葡萄瓜さんのレビュー一覧

水槽オペラ コミック

央川みはら 

質感ありのメレンゲ

一見フワフワしているだけの様に
見えますが、口に入れてみると
なかなかどうして。
しつこく主張しない味わいですが
旨味はじんわりと滲み出してきます。

登場人物達が浮世離れしている様で
実はすぐ隣りにいそうな感じが良い
ですね。
合間合間に挟まれた俗っぽい人達の方が
浮世離れしている様に見えてきます。
まあある意味浮世離れしてるんですが。
そういう中でじわじわと縮まる距離感…

5

CANIS-Dear Hatter-#1 コミック

ZAKK 

色々な境目

恐らく前巻以上にこの巻の展開は評価及び
好き嫌いが分かれると思います。
少なくとも肉弾戦ありきのBLを基本路線に
考える方にとってはこの作品の在り様は
「あり得ない」と断ずべきものかと愚考します。
ただ、精神的な色香を匂わせる手法として
捉えるなら評者は充分有りだと考えますけどね。

それにしても難しい作品です。
実は前巻を読まずともこの巻だけである程度
物語は成立してしまうの…

5

恋愛ルビの正しいふりかた コミック

おげれつたなか 

残念なオトコ達ののりしろ

この一冊だけ読んでも充分に腹持ちはします。
人によっては胸焼けを起こす可能性もあるでしょう。
この一冊を読んで胸の内がなんとなく収まらないから
もう一冊を読むというのはありな読み方かと。

表題は一脈通じる言葉で言い換えが可能でしょうし、
捉え方も変えてみると案外すんなり行くかも知れません。
どう言い換えたとしても肝心な所を感じ取って
いればそれで充分かと。
評者はルビというより…

1

小悪魔カレシ コミック

野々宮ちよ子 

何度回れば気が済むのか(笑)

レビュータイトルは率直な評者の気持ちです。
何しろあの作品を描かれたあの作者さんが、
まさか正統派に進出してくるなんて…と言う
気持ちに駆られてレジに足を運んだものですから。
ただ…ページを進める内に評者はまだまだ
精進が足りないと痛感しましたけどね。
ええ、あの作品を描かれた方ですからね。
そうそうあっさりと踏襲を重ねる筈はないんですよ。

未読の方に対して評者が言えるのは、梗…

1

俺と上司のささやかな日常(表題作 「TAKE」) コミック

こめり 

あい、らしきもの

娑婆の日常にもひょいと潜んでいそうな
組み合わせで展開された表題作の一連を
愛がどうこうで押し切られたら多分評者は
黙って本を閉じてそのままにしていたでしょう。
愛がどうこうの先のあれこれがあるからこそ、
ささやかな日常は区切りを刻みつつ続いて行く
訳でして。
書題と表題作のタイトルの差異は気になる所ですが、
併録作の世界観も引っ括めての総タイトルと
解釈しておきます。

併…

2

なんとかなる日々 コミック

北野仁 

『男』であること

評者の視点が変なのかも知れませんが、
この物語には男の狡猾さについての問が
随所に挟み込まれている様に感じられます。
きちんと受け止めて考えた上での結論が
形になった大団円で読者として安堵して
おります。

肉弾戦に至る過程もごくごく自然ですね。
欲よりも心を先に感じたのは評者の
読者としての欲目でしょうか?

お伽話だからなんとかなるのだという
冷笑もありましょう。
で…

5

けむにまかれて コミック

市ヶ谷茅 

平成の江戸咄

実は評者は途中から別の意味でほくそ笑んで
おりました。
モヤの如き煙草の煙。
そして、ずらして混ぜ込まれたであろう、ある名前。
ああ、そう言う部分でもけむにまかれて
いたんだろうかと。
そう思い至って読み返してみるとまた新しい風味が
加わって味わいが立体的になってきたのです。
装丁の遊び心も実に良いですね。

評者はこの風情をこじらせた末の割れ鍋綴じ蓋、と
読み取りました。ど…

2

起きて最初にすることは コミック

志村貴子 

複雑な純粋

干支一周と少し前に描かれた作品の時も
そうだったのですが、この方は奇妙な加減で
ツボをずらしてくるので油断が出来ません。
そしてまたそのズレている筈のツボ押しが
妙に心地良く途中で止めようとしても踏ん切りが
付かないので誠に始末が悪い。

そういう一冊の物語がここに仕上がった訳です。
評者は深く読み込まずにサラリと流すのが
きっと幸せな読み方なのだろうと愚考します。
あくまで壁…

1

夏に恋するぼくのスピカ コミック

ツトム 

幾変化

適切な物言いかどうかは判りませんが、
どこを切っても二人で育てて収穫して
美味しく食べようという健やかさを
感じられる好ましい短篇集でした。

ただ一点非常に申し訳ないのですが、
冒頭の一作になんとなくな既視感を
感じてしまいました。
本当になんとなくですので読み返す内に
気にはならなくなりましたが。

率直に言えば評者はこの方の作品に
色気を求めてはおりません。
甘酸っ…

4

エンドスタートライン コミック

上田アキ 

気になる後味

カバー下の漫画まで含めて読み通して満足の溜息を
吐いた後、ふと老婆心ながら思ってしまいました。
デビューの一冊にしては一寸ハードルを上げ過ぎたんじゃ
ないでしょうか?
いや、ここから更に跳んでみたいんです!と言う
意気込み込みならむしろ背中を押しますが。

多分この作者さんがその気になればカバー表の
二人の話だけで全てを押し通す事も出来たでしょう。
でも敢えてそれをしなかったのは…

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