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女性raraらららさん

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完全版商法ならぬ…。

同人誌やSNSの連載からの商業単行本化は非常に多いですが、そうした場合、商業で出た方がボリュームがあったり特典など色々な描き下ろし含め完全版っぽさがあるのですが、こちらは作家さんの個人誌の方が完全版という感じがします。
だって、エロがほぼカット…!
先輩が散々気にしている酔って記憶を飛ばした時のエッチ(最後まではしてませんが先輩がめっちゃかわいいしエロい!)、想いを確かめ合ってからのエッチ。ほぼ丸ごとありません。

エロの有無や度合いは様々だしどういうものも好きですが、元々しっかりエロがあるものを読んでいるので、ばっさりカットはどうなのかなーと…。
そこまでして商業化する意味は…?という疑問も正直あるのですが、個人誌の方はR18で清々しいまでにエロいので、レーティング的には大人の対応として正解だとも思います。
修正や条例の問題がありますが、こういう出し方もいいんじゃないかなと思いました。

ただやはり事前に読んでいたのでこちらの1冊だとお試し版感が強いです。
お話の流れとキャラクター、カップル、絵はとても好きなのですが、読むなら個人誌の方かなと思います。
商業化はかなり早い段階で決まっていた印象があるので、もしかすると制作開始と同時進行して同人と商業の収録部分の差異なんかも決められた上での執筆だったかもしれないので(いわゆる人気同人誌を釣ってきただけではなく)、その場合はまた印象も変わるのですけど。
まだ作品は続くようなので、そちらの扱いも気になるところです。

とりあえず、こちらしか読んでないという方で、かわいいエロたっぷりが大好きな方はぜひ同人誌もおすすめします。

沁み渡るのだけど。

新刊チェックをしていた時、表紙とタイトルが気になったのですが、帯などで何となく察しました。
というわけでネタバレには配慮していません。
どういう物語か最後まで知りたい、それから読むかどうか決めたい時ってありませんか。そんな方向けです。

すでに地球がないであろうことは容易に想像できるので、単純な「結果」としては読む前以上の情報はなく、【3年の間地球に帰る日を夢見ていたシンが、いざ帰れると思ったその日、地球もなくルキヤもすでにこの世にはないことを知る】という思っていた通りの物語でした。

シンを送り出したルキヤの切ない想い。その後、地球がなくなってしまうという事実を前に、飛び出していきたい気持ちを抱えて業務に向き合い続けた日々。
「(シンの星へ行く)乗船券すらもらえなかった」と語る言葉とともに描かれる、迫りくる隕石を見上げるルキヤ。
シンの誕生日に涙を流したその想いはいかほどであったでしょうか。

一部の人間だけが乗れた宇宙船、ルキヤは地球を出てシンのもとへ行くことが可能で、その意志もあったのにできなかったというのがやるせない。
何かが違えばという可能性があったと示唆されていることがより悲しみを増幅させます。

それでもキューブに自身を託した。シンのもとに行く方こそを本当の自分だとして。
そんなキューブの「ハッピーバースデイ」と祝う言葉を「どうでもいい機能」と言い放ち、キューブとの日々で寂しさが癒えていったはずなのに、常に「お前じゃない」というシンの態度が、わかっていながらもルキヤを傷つけていた気がしてしまいます。
たった一人で惑星の開発を続けるシンの孤独、そしてたった一人で真実に向き合わなければならないのもまた残酷で、シンを憎む気にはもちろんなれず、行き場のない思いが浮かびます。

これからのバカンスが二人にとってどのようなものになるのかわかりません。
シンが人としての寿命を終える時は来るでしょうから、それまで魂のルキヤと幸せな気持ちで過ごすのか、個体としての孤独に絶望することはあるのか。

それにルキヤが死んでしまった事実は変わらない。シンはある意味ルキヤとこれからを過ごせるけど、ルキヤはそうではない。死んで終わったはず。
死したルキヤの魂がキューブに宿るのだと捉えればまた見方も変わるのですが、その発想はナンセンスかなと。

私は彼らではなく読者ですから、見てるだけしかできない立場としてはシンの孤独、ルキヤの覚悟に、どうしてもとめどなく悲しい気持ちが溢れてきます。

残らないこと

雑誌の連載情報を見かけて気になっていて、これは最後は悲しいことになるんだろうと思いつつ、もしかして都合よく何かがひっくり返るかも、とほんの少しの期待をしていました。
結果そんなことはなく、ヒデはやっぱり死んでいたし、どうにもなりませんでした。

読み終えた当初は、物語が始まった時からヒデが死んでいるので、蜜月の恋人同士が突然引き裂かれるよりはまだいいかも、と思っていました。
でも、交流のほとんどが死後の霊体であることで、2人の間に具体的な何かが残っていないということに気づくと、本当にあったことなのかさえ危うく思える儚い交わりだったんだと思い、改めて悲しくて悲しくてたまらなくなりました。

死しても明るく、短かった人生を悔いなく振り返っているように見えたヒデが、キスマーク一つ残せないこと、一緒にいた証が残らないことを悔いて辛そうにしていて。
それがどれほどの想いなのか想像を絶するし、触れ合える奇跡が2人にとってはむしろ残酷に思えてしまい、どこまでもつらいです。

作品を貶めたいわけではなく、「BLはハッピーエンドが約束」と作家さん方を縛り付けるのがこういう考え方で、それは創作の可能性や幅を狭めているとはわかっているのですが。
ヒデと幽玄はそれぞれ好きだし、カップルとしてももちろん好きなので「しゅみじゃない」というのはちょっと違うかな、と。

カバー下も見て欲しいとチョコドーナツ先生が仰っていましたが、たぶんヒデのスマートフォンだと思います。
表紙側は机に突っ伏している幽玄を映した様子。友達を撮影するフリをしていたようです。
裏表紙側は、自撮り画像や、男同士の恋や性行為に関する検索履歴、パスワードが「Yugen」だったり。描き下ろしとともに、ヒデの愛がそこに残されていてどうしようもない気持ちになります。
漫画じゃなく、言葉を交わすこともない静かな表現なのが原作の先生らしいなと思いました。

ヒデが生まれ変わって幽玄を見つけて年の差恋愛したり、どこかででもいい、幸せにうんと長生きできる未来がありますように。

あとあらきゆう先生の絵がすごく好きなので、今後ももっと漫画を描いていただきたいと思います。