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私はこの本を読む前にドラマCDを聞いたことがありました。(借りてですけど)
そして・・・翌日に目がはれそうになるくらい号泣したんです。そこでずっと探していたんですが・・・もともとの発売が古くて見つからない・・・。そこへKAREN文庫さんで再び出るということで即購入した作品です。
お話はまだ若い王ルシアンとその小姓であるキラの恋愛模様。愛しくて愛しすぎて・・・そしてどうしようもないくらいに憎んでしまうという愛憎劇でもあります。
王であるルシアンは女性には目もくれず、乳兄弟であるキラのことをひたすら寵愛します。もちろん、側近たちはそれをよく思いません。キラのことを人としては認めているのですが、”王”という立場上、世継ぎの望めないキラを許すことは出来ないのです。
そして、ある事件が起こります。
ルシアンの妹イリスは近衛次官のアジマに恋をしていました。しかし、時の悪戯でイリスの恋の相手がキラであるとルシアンは勘違いをしてしまいます・・・。それはルシアンの逆鱗にふれてしまうのです。
ルシアンは誰よりもキラを寵愛してきました。それはキラも同じだと・・・そう思っていたからです。しかし、それは裏切られた。そう思ったルシアンはキラを日毎、拷問します。キラはイリスの名誉のために、国のために偽りのイリスへの愛を叫んだ。そして近臣たちもこのままキラへの執着がなくなることを願いあえて何も言わず、真実を知らないルシアンはキラを王宮から身一つで追放してしまう。
そして2年後、キラの姿が王都にあった・・・。キラは春に咲く想い出の花を見たくて帰ってきたのだった。都でも評判の流れ詩人となっていたキラは、その噂を聞きお忍びで訪れていたルシアンと再開してしまう。
愛しすぎてそして裏切られた憎しみからルシアンはキラに酷くつらくあたるのだった。近臣たちは誰もそれを止めることはない・・・。そして、誰もがキラに全てを追わせた罪を改めて自覚するのだった。
そして、ある日、王妹イリスから薬師ジェナスへの手紙をルシアンは読んでしまう。そこには、2年前のあの事件の真相を悔いるイリスの心情とキラの体を気遣う言葉が書かれていた・・・。その手紙でルシアンは2年前のあの事件が自らの誤解であることを知ってしまうのであった・・・。
ルシアンはとても気性の激しい人物です。愛するときも憎むときも全力・・・というのでしょうか?自分の気持ちを抑えられないタイプなのです。一方のキラは、寵愛されているときも驕ることなくただルシアンに献身的に仕えている健気な人物です。ルシアンに憎まれさげすまれても、ルシアンのために自分の気持ちを殺して罪を被る・・・芯の強い人でもあります。
是非、読んで欲しいなと思います。とってもオススメです。
吉原理恵子先生の作品を読んだのはこれが初。(アニメ 間の楔は好きで見ている)
まず、性描写が情景で描かれていて喘ぎ声とかはありませんでした。そこが、素晴らしいと思いました。
最初から心が痛くなり、キラの悲しみや、その時、どう思ってその表情をしていたのか、全てが心に染みてきます。
真実を隠したために、酷い仕打ちを受けるキラを見て……どうして、キラがこんな目に合うのかと思った。イリスが何も言わなかったせいで、こうなった……キラはイリスを憎んではいなく、月日が立ったあと許してもいる。が、読んでる側としてイリスに怒りを覚える。
キラの歌声が聞こえた時、涙が零れそうでした。BL作品で泣いた事は何度かあるが、本当にここまで胸を締め付けられるような作品は初めてです。
また、耐えるキラもキラですが……相手は乳兄弟でも帝王ですからね。ルシアンが恐ろしい。
自分の死期を知っているからこんなにも穏やかで冷静でいられるのかと思うと、悲しくて切なくて、とうとう泣きながら読んでしまった。
キラは死んでしまったけど、決して後味の悪い話ではなかったです。キラの偉大さに感服。来世ではキラに幸せになってもらいたい。
ドラマCDの脚本も入ってますが、キラの心情とかがわかってとても良かった。
昭和59年に初出した作品だそうですが、この当時、こういう雰囲気は主流だったよなあ…、と感慨深く読みました。内容は書いてくださっているの感想を。
とにかく受けが健気。報われることのない不憫さに思わず落涙してしまうのですが、それが「不幸」というだけではなく読者の胸に訴えてくるものがあるのは、キラのひたむきで真っすぐなルシアンへの愛情と、彼の持つ芯の強さに心惹かれるからでしょうか。
出生から恵まれない立場にいたキラですが、自分の生い立ちを不幸だとは思わず、今、手にある幸せを大切にしていて決して自分を卑下することはない。いわれのない罪を着せられ身一つで国外に追放された後も、身を持ち崩すことなく自分の足で立つ彼の強さに思わず涙。
対してルシアンも非常に人間らしい男だと思いました。若くして、豊穣で巨大な一国の帝王となった彼には恐れるものは何もなく、感情の赴くままにただひたすらキラを求めてしまう。そしてキラが自分を裏切ったと勘違いし非道の限りを尽くす姿も、彼の「若さ=幼さ」と、それをとめる人がいなかったためで、何でもできると思いあがってしまったのも仕方がなかったことなのかなと思いました。
そしてキラに対する非道の数々も、それだけキラを愛していたのだということに気づけない彼が哀れでした。
脇を固めるキャラたちも非常に良かった。
ルシアンの妹のイリスの罪。
家臣たちの葛藤や、国やルシアン、キラに対する想い。
マイラの幼くも激しいルシアンへの愛。
どの立場にも非常に共感でき、だからこそキラの不幸が可哀想でならなかった。
最後までキラが報われることなく終わってしまったなと思ったのですが、最後のルシアンとイリスの会話でその思いは昇華しました。2年前のあの日、キラだけでなくルシアンもまた魂の半分が死んでしまっていたのだなあ、と。
後半にCDの脚本が入っていて、それもとても良かった。脚本てこうなってるのかあ、と賢さがひとつ上がったのと、本編と合わせて読むとより一層話への理解度が深まりました。
あまりCDて聞かないのですが、これは聞いてみたいと思いました。
文句なく神評価です。
攻・ルシアン(22) 帝王
受・キラ(18) 吟遊詩人
乳兄弟であったルシアンとキラ。
ルシアンは17歳の誕生祝いの席で、キラに祝いの品を求めます。
キラは「王が望むものを差し上げます」と応えたことから、ルシアンは「キラの操をもらう」と。
以来、ルシアンはキラだけを愛し続けます。
ルシアンの妹・イリスが家臣との密会のためキラに言伝を頼んだ場面に行き当たったルシアンは、キラが妹と通じていたと誤解します。
愛と憎しみは表裏一体。
キラへの愛が深く激しいものにだっただけに、同じ熾烈さでキラを攻め追い詰めます。
「誤解だ」ということも出来ず、またルシアンの逆上に恐れをなして真実を口に出来ないイリス。
ルシアンのキラへの執着っぷりを危ぶんでいた重臣達は、この機会にルシアンに「まっとうな帝王の責務」を果たしてもらうべく、キラ一人を犠牲にしてしまいます。
キラが放逐されて2年後。
都に戻ってきたキラは、心臓を患っていました。
死ぬために戻ってきたキラと、誤解したままのルシアンの再会…。
ファンタジーですが、リアルです。
何がって…王様は「男の恋人と幸せに暮らしました」で終わってはいけないという、リアルさ。
安定した国の王様は、子孫を残さなければなりません。
それが唯一にて絶対のお仕事です。
ルシアンの場合は妹がおりますが、弟はいない。
従兄弟もいなさそう。
ルシアンが子供を残さなければ、王制は、血は継承されないのです。
決して越えられない障害のある恋愛。
それをふまえた上でどう幸せを見つけ出すかですが、ルシアンは幸せを見つけた…ようにも見えますが、キラはどうなんだろう。
幸せだったのかなぁ?
ルシアンとキラがラブラブで幸せな場面は少ないですが、思いの深さは明らかな2人。
読んでいて胸がズキズキ・キュンキュン。
ドラマCDが好きで原作未読だったんですが、最近になって読んでみようと購入しました。結論から言うと・・・もっと早く読んでいればよかった!
CDではわからなかったところや、セリフの一つ一つが石田彰さん(キラ)と森川智之さん(ルシアン)で補完されるので、さらに気持ちが入り込んで、ページをめくるたびに涙が止まりませんでした。
キラとルシアンの最後の抱擁は哀しいけど「キラ、よかったね」とつくづく思いました。
結末は賛否両論でしょうが、私は好きです。
ドラマCDは今はなかなか手に入らないかもしれませんが、機会があればぜひ聴いてみてください。さらに原作を楽しめます。