BL未満ボーイズラブ以上ほとんどBLとしか思えない名作コミックや小説、BLなのに内容がスーパー突き抜けちゃってる衝撃作を紹介します!


ライトノベルズの中の超本格ファンタジー、腐った視点でお一ついかが?(笑)
タザリア王国物語 
評者:カノアマスミさん
この話、一言で例えるとするなら「王子とこじき」?  昔々のおとぎ話。実際このシリーズ、読んでそう言っている人は多いです。確かに一巻最後の王子と影の入れ替わり劇などは上記の話を思わず彷彿とさせますね。しっかりとした安定感と肌理細やかなファンタジーはまるで海外の文学読んでるような気までしました。 (いやマジで) ファンタジーとして面白い。でもね、実はあっちこっちからニオイがプンプン。サイコーじゃないですか!  それ☆(爆)

主人公は、ジグリットという少年です。エスタークという貧民窟に、自分と同じような数人の孤児たちと一緒に暮らしていました。
ある時ジグリッドは、街で戦帰りの王国騎士団に遭遇します。
騎士団の隊長は、初めてジグリッドを見た時とてもとてもびっくりします。何故かというと、この少年、王国の皇子ジューヌにそっくりだったからです。隊長はこの少年をを王宮に連れて行くことにしました。少年を皇子の影として育てるよう、王に申し立てる為です。
ジグリットとジューヌは、タザリア王宮で、同じ服を着、同じものを食べ、同じ学問を学びます。頭が良くて勇敢なジグリットは、初めは王宮で孤立していましたが、次第にみんなからかわいがわれるようになって行きます。
そんな折、タザリアで他国との戦争が勃発!
戦争はいよいよ激しさを増し、とうとうジューヌ皇子と、その影のジグリットも戦陣へ。
そこで、ジグリットは死んでしまうです。戦後、タザリアに戻ってきた王によって、葬られるジグリット。ジューヌはその棺を静かな目で見ていました。
「死んだのはジグリット」、皆は当然そう思って疑いもしなかったのです。しかし、実際は、死んだのはジューヌ皇子の方だったのです。皇子が戦死した時、皇子とジグリットが入れ替わったのです。

「タザリア王国物語」これが、この「タザリア王国物語」シリーズ第一巻、「影の皇子」のあらすじです。
何で親であるタザリアの王まで、この皇子の入れ替わり劇に気が付かないのか? それは、この話の実に巧妙な所であり、またジグリットの知恵の働く所でもあります。(最初っからすごい伏線の張り方だったもんな~☆) 次の巻では、タザリア王は死に、そしてジグリットはとうとう王になるのです。
まぁそれはともかくとして。

ここまであらすじ読むと、なんとなく「あれ?」って思う人もいるかも知れませんね。
もしくは、はじめっからコラム欄一番上の、本のレーベル部分見て気が付くとか。
そう、このシリーズ、実際の所BLではないんですよ。
まぁ私としてはいたすシーンがないだけで、カンペキBLなのですが。
こういうのなんて言うんだっけかな・・・「ニオイ系」?

一巻、すごく面白かったです。はっきり言って想像以上☆ ファンタジー設定や文章がものすごくしっかりしてるんですよねー
私、実際BL以外のライトノベルズってあんまり好きじゃないんですよ~この手の小説って、なんか言い方なんですけど、「なんちゃって」的なファンタジーみたいなの多いじゃないですか。どんなにシリアスなカンジの話でも、中にどうもアニメっぽい表現使ってあったりするし、女の子の話し方がイマイチ不自然だったりして。(「それはBLの男もだよ」とどっかからツッコミ入りそうですが 汗)
まぁジャンル的に言ってもそれはしょうがないことなのかも知れませんが・・・まぁ私にはなんとなく合わないというか・・・まぁこれに関しては、そこんとこカンペキクリア、みたいな。

出てくるキャラクターもカナリ個性的だし、男同士の萌えもある。筋もしっかりしてるし・・・とカナリ私好みの話ではあったんです。
ただ、はっきり言って私コレ、一巻終わって二巻買うかどうしようかすごく悩んだんですよね。
だって、せっかく王宮の人に身分的の差も越えて「ジグリット」として受け入れ始めていた所なのに、その存在を全部なかったものとして、「ジューヌ」として偽りの人生歩むなんて、ちょっとなんか、かわいそうってか。
折角、初めはものすごくジグリット嫌ってた騎士と、一巻の終わりでいい感じになって来たのに、それらが全部なかった事になるのも私的には、ものすごくせつなかった。
いっそマジで二巻買うの止めようかと思っていたんですけど、でも続きが気になるのも確か。
だから、しょうがないから、本屋に行って、コレ二巻のあらすじ部分見てから買うかどうしようか決めようと思ったんです。
巻が進んでも、ジグリットが救われないようだったら、買わない、と。
結局、私の心配は丸っきりの杞憂だったので、買いましたが。杞憂どころか萌えでした。
ぇ、ウソ! 何このBL的展開は!!? みたいな☆

「タザリア王国物語」実際、ジグリッドは誰にも自分がジグリッドだという事を打ち明けてはいないのです。
だから、みんなは皇子の正体を知らない。
知らないんですが、件の騎士は、違いました。
この騎士、弟のようにかわいがっていたジグリットが死んだので、心の支えを失って、幻覚にとりつかれるようになってしまいます。自分が以前戦で殺した亡霊達が、自分を殺そうとしている、と。
この騎士の窮状を救ったのは紛れもないジグリットでした。
騎士はこの時、自力で、魂レベルで悟りました。ああ、これはジグリットだ・・・私の使えるべき王だ、と・・・
それから先は、もうこの騎士、ジグリットべったりですよ。ジグリットがうっとおしがろうと、離れようとしません。すぐやきもちとか妬くし・・・本来はもっと厳格なのですが、この騎士。BL風に言うと、ものすごいツンデレですね、ツンデレ。
騎士、自分が皇子の正体がジグリットだと知って知るということは、隠しています。表立った所ではジグリットの事を「ジューヌ皇子」と呼びます。でも、心の中ではずっと「ジグリット」と呼んでいるんですね。そこら辺、ラブだけどやっぱちょっとだけ切ない。でもそこがBLとしてビミョウなスパイスってカンジでまたいいんですよ~v

巻も進んで行くと、このシリーズだんだん主人公の総受けみたいな状態になるのですが、まぁメインのカップリングはジグリットとこの騎士です。
この騎士も中々いいのですけれども、私のオススメは、ジグリットを最初に王宮に連れて行った、あの騎士団隊長です。ジグリッドのパパさん的存在な、おっさんですよ。無骨っぽくて、でも気が良くて、本当にジグリットを愛してる、おっさんフリークには、もうたまらないって感じの人なんですよね~
実際問題、ウチの母親も美容院のおねーさんも、このおっさんすごく気に入ってましたよー☆ (BLじゃないし、純粋ファンタジーとしてすごく面白いので、誰にでも安心して薦められます 笑)

「タザリア王国物語」、私すごく好きなんですが、残念ながら、これってあんまり本屋に売ってないんですよね~現在も続いている話ですが。
多分、話的に、ライトでないからでしょうか・・・『ライトでなくてヘビーノベルズだと良く言われる』って、この作者も自身のブログで言っていましたから。
ジャンル的なニーズと少しだけ合わなかったのか・・・・・というのは私の勝手な意見ですが。「このライトノベルズがすごい!」でも、実際人気作品のランキングには載っていなかったんですよ。ただ、別コーナーで『深いファンタジー性とストーリーは間違いなくライトノベルズ1』とかなんとか書いてあったのは覚えています。(手元にないんでウロ覚え←ダメぢゃん 汗)

ファンタジーとして読むのはもちろん、腐った視点で読むのもまた一興なこのシリーズ、ゼヒゼヒ一度手に取ってみて☆

紹介者プロフィール
カノアマスミ
作家単位で好きなのは、小説家で吉田珠姫、夏樹碧、小鳥遊てつみ、漫画家で細倉ゆたかに國居亨。ギャグもシリアスもマルチで読むが、本人自体は無意識に性質がお笑いらしい。最近、眼鏡に過剰反応示すようになったので、とりあえず、このサイトの店長 (?) キャラには深い愛着を覚えた。年下攻めと癒しなおっさん受けと生徒×先生、ショタ×大人、旦那様×年上執事、なんかも好き。只今BL挿絵を描ける絵描きになりたいと、日々研磨中。
このコラムに寄せられた感想
2009年11月02日 カノアマスミ
haruko4869さんへ
報告どうもです~♪

ですよね~まっさか電撃にこんなBLのツボプッシュしまくってるのがあるなんて、普通だったら思いませんよね。大体電撃って言ったら、かわいい女の子の萌えをメインにしたい位ののレーベルなハズなのに。(ビーズログとかなら分かるケド 笑)

アレは、もうファンタジー好きとかいう以前に、腐としてまず、だまされたとかでもいいから一回読んでみてほしい、ってカンジですねー☆
物語自体がすっごいストイックなだけに、BLな部分とのギャップがすさまじいって気がしますよ。

しかし、古本屋で見つけたって、ラッキーですねー☆
アレアニメイトにもなかったりするのに。


2009年10月30日 haruko4869
読みました♪
カノアマスミさん

このコラムを読んだあと、たまたま古本屋さんで1巻を発見して購入。
読みました…つ、続きが気になって気になって、翌日全巻そろえました。
(本屋さん3つハシゴしました(笑))

ファンタジーとしても面白いですし、ファンとジグの2人のやりとりは妄想爆発モノですね~。

電撃で萌を堪能できるなんて、新しい発見でした~。


2009年10月22日 カノアマスミ
megさんへ
そうっ☆ 
この話の最大の魅力って、そこなんですよね~なんか昔読んだ外国の童話、あんなカンジ♪
私も童話とか、大好きなんですよね~なんか王子様とか王様とか出てくると、それだけでも結構みやびなカホリするじゃぁないですか。(みやびって・・・ 汗)

今現在五巻まで出てますね。
五巻まで来ると、騎士、ジグリットに独占欲丸出しですねー☆ これをBLと言わずになんとスル・・・・・(爆)
今年中には六巻までは・・・出てクレヨ頼むから。(泣)


2009年10月22日 meg
素敵!!
王子!騎士!フャンタジー!!
ライトノベルって赤川次郎しか、読んだことないのですが、(すっとばしてBL読んだので)面白そうですね。
童話的な世界が好きなので、王子だの騎士だの大好きなんです。
是非BLの合間に読んでみようと思います。
一体何巻まで出てるのかしらん?
BL以外の本も紹介してもらえるのが、ちるちるさんのいいところですね。


2009年10月22日 カノアマスミ
べりぃさんへ
拙い書評ですが、この文章で少しでも、このシリーズの面白さが伝わっていれば、私としてはもう本望で。(笑)

ニオイって、言ってみればチラリズムの奥ゆかしさと萌えがありますよね。
完璧すっぽんぽんより、はだけたワイシャツ一枚とかの方がいいもんな~☆


2009年10月22日 べりぃ
面白そう♪
ニオイ系大好きなんで読んでみたくなります♪



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