です。

不死身の命日 コミック

虫歯 

返金保証できる面白さ。A5ランク神作。

「読んで――笑わなかったら返金するわ」

というLINEを秒で送った作品がこちら。

A5ランク神作。
理由は色々ありますよ。
でも、一番大事なことを先に伝えておくと、

神作ってのは、
理由をあーだのこーだの言わなくたって楽しいんです。

頭で読んでも楽しいし、
心で読んでも楽しいんです。

純粋に読者を感動させ、笑顔にできる作品が神作なんです。

その力がこの作品にはあります。

難しいことは考えず、読んでないなら読めばいい。
読んだなら、また読めばいい。

以上。




以下、あーだのこーだのにお付き合い頂ける方はどうぞ。


ひとことで言うと
ハイスぺイケメン2人が、一緒にいることで人生が輝く伴侶同士になるまでのお話です。

そんな理想の相手と結ばれるなんて憧れるじゃないですか。
現代の恋愛サクセスストーリーそのものですよ。
感動間違いなしですよ。
なのにね、

なぜ、もれなく爆笑しちゃうの。
なんなのこの破壊力。
もう混乱するくらい驚きと感動と笑いの無差別級パンチを浴びまくりですよ。
この2人から生まれる人生のきらめきが素敵すぎました。
最高の理由を3つだけ言わせて。

① キャラが良すぎる
受も攻も最初から最後まで破天荒。素晴らしいWボケ。
なのに滲み出る育ちの良さ、スパダリっぷり。

アホなことをしているように見えて至極真っ当な持論を展開するし、
小気味良いテンポのセリフは癖になるし
そのギャップにクラクラします。

フジミの生き様なんて、もはや哲学です。

こんな面白い攻と、面白い受を掛け合わせて面白くならないわけがない。

しかも顔も良い。
フジミはいつも笑顔で癒されるし
冬真はデレ顔がとてつもなくキュートです。

かつ脇キャラにも嫌なヤツがおらず、ストレスフリーで楽しめるのも高ポイント。

② 演出・展開・スタンスが良すぎる
コントのように毎度始まる冬真のモノローグ
ラブシーン後再開した攻はボサボサの不審者などなど
細かな演出と間合いが絶妙です。

ラブストーリーなのになぜかスリルあり、サスペンスあり、流血(?)事件あり。
ポジション争いの静かなるデッドヒートも手に汗握ります――いや帯に書いてあるから結果はわかってるんだけど、それでもドキドキしますよ。

上げて落として揺さぶりまくりの展開に気付けば釘付けです。

マンガなのに冬真のチャームポイント“声の大きさ”がビリビリ伝わってくるのには正直びっくり。4DXかな??

ニッチな萌えも申し分なく、
「タバコは百害あって一利なし」という前提から
「でも似合ってれば良くね?」という見解に流れるアウトロー感には
はぁぁぁ~わかるぅぅぅぅう~と叫び出したくなりました。

予想の斜め上を行きながら、でも外しすぎない絶妙なコントロール感にただただ笑い、ただただ感動しっぱなし。

そして

③ サザンが良すぎる(もはや反則技)
多分一度読んだら絶対忘れないのがサザン。
今表紙を見ただけで音楽が流れてます。
同時に思い出し笑いが止まらない。

最初のサザンで度肝を抜かれて、
最後のサザンで笑いながらひれ伏しました。
本当参りました。
こんな笑えるセックスシーン一生読めない。

ここまで来てそんな人はいないと思うけど、
もし読んでいない人がいたら読んでね。お願い。

結論
驚きと笑いと萌えと幸せでキラキラの暴力。
脳への刺激が半端ない。
好きすぎて吐きそう。

――これが神作か


今のところ返金希望の連絡は来ていません。

ネタバレ非推奨。まっさらな気持ちで読めるのは人生で一度きりだから。

いつものBLならネタバレするのも、されるのもさほど気にしない性質ですが、
この作品に関しては完全にネタバレアウト!!

というのも、このお話って
・攻が誰かはっきりしていない
・主人公リオの過去も実力もはっきりしていない
・ハピエンの保証もない
「あえて空欄だらけ」という特徴があるんです。

この謎を埋めたい!知らないことを知りたい!という好奇心が分厚いページをめくる原動力になるんです。そしてその原動力をもって自分で掴んだ答えだからこそ、心から感動できると思うんです。
空腹は最大の調味料なんて言いますが、ファンタジーBLストーリーにおいては好奇心こそ最大の調味料ですね。
伏線満載、最大限まで関心を煽る樋口先生のストーリーは好奇心のお腹を目一杯空かせて、楽しんでもらうのが一番。
もちろんネタバレではなく、プロの匠な文章で。
つまみ食いは厳禁ですよー。

で、実際読んでみると、
まあ……とんでもなく揺さぶられました。
展開も心情も。
予想が当たる・外れるとかそんなに単純なものじゃない。

これ、まっさらな気持ちで読めるのが一度きりなのが辛い。
できることなら記憶を消去して、何度でもこの感動とスリルを味わいたかった。
それくらい、あらゆる意味でドキドキです。心臓が痛いです。

そして予想通り2巻を読んでしまえば、もう1巻をまっさらな気持ちで読むこともできなくなりますのでご注意を。
あのシーンで、ユリウス、そしてユリヤの態度、言葉に込められた思いは?
悲惨なリオの境遇に隠された意味は?
さらーっと流し読みしてしまったあのシーン、言われてみれば確かに…??
見える!?見えるぞ!!登場人物の微妙な心理が!
といちいちびっくりしながら1巻を読み返していました。

とはいえ、まだここでも、全貌は明らかにはなりません。
次巻へ続くんです。
それも海外ドラマさながらの絶妙なタイミングで。

なんという焦らしプレイ。
結局のところ、発売日まで好奇心のお腹をたっぷり空かせて待つしかないのです。