緒川さんワールドがたっぷり詰まった短編集です!
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『世界は君で廻ってる』
表題作です。
私はこの作品の、牧くんが好きでしてね…。
自称"見事なまでの地味顔"な牧くんなのですが、そんな牧くんのことを"すげーかわいい"と言ってストーカーばりに付き纏うイケメン・深町。
この深町くん、緒川さんの描かれる"攻め"感が凄いです。
イケメンでクラスの人気者なのに、ちょっとヤバいくらい受けに執着してるタイプ…。
どこか狂気的なのに、この深町くんはストーリーが進むにつれ同時に純粋さも感じられるキャラクター。
そんな深町くんにずっとツンケンしながらも、実は結構心許してきちゃってる牧くん、いやー可愛い。笑
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『エセ床屋漫画』
この短編集で一番好きなお話\(//∇//)\
緒川さん初めてのBL漫画だそうです。
この頃から、絵柄やキャラクターの雰囲気はそのままな感じがしますね。
休み時間になると校内で簡易理容室を開く男子高校生・悠士と、常連の寝癖っ子・忠近。
仲良い友達だけど距離近すぎない?
でも、男同士だし、恋人なんかじゃない…
なのに、なんでキスとかするんだろ?
みたいな、すっごく絶妙な距離感の男子高校生、大好物でして…。笑
悠士は割とアピールしてるんですけど、どうしたらいいか分からない忠近が逃げ回ってる感じ。
でもなんというか、あくまでも悠士は忠近に、自分から落ちてきて欲しいんですね。
だからアピールはするけどがっつきすぎない。それがまた忠近の心を振り回して…。
そして作中で悠士が忠近のある行動に怒って髪をひん掴むシーンがあるんですけど、それって仮に男女だったら、「この男最低…」と思ってしまうのですが、男同士で、しかも好きな相手にそれをやるのって、なんだか燃えてしまう…!
悠士のそれは嫉妬や独占欲からきたものでしたが、少し暴力的な愛情表現って、男同士ならではの気がするんですよね…。
そして、悠士の気持ちに悩み逃げ腰だったのに最後はしっかり男前な忠近が良い。
やっぱり受けってカッコよくなきゃ!
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『おろかしくも うつくしく』
優しく面倒見が良いクラスの人気者・亮平と、自他共に認める"顔だけが取り柄"のクズ系美男子・晴海。
晴海みたいな、"美"に執着して人を見下すタイプの男性は攻めでも受けでも(受けの場合は特に)好きではなく、そして攻めの亮平にも特別惹かれるものはなかったのですが…
タイトルの通り、"愚かだけど、確かに美しい…"と思ってしまった時点で負けですね。笑
亮平に嫌われたと思って涙する晴海は美しく、そしてとても可愛くて…。
ラストのキスシーン、そしておまけページ?の冒頭。私も感じてしまいました。
" 晴海はかわいい "
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『ヤスイタマシイ』
はぁ〜やめてくれ…。
後輩×先輩は弱いんだってば…(しゅき…)
100円で1回、身体の関係から始まる2人。こういう始まりにも弱い。
にしたって100円はあまりにも大安売りな気はしますが…しかもそれ言い出したの攻めっていう。笑
でも口実が欲しかっただけなんですよね。
どっちも慣れてるようにみせて、実はお互い不器用。
素直じゃない後輩と先輩、とても可愛かったです。
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『極上デザート』
イケメンモテ男眼鏡・加地くんと、イケメン甘党男子・夏目くん。
女子の手作りお菓子プレゼントを毎日のように受ける甘党の夏目くんは、スイーツフィーバー状態でしたが、同じくらいのモテだったはずの加地くんにいつしか大きな差をつけられ、自分にお菓子が回ってこなくなり、飢餓状態に追い込まれ…
飢えた自分を弄ぶような加地の言動に、つい意地を張って喧嘩みたいになっちゃう2人。
加地くん…緒川さんの作品では珍しく、どこか淡白な攻めですね。
優しいんだけど、執着心が薄いというか…。
もっとガチガチに執着してよ!受けが拒んでも離さないでよ!と思うのですが(笑)、その分受けの夏目くんが素直で可愛かったです。
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収録作全部が面白くてキュンとして、読みやすくて満足感もありの一冊でした!
攻めはかっこよくて受けは可愛い、緒川イズム(勝手に言ってる)を存分に堪能できました(*^^*)
患者自身に好意を持つ者に対して、性的興奮を誘発させる"フェロモン症"。
そんな病が蔓延する世の中を舞台に、濃厚なラブが繰り広げられます…!
複数のカップリングがあり、
①コミュ力高めのお弁当屋さん×無愛想なサラリーマン
②オタクな陰キャラ男子高生×派手なチャラ系男子高生
③フェロモン症を研究する変わり者博士×その下で働く研究員(リバあり!!しゅき…)
④世話焼きゲイ×真面目天然系ノンケ
⑤ガチムチツンデレ年下男×ヤバめのストーカー系年上男
…といった感じの、どれも濃ゆいCPが揃っております。
1話1話しっかりと話が作り込まれてるな〜という印象で、とても読み応えがあります。
フェロモン症はオメガバースと似たような印象を持ちました。もちろん、男女の概念はそのままなので妊娠しないし番とかもないですけど…。
フェロモン症を発症した患者と、それに誘発された相手とのsexはとても凄いことになってまして、いやまぁ…凄いですよ。笑
余裕こいてた攻めが、余裕なくなったりだとか、
逆に余裕こいてた受けが、もうやめてってぐちゃぐちゃになってるのとか、う〜〜〜ん、
好き…!
ただ、④と⑤のお話はフェロモン症あまり関係ないのかな?
④は本当に、純なカップルって感じで好きです。受け攻め2人に、大人の色気がある中に純粋な部分をすごく感じて、胸キュンさせてもらいました。
そして⑤ですが、いやぁ濃いい!!笑
う〜ん、攻めの真澄くんは好きなんです。
クールでドライに見せかけて、ここぞという時すごくゾクゾクと魅せてくれる。
ヒゲ剃ってくれて更にタイプ。笑
ただな〜!受けの藤生(ふじお)がな〜!ヘビーすぎて!!
受け次第ではすごく好きな作品になっただろうな〜…と、個人的に思っています。
本当に全体通して読み応えある一冊で、人気があるのも頷けますが、好みは少し分かれるかもしれません。
癖もあるし濃厚だし、私は少し胸焼けしました。笑
"したたる"と読むのかと思っていましたが、"しずる"なのです。
語呂がなんとも、お洒落ですよね。
前回までのレオパード白書では、達観したミステリアスな聞き役お兄さん(お姉さんとも言える)な雛湖が、今作のメインとなります。
今までの雛湖は、謎でした…。
ビジュアルもそうだし、受け答えや表情や仕草がなんかもうとにかくミステリアス。
そんな雛湖のお相手はもちろん、普通の男じゃ務まりません。そこでこの、鴉門(あもん)さんですよ…。
インテリでもあり武闘派でもあるヤクザで、眼鏡で関西弁て…。
バリバリです。バリバリの攻めです。
15歳の時に交通事故に遭ったのが原因で、家族と15歳までの記憶を失くし、同時に体液恐怖症になり、誰とも愛し合ったこともない。
人生に夢も希望もなくて、でも別に絶望してる訳でもなくて、持って生まれた美しい容姿は必要以上のお金を稼いでくれて、だからただ生きてる。
そんな雛湖。
ある日突然、ヤクザの厄介ごとに巻き込まれてしまうのですが、本当はそこで死んでしまうはずだったんですね。雛湖は。
でもそこで出会うんです、鴉門に。
鴉門も別に、最初は雛湖のこと、何とも思ってなくて普通に殺そうとするんですけど…
"沼みたいな目"をした雛湖に、昔の、どうしても消せない後悔を強く思い出して、思わず抱きしめてしまうのです。
雛湖を救いたいと思ってしまった鴉門との逃避行が始まります。
ストーリーが進むにつれて、段々と見えてくる雛湖の素顔と過去。
鴉門が雛湖を放っておけない理由。
はじめは酷く危うかった2人の関係が、少しずつ、少しずつ、解かれて結ばれていくように感じました。
個人的には、次巻がより好きです。
というか、次巻も読まないと、正直この"滴る"シリーズの良さが伝わらない気がします。
2巻通して読むと、鴉門の心と雛湖の変化に、胸がギューン…!となるんです…。
"別に、いつ死んだっていい"
これは、救いの物語ですね。