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表題作鬼流島カノン

城戸川一也,通称「鬼流島」刑務所所長
篠崎司,冤罪で「鬼流島」に左遷された外科医

その他の収録作品

  • 鬼流島イリュージョン

あらすじ

「流刑法」が制定され、殺人を犯した者は孤島での自足生活を強いられることになった。篠崎司は優秀な外科医だったが、医療ミスの罪を着せられ、流刑地の通称「鬼流島」に左遷される。待っていたのは、受刑者を管理する刑務所の所長で、島の「支配者」を自負する城戸川との出会いだった。露骨に口説いてくる城戸川をつれなくはねつける篠崎だったが、過酷な自然の中で行動を共にするうち、その優しさと強さに気づきはじめ…。

作品情報

作品名
鬼流島カノン
著者
三岐ともき 
イラスト
石原理 
媒体
小説
出版社
白泉社
レーベル
花丸文庫
発売日
ISBN
9784592873433
3

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萌々

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中立

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趣味じゃない

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レビュー数
2
得点
6
評価数
2
平均
3 / 5
神率
0%

レビュー投稿数2

鬼の棲む島

明確な意図をもって殺人を犯した者は孤島での自給自足の生活を強いられる「流刑法」が制定され、殺人者たちはみな島一つ丸ごと刑務所という「鬼流島」へと送られることとなった。
医療ミスの濡れ衣を着せられて、この島へと左遷されたしまった医師の篠塚は、鬼流島で通称閻魔大王、刑務所所長の城戸川と出会う。
露骨に口説いてくる唯我独尊の城戸川に反発しか感じなかった篠塚だが……

舞台は殺人犯は全員無人島にある刑務所に島流し、そんな流刑法が制定された日本。
医療ミスの罪を着せられて「鬼流島」に左遷された篠塚と、自らを島の支配者と称する刑務所所長、城戸川。
刑務所所長×医者で俺様×ツンデレ。
流刑法の設定も、それぞれになにか抱えたキャラクターたちもおもしろい。

作者の三岐さん、これ意外でお名前を拝見したことがないんだけど、これ一冊なのが惜しいところ。

ラブ以外の部分はとても面白く読んだんだけど、ただ個人的にはメイン二人が近づきすぎるのがちょっと急だったかなあと思った。
まあでもBLならばよくある範囲かもしれないけれど。
もっとじっくりじわじわ読みたかったな。

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殺人者たちの島

おー、これは掘り出し物!
萌萌萌。(MAX:萌萌萌:神に近い)小説としての全体評価は萌萌ですが、気合いが感じられる作品なのでMAX萌を捧げます。

挿し絵担当の石原さんに是非とも漫画化してほしいような、男くさくて人間くさい作者の情熱迸るストーリー。
技術的にはまだまだ荒削りな印象だけど、読み物に一番大事な「芯」をしっかり持った、原石そのもののような作品でした。

殺人を犯した者は、隔離された孤島に追放する「流刑法」が制定されたパラレル現代。島そのものが刑務所であり、受刑者は刑期を終えるまで自活生活を送らなければならないんです。
支給されるのは防水シートとナイフのみ、何もない孤島で自分の力だけで生きなければいけない。最低限の環境下で生き延びようとすることで、自分の命…しいては自分が奪った命と向き合わせる、というのがこの刑の意図。

殺人を犯した「鬼」が辿り着く島、受刑者を死なせないためにいる刑務官もまた、身の内に「鬼」を抱えながら監視していています。
そしてその流刑地のひとつ桐生島・通称「鬼流島」に、医療ミスの罪を被せられ左遷として外科医の篠崎が派遣されることになり、彼を迎えるのが所長で島の「支配者」城戸川という男です。

二人のラブはもちろんありますが、主題は別にあります。
人命から派生する根源的なテーマ…殺人の意味、生きる権利、贖罪とは…そうしたものに正面から取り組んでいます。
こういったテーマは、個人感情と社会的倫理の折り合いの付け方が難しいと思うのですが、シビアだけど重くなりすぎず、かといってお涙路線に走りすぎず、答えを押し付けるのではなく読者に投げかけるような姿勢がいいと思いました。(説教臭いのが苦手なので)
しかも、ちゃんと笑いどころも用意してあるのもナイス。

また、俺様ちっくな城戸川とクールビューティーな篠崎のキャラクターが光っていて、恋愛に盲目にならず対等な信頼関係を結んでいるってのも凄く良かったです。
男同士はこうであってほしい。

エリートコースから外れてまでこの職務に就いた城戸川の行動理念、医師としての篠崎の志し、受刑者を巡る各々の思い…。
もっと掘り下げてほしいエピソードや、肉付けしてほしい箇所は沢山あります。
でも読み物としての魅力は、技術<作者がこれを書きたいという思い、なんだなあと改めて思いました。
どの作家さんにもやっぱり、流行や読者に媚びることなく書きたい物を書ける業界であって欲しいなあ。

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