柳沢ゆきお先生インタビュー

「なんだ？ 欲しいのか」「ふにゃあ～～～っ」


甥の志朗は「にゃあ」と鳴き、床に手をついてミルクをすするひとりの“猫”。彼の叔父でポルノ小説家の昇平は、何の前触れもなくそうなってしまった志朗を預かり、一緒に暮らし始めるのですが……。11月17日発売、柳沢ゆきお先生の新刊コミックス『猫、22歳』。「にゃー」「志朗、俺がわかるか？」――とっても興味深いカップリングの、恋の行方は!? それでは「801 AUTHORS 108」第1099回、柳沢ゆきお先生どうぞ！

Q. 作品紹介をお願いします！
あちこちで描き散らかした短編集となります。突然「猫」になった甥と厭人小説家、猟奇殺人鬼とゲイの教師、見せる筋肉と実用的な筋肉、戦争と平和と人(概念擬人化)。「猫」は表題に年齢が提示されているので「年齢を重ねること＝時間」も主題の一つにしようと企みました。



Q. メインカップルはどんな攻×受ですか？
賢しい少年が狡い大人になったのに気付かない健気なオッサンです。甥の方が貪欲で、小説家の方が怖がりなんでしょう、多分。


Q. 当て馬や重要な脇役は？
『戦争は平和』の概念人間「友愛」が一人だけふくよかなのは気に入っています。


Q. 今作のこだわりポイントはどのあたりでしょう？
表題作の『猫、22歳』では「田舎」という表現に過ぎなかった窓の外の風景を、描き下ろしでは「時間」を汲む為に意識して描きました。

Q. 苦労した点、また楽しかった点など聞かせてください！
食事の場面を描くことが多く地味に大変でした。同じ食卓に着くことで人は家族になっていくんだろうなぁと思うので。筋肉を描くのは息をするのと同じくらい楽でした。

Q. 今作にまつわる裏話ってありますか？
『猫、22歳』の後に3年後の浮気を描いた『猫、25歳』というのがありまして、途中まで作画を進めていたのですがバッサリ切ってしまいました。何も知らない少年を誑かしたんじゃないか？ と小説家の方が苦悩して、青年になった甥に他の肌を知るべきだ…いや許さん…でもやっぱり…とウダウダする面倒臭い話です。
あと『皿の上の明くる日。』にはゲイの教師のその後を書いたプロットがあります。いつかどこかしらで描けたら良いのですが。

Q. 執筆中の、思い出に残る日常エピソードをご披露願います！
数えで七年に一度の御柱(式年造営御柱大祭)がありました。
巨木が坂を滑り落ちるアレですヨイサヨイサヨイテコショ。

Q. 発売に関して今のお気持ちはいかがでしょう？
前述の通りあちこちで描き散らかしたもので執筆期間にかなりの幅があり絵質の変化も方向性もその都度異なるわけですが、その時その時で一生懸命描いていたんだなぁと。

Q. ちるちるユーザーにメッセージをどうぞ！
BLでは久方振りの単行本となります。
毒が強めの作品が多いような気もしますが、少しでもニヤッとしていただけたら嬉しいです。


担当より
一見、鬱屈とした空気感のあるコミックスです。
表題作の「猫」になった甥の話や、猟奇的殺人犯の話、「戦争」の擬人化、ヒーローから落ちぶれた引きこもり…。
どれもしんとしたお話ですが、読めば読むほど、これは愛のお話だ、と納得させられる短編集になっています。
読了後にじっくりとその世界観にどっぷりとはまりたい、そんなBLを読みたい人に、ぜひ読んでいただきたいです。

コミックスに収録している短編のひとつ、『戦争は平和』は、COMICフルールのサイトで無料で公開していますので、是非チェックしてください。

コミックス『猫、22歳』

特典情報
【紙の店舗特典】
◆アニメイト：4Pリーフレット(マンガ2P収録)
◆中央書店コミコミスタジオ：コミコミ限定描きおろしイラストカードA＆マンガペーパーB
◆とらのあな：とらのあな限定描きおろしイラストカードB
◆カドカワストア・応援書店：描きおろしマンガペーパーA    

【電子書店特典】
◆すべての電子書籍：描きおろしマンガ1P
◆コミックシーモア特典：描きおろしマンガペーパーA(応援書店ペーパーと同内容)
◆Renta!特典：イラストカードB(とらのあな特典と同絵柄)

詳しくはこちらをご覧ください。

無料で読めるBLコミックページ『COMICフルール』


(C)柳沢ゆきお/KADOKAWA