葡萄瓜さんのレビュー一覧

教師の純情 生徒の欲望(3) コミック

新條まゆ 

再構成の行方

展開的にも「転」の辺り。
カバーでも本文でもBLとしての梃入れが
激しくなっている巻ではあります。
少女漫画のレーベルの一線は…紙媒体では
ないので不問と言う判断でしょうか?

少なくとも構成要素だけで考えるなら、
BL作品としてはかなり向上していると
愚考します。
しかしながら、何か余計な小骨がどうしても
喉につかえてしまうのですね。
かと言ってLOVE抜きのボーイズラブか…

7

博士と助手 小説

S・稔也  鳳巳乱 

実験時代

何とも今見返すと不思議な判型です。
現在の様な軽装のノベルス版ではなく、かと言って
耽美小説レーベルで用いられていたハードカバー版
ノベルズ仕様でもない。
B6版でハードカバー、そして中編が一編収まる程度に
抑えられた紙幅という当時としても画期的な版型です。
このエクリプスと言う小説レーベルは中々に
へそ曲がりな部分があった様で、後日刊行された雑誌が
A4版であったりもしました。

1

わかってください コミック

由元千子 

…なんだかなぁ

率直に言えば、掲載誌と版元が違っていれば
また違う評価も出来たかも知れないのにと言う
歯がゆさがあります。
レーベルや掲載誌の中では異色と言う位置付け
なのでしょうけど、それはあくまで当社比の話で
世間比では無いのですね。
何と言うか、世間の流行に乗ってこう言う作品も
出してみましたと言う感じが拭い切れず、素直に
美味しいと言い難いのです。

「専門誌がないのでレディースコミッ…

3

叛獄の王子 小説

C.S.パキャット  倉花千夏 

緞帳

一読して考えたのは、この作品がメンズロマンスである事の必然性。
一読者として率直に申し上げれば、ロマンス抜きでも充分語り得る
だろうと。
ロマンスと言う部分に執着して性を入れ替えればどうにかなるかと
言えば確実に破綻する世界観であるし。

或いはこの一冊は起承転結の内の起の部分に過ぎないのかも知れない。
だとしたら読者側は期待を抱きつつ付き合うのが礼儀なのだろう。
挿絵と外伝から醸…

3

発酵青年 コミック

友江ふみ 

平成ならば、有り得る話

BLは基本的にロマンスである、と言うのが評者の信条です。
ロマンスと言う範疇であればどの様な調理法もありだろうし、
むしろそれ程幅があった方が実りも豊かになる、と考えて
おります。
故に、その展開を支える土台にはそれなりにしっかりして
欲しいと願ってしまう訳です。
そう言う願望の詰まったレビュータイトルです。
この物語の時代設定が昭和だったら、評者は容赦無く
ちゃぶ台をひっくり返し…

4

ふったらどしゃぶり When it rains, it pours 小説

一穂ミチ  竹美家らら 

腑に落ちる、かも知れない

この作家さんへの評価が余りにも判り易く
二極化する要因が視えてくる様な、そう言う
一冊でした。
非常に整った世界観ですね。
そして無駄な冗漫さが入り込む余地が一切ない。
後書きにしてみても作品の補完の一部であって
作者自身の内面の吐露ではない。
観客として物語を俯瞰したい人にとっては
垂涎ものの物語でしょう。
ただ、疑似体感を読書作法として取り入れて
いる方にとっては取り付く島…

1

ワールズエンドの庭 コミック

motteke 

微妙な糖衣錠

非常に申し訳ない物言いですが、本作は
版元を間違えてしまっている気が致します。
可能な限り作風とレーベルの気風を
寄り添わせようとはなさったのでしょうが、
その努力を他の所に向ければまた違う
選択肢を見出せたのではないかと。
帯とタイトルが内容の殆どを言い表している
状態と言うのは、正直よろしくない感じですね。

作品としてはあっさりと読めます。
実に癖なくあっさりと読めます。…

5

ライド・ガイ・ライド 小説

塔栄のりこ  三貝みさき 

視点を変えて

心象を求めずに欲の展開と割り切って
読み進めた方が良いのかも知れない一冊です。
肉弾戦をそのまま文字に落とし込んだら
こう言う感じになるのでしょうね。

そもそもこの一冊、ハーレクインラブッシックの
一冊であると言うには装丁からして異質なのです。
第一の帯を外しても第二の帯を外しても
結局本体の装丁で逃げ道が塞がれて
いるのですから。
観念してそう言う風に読まざるを得ないのです…

4

Dear,クレイジーモンスター コミック

motteke 

いかにも当世流

この作品を完全にフィクションとして読める方は
良い意味で浮世離れされているかと拝します。
カバーをどう読み取るかで視点はかなり変わるで
しょうね。

当世の環境・感情を取り込んで成立している故の
迫力はおそらく否めないでしょう。
そう言う意味合いでは下手な創作より嫌悪感の方が
先に立つだろう諸刃の剣でもあります。
正直評者も黙殺しかけました。
それでもなお最後が気になったと言う…

3

先輩は僕の顔がお好みではないようです。 コミック

矢成ぱと 

予定調和

色々奇想天外な切り口をさりげなく展開しようと
言う気配が行間から漂う…読者としては少し萎え
かもですね。
だからラブコメとして美味しい要素が揃っているのに
何となく居心地が悪くてため息も出る訳で。
ある意味このレーベルの特色を前に出した代表作と
言えなくはないのですが、消化不良の感は否めません。
さりげないけど即物的なんですね。
BLじゃないけどそれっぽいんだよと言われて
差し出…

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