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繊細な世界観

久しぶりに感動した商業BL小説でした。
電子書籍で冒頭を立ち読みし、杉原理生先生の繊細な文体、想像していた物語と異なり気になり購入。
杉原先生の本は初めて読んだのですが、丁寧な心情描写、ロマンチズムを感じる比喩、子供の親を見る視点などとても繊細な文章で進むごとに重くなる話をまた繊細な文体で書くと余計に重さが増すのも良かったです。
あらすじは上記にあるので割愛。構成は過去と現在の二部構成。
一章はBLでは珍しい主人公の回顧録のようなはじまり。途中で語り手である主人公の過去と現在が入り混じる繋ぎ方が素晴らしかったです。主人公二人の恋愛描写がとても丁寧に描かれていて、なぜお互いが惹かれあうのかということがストンと落ちてきますね。
そして二人の恋愛描写と同時進行の覆せない現実。物語の最初有理は夢のようだとしきりに言っていて最後夢から目覚めたように悲惨な結末を迎えましたが、夢の中なのは父親たちとってで子供たちにとっては夢のような現実だったんだと思いました。そして夢のような現実の過去から二章の現在につながると。二章ではもうひとつのカップリングともいえる父親たちの心理描写がはっきりと描かれてないからこそ二章の息子達の状況に父親達の疑似的心情を投影して読むこともでき面白かったです。
一つ不満を言うなら、一章が一年をゆっくりと丁寧に描いたのに対して二章は少し展開が早いと感じました。最後は怒涛の展開でしたが二章はもう少し全体を長くして読みたかったです。

登場人物はでいえば、重い過去を抱えながらも前に進もうと生きている登場人物たちには脱帽ですね。そんな風にはなかなか生きられない。
そんな魅力溢れる登場人物達ですが主人公二人は物語の中で人物がとても綺麗に完結しているので語ることなしですが、大人組三人は描かれていないからこその魅力がね!!

まず、怜人の叔父康広のキャラクターが絶妙な立ち位置で秀逸でした。
普通のBLだったら当て馬になったり、攻めの怒りを買いぶつけられるキャラクターですがそのようなこともなく本音が見えそうで見えない飄々とした引っ掻き回すけどキーパソン的人物。

怜人父も学生時代に好きな人の駆け落ちを見せられ、再会したら助言もらったけど金銭援助をした後出てかれかなり不憫に見えるけどあのお城の時間は蜜月の時だったのかどうなのか。速水一家に出てかれた後、妻を失った有理父と似て非なる状況に陥り鑑みるのでしょうか。最後に怜人父が怜人と前を向こうと決めて怜人に告げたのは本当に良かったです。
案外あれは親の都合で(実親同士ですが)盥回しにされ、家族を欲しがっていた怜人には一番の言葉だったかもしれないですね。

そして!王子と呼ばれる程の容姿を持ちながら嘘は上手く生きるのが下手な有理父が…。
プライドの高い彼が妻や子供、家族のために昔恋慕を寄せられていた男に金の工面に行き、上手な嘘は自分を一番苦しまているのに家族のためにつかなければならないけど覆らない現実に追い詰められていく彼を思うと…。
みんなが幸せだと思っていたお城で彼は一人で苦悩している様が話が進むとじりじりと読み手には伝わりいつ爆発するかと思ったけど爆発なんて優しいものじゃないのもまた辛い。
有理が母親の死期が近いときに“神経が研ぎ澄まされていったら、僕の神経はそのうちに確実に壊れてしまうに違いなかった”というのはまさしく有理父自身で。
怜人父を最後まで利用した酷い男ですが最後実家に帰り父息子3人で少しでも前に進もうとしてたと思いたい…。
そして彼はどこかで生きているのですかね。BL的には一度死んで怜人父と輪廻転生するのが一番幸せな気もします。(笑)が結局愛妻家の彼はもう一度妻に会いたいのかな。うーんこの二人への考察は萌えすぎて文章にまとまらない!
やっぱ有理父と怜人父が主役の小説が読みたいな~~~~~!妄想するよりやっぱり杉原先生の文体でないとキャラが浮かび上がらない!
学生編と同居生活編が読みたいです。バットエンドだけど…。どうにかならないですかね!杉原先生ルチル文庫さん!!
とりあえずこの気持ちははBLCDも発売しているのでCDを聞いてこの抑えたいと思います(笑)

私の拙い感想では全然素晴らしさが伝わらず歯痒い!何か面白いBLを探している方はぜひぜひぜひ読んでほしい小説です。
なんとなしに読んでみた小説でしたが久しぶりに追いかけたいと思った作家さんに出会えました。杉原理生先生の他の作品も読んでみたいと思います。