中国地方にある式鳴村で生まれ育ち、地元の自然や人との繋がりを愛している洋介。高校を卒業してから4年、村の郵便局員として働いている。半年ほど前に都会から移り住んできた久城のもとに、月に三回絵葉書を届けるのが目下仕事の楽しみとなっていたが……
攻めが他人の個人情報を盗み見て、受けへの一方的な片思いを無理やり実らせるお話でした。
洋介がヤバすぎました…。久城とは初対面以降、業務上それなりに顔を合わせてはいるけれど、久城本人の口からプライベートな事情は何も聞いていないのに、勝手にあれこれ妄想して思いを募らせている。久城が男性と立ち話をしている所を目撃して相手が葉書の送り主だと決めつけたり、雨に濡れたため久城の家に上がらせてもらった洋介が、久城に取ったセクハラ行動を拒否されて(神視点ですら咎める素振りもなく)、洋介本人は久城に失恋したと嘆く自己憐憫ぶり。挙句に、村祭に誘われた久城がようやく素顔をのぞかせたかと思ったところ、洋介が彼を無理矢理襲います。自分はいい思いをしておきながら、こんな綺麗な人を汚してはいけないから中には出さないって……え?
久城が心を開いていったきっかけのひとつは洋介が譲った仔猫の存在もあると思いますが、前もってなんの連絡もせずにいきなり久城の家にその仔猫を連れていったり、久城が猫を飼う前提でことを進めてしまう根拠のない自信の出処も理解に苦しみます。
結果、うまくいったからよかったものの、何につけても攻めの一方的な妄想が暴走しているようにしか思えないのに、受けはいつのまにか攻めを好きになってる…。受けはツンケンした反応が常だったので、彼の中に起こった洋介への気持ちの変化に全然気づけなかったというか…
結局、攻めが単に自分の初恋に酔っちゃってるだけだったんじゃ?と感じてしまったのは、独特な文体のせいかも。修飾語が盛り盛りでキラキラしてて、わたしにはちょっと辟易するくらい大仰だったので、文章の相性が合わなかったのかもしれません。
独善的で自分勝手なだけの攻めがいかにも良い人風に描かれているのが怖い。
すみません、わたしにはこのお話がラブストーリーではなく、ホラーとしか思えませんでした…。