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個人的には高評価ですが、好みが別れる作品だと思います

中世ヨーロッパを中心とする史実に基づいた拷問や処刑、猟奇的な大量殺人などのエピソードに著者の大西巷一さん独自の歴史解釈を加えたオムニバス作品集の2巻目です。
各オムニバス作品は独立した作品となっており、作品同士の話のつながりはありません。
そのため、1巻目の『ダンス・マカブル-西洋暗黒小史- 1』に収録されている作品と2巻目の『ダンス・マカブル-西洋暗黒小史- 2』に収録されている作品の間には特に話のつながりはありません。

『ダンス・マカブル-西洋暗黒小史- 2』はBL専門レーベルから出ている作品ではなく、青年コミックに分類される作品でかつ、出版社の公式サイトの説明などを読んでも一見男×男要素が含まれているとは想像しにくいため、何故そのような作品がちるちるに登録されているのだろうか、と思われるかもしれません。

しかし、この『ダンス・マカブル-西洋暗黒小史- 2』に収録されているオムニバス作品の中で、『聖なる怪物ジル・ド・レ』前編・後編(11話・12話)には、かなり濃厚な男×男要素が含まれています。
(ちなみに、ダンス・マカブル-西洋暗黒小史- 2』に収録されている他の作品および『ダンス・マカブル-西洋暗黒小史- 1』には、男×男要素を含む作品は全くありません。)

『聖なる怪物ジル・ド・レ』はかつてジャンヌ・ダルクと共に戦ったこともあるフランスの貴族、ジル・ド・レを主人公にした話です(彼は実際に男色の傾向がありました)。
ジル・ド・レは、ジャンヌ・ダルクの死後、精神に異常をきたし、ジャンヌを復活させる儀式のために、また純粋な快楽のために多くの少年を誘拐し、陵辱し、殺害したとされていますが、『聖なる怪物ジル・ド・レ』はそのような彼のエピソードを描いた作品となっています。
そのため、ジル×少年たちの描写が大半を占めます。

最初にこの話を読んだ時に、『セックス&バイオレンス』という言葉が浮かびましたが、性描写よりも大量に飛び散る血や切断表現、内臓描写などバイオレンス描写がかなり強烈なので、グロ耐性がないと結構きついと思います。
ジルと少年の死体との性行為の描写などかなりインモラルな描写もあります。

イタリアからやってきた錬金術士のフランソワ・プレラティが気に食わなかったため、ジルは彼の手首を天井から縛りつけた後、城中の男に彼を陵辱させ、その後ジル自身がプレラティを犯す場面があるのですが、その後プレラティがジルに犯されながら縄抜けをし、その後ジルの肛門内に指を入れてドライオーガズムに達せさせたシーンが個人的にかなり好みです。
(このシーンはWEBで連載されていた時は一部黒塗りで掲載されていたため、アナルセックスで完全なリバになったと思っていたのですが、書籍版を見たら挿入されていたのは指だったため、リバ好きとしては少し残念でした)。

男色行為が禁じられていた時代のヨーロッパを舞台とした、史実を元にした話で、考えさせられる台詞も結構多く、また絵柄も好みなので個人的にはかなり高評価なのですが、バイオレンス描写がかなりきつかったりなど人によって好みが別れる作品になると思うので、評価は「中立」を選択しました。