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上下巻を読み終えた人しか分からない、このクソデカ感情…

 上下巻を読み終えました…。頭がグルグルしています。あまりのディープさに疲労感がすごくて…。過去にこの本を読んだ同志達に親近感すら覚えます。
読書体験といえど、インパクトは大きかった…。
人は思いっきり選ぶ作品です。

BLというジャンルで語っていいのか迷うところですが、愛において形に拘り続け、人の道から外れた男達の壮絶な本能の闘いの物語でした。今でこそLGBTと問題が語られますが、この作品が発表された年を考えると、余計に問題作だったのでは。。今でも十分驚きますが。

 荒唐無稽な設定なのに、どこか説得力があり、医療ものとしても読み応えがあるので、引き込まれてしまいましたね。ただ愛のためにここまで人はエゴイストになれるのか、そこまで相手は望んでいたのか、、。周りを巻き込んでいいのか。
ご都合主義で終らず行動の後の葛藤や結果もしっかり描かれているので、読者が置いてきぼりになる事はなかったです。医療が進みすぎるのも倫理観との抵触の問題があり怖さがあります。それでも人類は「種の保存」の為に歯止めをかけずにますます進歩していくのでしょうけれど。

 性○○も大きな題材なので、女体とか異性愛描写が苦手な人には地雷要素も満載です。
当方もそういった話が苦手なので、最初マーメイドの話を読み出した時は「えっ…」という感じで戸惑いを覚えましたが、彰、圭介、安藤の関係性にブロマンスを感じ不思議と挫折はしませんでした。
彰達の話は昭和のBLの常套文句で「この人が男でも女でも愛してた」が流行していましたが、「好きな人に愛されるために性○○出来ますか??」という命題をこの作品は投げかけてきます。

このシリーズ(?)の重要な要素を占める表題作の黒崎兄弟の「背徳のマリア」を読み出すと、怖いもの見たさで夢中で読み進めました。黒崎兄弟の話は倒錯度が高い話でしたが、BLなのでドン引きしつつも惹かれる部分もありました。

「背徳のマリア」がスゴい話で、そのあと彰、圭介、安藤の話に戻って、このまま穏やかに話は終わる時思いきや、彼らの驚くべき選択の数々に振り回される読者。。
黒崎兄弟にも負けぬディープな狂気の世界がここにありました…。
最初のマーメイドの話で挫折せずに最後まで踏み留まって欲しいです。

 意外にこのシリーズのブラックジャック的存在の安藤がいい味を出してました。影の主役。
彰への想いとか泣かせるし。何よりも安藤がピグマリオン的立ち位置なので、彰と圭介が愛し合っている時ですら安藤の影がちらついて(笑)。実は2人は安藤の掌で転がされてるのでは…と思ってしまいました。
この効果も狙われたものでしょうか。これも新しいBLの関係性だと新しい扉が開かれた感があります。
またこのシリーズで数多出てくる「共犯関係」。個人的にこの関係性に弱いので安藤周辺でも色々萌えに忙しかったです。

どれも常軌を逸した話ですが、ここまで完成度を高めて生み出した綺月先生と編集者様方に脱帽です。

タイトルの重み…

 表紙のほのぼの暖かな絵柄やタイトルから想像が出来ないほどスゴい内容だった…。全てのページを読んだ後の「家路」というタイトルの重みよ…。非常に人を選ぶ作品だけれど、刺さる人には刺さるお話でした。

「家路2」が収録されているから、他の作品と一線を引く話になっていました。
実の兄弟愛ものです。それもBLでありがちなファンタジー設定でなく、リアリティを追求して、兄弟で愛しあいながら、実世界で生き抜くといったお話。
現実重視なので「折り合いをつけながら」というのがポイントです。

 特に絹香という女性のインパクトが大きかった。「家路」ではどこか陽炎のような二人に共感できないまま読み進めていたけれど、皮肉な事に「家路2」での絹香の登場によって、二人の世界の輪郭がぼんやり見えてきて少し理解できたような気分になれました。
  絹香の不可解な行動については、謎が多いミステリー展開で、いくつか想像もしたのですが、さすが想定できない理由でますます深みに入りました。

 現在日本でも注目されているLGBT問題、同性愛者にとっていかに法律婚が大きな意味を持つのか…という理由もこの小説を読んで痛切に感じました。今さらながら、世間に(法律的に)認められる関係は大きいんだなと。陽の当たる道を歩めるという意味で、、。
将来的に同性婚が認められた暁に残る最後のタブーは近親愛で、男同士であれば遺伝子学的な子供の問題は起きないけれど、倫理的、道徳的な意味で月哉と瑠夜の関係が世間に認められない状況は永遠に続くんだと痛感しました。
二人の闇の深さが思いやられます。
登場人物が印象的で、この世のどこかで月哉と瑠夜、そして絹香や菊池先生が浮世の中で逞しく生き抜いているような気がしてなりません。。

最後の「You are not alone」もこのシリーズ唯一の癒しキャラの菊池先生に癒されるかと思いきや、ページ数は少ないものの「教師モノ」としては刺さる内容でした。

五百香先生は十代の時にファンになり、年を重ねた今でもやはり内容が刺さりすぎて怖いです。。その痛さ、うしろ暗さに中毒性があるので止められません。
遺された本を大事に読み進めたいと思います。

相変わらず面白い…

シリーズ4作目。前巻はオカルトでしたが、今巻はガラっと変わってセレブなハリウッド映画業界が舞台。ジェイクのステータスが変わっていて驚いた。
おまけに衝撃の事実も明かされるし…。主人公アンドリアンならずとも呆れます。
このシリーズ、読み進めるにつれジェイク株がどんどん暴落していくな…。

 それでも今巻に起こる事件がジェイクの生き方の真髄や刑事生命に関わるようなものだったのでハラハラさせられました。
まさかの展開でした。

今まで本当の自分を隠すジェイクに共感が持てなかったですが、その葛藤する姿に人間の心の脆さを感じ、心が打たれました。ジェイクは誰よりも人間くさいんだな。
最後まで夢中になって読みました。ジェイクと反対に最後までブレないアンドリアンの姿勢が良かった。

 残念なのは、犯人が何故犯罪を犯したのかがやはり独白されなかったこと。弁護士をつけるらしいし。。真実は暗い海の中?
結局タイトルの意味が分からず終いでした。

このシリーズは事件に日常、ML(メンズ・ラブ)を上手く絡めて展開されるので面白いです。夢中になって読み進められます。
最終巻も楽しみです。ジェイクのステータスがまた大きく変わりそう…。

やはりボーイズラブの金字塔

 BL小説にハマり出した時に購入していたのですが、あまりの評価の高さにかえって敬遠していました。昔からどうもベストセラーが苦手なタイプなので。。思い入れのあるジャンルだけに自分の感性と違ったら…という不安もありつつ、ドラマの方も気になるので先に原作をと思い手に取りました。
とんだ取り越し苦労でした。評判どおりのボーイズラブの金字塔にふさわしい作品でした。非常に文章が読みやすいので、普段小説を読まない層にもオススメできますね。
 
 個人的には年々恋愛がメインのものより、世界観等やストーリーが練られていたり、関係性が凝られたものを好む傾向になっていました。この「美しき彼」を読んで、恋愛小説もいいものだな…と感じました。ただ恋愛ものとはいえ、絶妙な変化球があり、そこが大きく刺激になったところがポイント高かったです。

 平良のようなタイプの攻めが希少で、応援したくなるタイプで新鮮でした。平良が自分の世界で解決してしまう独特な性格な為、なかなか二人の仲が進展しないのでヤキモキさせられました。私もオタクの端くれなので、何かを崇拝してしまうという気持ちは良くわかりますが、リアルの世界にそういう感情を混ぜてはいけませんね(笑)若い時に一定の層にはありがちかも…と懐かしい感情が疼きました。

 一見対極にある二人が、一緒になるにつれ意外に似たもの同志だと気づかされる過程も面白かった。清居が平良に向けるニ文字の定番の言葉は、部外者から聞くとネガティブな発言だけれど、「エモい」という清居なりの愛情表現だったのかなーと思うと他人に踏み込めない、二人しか分からない空気感がとても素敵だなと思いました。
二つの個性がぶつかり合って化学変化を起こす恋愛。二人の場合絶妙で常に右斜め上なのが良かったです。
片思い時代、一緒になった後どちらも気に入りました。ずっとこの二人の掛け合いを見ていたいような気分になりました。

 あとがきを読んで、作者さんの趣味に走られた話が読者にも瞬く間に受け入れられて、大人気作品になる…というサクセス・ストーリーは、BLジャンルならではで面白いなーと思いました。あとがきも本文の丁寧な文章表現のままの内容で、凪良先生の性格がわかります。才能は当然ながら、お人柄の部分も文芸界の方で重宝される所以だなと実感しました。

イラストも平良と清居の雰囲気が伝わる絵柄が素敵で、このイラストで良かったです。

BL圧倒支持!!に一票

 乙女ゲーの世界に転生もの…という設定だったので、乙女ゲーが苦手だけに非常に心配でしたが、帯の「BL読者圧倒的支持!」が物語るように完全に取り越し苦労でした。

竜の加護を受けたファンタジー世界での華やかな貴族社会の策略陰謀ものですが、乙女ゲー要素も入っているので、BL小説に無い味わいがあり新鮮で非常に面白かったです。先が気になる展開で続きが気になり、夢中になって読み進めました。
特にアドベンチャー(ノベル)ゲームが好きな人には、ニヤリとする要素が多くて楽しめます。世界観が凝っているだけに、コレ実際ゲームでプレイしたいなー!!と思ってしまった。

 毒成分高めなダークファンタジーもので残酷な面もあります。女性キャラに容赦ない展開も…。
 主人公も相手役も既婚で子供がいる設定…とか特殊ですが、ストーリーや設定が練られていて面白いので、世界観に没頭してしまい気にならなかったです。エピローグも印象的でとても良かったです。兎に角盛りだくさんな内容でした。
難を言えば、息をつく間もなく次々に色々な展開が起こりすぎるので、一つ一つのシーンが印象に残りにくかったのが気になった点です。主人公アンドリムの蜘蛛の糸のように張り巡らせた策略こそがこの小説のウリだけに仕方がない面もありますが…。

広げられた風呂敷は作家さんの力量で巧妙に畳まれていました。物悲しさもあるけれど、物語の終止符も綺麗に打たれている…。それなのに、まだこのシリーズの続編が2冊出ているようで、どんな展開か予想がつきません。

 BL小説レーベル自体は減っていますが、WEB発小説や海外小説も増えているので可能性が広がっているのかもしれません。最近WEB発の分厚い本は読み応えがあって失敗がないのでハマっています。商業と違った面白さがあり、これからも楽しみな分野です。


同人誌発ゆえの自由な発想が面白かった…

 木原先生の新刊という事で楽しみにしていましたが、蓋を開けるとシリアスというより、コメディーという解釈でOKでしょうか??

 何より下ネタ設定のインパクトが大きかったです…。
戦争に関わっているだけに、笑うに笑えない内容ですが、そこが重苦しくなく進むのもジャックの人柄ゆえで。。戦争・軍人物なのでどうしても死戦だったり、人の死に絡む描写も多いのですが、ジャックの生き様を見ていると、不思議に湿っぽくならずにストーリーが進行するのが良かったです。だからこそジャックは皆んなに愛されるかもしれない。
本作は細かくタイトルが分かれていますが、読み終えると一冊まるごと「Borderline」の世界だと実感しました。

 独りよがりな愛情をぶつけてくるガレといつも飄々としているジャックとの温度差がコントみたいで楽しかった。兵役で出会った職業軍人と大学准教授が心を通わす夫婦(?)になるまでの過程が描かれますが、想定外の出来事が多すぎて面白かったです。二人を見て色々な夫婦の形態があっていいよなーと思いました。色々と濃いですが…(笑)。

 本作はもともと同人誌で何度かに渡って発表された内容を今回書き下ろしでエンディングまで締め括られたようです。さすが商業誌では難しい内容だけに新鮮で楽しめました。BL小説は商業誌発表に限らず、同人誌等の原稿から商業出版される事も多々あるので、商業では難しいジャンルや設定が読めるのも非常に良い面だと思います。
あとがきを読むと、また木原先生がBLの新作を執筆される予定のようですので、期待感が高まります。

百聞は一見に如かず…

 この小説を読んで得られた教訓は「大ヒット作の原作は何より先に読むべし…!!」でした。「陳情令」の実写ドラマにどハマりしましたが、「魔道祖師」の小説は未読のまま積んだ状態でしたので、墨香銅臭先生の小説を読むのはこの「天官賜福」が初めてです。ちなみにアニメ版の「天官賜福」は未視聴です。
 
 先にアニメ版を視聴していれば、登場人物や作品のイメージが固定されてしまうので、小説を先に読んで良かったと思いました。知性溢れる内容に美しい文章。装丁も雅やかで本好きにとってはまさしく夢のような珠玉の本でした。翻訳家の方のレベルも高く、理路整然とした美しい日本語で、幽玄な「天官賜福」の世界を堪能できます。

 美しくも妖しく、時には残酷さも蠢く世界観に酔いしれました。
やはりミステリアスな三郎(サンラン)の存在が魅惑的で、どんな姿かどうか想像するのが楽しいです。アニメ版を見てしまうと、どうしても先入観ができてしまいますが、小説版で文章の糸端を繋ぎ合わせて、三郎がどういう容貌や姿をしているのか想像を広げるのも楽しい時間でした。

 誰もが恐れる三郎が謝憐だけに見せる優しさのギャップにキュンキュンしました。1巻では何気に手を触れるくらいの二人の親密度でしたが、かえってそのピュアさにやられましたね。 
全体的に先の展開が思わせぶりだったり、秘密のヴェールが少しずつ外されていく過程の塩梅などが絶妙で、読者の心を掴んで離さない所が流石だな…と感じました。

 人外ジャンルはそれ程好きなジャンルではないのに、作者の力量でここまでハマれるんだ…!!と感銘を受けた次第です。。
墨香先生の偉大さは「陳情令」のドラマを通して知っていましたし、「魔道祖師」「陳情令」の世界的なヒットである程度想像はついていましたが、まさに百聞は一見に如かずだと感じました。やはり何より原作を読むべし…!!ですね。原作は後光が差したかのように尊かったです。。世界的ヒットの名に恥じない作品でした。

 1巻は起承転結の「起」でしょうか?「承」でしょうか?まだまだ物語が始まったばかりで、これから壮大なストーリーが繰り広げられそうです。いやでも期待が高まります。早く続きが読みたいです…。どうも三郎と謝憐のカップリングに予想外にハマったようです。
ひとまず心を鎮めるため、アニメ版を視聴してイメージの答え合わせをしたり、クリエイターの方の作品の解釈を見てみようと思います。


 PS.ダリアシリーズさん、日本に素敵な本を届けて下さって有難うございました!!2巻以降もぜひぜひお願いします!!

最後には萌えられたので神評価

 どちらかというとオカルトが苦手なので、タイトルの「死者」という言葉から長年敬遠していましたが、読んでみると深い人間ドラマが描かれていて、BL以外の部分が素晴らしかったです。佐田作品のオハコの「偏執的な執着BL」に今回も引き気味でしたが、最後の最後に二人にも萌えられたので神評価にしました。

 才能がある者に対する崇拝、羨望、葛藤、、。そういった複雑な人間感情が描かれている物語は描き古されていますが、この小説は素直に共感を呼び、心揺すぶられる内容でした…。
 勉強、スポーツ等大抵の分野は、ある程度のレベルまでは努力、根性で何とかなりそうな部分もありそうですが、芸術は「センス」の有無で門が閉ざされてしまう厳しい世界だなーと実感しました。デザイン出版業界のお仕事ものとしてもリアリティーがあり楽しめました。

才能溢れて挫折を知らない「善」(真っ直ぐ)な人達に囲まれて、彼らに馴染めず屈折感から「悪人」ぶる主人公の斉木。そのスタンスは首尾一貫していて、人間臭い面は嫌いでなかったです。仕事に対するこだわりや執着は共感できるものでした。

双子の姉の朋のエピソードがとても良かったです。無垢で手がかかる分みんなから愛される、、。あるなーと思いました。学校の中だけが世間で、まだ遊びたい盛りの高校生くらいの斉木には、朋の事を責めるのは酷な話だと思いました。両親は本当の事を知っても、その時は罵倒したとしても最終的には受けいれたのではないかな。
それでも罪悪感は人は苛み、蝕んでいく…。心のわだかまりが解けるまでかなりの時間がかかりましたね…。何度も涙しました。

 かなりのボリュームの長編小説は最後まで読むのに根気が入ります。派手な世界観や設定も無い現代ものですが、小説に求心力があったので、一気に読み進めました。元は自身のブログで部分的に公開された書き下ろし小説がショコラで完全版として出版されたようです。BL界にはこういうケースが多いですが、商業誌向けと違って多岐な内容が楽しめるのが嬉しいです。

佐田先生も心揺すぶられる小説を描ける類希な才能の持ち主。今なら発表の手段はいくらでもあるのにペンを置かれたのは、家庭の都合でしょうか。非常に残念です。いつか戻ってきて欲しいです。

圧巻の表題作

流石表題作となった「花扇」は圧巻でした。前巻から紡がれた謎めいた部分の多い初助師匠の生涯のパズルのピースがこれで埋まったという納得感のある話でした。

 
 名落語家の初助師匠の知らざれる壮絶な生い立ちと最初で最後の愛が描かれていました。昭和の戦後の激動の中を生きた初助師匠ならではの凄まじい生き様でした。
その後の芸の道以外は浮き草のように後腐れなく生きる初助師匠の礎になった出来事の数々に合点がいきました。
平穏な時代に生まれ育った現代っ子の要や寒也は生き様も芸も叶う訳が無く、、。前巻からもそういう傾向はありましたが、完全に師匠にお株を取られた主人公要の巻でした。
銀次郎はあの初助師匠がどっぷり惚れたのも分かるきっぷのいい漢っぷりでした。下村との関係が本当のところどうだったのか…常人には理解の及ばない域ですね。
ここまで人物や情景が頭に思い浮かべられる読み物ってなかなか無い気がする。何度か涙でホロっとする場面が多く、ホント良い読み物を読ませてもらいました。

要と寒也のように長年連れ添い合う二人も素敵だけれど、成就はせずとも一世一度の燃え上がりを見せた後、灰になって燻り続ける愛も乙だなーと思いました。いい夢見させてもらいました。要と初助師匠の親子でも無く、師弟関係でも終わらない関係性も良かったです。
 お一人様の生き方が、昔よりは肯定されつつある今、先駆者である初助師匠の生き方はバイブルに思えて参考になりました。
こういう作品こそ映像化されたら、BLも見直されるだろうにな…と思わずにはいられない不朽の名作でした。
読後に他の方のレビューを読むだけで涙でいっぱいになる…そういう作品です。

JUNEのような濃厚な世界観が◎

読み始めたら止まらないほど面白かったです!
一気に読んでしまいました。
想像より重厚で官能的な小説でした。
BLというよりJUNEな濃厚な世界観にハマりました。


一巻では策略が蔓延るヴェーレという国での宮廷劇が舞台の中心でした。華美な宮廷文化の中、王族や貴族間等で高度な策略合戦が日常繰り広げられます。高度な策略と肉体美饗宴という対を成すものが共存しているヴェーレという国が興味深かったです。その中逞しい肉体を拘束されて無力化され、自由を失ったデイメンに次々と重くのしかかる現実が心苦しかったです。
◯◯から奴隷にという落差感が大きく。鎖に繋がれた状態でどんな苦境にも立ち向かうデイメンの姿が良かったです。
立場上もあるけれど、策略家のローレントに比べて素朴で真っ直ぐな気性なデイメンがどうしてもピュアに見えて仕方がなかった。
ローレントとデイメンは二人のルックスから受ける印象と気質が逆転しているのが面白かった。

 金髪で翠の瞳のローレントがテンプレな金髪萌えキャラじゃ無かったのが良かったです。
最初はとっつきにくかったですが、だんだん萌え所が掴めてきて愛着が湧きました。ツンデレでなく、いつもツンツンとしていて、決してデレないところが新鮮でした。
策略と享楽、虚飾で蠢く美しきヴェーレの国で王子として産まれたロレントが今の彼の気質に形成されるまでには、生い立ちにさぞ色々な事があったんだろうな…と慮る事が容易いのが物哀しい…。
王子であるにも関わらずヴェーレの国に馴染めていない、浮いてしまっている感もあります。

 一巻では、ディメンとローレントは結ばれるどころか、ブロマンスの域にも達していない状態でした(笑)後半で若干(腐れ縁)の兆しは見え隠れするものの、二人がLOVELOVEになるまでの想像がつかない…。

 叔父とローレントの歪な関係も気になります。過去に二人に何があったのか…。
ローレントとデイメン二人の数奇な運命が交差して、これからどういう化学変化を起こすのか、、。これからの展開が楽しみです。どう転んでも血生臭く重苦しい話は避けられそうにはないですが…。