作品は良いです。
文体に問題があるわけでなくファンタジーで、健気で真面目な受けにも、頼りがいがありそうな攻めも好感が持てます。
ただ、売り方が酷すぎ。
あらすじには「青年とおっさんが結ばれるまでの物語である」と書いてますが、この本では結ばれるどころか出会ったばかりです。辛うじて帯には「旅のはじまり」とありますが、はじまり過ぎる…。あとそういうの、あらすじにも入れて欲しいです。
延々と主人公の受けが酷い目に遭う場面が続き、287ページで終わりなのに、攻めと出会うのに220ページかかりました。ちなみに、その後、他作者の広告が13ページあります。多すぎる。
あとがきの最後にWEB連載版のQLコードがあるので続きを読んだのですが、この1冊目同様にカットすることなく収録した場合、一区切りつくまで5~6冊にはなりそうな長編でした。その後の続編もまだ連載中ですし。紙書籍でこの作品を読まれる方は、1冊目がほんのさわりに過ぎず、完結まで出版されたら5~6冊にはなると懐と心の覚悟が必要です。それと続編が紙書籍では読めないかもという覚悟も。出るんか?
最近は、漫画でも小説でも、明らかに続いているのに、「1巻」という表記をしない作品が多いです。「〇〇の章」とかあれば、続くんだろうなと予想を立てますが、WEB連載作品は特に多い印象です。
もう今は、本屋で手に取って表紙やあらすじで興味を持って購入する、という時代じゃないんだなと寂しくなりました。この1冊で完結なのか、続きがあるのか、作者や作品で検索して、感想レビューを調べて…をしないとおちおち買えないんだなと。
ここのレーベルはそういう販売をするんだなと覚えました。要注意です。
元保育士という経歴を買われた俊(受け)が、社長の郁之(攻め)の息子を世話することになるというストーリーです。
息子の晶郁は良い子なのですが、ある過去からベビーシッターに懐かず、特殊ヒーロー好きという共通点がある俊が保育士スキルで対応していくという展開が現実的でした。序盤の、とにかく特殊ヒーローの動画鑑賞ばかりさせているのとか。何の経験もない人が初対面でなかなかいきなり一緒に遊んだりできないし、とにかく見せとけという判断がリアリティありました。
母親との関係など息子の育成状況の方が気になって、相手への好感や告白が入った時に「そういやBLだったわ」と気づくくらいLOVEより子育てがメインの印象でした。
それと、攻めは別にそんなに不器用って感じでもないし、個人的には主人公のように素敵に思えるキャラでなかったので、萌えですがかなり中立寄りの評価でした。
あともっと君たち仕事しなよ。