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【in中国】中国BLをネット小説からみる、黎明期から今までの略史

2019/11/04 15:45

出版禁止から作者逮捕…噂が途切れない中国のBL界隈に何が起きてた?

 

ちるちるでもニュースを何度か取り上げた中国作家の逮捕やBL界隈の不幸。年々息苦しくなる中国のBL界隈、これからどうなるだろうか?

中国のBL界隈をネット小説を糸口に、この一連のことはどこから始まり、そしてどこに向かうか、簡単に書いていきたいと思います( ..)φ

 

すべてはネットと作家と読者から

 

近代中国は、書籍を厳しく取り締まる歴史を持っています。毎年数量限定の出版シリアルナンバーを、エンタメ書物に回すのが極めて難しいことだったのです。ちょうどネットの黎明期で中国でもGFW何てなかった頃、小説サイトが立ち上がった。

 

その中、今でも女性向け小説の最大手である「晋江文学城」は中国で初めてできた女性向けの大型小説サイト。

 

市場の約8割を占めており、登録ユーザーは1,000万にのぼり、DAU(デイリーアクティブユーザー)は約220万人、一日のトラフィックは9,000万を超え、平均PV(ページビュー)は一億超え。

男女比は3:7、18-34歳のユーザーは全ユーザーの68.64%を占める。ユーザーの76%以上は中国、中国以外の海外からのアクセスは全サイトのトラフィックの15%を超える。

※サイトデータ(2018年、HPより)

 

日本のサービスで例えるなら、「小説家になろう」より約10倍ほど規模が大きいサイトが女性向けに存在している。

 

日本の小説サイトとの一番の違いは、連載作家になれば、サイトでの連載で月々原稿料を貰えることだ。

 

「晋江文学城」の作家収入システムはこう:

・登録作家の場合:「投げ銭」のみ
・契約作家の場合:「投げ銭」+「VIP収入(購読料)」+「メディアミックス契約」

▶「投げ銭」は、読者がポイントを購入して「地雷」と交換し、作家に投げつけることによる収入。



(更新していないことを「潜っている」と呼び、地雷で作家を水面下から水面上におびき出すための中国ネットスラングから)

・1元=100ポイント
・利益:作者とサイト半々
・作家ごとに読者貢献ランキングを持っている
 読者は作家に対して
  - 一般作家:累計1,000~2,000ポイント(約2,000円)
  - 有名な契約作家:累計3万~4万ポイント(約5,000円)
 を貢げば、その作家の読者貢献ランキング一位になれる。

種類換算日本円
地雷(100ポイント)   1元   約17円 
手榴弾(地雷×5) 5元   約85円
ロケット砲(地雷×10) 10元   約170円
爆雷(地雷×50) 50元   約850円  
魚雷(地雷×100) 100元  約1,700円
 
「VIP収入(購読料)」は連載における話ごとの収入。


・人気が集まった作品/作家(※一定文字数+ブックマーク数+コメント数、またはランキング入り)に編集者から、ポテンシャルを見込んで「契約作家になりませんか」との申し出がいく。承諾したら契約作家になれる。
・契約は5年固定から
・契約作家になると作品の「VIP化」ができる
  - VIP化=小説のキリがいいところ(基本第1章~10章)までは無料、続きを読みたい場合はその先が有料になる
  - 毎日3,000字以上の更新が必須
  - 利益分配は、初めての契約期間で作家6:サイト4、第二回以降は作家7:サイト3
 
メディアミックス契約による収入。


(「晋江文学城」では、メディアミックスの権利につき作品タイトルの横にアイコンがつく)
 
作品に人気が出れば、メディア会社や出版社からメディアミックス契約の申し出が来る。アニメ・マンガ化、映画化、テレビドラマ化、ゲーム化、ドラマCD化、各言語の小説出版、それぞれ権利を売り出すことで収入を得ることができる。
 
もちろん今は他にも女性向けの小説サイトがたくさん存在していて、利益の分配がもっといいところもある。だけどBL小説家でも「連載作家になって収入を得ること」を広め、界隈を盛り上げたことから、「晋江文学城」は今でも界隈の礎であり続けている。
 
 

大規模メディアミックス、中国のBLコンテンツ最先端

 

日本でも最近BLアニメが積極的に作られているが、中国のコンテンツ業界も急スピードで追いつこうとしている。何せ人材も資金もあまりに余っていて、残りはいい脚本を揃えば何でも始められる。
 
最近もっとも人気のBL大作《魔道祖师》は、まさにメディアミックスに恵まれている。
 
原作
 
 ▶ 漫画(快看漫画で連載)
 
 ▶ ドラマCD(猫耳FMで連載)
 
▶ アニメ
 
▶ 商品コラボ
 
▶ コラボポップアップショップ
 
▶ テレビドラマ(恋愛要素を取り除き、名前を変えて放送している)

いろんなメディアミックスの中でも特筆すべきなのは、中国のBLドラマCDはCDが流通しておらず、「猫耳FM」というオーディオサイトにデジタルで連載、販売されている。

 

 

中国のBLドラマCDというと、日本のプロ声優によるものと違って元々は日本のドラマCDに倣って、有志によって作られたものだった。漫画原作はほぼないため、長編で重厚な小説をドラマCD化することで聴き応えがある作品が大勢揃っている。

 

近年は徐々に公式化されてきて、プロの声優や有名イラストレーターを導入することで、品質も目に見えて高くなってきているため、中国のBL界隈では最も注目すべきメディアミックスと言える。

 

 

追い風、向かい風。今とこれからの中国BL

 

そんな希望もコンテンツも溢れる、キラキラしてたBL界隈だが、徐々に影がさしかかってきた。

 

2014年に「晋江文学城」のBLジャンル名は「耽美」から「純愛」に変わり、BL描写への取り締まりが一段と上がった。ネットでは「首以下の描写禁止」「セックスするときは消灯」と揶揄されるほど、性的な描写が厳しく禁止された。

 

 

 

「耽美」のジャンルは、いつの間にか「兄弟情(家族愛、友情)」に変わり、同人イベントや出版された書籍は、BLの愛情要素を取り除かない(ように見せる)と世に出せない状況になってしまっている。

 

(同人ベント《COMIC UP》HPから)

 

出版シリアルナンバーの制限によって肩幅が狭くなってくる出版業界なのに、個人出版にしたら目立つと取り調べられる苦境。この中で筆を折った作者を、筆者もたくさんみてきた。それでもBLは物語として素晴らしいものがメディアミックスされ、腐女子以外の読者や視聴者に視聴され、愛されている。

 

今後はどうなっていくのか、正直筆者も分からない、考えられない。

だけど物語は語っていくべきだと思うし、素敵な作家も小説も、もっともっと愛され、読まれるべきだと思っている。

これからもいいことがたくさんありますように。

 

◆◆◆

 

記者:首長鹿

コメント1

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「地雷で作家を水面下から水面上におびき出す」「地雷を作家に投げつける」で笑ってしまった
違う意味なんだろうけど、なんて物騒な…w

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