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めでたし、めでたし。

キャラクタービジュアル、性格、関係性、意外性、絵の綺麗さ、どれも良かった。特に受け天使の泉さんが天使らしからぬビジュアルで非常に好みです。オラオラ新米天使ヤクザ……柄悪…………小さい羽がかわいらしい(ただし飛行には使えない)

自殺したお前を迎えに来たぞ!でも浄化率が足りない!セックスで浄化だ!ナ、ナンダッテー!な展開、なるほど掴みはバッチリ。ということで95%くらいは浄化セックスしてるギャグエロ調のコメディBLです。あとの5%は申し分程度のシリアスと2人への試練。

ハピエンです。わりと読める展開に転がっていったように思う。攻めが実は悪魔だった!受け!そいつを殺せ!みたいな。そして2人は愛の逃避行へ……


みちのくアタミ先生の、ぶっとんでいるのに枠からはみ出さない独特の作風が大好きなのですが、ううむ……今作はちょっとハマり切れませんでした。
なんと言うか、展開が走りすぎ?要素を詰め込みすぎ?とにかく何か、いつもとは波長が違ったような感覚。

作品自体は(浄化セックスの影響で)濡れ場多めとなっており、先生の綺麗な線がこれでもかと堪能出来ます。それは大変よろしきこと。余談ですがわたしは先生の描かれる受けの、最中のお尻がアップになる描写がフェチ心を擽られて好きです。わりとどの作品にもローアングルからのお尻描写がありますが、あの丸さが愛おしい。

総合評価としては可もなく不可もなく。あまり印象に残る作品では無かったものの、間違いなく頭を空っぽにして読めるアホエロです。

良くも悪くも無味無臭

下半身のだらしないノンケ包容力おじさん(そこまでおじさんではない)と過去にトラウマを持つ世話焼きゲイの青年という、有りそうで無さそうで意外とあったりする設定のボーイズ少女漫画。

率直に言ってしまえば「王道ラブコメ」です。

元々は一次創作として作者様が同人誌で描かれていたお話だそうで、なるほどなと。コマ割りや人物像なども比較的分かりやすく振り分けられており、メイン2人を食わない薄さで登場する「嫌な先輩」や「緩和剤としての他者」の在り方も、商業誌というよりは同人誌らしさが滲み出ているように思いました。

悪い意味ではなく、良い意味で淡白なイメージを持った作品。
下半身ゆるおじ×トラウマ持ちツンデレ、そもそも設定が好きですので贔屓目にはなってしまいますが、個人的に受けの忍くんのビジュアルが""愛""でした。作者様のフェチが詰め込まれていたようで、確かにパツキン短髪ピアスメガネ+真面目……って どんだけ好きを詰め込んだのか!って感じがします。でもそこが良い。書き手のフェチが可視化されたキャラクターを見るのは好きです。

ただ、上に書いた通り2人ともちょ……っと キャラクターとして独り立ちするにはインパクトが薄くて、特に攻めの伊賀さんのスパダリさや包容力が、受けの忍くんの持つトラウマと比べてしまうとやや厚みが少ないように感じてしまって。嫌味の無いイイ男なのは何となく分かるんだけど、無害すぎてアクが足りないな……って思ってしまいました。伊賀さん、確かに包容力は抜群にあると思うんだけど、スパダリというには少し要素が足りないかもしれない。
たここまで書いてて思ったけどたぶん、私は忍くんが好きなんだと思います。ベリショがすっごく刺さりました。

画面構成やページごとの雰囲気、えっちなシーンも踏まえて総合的に見てもさらさらっと淡白です。タイトルの通り無味無臭、もうちょっと香って欲しかった!ってなる。でも、帯や煽りで言われている「溺愛」「ダメおじがツンデレ男子に沼ります」は正しくその通りです。描きたいもの、伝えたいものはハッキリしていて、それを伝える力のある書き手様なのだと思います。

素人が上からで申し訳ないのですが、伸び代の多さを感じました。
この作品が作者様のツボなのだとしたら、同じところにツボを持つ者としては、次回作も楽しみにせざるを得ません。

追記・この2人たぶんあまりバックの体位ではしないと思う。

有りよりの

エロがめちゃくちゃエロいと言うよりもエロの描写に並々ならぬ熱量を感じるからスス先生の本は悩みつつも結局買ってしまうのです。あとやはり絵が非常に上手い。そういうシーンの表情が多彩で惹かれる。

元アイドル現AV男優攻めと元アイドル現社畜(会社員ではなく社畜)の2人ですが、ストーリーとしては……あくまで個人の感覚ですが、攻めの知春くんがヒモすぎる。純情の押し売り、関係のゴリ押し……修人がなぜ知春を好きになったのか分からなかった。
日々社畜として働き詰めで休日も出勤、帰ったらソファにぶっ倒れるような家主を前に「毎日働かなくていいから」AVに出て、少しは金を入れろの声に「俺のできる奉仕で」って疲れた身体をヌいて擬似セックス。いや、それは無くない?極めつけは「稼ぐのは修人さんの仕事だから」。ヒモとか以前にクズとしか……

知春やメンバーに後ろめたくて言えなかった修人が脱退した理由も、「切り捨てた」って言って裏切られたみたいになってたけど読み進めていけば修人以外のメンバーやマネージャーに問題があったようにしか見えないし実際そうだったみたいで、夢を見させてたのに後ろめたくて……って修人は言うけど、勝手に夢を見ていただけの知春に対して寛大すぎやしないか?だって一銭も金入れてないし人の黒歴史掘り返すような男だよ?
くっついたのは予定調和だなと思ってしまっても仕方がないと思う。珍しいくらい魅力が見つけにくいキャラクターだった……ただめちゃくちゃ顔がいい。キャラクタービジュアルは毎回とても好きです。

萌えなのは冒頭書いたようにエロシーンが美しいから。 アングル、表情、喘ぎ声や台詞、どれも臨場感があり色っぽく、見ていてムラっとするような画力は相変わらず素晴らしい。「愛あるセックス」です。でもお話は……という総合評価。

いつも何だかモヤモヤした読後感を覚える。でもたぶん次回作も買ってしまうのだと思う。
これもまたひとつの魅力。

糖度500%

帯の通りまさしく「激甘BL」。スパダリ要素を兼ね備えた今まで誰にも本気になれなかった攻め×最低な男に傷つけられ傷心中の美人受け、嫌いな人などいないのでは?という光の腐女子大好きな設定のフルコース。そして私もその一人で。

こちらが所謂スピンオフだと言うことも知らずに読了し、結果としては前作未読でも特に問題はありませんでした。ただ前作を知っていればさらにキャラクターへの愛着は湧くのかな、とは思います。

この作者様のお話は初めてだったのですが、ふんわりと可愛らしい絵柄のわりにエロ要素多めでびっくりしました。作者インタビューも読みましたが受け攻めどちらも「セックス好き」設定だそうで、出会うべくして出会った2人だったのだなあと。

エロとストーリーがいい塩梅です。個人的にちょっと甘さがやんわりしすぎて何か物足りない感じでしたが全然アリでした。甘々好きな人は買って損は無いかなと思う作品です。

とってもボーイズラブ

よくあるAVものです。と言ってしまえばそれまでの話なのですが、私は「バリタチがネコになる」という設定が三度の飯より好きなのでその分の満足度です。

絵はさっぱりしていて読みやすい。たださっぱりしているが故にと言いますか、ページ数の割にエロ要素が少なく感じるかも?表情は色っぽいのでバランスは良いのかなとは思います。
よくあるAVものでバリタチ役者(本当はネコ)が憧れの人に抱かれてハピエン。この文章で想像できる話がこの表題作だと思っていいと思います。ハズレのない設定。

表題作の他に短編が2つ。どちらかというとこの短編2つの方がエロ要素強めでは……?と思わないでもない感じでした。全編通してハピエンが約束されているので安心して読めます。