chill chill ちるちる
 
たくさんのご応募ありがとうございます。
第1回の受付は締め切らせていただきました。
募集要項

・毎回出されるテーマイラストを見ながらオリジナルストーリーを作成してください。
・ストーリーは、2000字以内で書いてね。

(必須記入事項)
・ペンネーム
・氏名
・返信可能なメールアドレス
・2000字程度のオリジナルストーリー

あて先:bprince@chil-chil.net

プレゼント

B-PRINCE文庫の編集者がみなさんから応募いただいた全ての作品に目を通して選考します。
優秀作品は、本サイト上でSSが公開されるほか、B-PRINCE文庫既刊本の中からお好きなタイトルを3冊プレゼントいたします★

【第1回】テーマ:体育祭
応募期間

2010年10月1日~2010年10月31日まで
★ただ今、結果発表中★≫

今回のテーマイラストは、こちらです↓↓↓↓↓↓↓

Story

「おまえ、むちゃしすぎだっつーの」


いかにも健康そうな日に焼けた顔をしかめながら、心配そうにカズキが顔を覗き込んでくる。


「……だって、どうしても1位になりたかったんだよ」


カズキの視線から逃れるように、マサトは顔を背けた。少し口を尖らせたその横顔は、少し赤くなっている。


今日は高校の体育祭だ。


大好きなカズキの前でいいところを見せたかったマサトは、200メートル走で気持ちが空回りして、見事にコケた。


それでももしかしたらと、無理やり体を起こし最後まで全力で走りきったが、結果は当然のごとくビリだった。


傷口を洗うために校舎裏までうなだれて歩いていたマサトに、後ろからカズキがやってきて肩をかしてくれた。


「あんまり心配かけんなよ……」


今まで聞いたことのない神妙なカズキの声に、マサトははじかれたように顔を上げた。


***** ここから、2000字程度で、あなた好みのストーリーの続きを書いてね
 *****
SSを書くときのポイント

・2人の関係性を決める。 親友? 幼なじみ? もう恋人?
・受と攻を決める。 カズキとマサト、どっちが受でどっちが攻?
・ケガをしてしまったマサトというシチュエーションを利用して妄想してね。

★書き方がわからない人は、コチラを参考にしてみてね★
BL小説の書き方をわかりやすく教えてくれる「BL錬金術」

みなさんのステキなSS、お待ちしております♪

★SS応募だけじゃ物足りない上級者さんは、コチラ★

読みたいBLは、書けばいい! B-PRINCE文庫新人大賞 応募の詳細は、こちらから★
結果発表
椿ともえさん

★B-PRINCE編集部より選評です★
椿ともえさん、すてきな作品をありがとうございました!
今回の受賞の決め手は、「体育祭」というテーマを上手に活用して物語が進んでいたことです。とある競技がきっかけでお互いの気持ちに気が付くことができるのですが(ネタバレになるので詳しくは掲載中のSSを読んでみてくださいね)、この告白シーンが編集部員の心をがっちりつかみました。青春ってこんなだったよね……と思わず遠い目になります。欲を言えばエッチな描写も少しあると、なお胸がきゅんとなったと思います。次回は、エッチシーンを盛り込むことにも挑戦してみてください!

第1回「体育祭」へのたくさんの応募ありがとうございました! さまざまなシチュエーションで物語を作ってくださり、編集部一同たいへん楽しく拝読させていただきました。中には新人大賞応募作に匹敵するキラリと光る作品もあり、みなさんのレベルの高さに驚いています。

第2回「後夜祭」の開催も決定しましたので、みなさんもぜひ参加してみてくださいね★

今回の最終選考まで残った方々
あおいさん 久我彰さん 仲月ちいさん はねおちさん

★作品発表★ 著者:椿ともえ


「おまえ、むちゃしすぎだっつーの」


いかにも健康そうな日に焼けた顔をしかめながら、心配そうにカズキが顔を覗き込んでくる。


「……だって、どうしても1位になりたかったんだよ」


カズキの視線から逃れるように、マサトは顔を背けた。少し口を尖らせたその横顔は、少し赤くなっている。


今日は高校の体育祭だ。

 

大好きなカズキの前でいいところを見せたかったマサトは、200メートル走で気持ちが空回りして、見事にコケた。


それでももしかしたらと、無理やり体を起こし最後まで全力で走りきったが、結果は当然のごとくビリだった。


傷口を洗うために校舎裏までうなだれて歩いていたマサトに、後ろからカズキがやってきて肩をかしてくれた。


「あんまり心配かけんなよ……」


今まで聞いたことのない神妙なカズキの声に、マサトははじかれたように顔を上げた。


カズキは、痛みを堪えるような表情をしていた。


まるで、マサトの怪我の痛みが伝染してしまったかのようなその表情に、どくんっと、マサトの中で心拍数が跳ねあがり、顔が熱を持つ。


やばいっ…!


顔を見られてはまずいと判断した瞬間、身体が勝手にカズキを突き飛ばしていた。


カズキが数歩よろめく。


「…マサト?」


いきなりのことに、カズキが驚いた表情をしながら見つめてくる。その視線に耐えられず、マサトは慌てて違うと両手を大きく振った。


「ご、ごめん! えと、ちょっと足が痛くて…あそこに座りたいなって思って」


とっさに、近くのフェンスを指さす。


そこに座りたいと言うと、カズキはまだ納得できないという顔をしたが、それでも頷いてくれた。


再度カズキに肩をかりて、マサトはフェンス前に腰を下ろす。


「大丈夫か?」


「…うん。さっき少し痛んだだけだから」


心配げに見つめてくる瞳から、マサトは目をそらした。


今は真っ直ぐカズキの目が見られない。


どくん、どくんと、早く動いている心拍数に、マサトは胸をギュッとつかんだ。


幼馴染で、小さい頃から一緒にいたカズキ。一つ年上だったからか、カズキは昔から良くマサトの面倒を見てくれた。


そんなカズキに、マサトはいつの間にか、特別な感情を抱くようになっていた。


友達や家族に向けるものとは違う。


それが、普通の同性に向ける感情ではないと気づいたのは、つい最近だった。


大好きなカズキ。


だからこそ、カズキにこの想いは打ち明けられないし、悟られてはいけない。同性相手にこんな感情を持つなど、普通は気味悪がられるだけだから。


お互いに何も話さないまま、時間だけが過ぎる。グラウンドの方からは、時折歓声が聞こえてきて、マサトはその度にぎくりとした。


このまま二人で居たら間が持たず、何を言い出すかわからない。


なんとかしてカズキをこの場から離そうと考えていると、ふいに地面に映るカズキの影が動いた。


体操着のポケットを探り、小さな紙切れを取り出してマサトに差し出す。


「?」


小さく折りたたまれた紙に、初めはそれが何か解らなかった。だが、見覚えのある紙に、マサトはすぐに何か思い出す。


「これ、…借り物競走の時の?」


それは、数時間前の借り物競走。


カズキが出場すると言うことで、マサトは最前列で応援していた。


好調に走り出したカズキは、借りものが書かれた紙を手にした瞬間固まった。きっと、よほど酷いものを引き当てたのだろうと思っていたのだが。


カズキは、真っ直ぐにマサトのもとに走ってきた。そして何を引いたか一切言わず、そのまま手を掴んで走り出したのだ。


二人は、共にゴールテープを切った。


だが、聞くタイミングを逃してしまったせいで、マサトはカズキが何を引き当てたか、未だにわからないままだった。


「──見ていいの?」


顔を上げると、カズキが頷いた。


折りたたまれた紙を、無理やりマサトの手に握らせる。


小さなそれは、マサトの手の中で僅かに開いた。


見ていいって言ってるんだし…良いんだよな?


マサトは迷った。まるで、カズキの秘密を見るような気分になったからだ。


だが、カズキが見ろと言うのだからと、意を決してその紙をゆっくりと広げた。


真っ白な紙に、印刷された黒い文字。


「っ、…!?」


紙に書かれた言葉を見て、マサトは驚きに、息を飲んだ。


そこには、たった一言。


『好きな人』と、書かれていた。


紙を持つ手が震える。


「か、カズキ、これって……?」


問いかけた自分の声が、かすれていた。


好きな人。


それは、友人、家族などに向けられる言葉。


そして、恋愛的な相手にも向ける言葉でもある。


カズキは、これを引き当ててマサトを選んだ。それは、どの『好き』に対しての選択だったのだろうか。


家族ではないから、友人だろうか。


それとも。


頭の中で、都合のいい方にばかり考えが向かってしまう。勘違いしては駄目だ、まさかカズキが同じ気持ちだなんて、そんなことがあるはずない。


突然、マサトはカズキに腕を掴まれた。


「っ……」


真摯な眼差しが、マサトを映す。


いきなりのことに、ぴたりとマサトの時間が止まった。どくん、どくんと、さっきよりも心拍数が大きく跳ねあがる。


カズキが、おもむろに腕に顔を寄せてきた。


そして。


「俺は、マサトのことを恋愛対象として好きなんだ」


「っ──!?」


ぺろりと、すり傷を舐められた。


くしゃりと、手の平の中の紙が音を立てる。


カズキも、マサト同様に同じ想いを抱え、それをずっと言えずにいたのだ。


借り物競走で使われた小さな紙。


それがきっかけで、初めてカズキの気持ちが聞けた。


恋愛対象として好き。


この言葉に、もうマサトの迷いは消えていた。


今はもう、カズキの瞳を真っ直ぐ見られる。


マサトは、吹っ切れたような表情でカズキに笑いかけた。


「もし、おれが同じ紙を引き当てても、カズキと一緒にゴールテープを切るよ」



遠くで、スタートを知らせるピストルの音が響いた。



おわり

「SS Party」第2回開催決定! みなさんのご応募お待ちしております!
第2回「後夜祭」募集期間:2010年11月5日~11月30日


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