小野塚カホリ先生インタビュー

病気で休学していた年上の同級生と僕。耽美で儚い恋模様が寄宿舎で…
日本の近代文学を引っ張った作家のひとり、堀辰雄の短編が原作、小野塚カホリ先生の新刊『燃ゆる頬』が11月29日に発売されます！ 病気で一年休学した一つ年上の同級生は、蝋みたいな肌に、薔薇色の頬…別世界の住人のような佇まい。僕の射精を口で受け止めながら、彼は……。文学作品をBLで読む、普段とは少し異なるBL体験で、萌えてみませんか？ それでは「801 AUTHORS 108」第480回、小野塚カホリ先生どうぞ！

Q. 新刊の紹介をお願いします！
堀辰雄氏原作の一篇です。原作では時代は、おそらく堀氏自身が15～17才あたりの頃かなあと思うのですが、こちらでは時代をあやふやにしてみましたが、さて良かったのかどうか…。うーん…。透明感のある作品だと思います。

Q. メインカップルはどんな攻×受ですか？
外見的にも性的にも子供らしい子供(受→攻)
内面は子供(以前かも)な青年(攻→受)…かな…？
Q. 当て馬や重要な脇役は？
魚住という傲慢キャラが出てきます。ああいう奴が耽溺しつつ、破滅していくのって大好物でございます。ハイ。

Q. 今作のこだわりポイントはどのあたりでしょう？
ラストの一篇。少年が出てきますが、こいつがいやに大人で。あとは読んで頂けた時、読んだ方が何かを感じた所が「ポイント」になると思います。

Q. 苦労した点、また楽しかった点など聞かせてください！
苦労したところは、だいたいいつも同じポイントなので、この辺は私自身の永遠の課題かと。あと、病気の人の絵をかくのは難しい…。太った人も…。楽しかった所は、やはりラスト部分。積み上げたものを回収したり壊したり。苦労もあるけどやっぱり楽しいです。あと、若い子はええのう。
Q. 今作にまつわる裏話ってありますか？
背のびをしたがる小さな子供。
早くして無情を無常と知る子供(三枝はもう大人ですが…)。
前者は主人公ですが、背のびを「したがる」時点でもう、愛情豊かな環境に育ったんだなー。とほんわりした気分になります。そうでない子は「したがる」のではなく、「させられる」ので。個人的には「させられる」方が話作る時ツボであったりするのですが、まあでもこういう子供は「いいなあ」と思いますね。
後者は私の大好物パターンの１つです。裏を描く方が、表を描くより面白いってわりとよくあることなので、困っちゃいますよね…。
他には、正岡子規の手記にあたったりしましたが、何だか苦しくなってしまいました…。

Q. 執筆中の、思い出に残る日常エピソードをご披露お願いします！
「日常は素晴らしい」というのが強いかなあ…。
非日常が続いた頃でしたので。

Q. 今、何かハマっていることは？
コージー・パウエルがかっこよくて仕方ねえ…。「渡り鳥」と呼ばれたドラマーです。Jeff Beck Groupの時のは、特に素敵なので機会があったら是非。ソロも最高ス！
あと「烈車戦隊トッキュウジャー」にハマってしまい、お話の魅力もさることながら、志尊くんと長濱くんが眩しいです…。
Q. 発売前の今のお気持ちはいかがでしょう？
久々のBLのみの単行本になります。
素敵な本に仕上げて下さったデザイナー様ありがとうございます！
あとはもう「頑張ってこいよ」と本に向かって…。それしかもう…。

Q. ちるちるユーザーにメッセージをどうぞ！
初めまして。小野塚カホリです。お好みに合えば幸いなのですが。
もし合いましたら過去作にお目を通して頂ければ嬉しいです。
新作も現在作業中ですが、何かしら心に触れるものが描ければいいな…と思っております。
ありがとうございました！
編集部より
全国のカホリストの皆様お待たせしました～！ 小野塚カホリ先生の最新コミックスをお届けします。
この作品は小説『風立ちぬ』や『菜穂子』で有名な堀辰雄氏の短編『燃ゆる頬』が原作。天真爛漫な僕は、小悪魔系美少年・三枝君に体の関係を迫られます。僕も三枝君に惹かれる気持ちがあったので、体は結ばれるのですが……!? 寄宿舎で繰り広げられる２人の耽美で儚い恋模様はどうなってしまうのか、ぜひ見届けてください!! 小野塚先生の丁寧な作品解釈と心理描写で、涙なしには読めない１冊となっています。

(c)小野塚カホリ／マガジン・マガジン