葡萄瓜さんのレビュー一覧

ぼくらはみんなうそばかり コミック

平眞ミツナガ 

進化過程

全体的にデビュー当時から考えると線が太くなったなと
お見受けしました。
掲載作の概ねの初出が電子書籍ですので、描線の傾向の
進化は初出媒体の進化に合わせたものやも知れませんね。

表題作とそのコインの裏側の傾向は恐らくこの方にとっては
初めての筈です。
既に有る様式の中にこの方の筆加減を馴染ませようと言う
訳ですから、ある程度この方の作風を承知しておかなければ
恐らく面食らうのは…

1

オトコごころと春の空 コミック

土狼弐 

ある意味お中元的な

描き下しを除く3作はすべて同人誌からの再録作品との由。
裏を返せば今まで在野でここまでのものを綴って来られたと
言う話になります。
ジャンルの幅が広がったので需要の幅もまた広がった
証明なのでしょう。
一昔前だったらレーベル以前に版元さえも違って刊行されて
いた筈ですので。

とは言うものの、BLとしての琴線を振るわせる要素が
何処かに無ければこういう形で刊行される訳はありますま…

2

幼馴染と子育てダイアリー コミック

桜巳亞子 

色々な形

このレーベルから出ている本ですので
別ページ掲載の作者様インタビューと
他のラインナップを参考に、関係性の
深浅についてはお察しください。

簡単そうで難関な主題に対しかなり
しっかり筆を奮った作品と評者は
受け止めましたが、登場人物各位の
バランスについては読者それぞれの
立ち位置により判断は分かれてしまう
だろうと愚考します。

物語としてはほぼ回収できており、
過不…

2

現実は少女マンガより奇なり コミック

くろやまてる 

一周廻ってさわやかな

部分的に重なる先行の同工異曲の存在はありますが、
その辺の相違を良い具合にひねりながらいやらしい所の
ない一周廻った明朗な話に仕立て上げてあります。

掲載誌再確認の限りでは連載分で上手く一冊にまとまって
いる様ですが…続きを期待したい様な、ここで敢えて
余韻を残した方が良いのだろうか、と読者の分を越えた
余計な心配なぞ少ししたりして。
続きの火種になりそうな箇所も上手くタイトルに…

1

背徳の召喚歌 小説

朝松健 

軸の在処

電子化復刊されると言う事で再読。
評者としては遅まきながらの感謝を捧げたい一冊です。
色々削ぎ落とした描写の中でこそ浮かび上がる関係性の
陰影もあるもの、とそっと囁かれた後にひやりと一筋
恐怖が走る。
それが人為的なものであるならば俗欲で何とか出来るかも
知れませんが、それとは対極的なものであるので
どうしようもない。
しかもそれは、人知を超えている故か時に美しく見えて
しまうの…

2

罰あたり騒動記1 小説

今泉潤  大峰ショウコ 

仏縁があれば良かったのに

改めて読み返してみるとBLとしてのツボを
押さえた佳作である様に感じるのですが…
版元に今一つ恵まれなかったのがシリーズが
中途半端になってしまった一因なのかも
知れません。

この版元は商業における第2次ショタブーム…
成人向け区分を中心としたショタブームの中で
あるアンソロジーの版元として中途参戦し、
その勢いをかってBLにも参戦しようと試みたらしい
…と当時の事をおぼろげ…

1

セクハラブラザーズ 愛されすぎ編 コミック

魚ともみ 

「ありき」の枠

今一つ乗り切れなかったのはあとがきから先に読んだからだ
…とは思いたくない評者です。改めて読むとあとがきに対して
軽く頷かざるを得ず途方に暮れておりますから。

続編の存在自体はありだと認識しています。
しかし、続く事によって明確に見えていたものがぼやけた様に
感じてしまったりすると本当にこれで良かったのかとお節介にも
考えてしまう事もある訳で。

散々芳しくないことを書き連ねて…

2

やめてください、まぶしいです。 コミック

日渡春祈 

多分…

この作品は読者個々のBLの世界観を試される
リトマス試験紙の様な立ち位置ではないかな、
と読後に思いました。

敢えて言うなら、この作品は極めて映像化に
向いているのではないか、と評者は判断します。
そう言う程度には穏当な描写な作品ですから。

ただし一つだけハードルは存在します。
それは配役の妙でお茶を濁す事が出来ないと
言う点です。
なるほど穏当な描写で構築された作品です…

2

管理人さんは恋がわからない コミック

御子柴トミィ 

色々合わない

評者好みの展開の筈なのですが、どうも徹頭徹尾
乗り切れなさを感じつつ読了しました。
正直、現時点でも評価に迷っています。

作者さんの誠実さは判るのです。
我が子達に対する愛情の深さも感じるのです。
ですが、それがかえって枷になって登場人物達が
吹っ切れた振る舞いをしていない様に感じてしまう。
きちんと配置された筈の伏線が妙な加減で弛んで
しまって縺れてしまって居る様な印象も受け…

2

純情ダミーヒロイン(表題作 「ハダカのお姫さま」) コミック

網野素 

かーらーのー

最近、帯が変な方向で仕事をし過ぎている作品が
多い様な気がするのは評者の気のせいでしょうか。
あの御仁の帯レビューに色目を使った結果であるならば、
せめて作品に相応しい妙手を打って戴きたく。
…などと言う御託を書いているのは、この一冊に関しても
評者は『帯を全力で忘れてください』と言わざるを
得ないからです。
本自体がギャップ萌えを醸し出してどうすんですか、ったく。

全作とも昨…

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