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ほのぼの&シリアスな中世ヨーロッパ風ファンタジー

中世ヨーロッパ風のファンタジーで、坂の上にぽつんと建つ家に住む魔法使いのリー様と、修行中のラベル少年のお話。
今のところBL度は低めだけど、読ませる内容で面白いよ!

リー様とラベルの日常は、ドジッ子ラベルのおかげでほのぼのしてて楽しいんだけど、時々垣間見えるリー様と王の過去がシリアスで、ドキリとさせられる。
お話はまだ続くみたいで、これから二人の関係や明らかになっていない謎が気になるね!!

脇役としては、ラベルの使役が、親指サイズのムンクの叫びみたいな奴で、小さいながらも頑張っていてカワイイんだ。よくラベルの頭の上にちまっと乗っていて、角みたいに見えちゃう。
美男子好きとしては、ラベルの同級生ミミカラと、ラベルが病気のときに薬を持ってきてくれる人も外せない(笑)。

絵は手描き感いっぱいで、素朴で味わいがある。華やかさはなくて、全体的に暗い印象だけど、それが中世の雰囲気によくあっていていい☆

寂しい2人の奇妙な出会いと偽りの関係。それぞれが求めていたものは…

受が裸で攻に絡みつく表紙にちょっと怯んだけれど、読んでよかった~!

大切な人を失い孤独な攻と、奇抜な外見(ばっちりメイク&ビジュアル系の服装)で自分を守る寂しがりやの受の、救済ストーリー。

室岡と至の、すれ違う想いがとっても切ない!
さらに、最初から室岡に嘘をついている至の後ろめたさが加わって切なさ倍増!!

カップルは、綺月陣作品でよく登場する「わがままで、気が強くて、感情豊かで、Hに積極的で、攻めにぞっこんの甘えたがり受」という自分好みの受に、真面目で包容力のある優しい攻という、これまたタイプの攻。

室岡が探している男にも感情移入しちゃって、胸が締め付けられた!

静かで美しい雰囲気の中で進む、熱く切ない初恋

舞台は明治時代の大阪難波の遊郭、近江楼。
表紙では節が女装しているけれど、彼は男花魁(おいらん)じゃない。
喜助(きすけ)という雑用係なのだけれど、その女性のような美貌を武器に座敷に入ったり舞を披露したりもしている。

節は遊郭の客のうわべだけの優しさに辟易していて、これまで恋をしたことがない。
けれど、実は人一倍恋に潔癖で、恋を尊んでいるんだよね。
そんな節が初めて恋する相手がお客としてきた柾臣。
他の遊客とは違う真面目で誠実な彼にどんどん惹かれていく。
けれど、柾臣には目当ての花魁がいて…。
たった一週間の間の出来事とは思えない、節の一途で切ない想いにきゅーんとしちゃう。

キャラについて言うと、受の節は気の置けない同僚達や知人にはツンツンしているのに、柾臣には健気で従順な面を素で見せてしまっているのがいじらしくて可愛い♪
柾臣は真面目で誠実な、でも天然たらしの優男なので、こういう男がタイプな私は読むとドキドキして一人赤面。(こういう攻がBLでもっと増えてくれたらなぁ、と思う)

それと、私には未知だった遊郭のシステムがわかりやすく語られていて、へぇ~だった。
はんなりした関西弁が優雅に話されているのがいい。
橘さんは情景描写がうまいので、妓楼の様子や雰囲気がよく伝わってきた。

伏線がいくつもあって、後からそういうことだったのか、とわかる仕掛けになっているので、二度目三度目に読むのも楽しめるよ☆