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異論は認めません!? 私のイチオシはこれ!42 これがBLのクラウドネットワークだ! 雲田はるこ

2012/08/17 00:00

新刊の中から、話題になっている作品、私のオススメ作品などをピックアップして紹介します。視点は少々(いや相当?)偏っていることもありますので、ご注意くださいませ?。
今回は雲田はるこさんをフィーチャー!2012年7月の新刊、既刊の作品を紹介します!

■ 新宿ラッキーホール/雲田はるこ/onBLUEコミックス

ゲイビデオ制作会社の社長・苦味と、副社長のサクマ。生活を共にし、特別な関係ではあるものの甘い雰囲気ではなく、そこにはふたりだけにしか分からない繋がりがある。出会いから長い月日が経ち、平穏ながらも刺激的な日々を送っていたふたりだが…。

という、一癖も二癖もありそうなふたりを中心にした話。コミカルさを織りまぜながらも、ベースにあるのは大人の恋です。まずは簡単に各話の紹介。

『唇は苦い味』
苦味の所にゲイビデオの男優にスカウトされた男が訪ねてくる話。頼りなさ過ぎる男に、苦味はいろいろと教えてあげています。主に身体で。

『約束は一度だけ』
サクマが街でスカウトした男は、以前いた暴力団の跡継ぎ息子だったという話。昔からサクマに惚れていて、結婚させられる前にサクマとエッチしたいと言うその子・竜を、サクマは部屋に上げます。

『ハートに火をつけて』
ゲイビデオ制作会社で働いている斎木と、男優をしているレ二の話。苦味に密かに想いを寄せている斎木は、男優のドタキャンで出演することになった苦味とレ二のビデオに、飛び入りで出演することになります。

『陽当たりの悪い部屋』
苦味とサクマの過去の話。親の借金でヤクザに捕まった高校生・苦味は、ゲイビデオで使えるようサクマの元に送られ仕込まれることに。一緒に暮らし、身体を重ねていくことで、ふたりは惹かれていきますが、もちろんそれが許されるはずもなく…。
若くて帰る場所もない苦味が自分に嵌まっていく危うさを分かっていながらも、そんな苦味を拒めず、いつの間にか自分も苦味を手放せなくなっているサクマ。それを苦味には見せないようにしているのがいじらしくて仕方ない!

『Lucky boy』
苦味とサクマの後日談。

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どのキャラも魅力的。メインカップルの苦味とサクマはもちろん、斎木もレニもかわいい!!
苦味とサクマの現在と過去の間は15年ほどあるのですが、若いふたりも年を取ったふたりも、どちらの関係も萌えるので、その違いに注目して読むのも面白いかもしれません。序盤で別のキャラとのエピソードが描かれ、現在の一見冷めているような関係を匂わせた後での濃厚な過去編。そして、言葉や態度には出さなくても、ふたりの間には変わらず想い合っている事が伝わってくる後日談。話の組み立て方がいいですね!何度も読み返したくなり、その度に新たな発見で顔がにやけます(笑)

苦味は軽くてドライな雰囲気ですが、恋愛感情はサクマに一筋です。一方のサクマも、ヤクザから足抜けしたあとも相変わらずドSで怖い人ですが、苦味を大切に思っているのは間違いない。それを全然苦味に伝えないのは、意地悪なのではなくて素直じゃないだけ、というか、気恥ずかしくて素直になれないだけなのでは…という事が読み進めると徐々に分かってきます。
……なんだこのツンデレ中年!かわいいよ!色っぽいよ!特別おっさん萌えのない私でも、この脂抜けてきた年頃のサクマの色気には萌えざるをえませんでした。

独特の雰囲気でグイグイ惹き込まれる、読み応えのある1冊でした。
雲田先生は他にもステキな作品を描かれています。今回はもう1作品、この新刊とは少し雰囲気の異なるこちらの作品をご紹介。

■いとしの猫っ毛 (1),(2)/雲田はるこ/シトロンコミックス

小樽から恋人・みいくんこと花菱美三郎のいる東京の会社に転職し、引っ越してきた沢田恵。みいくんの祖母の持ち家であり、みいくんが管理人を務める古いアパート・またたび荘に住むことになったのだが、そこには個性的なメンバーたちが住んでいた。子供の頃からの友人で、みいくんが上京する直前に告白され恋人になって6年。離ればなれになっていた時間を思えば、アクシデントも強さに変えていく恵とみいくんだったが…。

という、またたび荘を舞台に繰り広げられる日常を描いた話です。元々ふたりは小樽で隣同士の家で育った幼なじみですが、両親を亡くした美三郎が東京に住む祖母と一緒に暮らすことになり、離ればなれに。その際、恵は美三郎の告白を受け入れ、それ以来6年間遠距離恋愛を続けてきたふたり。6年後、ついに恵が上京したというところからこの話が始まっています。
そんな経緯があるので、美三郎は今まで深いところに突っ込めずにいて、まだエッチもしていないという状態。なかなか吃驚な状況ですが、このほんわかした作品の雰囲気と、恵と美三郎のキャラで自然と納得させられてしまいます。見方を変えれば、その状態でここまで付き合って追いかけてきたという事は、それだけ信頼関係が既にあるという事ですね。
ふたりが周囲に翻弄されつつキャッキャしている話なので、このままエッチに突入したくてもドタバタして進展出来ないところをネタにしたラブコメかなと思っていました…が、違いました! 日常を絡めつつ、ちゃんとエッチを絡めたふたりのラブストーリーになっています。一緒に生活していく中で、既にあった信頼関係がまた違う形で育まれていき、自然と(というか本能的に?)エッチに繋がっている。
萌え的にもしっかり楽しめる作品でした。この後ふたりの学生時代のエピソードが連載されているようなので、続編が楽しみです。

雲田先生の絵柄は一見少し古い少女マンガのような印象があるのですが、時々表情がとてもコケティッシュで、読んでいると古さを感じません。何と言っても、表情が魅力的。そしてキャラ同士の距離感が上手く表現されているので、個性的な人物たちが生き生きと動いているように思います。非BL作品を含め、オススメ!

紹介者プロフィール:にゃんこ
長い冬眠期間を経て数年前に復活。内容はもちろん大切。でも萌えるHも大好物! 心躍る萌えを求め、腐海を彷徨う流浪の腐女子。 小説&コミックスを中心に、BLCD、BLゲームなども含めた感想をブログで書いていますので、そちらもよろしくお願いします! http://macnyanko.blog22.fc2.com/

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