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平眞ミツナガ
葡萄瓜
全体的にデビュー当時から考えると線が太くなったなと お見受けしました。 掲載作の概ねの初出が電子書籍ですので、描線の傾向の 進化は初出媒体の進化に合わせたものやも知れませんね。 表題作とそのコインの裏側の傾向は恐らくこの方にとっては 初めての筈です。 既に有る様式の中にこの方の筆加減を馴染ませようと言う 訳ですから、ある程度この方の作風を承知しておかなければ 恐らく面食らうのは…
土狼弐
描き下しを除く3作はすべて同人誌からの再録作品との由。 裏を返せば今まで在野でここまでのものを綴って来られたと 言う話になります。 ジャンルの幅が広がったので需要の幅もまた広がった 証明なのでしょう。 一昔前だったらレーベル以前に版元さえも違って刊行されて いた筈ですので。 とは言うものの、BLとしての琴線を振るわせる要素が 何処かに無ければこういう形で刊行される訳はありますま…
桜巳亞子
このレーベルから出ている本ですので 別ページ掲載の作者様インタビューと 他のラインナップを参考に、関係性の 深浅についてはお察しください。 簡単そうで難関な主題に対しかなり しっかり筆を奮った作品と評者は 受け止めましたが、登場人物各位の バランスについては読者それぞれの 立ち位置により判断は分かれてしまう だろうと愚考します。 物語としてはほぼ回収できており、 過不…
くろやまてる
部分的に重なる先行の同工異曲の存在はありますが、 その辺の相違を良い具合にひねりながらいやらしい所の ない一周廻った明朗な話に仕立て上げてあります。 掲載誌再確認の限りでは連載分で上手く一冊にまとまって いる様ですが…続きを期待したい様な、ここで敢えて 余韻を残した方が良いのだろうか、と読者の分を越えた 余計な心配なぞ少ししたりして。 続きの火種になりそうな箇所も上手くタイトルに…
朝松健
電子化復刊されると言う事で再読。 評者としては遅まきながらの感謝を捧げたい一冊です。 色々削ぎ落とした描写の中でこそ浮かび上がる関係性の 陰影もあるもの、とそっと囁かれた後にひやりと一筋 恐怖が走る。 それが人為的なものであるならば俗欲で何とか出来るかも 知れませんが、それとは対極的なものであるので どうしようもない。 しかもそれは、人知を超えている故か時に美しく見えて しまうの…
今泉潤 大峰ショウコ
改めて読み返してみるとBLとしてのツボを 押さえた佳作である様に感じるのですが… 版元に今一つ恵まれなかったのがシリーズが 中途半端になってしまった一因なのかも 知れません。 この版元は商業における第2次ショタブーム… 成人向け区分を中心としたショタブームの中で あるアンソロジーの版元として中途参戦し、 その勢いをかってBLにも参戦しようと試みたらしい …と当時の事をおぼろげ…
魚ともみ
今一つ乗り切れなかったのはあとがきから先に読んだからだ …とは思いたくない評者です。改めて読むとあとがきに対して 軽く頷かざるを得ず途方に暮れておりますから。 続編の存在自体はありだと認識しています。 しかし、続く事によって明確に見えていたものがぼやけた様に 感じてしまったりすると本当にこれで良かったのかとお節介にも 考えてしまう事もある訳で。 散々芳しくないことを書き連ねて…
日渡春祈
この作品は読者個々のBLの世界観を試される リトマス試験紙の様な立ち位置ではないかな、 と読後に思いました。 敢えて言うなら、この作品は極めて映像化に 向いているのではないか、と評者は判断します。 そう言う程度には穏当な描写な作品ですから。 ただし一つだけハードルは存在します。 それは配役の妙でお茶を濁す事が出来ないと 言う点です。 なるほど穏当な描写で構築された作品です…
御子柴トミィ
評者好みの展開の筈なのですが、どうも徹頭徹尾 乗り切れなさを感じつつ読了しました。 正直、現時点でも評価に迷っています。 作者さんの誠実さは判るのです。 我が子達に対する愛情の深さも感じるのです。 ですが、それがかえって枷になって登場人物達が 吹っ切れた振る舞いをしていない様に感じてしまう。 きちんと配置された筈の伏線が妙な加減で弛んで しまって縺れてしまって居る様な印象も受け…
網野素
最近、帯が変な方向で仕事をし過ぎている作品が 多い様な気がするのは評者の気のせいでしょうか。 あの御仁の帯レビューに色目を使った結果であるならば、 せめて作品に相応しい妙手を打って戴きたく。 …などと言う御託を書いているのは、この一冊に関しても 評者は『帯を全力で忘れてください』と言わざるを 得ないからです。 本自体がギャップ萌えを醸し出してどうすんですか、ったく。 全作とも昨…