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最後に一度だけあるベッドシーンでの会話に爆萌!!

読む手が止まらず、最後まで一気読みしてしまいました。
電子なんで、本の厚みが実際わからないため購入して開いてから、うお!400P以上ある!と気づいた次第で。

なんというか、骨太な話でした。
単にBがLしてるだけのお話ではなかったです。


オズワルドの属性が「腹黒」とあったので、読む前はエセルを周囲から孤立させて囲い込む系なのかと思ってたんだけど、全然違うんですよ。
オズワルドは、エセルのことなんかこれっぽっちも好きではないの。
それどころか心の中では見下げてるし、立身出世するための踏み台でしかない。

ある日、エセルが不思議な老人から見せられたのは、過去の真実、そして今、それから訪れる悲惨な未来。
それによりオズワルドの本音を知ってしまい、愕然とするエセル。
そこからお話は大きく動き出すんだけど、オズワルドへの想いとかひとまず置いておいて……という感じになるんですよね。
だって、正直惚れた腫れたやってるような状況ではなく、やがて国が滅亡するか否かという崖っぷちだから。

そこからのエセルは、ただただ素晴らしい。
ブラボー。

なんか、エセルが置かれてきた状況が、改めて本当に不憫で。
幼い頃から食事は一人でポツンだったエセルの状況とか泣けてくるし、オズワルドが側にいてくれるようになったらそりゃ必死で追うよねと。
だって普通なら、無条件に抱っこ抱っこ抱っこぉぉぉ!!の時期だもの。

で、オズワルドの心中がこれまた複雑。
最初はひたすら憎しみでしかないような感じなんだけど、読んでいるとそれは憎しみなのか愛なのか判別できないというのかな。

最後に一度だけあるベッドシーンでの会話に唸らせられましたね。
萌えすぎて死にそうです。
まずそれまで一応ですます言葉だったオズワルドが自嘲のあまり「‥‥なあ、笑えよ」と言葉遣いが変わったところにキュキューン。(私だけ?)

そして最後の最後に「エセル。愛している。あなたが俺のすべてだ」というところが、本当に本当に本当に良くて。

というのも、ベットシーンだというのに「大嫌いだ」からスタートし、もっと甘い言葉をとエセルに泣かれて「愛してる」と言うものの「愛だなんて言葉だけでは言い表せない」と言い始め「俺の心のすべての感情があなたに向けられてる、愛憎、好悪、嫉妬、羨望、執着」などとごちゃごちゃ言うわけです。
でも、このごちゃごちゃ言ってる内容が凄まじくて萌える。

そういった複雑な感情や言葉全てが積み重ねられてきたうえで到達した「愛している」「あなたが俺のすべて」なんですよ。

「エセルに対する想いについて」をオズワルドに書かせたら多分凶器になりそうな分厚い本が完成すると思うし、そういった複雑な感情をオズワルドも持て余しぎみだったと思うんです。
そんな彼が、最後の最後に「愛している」というシンプルな言葉を使うに至った。
ここが、きたーーー!!!!!って絶叫したくなったし、「あなたが俺のすべて」というのも真実だなーと思えて。
これらの「愛している」と「あなたが俺のすべて」の重みが凄まじいとこが好き。

それに、それまでコイツ一筋縄じゃいかねーな!って感じだったオズワルドが初めて見せる「幸福そうな笑顔」ってやつにも、「最後まで……私のものにしていいのか」とオズオズしちゃうところにも、キュンとさせられちゃったわ。
くっそー!と思いながらも。

そして最後のしめくくりが凄く良かったですね。
他作家さんで申し訳ないのですが貫井ひつじさんの「狼殿下と身代わりの黒猫恋妻」の最後のたった一文なんですが、ここがとても好きで、こういう生涯を後世の語り手によって締めくくられているようなお話もっと読みたいなーと思っていたところだったので、嬉しかったです。


そしてマルジン……。

一瞬、もしかしたらエドワードと?と思ったけど、「エドワードの子孫たちが」とあったので、エドワードは妃を持ったんだなと。
で、電子の特典SSは、「ある家庭教師の決意」で、マルジン視点なんですね。
その最後に「生涯エセルに仕えた。エセルよりもオズワルドよりも長く生きて、代々の王太子の家庭教師を務め、やがて王となった彼らを〜」とあるんだけど、どんだけ長生きしたのマルジン……。
だってエセル達も早逝したわけではないんですよね。
そして「代々の王太子&王となった彼ら」ということは、エドワードの次の次くらいまでは面倒を見たってことでしょ?
そこにはマルジン本人や周囲もあずかり知らぬ何らかの呪術がかかってるのかしら??


めっっちゃ笑えた。

つい先日、「不浄の回廊」シリーズの仲間入りしたんだけど、この番外編を読んで、このシリーズを読んで本当に良かったー!と思いました。
全部で8つのSSが収録されているんだけど、どれもブレていないというか、西条であり歩であるんですよね。
超満足。

基本的に番外編って、本編のあの時のエピソードの裏側とか、攻め視点でとか、第三者視点みたいなオマケの集まりが多いと思うのですが、この本は三巻という扱いで良いと思います。

というのも、二人の関係が進行してて、ついに歩が霊能力の修行に出ることを決意するんですよ。こことっても大事。
だから、これを読まずに四月に出る四巻を読むと、??になると思う。

通常なら三年間修行しなくちゃいけないところを、西条に脅迫(笑)されて、一年間と超短縮で修行することになった歩。
修行中は俗世間との接触を一切断つことになるわけで、西条とも一切の連絡ができなくなる。
二人が離れる日々が刻々と迫って、しんみりお別れムードになるか……と思いきや、そうならない&そうさせないのが、西条。

特に書き下ろしの「別れの挨拶は短めに」の西条、あんた本当に面白いな!!っと笑えて仕方ないです。

そして四月がとても楽しみ!

めっったに「好き」を言ってくれない男の「好き」の破壊力たるや!!

後半の「愛の言葉」を読みながら、ぎゃあぁぁ〜!!と萌え転がりました。

歩は好き好き言いまくってるのに、「好き」と言ってくれない西条。
もちろん行動で「好き」を示してくれてるけど、言葉でもちゃんと示して欲しいと思う歩から、誕生日に「好き」を5回言って欲しいとねだられた西条のお話なんだけど。

もうなんていうか、砂を吐くほど甘いエピソードに、そうそう!こーゆーのが読みたかったのよ!!と絶叫したくなりました。

私はワンコ攻めラブなので、受けに「好き好き」言いまくる攻めが大好きなんですよ。
言葉でも態度でも愛情を惜しみなく表現しまくる攻めが好きなんです。
だから、本来なら「好き」の言葉一つ言ってくれないような西条は、基本好みじゃないはずなんだけど、こういうのもいいなぁ!って開眼しちゃった気持ちでいっぱい。




面白かった!

以前から気になってたこちら。
ものものしいタイトルと「オカルト」というところにビビってて中々手が出せなかったけど、セールになってたので読んでみたら面白かったし全然怖くなかった!
「不浄の回廊」というタイトルは担当さんにつけてもらったそうだけど、なんかタイトルで損してると思いました。

歩(受け)は霊感持ちで、同じクラスとなった西条(攻め)の背後に真っ黒な何かが見えてしまうんだけど、中途半端な能力なので除霊はもちろんその正体すらつかめない。
そして、数年後に再会するんだけど、西条の背後はますますヤバイものへと化していて……。

この真っ黒なものの正体は何か?そして何故そんなものが?という謎とともにお話は進むんだけど、なんせ歩がぽやーんとしてるんで、どうしても脱力系のゆるいラブコメ路線になってしまうんですよね。
「一人になりたくて来たんだよ(だからお前はあっち行け!)」と邪険にしても、「そーなんだー(一人になりたいだなんて西条君はニヒルでかっこいいなぁ)」と感心すらしちゃうようなアホの子。

そして、西条は歩をうざいうざいと言いつつも、他人が歩のことを粗末に扱ったりうざいと言うと怒ってしまうようなタイプ。
西条はかなり捻くれてて手強いんだけど、そこにも理由があります。

そもそも一匹狼で誰も寄せ付けない西条が、歩だけは身近にいることを許すというだけで特別なんですよねー。
そして、そういう歩のアホで能天気なところに救われてるんだろーなぁってわかるんですよね、読んでて。

他人を拒絶して生きてきた西条は「好き」という感情がわからないと言うんだけど、「お前の匂いは、今まで会った中で一番好きだ」とか、「(単なる欲望処理ではなく)お前と無性にしたいって思うよ」とかさ、もーそれが「好き」ってやつですよ〜って読んでてニヤニヤしまくり。

おまけに最後には「10年くらいしたら、」と言うんだけど、西条の中では10年先も一緒にいるの確定なんだ(!)と。
ナチュラルに重いことを言ってて最高。
もうめっちゃ萌える。

古い作品だけど、人気があるのも納得です。

ほっこりしてて癒される

肩肘張らずに読めるところが好きです。
でも何も残らないのではなく、読後感はほっこりした気持ちになれる。
こけし大好きな直文が営む「喫茶KOKESHI」という店名からして、なんかゆるくて和む。
全体としてほっこりテイストなお話ではありますが、いいスパイスとなっているのがスーパー小学生とでもいうべき朝彦の存在。
小四なのに、大人顔負けの語彙力と、その指摘の容赦のなさに思わず目が覚めるというのかしら。

その朝彦が「店名がダサい」と一刀両断するところは、何度読んでも笑えます。
朝彦、容赦ねーな!って。

対する店主の直文は、のんびりマイペースなんですよね。
そんな二人のやりとりは、どっちが子供でどっちが大人なんだか……と笑ってしまう。
そして、直文がこけしの事になるとついつい饒舌になるところもかわいくて、微笑ましい。

直文は、側から見るとのほほんとしてて商売上手ではないかもしれない。
でも、この世知辛い世間での尊い希少種というのかな、いつまでもこのままでいて欲しいわ。
直文の父親や、常にお茶を飲みにきてくれた周囲の人々も、みんななんて優しい世界なのかしら……。

「意識高い」系の対岸にあるようなお店なんだけど、そこがいいです。
お店の明確なコンセプトがないからこそ、そこから外れる人を生み出していない。
こけしにも深いきっかけや理由があるけれど、それを決して人に押し付けてこないし、相手を否定しない。
何事にも押し付けがましくなく、ゆるやかに相手を受け入れる直文という存在に癒されます。
そんな直文だからこそ、相手を想うが故にすれ違っていた東宮寺親子の確執も解けていく。

朝彦の父である東宮寺とのラブ模様も微笑ましくて良かった。
東宮寺からのラブは割とわかりやすいのだけど、直文にはその意図が伝わらずに一人でドキマギしてる姿もかわいい。
こけしラブでおっとりな直文、スパルタな朝彦というキャラと比べるとちょいかすみがちだった東宮時だけど、いざとなるとあくまで口調は丁寧でありながら割と肉食だったところも萌え。

初読時は萌萌だったけど、再読率が高いので神で。

ひたむきで超弩級のワンコ

読むのに気力が必要な本だけど、着地点が非常に良いので報われます。

受けも攻めも育った過程が過酷。
おまけにプロボクサーになる事だけをひたすら目指してきた比嘉(受け)が、志半ばで失明。
「無気力な人間に変わってしまった」とあらすじにあるけど、この無気力期間が三年と長く、またその間の腐りっぷりもなかなかなもの。

途中までは、男前で頼れる先輩!!って感じだったのに、途中の引きこもりニートになってしまった様子との落差たるや……!
作中でここまでどん底になる受けって初めて読んだけど、「これしかない」と全てを賭けてきたものを、無理やり諦めざる得なかったその絶望も充分理解できるので本当に辛い。

攻めの瓜生はいじめられっ子で、比嘉に助けてもらって以来、受け一筋真っしぐら!!!
比嘉が途中で引きこもりニートになってしまっても、ひたすら尽くし続けて一緒にいるんだけど、この擦れ違いパートもなかなかきつい。

というのも、比嘉ときたら「攻めの一生を縛る権利はない」なんて超〜的外れな事を考えているんですよ。

ここが歯痒すぎる。

だって、瓜生は超弩級のワンコ。
比嘉のいない世界は死んだも同然だし、俺の一生なんかで良ければ喜んで差し出します!というか、お願いですから離れないように念には念を入れてギチギチに一生縛りつづけてください!と土下座するに決まってるのにー!!と。

瓜生はお馬鹿なんだけど(母親のネグレクトのせいでもある)、でも、だからこそというのかな、馬鹿がつくほどのひたむきさ、愚直さに繋がっていて好ましい。
でもお馬鹿なせいで、三年もの間、比嘉の変化に気づく事もできなかったのも事実で、嗚呼……ともなる。

なんていうか恋愛模様が、スタイリッシュの対局にあるというか超〜泥臭いんだけど、そこがどんなに殴られても立ち上がろうとボクシングというスポーツと通じるところがあって良いと思います。

特にあの泣き虫だった瓜生が「一緒に戦おう」って言うところ。
泣けるわー。
なんか成長したなーって。

ホーリーノベルズは電子全撤退しちゃったけど、こちらの作品はカクテルキスノベルスで再販していて現在も電子で読めます。

ーー
・表紙の攻めの表情がめちゃくちゃ好き。

攻めに萌えた!!

ARUKUさん作品大好きなんだけど、ぎゃーーー萌えるぅぅ!!!と萌え目的で読むよりも、心ヒリヒリさせられたり、なんでこんなお話思いつくんだろう…天才か…と呆然とされられたりといった感動を与えてくれる作家さんなんです、私にとっては。

だからこの作品も、受けの追い詰められっぷりとか、心をじわじわと蝕まれていくような描写とか、相変わらずARUKUさん容赦ねーな…の連続で、その痛々しさに思わず息を詰めながら読んでました。

途中までは。

だけど、最終話と描き下ろしがマジで萌えました!!
ぎゃああーーー好きすぎるぅぅ!!となった。
初めてじゃないかなぁ、ARUKU作品で純粋に萌えーー!!となったのは。

ああいう攻め、大好きぃぃぃ!!

「(一緒にいた日々の記憶を)死ぬまで大事にして生きる」とか言っちゃうようないじらしい攻めが死ぬほど好きなので、ツボすぎて苦しい。

で、そんな攻めによる攻め視点の描き下ろし「靴下猫ミャオのひとり長い旅路」が、これまたツボ。

ぎゃああーーー!!!
なんて健気なんだーーーー!!!!と。
現時点で、攻めの属性に「健気」が入っていないけど、これ超健気だと思う!!
そしてあのヘタレさが愛おしい。

で、描き下ろしで声出して笑ったんですよね。
うたの想像図の絵面の酷さに。
まさかのそこ?というか、なんでそーなるよ…!と。
多分、ARUKU作品で声出して笑ったの初めてだと思う、記憶の限りでは。
弓崎もあれじゃうかばれないわ。合掌。

あー、もっとこの二人のこれからを見たいわぁ。
キラキラ仮面かぶってない攻めの素のぎこちなさを堪能したい!!
なにかとヘタれてかわいいんだろうなぁ……とか妄想捗ります。
がんばれ!!宮尾!!!

ぎゃあぁあ!!攻めが好きすぎる!!!!

もう悲鳴をあげっぱなしでした。
攻めがツボすぎて、愛おしすぎて……!!

神様なのに、自らせっせとクッキーを作ったり何かとまめまめしいとか、最高。

超〜〜一途なんですよ。
なのに、受けのことを想うからこそ手放そうとする。
もう、なんて、健気なのっっっ!!!と、鼻息荒く萌え転がりました。

最高潮にぎゃーーーっ!!となった箇所は

受けが「あんたは俺を好きなの、嫌いなの」と問い詰めて、攻めが泣きそうになりながら「……好き、です」と答えたところ。

死ぬほど恋い焦がれているくせに、相手を想うが故にヘタレてしまう攻めに焦れて、はっきりせい!!と叱咤激励するような受けが好きなので、ここは最っ高のご褒美シーンでした。

そして攻めは受けとの暮らしを「期間限定」だと思ってて、ひとときの幸せを噛み締めているという描写が狂おしいほど萌えるんです。
たまにノンケ×ゲイのお話で、ゲイである受けが「こんな幸せ、いつか終わりが来る。ノンケの攻めはいつか本来の道へ戻ってしまうだろう……」と思いながら、ひとときの幸せを噛み締めてるシーンってありますよね。
私、あれが好きで、くぅぅぅ〜!たまらん!!なのですが、これを攻めにやらせるなんて破壊力抜群だな!!と思い知らされました。

攻めの口から「死ぬまで思い出を大事にしようと……」とか言わせちゃうなんて、最高です。

とにかく受けのことが好きすぎて好きすぎて好きすぎて好きすぎる気持ちが、全編に満ち満ちてて、最高です。
そして神様のお世話役として常にそばにいる気のいい狼や可愛いリス二匹、温厚なクマさんといったモフモフたちも最高でした。

割とめんどい受けだけど……

前半部分は雑誌で既読。
あぁ〜やっぱ再会愛って最高だな!!とツボを刺激されたので、本になったら絶対に買おうと決めていました。
私は砂原さんの「ファンタスマゴリアの夜」「優しいプライド」「夜明けには好きと言って」が好きなんだけど、(一番好きなのは「心を半分〜」ですが)それらの作品に通じるものがあると思う。

共通するところとしては「再会」「受けがめんどい」「攻めが辛抱強い」ってあたりかな。
基本、めんどくさい受けって、途中で投げ出したくなるような気持ちになることが多いんだけど、砂原さんのめんどい拗らせ受けに限っては、「なんだこいつ、めんどくさっ!!」とは思わず、受けの心に寄り添って読み進めることができる。
それはやはり砂原さんが、受けの心の紆余曲折を丁寧に描き出しているおかげだと思います。

この作品の受け・戸原はバーテンダーなんだけど、道路で隔てた向かいにあるゲイバーを敵視しています。
スルーできずに、何かとチェックしては忌々しく思っている戸原。

この「道路」が、戸原の心の中にあるこっち側とあっち側を隔てる大きい川のような存在。
ずっと立ち止まったまま普通にもなりきれず、マイノリティであることも拒否して「どこにも属せない戸原」というこっち側と、世間からはマイノリティ扱いはされているけどそれでもマイノリティ同士で集っている輩どもがいるあっち側。
こういうところが、すっごくお上手だなぁって思う。

そして、ひょんなことからそのゲイバーで短期バイトする羽目になった戸原は、そこでゲイバーオーナーとなった高校時代の親友・杜野と再会するんだけど……。
今も昔も自分の性的指向から目を背け続けて心に枷をはめ、かき乱されまいと必死に「普通」であることを保ち続けようとする戸原がなんともかわいそう。

そして楽しみにしていた後半の描き下ろし部分。
相変わらず戸原は面倒な思考回路なんだけど、それもわかるんですよね。

というのも戸原は自称ノンケから元ノンケへ変化はしたと自負してるものの、恋愛は高校時代のまま止まってる超初心者。
(そもそも、杜野と付き合うようになった自分のことを「元ノンケ」と称してこだわってるところも、戸原らしい。)

それに比べると杜野は10年間何らか進化しちゃってるはずで、自分とは相変わらず大きな溝がある。(と、戸原は思い詰める。)
そもそも読み手としても杜野の過去もやっぱり気になるし。
いくら「戸原は初恋」と言えども、杜野はモテただろうし恋人だっていっぱいいたでしょーよと。

それに応えるかのように杜野の元彼が登場します。
でも、読んでて嫌な気持ちになることもなく、初恋の呪縛ってやっぱり凄いなぁ…と思えて、この二人が再会できて本当に良かったなぁと思える読後感。
そこが良かったです。

何より杜野が落ち着いたいい男で、攻めはやっぱこうでなくちゃ!と。
でも、落ち着いてるかのように見えて、結構必死なんです。
オーナー権限発動して、常連客へ「戸原の半径3m近寄ってはいけない」令を出すとか。
連絡がとれない戸原の所在を教えてもらうために、二週間毎日バーへ通って常連客認定してもらうとか。
自分は魅力もないしモテないと思ってる戸原の無防備さに気が気ではない様子が見られたりとか。
もうニヤニヤしちゃいます。

そして距離にこだわる戸原に対して、公園で「ここから始めたっていいだろ?」と言った杜野の回答が100点満点!!
スーツの似合う男・杜野の中に残っている少年ぽさみたいなところが垣間見えて、めっっっちゃ萌えた。

間違っても「……ふ、俺が色々教えてやるから、安心しろ」みたいなことをほざかない杜野に、ベスト回答賞を贈ります。


ーーー
自分用覚え書き
お弁当屋さんに来る女装のオネエと受けとの交流&ド直球すぎる質問で怒らせてしまう描写があるのは、「セブンティーン・ドロップス」のほう。
ゲイバーの常連客・アカネさんが登場するのは、「バーデンダーはマティーニがお嫌い?」。周囲を凍らせるようなド直球質問をしているところは同じ。

ぎゃあぁぁ〜!吉宗さん!!

なんか、吉宗さん、めちゃはしゃいで幸せそう……。
これが見れただけで、なんか胸いっぱい……。

あと、吉宗さんがまさかの髪切り&黒髪に!!!

いや〜めっちゃ吉宗さん美人さんじゃん!と改めて思った。
ごくごくフツーの髪型になっても埋もれない美しさに、乾杯。

私は「イベリコ豚と恋の奴隷(2)」の最後の、吉宗さんが頭ぐりぐりする図に完全ノックアウトされた人間で、デレ吉宗を飽きるほど見たい!!と願っていたので、収録の「フェチ男」でこっそり源路のTシャツ嗅いでる姿には、きゅきゅーん!!とさせられました。


ミニ小冊子や、GUSH掲載分、読者プレゼントペーパーや、購入特典、他社刊行のBLガイド掲載分などなど、自力で集めるのはほぼ不可な、まさに「詰め合わせ」。

私は源路×吉宗カプが好きなので、源路×吉宗のお話が多かったところも満足。
ちょいおまけして神で。