August☆こっぴさんのマイページ

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めちゃめちゃ刺さった「溺れる魚」

表紙とタイトルでまず、アラブものかぁ〜…と思いました。個人的にはそんなに興味なかったんです、自分からは読まないタイプで。
ところがどっこい、しょっぱなでやられました。

なので、アラブ系興味ないな〜、そんな風に思っている人にこそ読んでほしい短編集です。
表題作ももちろん良かったのですが、『溺れる魚』がとても好きなので読んでほしい…



●溺れる魚●

もしかしたら緒川さん作品で1番好みかもしれない…!

自分が好きになる時は本気、なのに相手に好かれると急に冷めちゃう、そんな困った恋愛観を持つ宇佐美。

水泳部の岸は、フラフラして彼女をとっかえひっかえしてるように見える宇佐美のことが苦手。

だけどあることをキッカケに2人の距離は縮まり"友達"みたいな関係になるけど…。

なんでしょう、この…
2人が抱える、ゆらゆらしててヒリヒリしてて、確かにある感情なのに名前に出来ない。

どんな年齢でも生まれる感情な気はするけど、この10代後半のこの時期だからこそ何よりも刹那的で危なっかしくてキラキラしてるように見えるんですよね。

もうそれがすっごい詰まってて(T . T)
石原理先生の「あふれそうなプール」という作品があるんです。BL作品の中で1番と言っていいほど好きなのですが、その作品も10代特有の危なっかしさや刹那的な青春が描かれていて、同じプール繋がりだからか…とても似たようなものを感じて、胸を掴まれました。
制服、夏の暑さ、揺れる水面、塩素の匂い…。
完全に、個人的好みの話で申し訳ないのですが…。

正直、宇佐美の、"相手に好かれたら冷める"という恋愛観は理解できないし、それを持った彼が果たして相手も自分も幸せになれる恋愛ができるのか?というのが読みながらの心配事だったのですが、とても良い形で着地してくれたのではないかと思います。

そして2人の背景がちゃんと描かれているのが更に物語に深みをもたしてくれています。
宇佐美のバックグラウンドはやはりどこか浮世離れしていますが、岸の方はすごく刺さる…。
親にだって色々あるんだ。
両親を、ただ岸くんを振り回す悪い親ではなく、彼らなりの悩みや葛藤を持った上での過程や結果であったこと、そしてそれでも最後に笑顔の描写があったことに、きっと岸くんだけでなく読者である私もどこか救われました。

整理しきれない感情に追われて、本音は全部、水の中に置いていく…。

いつも、濡れている岸。

恋を自覚した時の岸の涙、
ラストのプールサイドでの2人、
めちゃめちゃ良かった…。

うわ〜…好き…と胸を掴まれるシーンがいくつもありました。

夏の雨の日に読みたくなる作品です。



●ラクダ使いと王子の夜●

表題作でもあるアラブもの!!
とても優しい物語でした…。

それぞれの環境でただみんな一生懸命生きていて、そこで奇跡みたいに出会った2人、アルファルドとカマル。

この2人、本当にどっちも純粋で心が優しくて…
こっちまで優しい気持ちになります。

何より…。
巻末にその後の物語が描かれているのですが、それを読んだ時に少しだけつかえていた何かが無くなって、全て浄化されたような気持ちになりました。



●いびつな欠片●

いや〜…。好きです…。
兄に異常に執着する弟と、
そんな弟を酷くあしらいながらも"ご褒美"として身体を許す兄。

ガチ兄弟ものには少し抵抗があるのですが、なんでしょうね…
2人のビジュアルがとにかく良いのと(お風呂のお兄ちゃんがツボ)、お互いヤバい方向に振り切ってる感がむしろ良かったです。

どっちもぶっ壊れてるのになんか綺麗だなーって思えちゃうのは、
大切なものに対して堪らなくて泣けてくる、みたいな描写があるからでしょうか…。

感情が昂って泣けるのってめちゃめちゃ人間臭いですもんね。
理解できない2人ですけど、その中で理解できる部分がすごく刺さって、美しい物語になっていると思います。



●くさった螺旋●

「いびつな欠片」以上にヤバい2人が出てきます…。
あっちの2人は好きになれたのに、こっちの2人は全てにおいて理解できないのでなかなか…。

しかしタイトルが秀逸ですね、
なるほどまさに、というか。
こんなドロドロした関係やめてよ〜(T . T)ってなっちゃいます。笑

でも、不思議と嫌いではないこの話…。

あたるくんの、それこそ誰よりもぶっ飛んだイカれ具合がなんか少し良くて。
しかもそこに歪すぎるけど確かな愛があることがちらついちゃったらね…。

けど物申したいのは秀さんですよ。
過去の話には、ちょっとちょっと…それは違いますって…(T-T)とツッコミたかった。
そんなことしたって…ダメだって…やめときな…って、誰か止めんかったんか…
まあ止めれる人がいたらここまで歪まんかったですよね…。

でもまあ色々ありますよね、
自分が理解できることが全てじゃないですからね…。
作者さまも、読む人を選ぶと仰っていますし、萌えがあるのかと不安もあったそうです。
萌えがあるかは別として、物語としては読み応えのある、面白い作品だったと思います。



4作とも良かったと思いますが、やっぱり「溺れる魚」がとても好きです。
男子高校生×プール×曖昧な関係
って、萌えしか生み出さないじゃあないですか…!!

誤算の純愛!

クールで真面目な烏童×奔放でチャラい三城

思いつきで遊びみたいに付き合った2人の男子高校生のお話。

緒川さんの描く受けって、カーストヘヴンでも思いましたけど、"雌"みたいな男の子が多いですよね…。

私はちゃんと、身も心も"男"な受けが好きなので、雌感強めな受けは苦手なんですが…
そこでなんか好きにさせてしまうのが、緒川さんの上手さというか…!

表題作の受けである三城くんも、ま〜しょっぱなから雌感ビンビンに出してくるビッチですよ。周りに女の子をはべらかしてるのに、出てるのは"モテ男"っていうより"女王様"なオーラ。

そしてまるで男女で付き合ってるかのように当たり前のように堂々と烏童と付き合ってイチャついてるし、そして他の女子に嫉妬され陰口を叩かれるという、本当に存在が女子な三城くん。笑

こういう受けは好きじゃない、私はそう思っていた…
な・の・に!

読み進めるとどんどん出てくる可愛げ(T-T)尊

奔放なビッチかと思いきや(まあ実際そうなんだけど)、ガチ恋愛は処女ってタイプだから、烏童への初めての気持ちに動揺しちゃってドキドキしちゃって、ヤバいって焦るの可愛すぎるしエロいしなんなの…。

1話より2話、2話より3話と、
『あれ?苦手だと思ってたのに、もしかして私…三城くんのこと、好きになってる…?』
と、好きを更新させていく恐ろしい受けです、三城くん…。

しかしその三城くんの良さも、烏童がいてこそ…。
また良い攻めなんだこれが…。
は??真面目で優しくて誠実なイケメンが時々見せる雄味、は??
穏やかさと激しさの同居…これぞ…。

男子高校生のキラキラしててエロくて純情な青春ラブでした!


   ♢ ♢ ♢ ♢ ♢


表題作以外にも短編が2本入っております^_^


「ラストサマーブルース」

甲子園を目指す高校野球部を舞台にした、切ない青春群像劇。

こういう、"青春"を大きな軸にして展開される淡いボーイズラブって大好きなんですよ…。
全然エロくないのに心情とか夏の汗とかに色気があって、確かに好きなのに宙に浮いてどうしようもなくふわふわしてるだけの気持ちとか、すごく綺麗だなって思うんですよね…。

野球に青春を捧げてきたけど後悔を残したまま野球から離れた久住先輩と、久住にまた野球部に戻ってきて欲しい市ヶ谷。

飄々とした中になにか抱えてるような久住先輩と、クールで生意気な中に情熱を秘めた市ヶ谷、2人のやりとりがなんだか本当に眩しい。

なんだか青臭いなぁって思えるシーンも、だってそれが青春じゃん…甲子園を夢見る野球部だよ?先輩後輩だよ…?って、全部キラキラになります。

今作に限らずですけど、想いはあるのにBL未満の2人って、なんだか愛おしすぎます。
少し切なくて、だけど暖かさを感じられるお話でした。

爽やか〜…(T-T)



  「無防備な午後」

こちらはうってかわってリーマンもの!
自分が社会人になったからでしょうか?
昔より圧倒的に、社会人BL大好きになってます。笑

人当たりの良いモテ男営業マン・田町×仕事は出来るけど不器用で性格キツめの大村(美形メガネ)、正反対な2人の同期ラブ!

私…大村さんみたいな上司だったら絶対無理です…(T-T)笑
なくらい、鬼厳しい大村さんですが、元々自分でも部下の教育なんて向いてないと思ってる不器用な人。
"年々分厚くなるレンズ…"のくだりに、そんな彼の苦労感が現れててなんだか可愛い…。

ある出来事をきっかけに距離を縮めることになる田町と大村ですが、大村さんが可愛いんですよ…!
あの鬼キツのメガネがこんな可愛らしい人だったなんて…って、気づけば心掴まれています。

そして田町さんも良い男ですよね〜…。
緒川さんの攻めって、さりげないスパダリが多いような気がします。


さてこんな感じの一冊でしたが、どのお話も面白いしキュンとするしかなり満足感のあるものになっていると思います!
ライトにも読めるし、でもしっかり響かせてはくるし、緒川さんの良さが詰まってる一冊だな〜と思いました(〃ω〃)


雛胡の変化が愛おしすぎます

あの、沼の目をしてた雛胡が…。
死なんて笑って享受しようとしていた雛胡が、好きな人のために焦ったり尽くしたり一生懸命になるなんて…。

続の見所はここに尽きる気がします。

強引で、穏やかさなんて欠片もないけど、どうしたって優しくて、自分を救おうとする鴉門に少しずつ絆されていくんですよね〜。

表情がくるくる変わるようになったり、意外とたくさん喋ったり、記憶を失う前の雛胡は本当はこんな感じのとても可愛らしい性格だったのかな〜なんて。

特に、別荘での2人のエッチシーンは…可愛くて、エロくて、尊い…(;_;)
その後の展開とか、もう、鴉門さん男前すぎて…!!

レオパードシリーズのカップリングでは、燐花×薬師寺推しだったのですが、ああ〜この2人もすごく好きになってしまった〜(TT)
正直全巻までではそこまで引き込まれなかった2人ですが、続でグッと掴まれました。

しかしなんでしょう、ヤクザ×世捨て人な美形の組み合わせって好きなんですよね〜…。
お互い死を受け入れていたはずなのに、いつの間にかお互いのために生きようとする2人…
愛ですよ…

心の欠けた部分を満たしてくれる相手。
真っ暗だった心の中に、光を灯してくれた相手。
やっぱりこれは、救いの物語なんですね。

そして、恋情とか無しに、ただただ鴉門を心底信頼して、鴉門が大切にする相手は自分も大切に扱うけど、そのスタンスは鴉門の安全が絶対。
対等の立場で接するのに、鴉門を唯一無二の男として扱い守る郡司さん、ある意味一番カッコいい男だと思います。