葡萄瓜さんのレビュー一覧

ましたの腐男子くん コミック

黒岩チハヤ 

帯の発案者の属性を熱烈に知りたい

ページを進めるまでは斜に構えていた訳ですよ。
「ああ、腐男子をネタにした本ですね釣りっぽいですよね」
などと若干荒みながら。提示されている粗筋も何となく
釣りっぽいよなぁと舐めてかかっていた訳です。

まあ…なんと言う事でしょう。
見事にその予測は良い方向で裏切られました。
それぞれの属性をきちんと活かしながら展開される恋模様は
カバー下も含めて大変美味しいものでございました。

9

リリパット コミック

松崎司 

出オチの後の鮮やかさ

何とも名状し難い出オチで始まる表題作ですが、
本筋はかなり骨太なラブコメです。
松崎さんの作風と言うと鬼畜をこじらせたり
肉弾戦をこじらせたりと言うイメージを強く
持たれている方が多くおいでかと思われますが、
表題作はその要領でラブコメをこじらせています。
しかも搾りたてそのまま無調整で出して来るので
読者としては気恥ずかしくてたまらない。
いっそ肉弾戦中心を求めたくなります。

1

逃げたヒツジの捕まえ方 コミック

青山十三 

白絹綸子

この一冊に収められた物語は二通りに味わう事が出来ます。
一つの味わい方は文字通り恋物語として。
もう一つの味わい方は、断片的な謎を手繰り寄せて継ぎ合わせて
想いを馳せると言うやり方で。
ただ、総てが詳らかにならない方がこの物語達をゆっくり
味わう事が出来るでしょう。

空想と残酷は常に背中合わせです。
雄弁な空想とそれに向きあえず目を逸らす残酷。
その残酷にほんの少し正面を向いて…

2

ロスト・コントロール ~虚無仮説(1)~ 小説

黒木夏兒  蒔舞(シーウ)  yoco 

容赦なし

最初の数ページは正直不安しか感じませんでした。
サスペンスとしては上物かも知れないがロマンスとしては
どうなんだろうと。
ところがページが進むにつれ張り巡らされた伏線の行方が
色々と気になってくる非常に厄介な状況に。
文庫でもノベルスでもなく敢えて単行本形態でこの作品が
刊行されたのは正解でしたね。文庫やノベルスなら必要以上に
開いては閉じ開いては閉じ…と遣ってしまいそうなので
本…

3

エネミーエネミー コミック

流れないテッシュ 

不思議な居心地

率直に言うと、気分を変えたくて表紙で選んだ
一冊でした。
それがまあなんと言う事でしょう。
かなり心地好く馴染んでしまっているのですね。
確かにこの方の絵柄は確実に好みが分かれます。
ところがその絵柄で紐解かれる物語は今風の男の子の
心情を織り込みながらかなりスタンダードに
近いものでして。
ええ、そうなんです。評者の守備範囲なんですね。
だから読んでいて不思議な居心地を感じてし…

3

3LDKおおかみ付き コミック

ミナヅキアキラ 

愛しさのパイ窯風

柔らかい描線と物騒なタイトルのギャップに
戸惑い暫し寝かせてから手に取りましたが、
味わいはあっさりしていて好みの範疇でした。
味の基本がしっかりしているので淡く感じても
パンチがあるのですね。
更に好ましいと思うのは、関係が進んでも
均衡は保たれたままだと言う事です。
関係が進むにつれてバランスの変化があるのも
美味しく感じるのですが、魅せ方を一歩間違えると
味わいがしつこくな…

5

いつものふたりで。 コミック

鶏尾 

間に間に潜む

ある意味水墨画に似た味わいの作風かな、と
読み終えて思いました。
読み手の気持ちの加減で味わいの加減も変わって
しまう様な、ある意味不確かな作風なのか、と。

表題作は割合に素直な、これまでのBL作品の
お約束も継承した作品かと思われます。
なんだかんだと饒舌な空気が詰まっておりますし。
だから説明不足に思える部分も読み返してみると
何となく腑に落ちる。
ただ、併録作については…

4

IN THE APARTMENT コミック

絵津鼓 

ふと、傍にいる

多分大阪市北区か都島区辺りの下町で
展開されてそうな些細な日常時々恋模様。
いかにもBLと言う感じで押し付けてこない
絵柄の隙間からにじむのは言葉では伝え難いで
あろう気持ちの断片。
当世流の作品と一言で片づけるには、少し癖が
ある様な気がします。
…この子達、草食系の様で実はしっかり肉食な
感じだし。

うん。読んでてとても気が楽です。
色恋以外の重たい所も織り込まれていま…

6

相方くんライバリー コミック

椰子木虹 

ツボは突いている

先ず作品情報を整理しておきます。
この本には『相方くんライバリー』と言う作品は収録されて
おらず、表題作に相応するのが『8時と9時のあいだ』です。
そして『メインとサブのあいだ』は『8時と9時のあいだ』の
スピンアウト作となります。
本のタイトルと収録作のタイトルが何故一致しないか。
それはきっと編集さんと作者さんしか知らない謎でしょう。

と言う事でさらっと本題。
いや、実に良…

1

海のおっさん コミック

菅辺吾郎 

濁点付きのあいうえお

押しつけがましいだけのおっさんの話だったら
多分さっくり横に置いた、と思います。
今一歩強気になれない不器用なおっさんだから
もそっと先を観たくなるんですね。

そう言うおっさんだからこそメインと言うよりは
常に狂言回しの位置を愉しんでいる様な気がします。
まあ不器用さが祟って自分自身の事は相当後回しに
なっている様ですが、そう言う加減も楽しみながら
ひとマスひとマス塗りつぶす様…

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