葡萄瓜さんのレビュー一覧

Fig 誕生記念お祝い小冊子 特典

さりげなく力こぶ

本誌がさりげないこだわりの集積で作られて
いるならその付属品も又同じ…と言う感じで、
山椒は小粒でピリリと辛いを地で行く小冊子です。

まああくまで小冊子と言うだけあって作家さん一人に
割り当てられているのは1ページと言う空間です。
しかも面積は余白込みで120mmかける170mm。
さあここで何を描くかと迷われる方はさぞかし多いかと。

しかしこの『Fig』の執筆陣は良い具合に…

2

御曹司の口説き方 小説

鳩村衣杏  高階佑 

御曹司の基本

作者さんはあとがきでかなり恐縮されておられましたが、
評者はこう言う御曹司ものが読めて幸せだなと素直に
思います。

この作品は実に丁寧な仕事が施されておりますね。
だからこそ御曹司同士の遣り取りにもきちんとした背筋を
感じられる。パワーゲームではなく、ロマンスの
駆け引きなのだと得心も行く。
品格を求められる立場とはそれだけ日常の些細な事も
地に足つけて行っているのだよ、とさり…

3

華なるもの コミック

西つるみ 

「い」が在って「ぶ」は無し

一人の武人の出世物語、と額面通り捉えれば
かなり不快な物語かも知れない。
しかしながらもしも彼が日常の殆どを能で言う所の
直面で演じていたとすれば、どうか。
それでも不快と言う人は居るだろうが評者は
その直面の皮の厚さを天晴さと讃えたい。
その見事さが時折ほころびて隠し遂せたと
思った筈の心がこぼれて慌てる様も
又一興だろう、と。

描かない事で却って鮮やかになる彩り。
それ…

8

Fig vol.1 コミック

絶妙な人肌

正直に言えば、表紙の煽り文句で足を止められました。

「アレもコレも食べたい腐女子のみなさまへ。」

これ程ツッコミ心を刺激する煽り文句は無いでしょう。

で、頁を進めてみると…全体的に茶漬け感覚でさらりと
流し込めているのに随分しっかりと後味が残るんですね。
消したいのに消せない下卑た後味ではなく、薬味の様に
もう一杯を誘う様な絶妙に邪魔をしない後味が。

確かに色気に溢れ…

4

突発的なフォルティシモ コミック

相模郁人 

基本形成済み

この方はこの一冊がデビュー単行本だったのですね。
収録作品は古くは1995年のものから新しくは単行本
刊行半年前のものまで。
それだけの幅がありながら作風にずれが一切生じて
いないのはお見事と言うべきでしょうか。

キャラクター形成や絵柄にやや往時の流行を感じて
しまうものの、この一冊の中に描かれている
幾つかの世界は現在のBLにも一脈通じています。
表題作及びその続編をとってみ…

1

くろねこ屋歳時記 弐の巻 小説

椹野道流  夏目くも(くも) 

いや、まったくもって

酸いも甘いも混ぜ込んで三冊に渡り語られた
くろねこ屋にまつわる講釈が実に見事な大団円を
織り成してお仕舞いでございます。
評者は大概BL小説の登場人物には隣人になって
欲しくないと怖気づく方なんでございますが、
くろねこ屋の面々とその周辺の人達がご近所さんなら
どれだけ世間が明るくなるだろう、などと不埒にも
本を紐解きながらついついと考えておりました。
それだけ暖かい読後感だったと…

6

春になれば草の雨 コミック

吉川うたた 

穏やかな味わい

レビューの前に補足情報として。
この表題作シリーズの真の主人公はあらすじに登場している
天童匡(てんどう・ただす)君ではありません。
匡君は主人公と言う役名を振られた狂言回しである、と捉えて
ください。

電子書籍として登場しておりますが本作は実は古い作品です。
1994年1月の刊行作品ですね。評者は刊行当時の紙の親本を
手にした一人です。
往時の作風の流行から考えても寝台上の描…

1

1、2の3で恋をする 小説

高将にぐん  茶々ごま 

それでも惹かれる

【B弁当Lラブ】1、2の3で恋をする PV
http://www.youtube.com/watch?v=DHTaaVYiTJs

作者さん自らがキャラ弁と言う手法を用いて
作品のPVを作る…これは斬新です。

では翻って作品は斬新かと言うと…読者を選ぶだろうと
言う意味では斬新だと思います。
評者の読後感から断言するのは少し危うい気もするのですが、
この作品の世界に浸れてしまう…

1

コンビニストア コミック

kanco 

既視感?

評者としては読んでいてとても腹持ちが良いと
感じる物語だったのですが…今のBLとしては
どうよと言う評価もきっとあるんだろうなと
言う事も気持ちの片隅で感じてみたり。

ただ、この物語の中で描かれる恋に限りなく
近い空気は、やはりボーイズラブと言う文法を
用いないと描けないのだろうな、と。
JUNEでもきっと描けるのでしょうけど、でも何か
違う風に仕上がってしまいそうな気もします…

2

くろねこ屋歳時記 壱の巻 小説

椹野道流  夏目くも(くも) 

澱む事なき

掲載誌を開かず、一冊にまとまった状態になって
初めて目を通しました。
先に読んだコミック版の事については余り頭に
置かない様にして。

群像劇を紐解きながらジワリと深い所を粘っこく
ならない様に淡々と掘り下げてゆく。
作中に『非日常空間の構成分子』なる言い回しが
出てきますが、ややもすれば心理描写にまで
その理屈が適用されている作品の空気に、
戸惑う方もいるかも知れません。

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