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ご主人ーーーーーー!!

「猿になって王子を救う」完結巻になります。
書き下ろしもありって事で、めちゃくちゃ楽しみにしてました。

ちなみにこちら、異世界にて猿の姿で王子を救おうとする主人公の活躍を描いた作品なワケですが、コミカルで笑えるし可愛いしちょっとしんみりもするしで、すごく素敵なお話なんですよ。
えーと、まるでディズニー映画みたいな雰囲気なんですけど、伝わりますかね?

これ、1巻のレビューでも書いちゃったんですが、作者さんのお話がとにかくツボでして。
可愛いし楽しいし意外とエッチだしと、とても読みやすいのです。
で、それだけじゃなく、ちゃんと心に響く部分もある。
こう、甘くて優しいお話がお好きな方なら、絶対ハマると思うんですけど。
もっともっと高く評価されてていい作家さんだと思う!
あと、私はweb掲載作である「アズラエル家の次男は半魔」が一番好きです。
書籍化して貰えんかなぁ。
笠井画伯とかで。

で、前巻では異世界へと猿の姿でやってきてしまった主人公が、病気の王子を救おうと奮闘すると言うのが大筋。
基本、コミカルでほのぼの可愛い雰囲気だったんですけど。

が、今回ですね、王宮が敵により襲撃され、裏切り者の意外な正体が分かってー・・・からの続きになる為、かなり波乱だし怒涛の展開になります。

これね、前回で謎だった部分。
何故、王子は阿呆のふりをしていたのかー。
そして、「王子の病気」の意外な正体。
ここの真相が語られますが、とても切ないんですよね。
彼がね、本当に阿呆だったら良かったんでしょうけど。
えーと、裏切り者がただ単純に悪党では無いって所が、この作品の深い所だと思うんですよ。
それぞれ信じるものとか守るものがあって、その上で感情があって、だから迷うし、道も見誤う。
辛いよねと。
そんな王子の変化を促すのが、主人公の存在ってところが、また感動しちゃうんですけど。

そしてそして、この巻での個人的イチオシポイント。
ズバリご主人の活躍!

や、二人はかなり危険な状況に置かれるワケですが、そこで颯爽と現れるのが、我らがご主人!
この時点でのご主人ですが、お猿のシェフタリしか知らないハズなのです。
知らないハズなのに、人間姿のシェフタリに対して、彼がかけた言葉ー。
もう、ご主人ーーーーー!!しか出てこないんですけど。

これね、攻めである王子って、すごくいい男だと思うんですよ。
思うんだけど、ご主人に美味しい所を全部持ってかれちゃってと、若干影が薄いんですよね。私の中では。
かわいそうに。
でも仕方ないの。
ご主人が超絶いい男すぎるから、もう仕方ないの。
ちなみに、挿し絵が一枚だけあって、なんとご主人の姿が拝めます。
ご主人、格好よすぎかーーー!

最後になっちゃいましたが、この巻で二人の恋愛部分も大きく進歩します。
シェフタリはラブ面ではかなり鈍いと思うんですけど、だからこそ、気持ちが通じあうシーンでの初々しすぎるやりとりに萌え転がりました。
ついでに、エロが濃厚だわと。
そう、この可愛い作風に反して、エロ濃厚なんですよ。
伊達先生。
もう。
そんなの最高だから!

と、そんな感じで、笑えるしキュンキュンするしめちゃくちゃ感動するしで、とても素晴らしい作品だと思います。
ぜひオススメ。

切ないのに格好よすぎるよーーーー!!

「最強アルファと発情しない花嫁」の続編になります。
完全な続きものなのでご注意下さい。

前作の刊行元であるSplush文庫さんは休刊となってしまいましたが、なんと出版社の垣根を越え、こうしてシャレード文庫さんが続編を出してくださいました。
ありがとーーーーー!
シャレード文庫!!

で、こちら、すでに結ばれた二人と言う事で、さぞかし甘かろうといそいそと読み始めたんですけど。
それが予想外にハードだしシリアス展開だし切ないしで、もうのたうち回る羽目になったんですよね。
何故、ささやかな幸せしか望んでいない二人に、こんな過酷な仕打ちを・・・っ!的な。
まぁそんなワケで、甘々ほのぼのを期待されてる方は、ちょい覚悟しておいていただいた方がいいと思んですけど。

ただその分、もんのすごく萌えるし胸アツだし、なにより二人の愛に深く感動なんですよ。
もう、最後の一行に号泣なんだけど。
まさに万感の思いですよ。
めちゃくちゃ良かった!

ちなみに、二人の恋愛面だけじゃなく、ストーリーとしても本当に面白かったです。
これぞ中原先生って感じの、派手で手に汗握る展開の連続でしたよ。
まるでアクション映画を一本見終えたくらいの満足感
えーと、まだドーパミンが出っぱなしです。マジで。


で、前作で様々な試練を乗り越えて結ばれた、Sアルファの黒瀬とSオメガである五色。
子供達と共に幸せな毎日を過ごす二人ですが、そこに番の上書きが出来てしまう新たなSアルファが登場。
五色を狙ってきてー・・・と言ったものになります。

まずこちら、繰り返しになりますが、ストーリーとしてはかなりハードだしシリアスなものになるんですよね。
えーと、今回、新たに登場して二人の幸せな日常を脅かすのが、アルファ史上主義となる思想集団「AAsA」。
優秀なアルファを増やして国力を底上げしようと言う信念の元、オメガの拉致等過激な活動する彼等に、Sオメガである五色は目をつけられる。

そして、軍本部からの命令の下、そんな彼等の尻尾を掴むべく正体を追う黒瀬。

これね、ストーリーとしてはハードなものの、実はめちゃくちゃ甘くもあるんですよね。
こう、穏やかで、と言うかにぎやかな日常の中で、じっくり愛を深めて行く二人。
この二人、前作では色々すっ飛ばして同居、エッチに入ったんですけど、今回はそんな性急な過去を補うが如く、超ほのぼのイチャ甘な可愛い日常を繰り広げてくれて。
くっ、甘酸っぱーーーい!と。

が、そこに影を落とす、新たなSアルファの存在。

う~ん・・・。
このSアルファですが、五色を狙ってと普通に二人の平穏な日常を脅かすだけじゃ無く、精神的な面でも五色を追い詰めるのがすごく練られていると言うか、深いんですよね。
えーと、Sオメガである五色は、黒瀬と番であるにも関わらず、未だ他のアルファを誘惑するフェロモンを出しているのではないかと言う不安がある。
更に、黒瀬を深く愛しているにも関わらず、Sアルファのフェロモンによって強制的に発情させられてしまう、自身の身体。
その上、彼を狙うSアルファは番契約を上書き出来と、何一つ確かなものが無いこの現状。

これね、五色ですが、子供達や黒瀬と共に過ごす事が出来ると言う、本当にささやかな幸せしか望んで無いんですよね。
だからこそ、この現実がめちゃくちゃ切ない。
また、ここから、警護の隙をついて子供と共に五色は浚われますが、もうめちゃくちゃ痛いし切ないし苦しい展開の連続なんですよ。
えーと、アクション映画さながらの手に汗握るシーンの連続でして、二人は精神的にも、肉体的にもかなり辛い目に遭うんですよね。
で、これが泣けてしまうんですよ。
いや、もうね、互いが互いを守る為に必死なんですよね。
そして、何より胸が熱くなるのが、二人が二人とも、強く戦う事。
愛する家族を守る為に。
くっ、切ないのに格好よすぎるよーー!と。
もうね、結末まで本当に胸アツだし感無量なので、ぜひ最後まで、一気に読んで欲しい。

あと、個人的にかなりスカッとした事。
五色を狙うSアルファに対する、黒瀬の制裁だったりします。
これ、一見生易しく見えたんですけど、ある意味殺すより残酷。
容赦なーーーい。
それほど、黒瀬の怒りは深かったって事ですね。

最後になっちゃいましたが、今回、五色の自身のオメガ性に対する葛藤がテーマだと思うんですよね。
これが本当に切なかったのですが、だからこそ、そんな五色を大きな器で包み込む、黒瀬の言動が素敵でした。
や、この葛藤に絡んで、五色は黒瀬に対して隠し事をしちゃうんですよ。
そんな五色に対して、黒瀬のかけるセリフが!
黒瀬のかけるセリフがっ・・・!
なんと「お前は言えなかった。俺が言える男になればいいだけだ」ですよ!
もう、ゴロゴロ転げ回ってしまったわ。

と、そんな感じで、とにかく最高の続編でした。
最後の一行、マジで泣けますよ!

夜画帳 1 コミック

Byeonduck 

本当に申し訳ないけど、もっと泣いて欲しいし怯えて欲しいし傷ついて欲しい

韓国発の時代ものBL、コミックス化になります。
首を長くして待ってました!

ちなみに、初出はタテ読みになるんですけど、上手い感じで通常のコミックスの体裁に整えてありました。
本当、イラストが美しすぎて、どのコマもうっとりしてしまう。
韓国だとこういう漫画がフルカラーって常識みたいですけど(そうじゃないと手抜きと見なされるみたいです)、すごく贅沢ですよね。
お値段が950円とお高めですが、このクオリティだから妥当じゃないかと。

それでこちら、筆を折った春画師である受けが、希代の好色漢と言われる貴族の攻めに誘拐・軟禁され、春画を描く事を強要されるって言うのが、この巻での大筋になります。

や、これ、内容としては結構酷いもので、受けの人権がもう完全に無視なんですよね。
突然拐われ、脅され、有無を言わさず春画を書くように強要される。
しかも目の前で、攻めを含めた男同士の絡みを見て、それをモデルにって感じで。

で、過去のとある出来事から、二度と春画を描かないと決めていた主人公は苦悩する。
そんな彼に対して、あらゆる手を使って春画を描かせようとする攻め。
ここに、主人公が敬愛する師であるチョン・イノンだったり、攻めに惚れている遊び相手のチファなんかが絡んで物語は展開して行きますが、もうみんなそろいもそろってクズで、ナミン(主人公)はよってたかって食い物にされ、またいたぶられる。

まぁそんな感じですので、読者を選ぶんじゃないかとは思うのです。
思うのですが、とにかく刺さる人には刺さる、激萌えの作品なんですよ。

いやね、個人的萌えに、最初は受けをオモチャ扱いする鼻持ちならない攻めが、いつしか受けに本気になってしまうと言うのがありまして。
これ、まさにその王道パターンなんですよ!
また、このスンホの場合ですが、めちゃくちゃ無自覚なのが最高に滾る!
えーと、彼は最初こそ、ナミンの絵に夢中になった。
それが、いつしかナミンの絵だけでは無く、ナミン自身に執着して行くんですよ。
自分じゃ全然気付いてないけど。
この無自覚の執着を見せる様が印象的に描かれていて、その度に読者はゾクゾクしちゃう。
目が、目が怖いんだって!

またこれ、主人公であるナミンですが。
彼はですね、なんか妙に嗜虐心をそそると言うか。
縛られて刀で脅されてボロボロ涙をこぼしてたりするのが、なんか異様に滾ると言うんですかね。
気の毒なのに。
震えて怯えてる姿に、申し訳ないけど萌えちゃうんですよ。
こんだけ泣き顔がそそる受け、そうそういないと思うんですけど。
本当に申し訳ないけど、もっと泣いてほしいし怯えてほしいし傷ついてほしい。


とりあえずですね、この巻では序章も序章。
恋愛面では1ミリ程度進むだけですし、まだまだ隠されてる事も多い。
そんなワケで、物足りないと感じる方もおられると思うんですよ。
でも、ここで判断するのは早計です。
面白くなるのは、ここからです。
そしてこの巻は、ここからの萌えの重要な下地です。
ぜひ読んでー!

一人の戦士なのです

モンゴル風民族BLで「草原の王は花嫁を征服する」のスピンオフになります。
単独でも問題無く読めるんですけど、セルーン達が結構活躍するので、既読だとより面白いと思います。
セルーン、立派になってたよ!

で、こちら、草原で羊を放牧して生きる草原の民が主役になるお話なんですよね。
厳しい彼等の生活に、男同士の特別な絆。
いや、まさにタイトル通りのドラマチックなお話で、読んでてうっとりしちゃうんですよ。
えーと、作者さんがおっしゃってくれてるように、広々とした草原を駈ける気分を味わえると思うんですけど。

ちなみに、夢乃先生と言うと、受けがわりと悲惨な目にあわされる事が多いイメージですけど。
が、今回の受けは多少不憫ではあるものの、そこまで辛い目にあいません。ご安心を。
それどころか、戦士として戦う彼が格好いいんですよねぇ。
攻めとともに馬を並べて、広い世界を見つめる姿にシビれるんですよねぇ。

まぁそんな感じで、皆様もモンゴル(風)の草原の爽やかな風を感じていただきたいです。

内容です。
幼い頃の事故が原因で馬に乗れず、一人前の男としては扱われないハワル。
そんなハワルを何かと気にかけてくれるのが、亡き兄の「馬を並べる」相手であったオーリ。
オーリに対して密かに恋心を抱くハワルですが、自身の境遇から、素直に想いを認める事が出来ないんですね。
そんな中、部族の宿営地が敵襲に遭いハワルは捕らわれますが、なんとオーリが敵と通じていた事を知ってしまいー・・・言うものです。

まずこちら、個人的な萌え処ですが、ずばり草原の男である彼等の特別な絆だったりします。

えーと、この草原の民ですが、男同士で「馬を並べる」と称される特別な関係を結ぶんですよね。
こう、家族であり親友であり誰より信用できる特別な相手と。
時には身体を重ねちゃったりする彼等の関係は、やがて大人になって結婚する事で解消される。

で、亡き兄のそんな馬を並べる相手であったオーリに対して、密かな想いを抱いているハワル。
彼はですね、幼い頃の事故がトラウマになり、草原の男なら乗れて当たり前の馬に乗る事が出来ない。
何だろう。
兄の恋人だったとか一人前の男として扱われない自分の立場とかがネックになって、ハワルは自身の気持ちを素直に受け入れられないんですよね。
そんなハワル視点で進むんですけど、彼の複雑な心情と言うのが焦れったいのにめちゃくちゃ萌える。

周囲からバカにされている、情けない自分を見られたくないと言う意地。
兄の身代わりにはなりたくないと言う矜持。
それでも、一人の男として彼と馬を並べたいと言う強い憧れ。

これね、今回の攻めですが、おおらかで包容力があって優しくてと、まさにスパダリなんですよね。
ハワルにすげない態度をとられようと、ひたすら気にかけ関わり続ける。
こう、そんな彼とオーリとの、スレ違いにとにかく焦れる。
彼等の文化とか、それに裏打ちされたハワルの複雑な心情とかがしっかり理解出来ちゃうだけに。
なんとももどかしいって感じで。

と、こちら、最初こそとてももどかしいものの、王道のスレ違いラブなんですよ。
が、ここから、ハワル達の部族が敵襲に遭う。
更に、オーリが敵国に通じていた事が分かってと、まさに嵐のような怒涛の展開。

果たして、オーリの真意とは?
そしてハワルは、彼と馬を並べて、あの懐かしい草原を再び駈ける事が出来るのかー?
ってところでしょうか。

これね、ここからお話は壮大な広がりを見せと、とても面白いです。
こう、戦う男って格好いいよね!と。
また、オーリの真の狙いだったり、彼とはまた違った視点で、広く世界を見つめるハワルがシビれる。
彼も一人の戦士なんですよね。
ついでに、本人じゃなく、その付属物なんかで評価されがちなんですよね。
こういう草原のような、厳しい場所なら尚更。
それが、オーリですが、あくまでハワルをハワルとして見てくれているのが素敵で。
馬に乗れても、乗れなくても、ハワルはハワルだと。
や、こういうのって、めちゃくちゃ感動ですよ。
胸アツですよ。

と、そんな感じで、とても壮大だし感動的だし素晴らしい作品でした。
夢乃先生の民族BL、最高ですよね。

スレ違い10年愛

切なくほろ苦い、不器用なスレ違い10年愛って感じのお話になります。
こういう、スレ違ったまま時が経ってしまい、相当拗らせた大人の恋模様ってめちゃくちゃ萌えますね。

ちなみに、初読みの漫画家さんなりますが、イラストがめちゃくちゃキレイな上に色っぽいです。
それと、原案者が水壬楓子先生って事で手にしたんですけど、電子版だと描き下ろしのオマケ漫画2Pだけじゃなく、なんと壬生先生による書き下ろしSSが17Pも特典としてついてきます。
これがめちゃくちゃ良かったので、ぜひオススメ。

で、こちら、繰り返しになりますが、スレ違い10年愛ってお話なんですよね。

攻めであるアキと受けの瑞凪ですが、高校時分からの親友。
この瑞凪ですが、こう一風変わった面白いキャラでして。
天才的な頭脳を持っていてとても優秀でありながら、どこか抜けていて無邪気。
こう、世間の常識が通じないタイプって言うんですかね。
経験が欲しいからと、アキに抱いてくれとあっけらかんと頼んだりするって具合で。
で、彼は医学部を出ながら何故か突然ホストになり、美容師になったアキの家にちょくちょくやってくる。

アキですが、そんな瑞凪に振り回されて、彼の無防備さを苦々しく思ったり、諦めきれない自分にイライラする。
それでも、惚れてるから突き放す事が出来ない・・・。

そんな中、諸事情から住む場所が無くなった瑞凪が、アキの元で同居させて欲しいと言って来て・・・と言う流れ。

こちら、中盤までずっと攻め視点で進むんですよね。
同居を始めた瑞凪ですが、アキをエッチに誘って二人は寝るようになるんですよ。
でもそれはあくまで気持ちいいからで、瑞凪にとっては恋愛感情からでは無い。

アキのほろ苦い片思いが、しっとり落ち着いた雰囲気で綴られ、なんとも切ない心地にさせられます。
瑞凪との同居生活が辛いのに、同時に幸せでもあるんですよね。

で、私は当初、瑞凪のアキに対する振り回しっぷりに、若干イラっとしちゃいまして。
また、これほど惚れていながら、アキが何故一歩を踏み出す事が出来ず、ここまで拗らせているのかー。
これが不思議だった。

が、中盤で思いがけない真相が分かると、この二人の拗らせぶりに一気に納得が行くと言うか。

いや、これね、ここから瑞凪の視点が入るのがとても巧みだと思うんですよ。
彼が何故、医者の夢を諦めてホストの道を選らんだのか。
そして、軽い態度でアキに抱かれているのかー。

もうね、この真相が分かった時、あまりに切なくて切なくて。
瑞凪、健気過ぎるわと。

ちなみに、ちゃんとハッピーエンドなのでご安心下さい。
個人的にすごく感動したのが、そんな瑞凪の本心を知り、アキの方が変化するって事でして。
もう、この二人、10年も何やってたんだよ!とは思うものの。
あの事故からスレ違った二人が、大人になった事で臆病になり、より恋心を拗らせてしまった。
それでも、こうしてちゃんと結ばれた。
とても素敵な作品だと思います。

漫画家さんってスゴい・・・!!

こちら、小説のコミカライズ作品になります。
上下巻合わせてのレビューになります。

えーと、詳しい内容は既に書いて下さってるので、個人的な感想や解釈を語らせていただきたいと思います。
原作となる小説は既読なので、その観点から。

まず第一に感じた事が、コミカライズの上手さ。
原作小説ですが、コミカライズされた事からも分かる通り、ストーリーとしてとても面白い作品でして。

ある日突然異世界へと飛ばされてしまった主人公。
彼がトリップ先で悲惨な経験をしつつも、番である攻め二人と出会い、やがて彼等とあたたかい家庭を築く。
そして、幸せになる。

ザックリ言っちゃうと、大変な目にあいつつも真っ直ぐ一生懸命に生き、愛を育て、自分自身で居場所を作って行く主人公の半生に感動するお話なんですよね。
そこに、溺愛だったりお料理だったり獣人だったり、妊娠・出産だったりと言った、萌え要素がこれでもブチ込まれてて。
しっかり作り込まれた世界観が魅力なら、王道の萌えを押さえたキャラ設定や彼等の関係性がとても素敵で。

ただ、これは完全に個人的な好みの問題ですが、若干書き方がクドクドしいと言うんですかね。
こう、日常のささいな出来事まで全て事細かく書かれていて、すごくお話が長いんですよ。
あと、視点がコロコロ変わる為、読みにくさに拍車をかけてると言うか。
ストーリー自体は本当に面白いんですけど、そのせいで気が短い私のような読者は上手く乗りきれない作品と言いますか。

が、このコミカライズ版では、そこの所が全て解決。
必要性の薄い日常の描写なんかはサックリ済ませ、感動的だったり萌え処である重要なエピソードはページを使ってしっかり描写。
そして、小説では混乱しやすかった誰視点なのかと言う部分まで、パッと見ですぐに分かる!
そう、マンガの特性を生かして、これでもかと上手に仕上げてあるのです。

いや、漫画家さんってすごい・・・!
てか、松基先生がすごい!!

なんだろうな・・・。
チカが攻めのお膝抱っこでアーンで食事を食べさせられてるシーンとか、二人から真っ直ぐな愛情を注がれてる所とか。
あと、皆でワイワイと食事を食べてるシーンとか。
もう、すごく楽しいし萌えちゃうし感動しちゃうしで、とにかく素敵なんですよね。
また、絵になったチカはめちゃくちゃ可愛い上に、エッチシーンではエロエロ。
そして、ダグラスとゲイルはこれでもかと格好いいし男前!
めちゃくちゃ面白いよー!と。

これね、個人的にとても良かったと思ったのが、コミカライズされた事によって、原作の面白さに改めて気付けたと言う事でして。
や、短気故に見逃しちゃった作品の素晴らしさに、ようやく気付けたと言うか。
コミカライズとしては、大成功じゃないでしょうか。
実はここからがね、本当に面白い所だから、ぜひともそこまでコミック化して欲しかったですけど。
ここだけ残念。

あと、上下巻にそれぞれ、原作者さんによるSSが収録されてます。
で、強く印象に残った上巻のSSの感想を書かせてもらいます。

えーと、ミンツ視点でチカが奴隷商から救いだされたばかりの頃のお話になるんですね。

そもそも、このコミカライズ版ではそのへんがサラッと描かれてますが、小説版では結構しっかり書かれてまして。
こう、この世界にやってきたばかりの頃のチカですが、性奴隷として捕まり、悲惨な扱いを受けてたんですよね。
助けだされた彼は、骨折に裂傷にと酷いありさまだった。

これね、主人公をこんな目に遭わせる獣人達や奴隷商は地も涙も無い!って感じで、私は単純に怒りを覚えただけだったんですよ。
が、ミンツ視点で語られた、そんな彼等の心の動き。
なるほどなぁと。
人間って、悲しいですよね。
そして、絶対的な正義も逆に絶対的な悪も存在してないんだなぁと。

とりあえず、お話には出てこない、こんな部分までしっかり掘り下げて考えてる作者さんって凄いと思います。
きっとこのへんが掘り下げてないと、序盤のチカの受難がただ単に主人公を酷い目に遭わせて話を盛り上げる為だけの要素になっちゃって、シラケる原因になるんだろうなぁ。

ゴージャスでドラマチックな恋に酔いしれて!

来日したハリウッド俳優と通訳の日本人青年との恋です。

完結するまで我慢しようと思ってたんですけど、萌えを吐き出さないと死にそうなのでレビューです。
ちなみに合本版だと特典付きなのでオススメ。
オマケマンガも良かったけど、キャララフのコメントにはめちゃくちゃ萌え転がっちゃいましたよ。

で、こちら、仕事で来日したハリウッド俳優と、彼を担当する事になった通訳の日本人青年。
彼等が恋に落ちるってお話なんですよね。
これがめちゃくちゃドラマチックだしゴージャスだしで、もう読んでてひたすらうっとりしちゃうんですよ!

えーと、攻めであるルイスですが、まさにハリウッド俳優って感じのワイルドでセクシーでちょい悪い感じの男なんですよ。
そんな彼が異国の地で、不思議に心を和ませる黒髪の慎ましやかな青年と出逢う・・・。

こう、最初こそ、本能の求め合うままにベッドイン、愛し合いと、アダルトで激しい始まりだった二人。
それが共に過ごす中で、互いの内面を知り、どんどん愛を深めて行くー。

これね、百戦錬磨って感じの遊び慣れて余裕のある攻めが、受けのピュアさにハマってしまうと言うか、どんどん本気になってく様が楽しいんですよ。
悪い男が、受けの前では思春期の少年のような言動を見せるのにニヤニヤと言うか。

また、受けがとにかく尊い・・・!
えーと、真面目でちょい天然の部分なんかもあって、はにかんだ笑顔がめちゃくちゃ可愛くて、ベッドでは意外と大胆でエロい。
最高かよ!!

ちなみに、舞台は日本だけにとどまらず、ハリウッドまで広がりと、しつこいけどゴージャスです。
スターである攻めと一般人、しかも男でアジア人と、二人の間には大きな壁があるんですよね。
本気で愛し合いながらも、そんな二人を引き裂こうとする周囲と、お約束だけど切ない展開も。

これね、スターと一般人の恋と、昔から飽きるほどあるお話で、超ベタなんですよ。
ベタなんだけど、つまらないどころか死にそうに萌える。
こういうテンプレなお話ほど、ストレートに作者さんの力量が味わえるからじゃないかと個人的には思うんですけど。
ありきたりな設定で、いかに読者の心を動かすかー。
大好きな作家さんなんですけど、いつき先生の持ち味と良さがこれでもかと生かさせた、素晴らしい作品だと思います。

あと、今の時点で単話で10巻まで出てます。
10巻、泣けたわ。(合本版には収録されてないです)
ルイスのお父さん、最高だわ。

どんな結末が来るか分からないんですけど、舞台に相応しいロマンチックで派手なのを期待したいです。
まぁ、そうじゃなくても、二人が幸せになってくれれば満足だけど。

まさにクレイジーネイバー!(狂気的な隣人)

タイトルそのまま、人生に絶望してるゲイのリーマンが、クレイジーネイバー(ヤバい隣人)と出逢った事により変わって行く物語です。

電子単話には「萌2」評価を付けちゃったんですけど、一冊で通して読んでみたらとても心に響いた事、あと未読部分がめちゃくちゃ良かった事から「神」評価を付けさせて貰います。

で、こちら、インタビューに「強制救済ラブ」となってる通り、陽気で常識外れのめちゃくちゃな外国人牧師により、主人公が自殺を阻止される事から始まるお話なんですよね。
えーと、繰り返しになりますが、テーマになるのが「救済」なんですよ。
ゲイの主人公はその性指向により、人生に絶望してて。

で、今作のすごい所ですが、そんなテーマとしては大変重いしシリアスなお話ながら、すごいパワーとギャグ満載の明るいトーンで楽しく読ませてくれる所。
いやね、しつこいですが、新しい隣人であるアレックスがめちゃくちゃ面白いキャラなんですよ。
えーと、何だろうな・・・。
やたら人懐こくてグイグイくる上に、聖人そうろうかと言うと煩悩まみれ。
で、「おお、どうすればこの者は救われるのでしょう」みたいなわりと失礼な事も言ってるし、自殺を阻止する為に壁に穴を開けて強制ルームシェアと、やってる事もめちゃくちゃ。
めちゃくちゃなんですけど、彼の行動の根底にあるのは全て隣人への愛なんですよね。
だから、「あなたはあなたのままでいいんです!」みたいなクサいセリフが、とても心に響く。

いやなぁ、主人公である晶路は、誰にも理解されず一人で生きて行く人生に絶望してるんですよね。
好きな相手に恐る恐る心を開いてみた所、裏切られる結果になって。
ただ、周りが理解してくれないでは無く、心に壁を作っているのは実は自分自身なのです。
で、鬱リーマンとなってる通り、彼の心の壁は相当強固でちょっとやそっとじゃ取り除けそうに無い。
だからこそ、めちゃくちゃな方法で強制的に取り払う、アレックスのような存在が必要だったんだろうと。

ちなみにこちら、実はアレックスはアレックスで、心に抱えているものがあるんですよね。
底抜けに明るくて前向きに見えるアレックスですが、晶路を救う事が彼にとっての贖罪でもあった。

えーと、今作のテーマが救済だと書いたんですけど、人は変われるかと言う事もテーマだと思うのです。
アレックスにより晶路は変わり、またそんな晶路の存在により、アレックスも変われた。
めちゃくちゃ素敵ですよね。
二人の恋愛部分にもとても萌えるんですけど、同時に二人の変化にも深く感動で。
すごくいいお話だと思います。

とりあえず二人のシュールでハイテンションなやりとりだけでも最高に笑えるので、気軽に読んでみていただきたいです。

みんな、ありのままの自分を好きになりたい

ファンタジー感満載の表紙ですが、等身大の恋愛を丁寧に綴った、ごくごく日常のお話。
とても繊細で心に沁みる優しい作品でした。

こちら、コンプレックスがテーマになるんですよね。
主人公である攻めは先天性獣化症であり、受けもまた、人とは違う個性を持っている。
そんな、それぞれ劣等感を抱えた二人が偶然出逢い、ゆっくりと心を通わせ、やがて互いが大切なギフトだと気付く。

これは完全に私事ですが、事故による怪我で、手に障害があるんですよね。
私にとってはこれが一番のコンプレックスで、長らく新しい自分の手を受け入れる事が出来なかった。
怪我が治ったあとも、ずっと包帯を巻いてましたもん。
そうすれば、変形しちゃった自分の手を見なくてすむから。
その上プライドだけは無駄に高いから、周囲には「自分は全然気にしてない」と平気なふりをして。

今作はまさにそんな難しく繊細な部分。
人のコンプレックスを扱いますが、上から説教臭く高説をたれるでは無く、馴れ馴れしく分かったふりをするでも無く、ごくごく自然に優しく寄り添ってお話を書いてくれています。
終盤でタイトルの意味が分かりますが、思わず泣いちゃいましたもん。

誰でもコンプレックスの一つや二つ抱えてると思うんですけど、読み終えたあとは少し前向きになれる、とても素敵なお話だと思います。
あと、素直にこれがデビュー作ってすごいと思う。
ベテラン並みの完成度と、なにより読ませて心を動かす力がありますよ。本当にすごい。

ザックリした内容です。
先天性獣化症と珍しい症例を患い、狼のような姿で生まれてきた大学生・祭。
偏見の目にさらされつつも、それなりに折り合いをつけ真っ直ぐに生きているんですね。
そんなある日、高校を中退してひきこもりになってしまった少年・哲平の家庭教師をする事になってー・・・と言うものです。

まずこちら、繰り返しになりますが、ごくごく等身大の恋愛を丁寧に綴った現代ものになるんですよ。
攻めはいわゆる獣人になるんですけど、それも「先天性獣化症」と言う症例扱いで。

家庭教師とその教え子。
二人の出逢いから、どこにでもありそうな日常のエピソードを繰り返し、少しずつ少しずつ二人の距離が縮んで行く様が丁寧に綴られます。

これね、見た目が明らかに人とは違う祭。
彼から見た世間と言うのは、時に残酷で時に酷く冷たいのです。
また、一見「普通」の哲平。
彼もまた、人とは違う個性を持ったが故に、心に深い傷を負って高校を中退、引きこもるに至った。

祭ですが、決してスパダリでは無いのですよ。
弱さも抱えているし、鬱屈もある。
それを隠すのが上手い分、哲平より根が深い気さえしちゃう。
ただそんな彼だからこそ、哲平のささいな表情等の変化に気付き、優しく寄り添えるんですよね。
踏み込みすぎないように。
少し距離が近づけば、今度は辛さを吐き出して重荷を下ろせるように。

そして哲平ですが、どこか庇護欲を誘うのです。
生真面目で、不器用で、また甘えるのが下手で。
最初こそ、そんな何か心に傷を抱えているであろう哲平を、まるで弟のように守ってあげたいという意識でいた祭。
それが、少しずつ少しずつ恋心に変化してゆくのもとても自然で。
互いに異質な存在であるが故に、世間から弾き出された二人。
だからこそ、分かりあえる部分があると言うか。

ちなみに、理解者だと自身では思いながら、気付かないうちに実は誰より酷い差別をしちゃってる事って普通にあるのかもと怖くもなって。
哲平の母親ですが、祭に対してとてもフレンドリーです。
でもそれは彼をキャラクターのように見て喜んでるだけで、実は同じ人間扱いをしてないんですよね。
だからこそ、祭を繊細な「個性」を持つ哲平の家庭教師にした。
なんとも皮肉だし酷い話で、この事実が分かった時にはとても心が痛みましたよ。
彼女が息子である哲平を愛してるのは確かだからこそ、余計に。

あとですね、このお話。
特別派手な出来事は無く、そんな感じでとても静かに、穏やかに二人の恋は進むんですよね。
ちょっとした誤解やスレ違いはあるんですけど。
で、それがとても素敵だと思うのです。
こう、激的な出来事なんて無くても、ささいな日常を繰り返して、人は分かりあえるし、恋にも落ちる。

また、世間の冷たさに苦労したり傷付いたりした二人ですが、同時に世間には理解者も存在すると言うのがとても素敵で。
彼等との出逢いにより、二人の意識が変化して行くんですよね。
みんな、ありのままの自分を受け入れて欲しい。
そして、自分に自信を持ちたい。
これまでの殻を破り捨て、前に一歩踏み出した二人に、なんかもう心が晴れ渡るようですよ。

これね、読み終えたあと、自分も肩肘張らずにもっと自然にしていい気がしちゃって。
私事で恐縮ですが。
えーと、コンプレックスを克服とまではやっぱりいかないんですけど、少し気持ちが軽くなったと言うか。
まぁ、手が変形してても恥ずかしくはないよねと。
そう、過剰に反応してるのは私だけで、別に世間の人は私の手なんかいちいち気にしちゃいないんじゃないかと。
むしろ、無理してやってた事も、人に頼るようにしようと。
要は何を言いたいかなんですけど、同じようにコンプレックスを抱える方が、今作を読んで元気になって貰えると嬉しいなぁと。

最後になっちゃいましたが、こちらBL的萌えもしっかりありますので!
なんかなぁ、全然上手く伝えられてない気がするけど。
えーと、エロ時の意外と男らしい哲平とか。
うん。確かに彼は「漢!」ですわ。

過去と現在が交錯する、壮大な愛の行方

こちら、輪廻転生もので、全3冊で完結のうちの1巻目になります。

このボリュームでまだ1/3だし、決して気軽に手を出せる作品では無いんですけど。
どシリアスだし、胸がつぶれるほど切ないし、かなり痛い描写もあるし。

ただ、もんのすごく読み応えのある壮大で骨太なお話なんですよ。
切なく、苦しく、そして泣ける。

実はムーンライトノベルズさんの方で先に読んでまして、もう大好きなお話なんですよね。
書籍化を知って狂喜乱舞しましたよ。
過去と現在が交錯する壮絶な愛や執着の行く末に、主人公が果たそうとする使命。
なにより、一人の男が命をとして守ろうとしたものー。
ぜひ、皆様も最後まで見守っていただきたい!

ちなみに、ムーンライトノベルズさんで既読の方も、かなり加筆修正されてます。
大きな変更点とかは無いんですけど、内容が分かりやすくなってたり、より心を打たれるエピソードになってたり。
記憶力が大変残念な上に、1ページずつ見比べたワケでは無いので、間違ってたら申し訳ないですけど。

それにしても、表紙のレオリーノとグラヴィスの瞳が美しすぎて、もううっとりとため息しか出てこないですね。
えーと、二人の瞳の色が重要な意味を持つお話でもありまして、文章で読んではあれこれ想像してたのです。
想像してたのですが、それを上回るこの美しさ!
一夜先生、素晴らしいわ。

で、ザックリした内容です。
辺境伯の四男として生まれた、絶世の美貌を持つレオリーノ。
実は彼には、かつて身をていして国を守った騎士・イオニアの記憶があるんですね。
イオニアが死の直前に知った、仲間の裏切りとその裏に隠れている真の国賊の存在。
それを暴き、かつての親友で王弟であるグラヴィスに伝える事が自分の使命だと決意をしてー・・・と言うものです。


えーと、こちら繰り返しになりますが、過去と現在が交錯する壮大な愛の行方が見処でして。
今作だけで480ページ、しかも上下段とたっぷり使って、現在の主人公の幼少期から始まり、徐々に記憶を取り戻して行く様、そしてかつての親友・グラヴィスとの再会まで語られます。
並行して、騎士イオニアの人生が語られるって感じでしょうか。

で、個人的にめちゃくちゃ萌えるのが、レオリーノの前世であるイオニアと、まだ若かりしグラヴィスとの切なすぎる恋。

う~ん。
イオニア少年ですが、実は鍛冶屋の息子と、普通ならグラヴィスとは一生交わる事の無い運命だったんですよ。
それが幼い時分にたまたま知り合い、二人は友情を育んだ。
ここから、彼が触れた物を砕けると言う異能を偶然持っていた事もあり、グラヴィスとともに高等教育学校へ。
やがて互いに友情以上のものを覚え始めるも、イオニアは立場の違いから想いを封じ込めるしかなかった。
で、そんな彼の辛い恋を知り、全てを理解した上で共犯者として慰めをくれた、もう一人の親友・ルーカス。

これね、危うい均衡の上に成り立ってる、三人の関係と言うのにとにかく萌えるのです。
また、イオニアの、自分は決して恋人にはなれない。
でも、自分の血と忠誠は永遠にグラヴィスにー。
と言う、強い意思がとにかく切ない。
この巻で彼が戦死するまでが語られますが、その最期も壮絶すぎて。
最後の最後まで、彼はグラヴィスを想い、そして彼が守る国を自分も守り抜こうとした。

何だろうな。
彼の人生を思うと、もう涙が止まらないんですよね。
グラヴィスとの出逢いさえなければ、彼は鍛冶屋として平穏な一生を終える事が出来たであろうと。
それがグラヴィスの人間の盾となり、その手で人を殺し、過酷な戦場で戦い、やがては悲惨な最期を迎えた。
またそれでも、グラヴィスと出会えない人生より、彼と出会えたこの壮絶な人生の方が、イオニアには幸せだったんだろうなぁと。
もう、胸がつぶれそう。
悲しくて悲しくて切なくて、マジで胸がつぶれそう。

で、今作の最大の萌えですが、そんなイオニアの記憶を受け継いだ青年・レオリーノと、イオニアをそんな経緯で失いすっかり厭世的になってしまったグラヴィスとの再びの邂逅。

えーと、タイトルである「背中を預けるには」ですが、とても深い意味を持つんですよ。
かつて「力」と頑健な肉体を持ち、グラヴィスが唯一背中を預ける事が出来た騎士・イオニア。
しかし今生のレオリーノのですが、幼い頃の事故で足が不自由。
身体も繊弱。
レオリーノにとって、背中を預かる事が出来ない今の自分は、とてもイオニアの生まれ変わりだとはグラヴィスに伝えられないんですよね。
しかしイオニアと全く同じ瞳を持つ彼を見て、イオニアの生まれ変わりを疑うグラヴィス。

更に、レオリーノが一人で秘密裏に追おうとする、かつての裏切り者とその裏に隠れた真の国賊の存在。

果たして、イオニアの無念は晴らせるのか。
そして、二人の恋の行方はー?
って所でしょうか。

とりあえずですね、ここから更に物語は深みを増し、壮大な広がり見せます。
驚きの真相も明かされますし、めちゃくちゃ痛い展開も来る。
でも、とにかく面白いし萌えるんですよー!
多少歪んでしまった、ルーカスの執着愛とか。
彼もまた、気の毒な男だよなぁと。
失った恋人を18年も想い続けるって、なんて哀しい。
萌えちゃうけど。

過去と現在が交錯しと、かなり複雑なストーリーなんですよ。
で、登場人物がやたら多い上に、彼等の関係もこれまた複雑。
お話自体もビックリするほど長い。
そんなワケで、なかなか気軽に癒しを求めてってスタンスでは読めないと思います。
ただ、とにかく心を揺さぶられる、壮大で凄まじいお話なのです。
本当、ぜひ、最後まで読んでいただきたい。


最後になっちゃいましたが、ムーンライトノベルズさんの「背中を預けるには」シリーズで、番外編やスピンオフ、登場人物相関図等みれます。
ルーカス好きさんは「この恋の涯てには」が必見ですよ。
今度こそ、彼を幸せにしてやって!
ちなみに、順番としては「背中~」→「この恋~」です。