注目の新人作家

紹介文



注目の新人6月のターゲットは、レビューでも大人気のあのお方。
コミック「窓辺の君」の作者、雲田はるこ先生です!
昔の少女漫画を思わせるどこか懐かしいタッチの絵と、
えっ?こんなBLアリーーー!?と、驚いてしまうこともしばしばの、
ちょっと変わったストーリー、そしてキャラ。
作品そのもの雰囲気はほのぼのですが、鮮烈な印象が残ります。
それでいて、胸キュンもフンダンだから、読者的にはたまらないw
今をトキメク先生に、気になるアレコレを突撃質問しました。


――早速ですが、先生は東京漫画社さんからデビューされていますけど、ペンネームはどうやって決められたんですか?

雲田
はい。ご紹介をいただいて、試しに描いてみませんかという流れで描かせていただくようになりました。ペンネームは私自身が雲のように適当なので名字を「雲田」としました。下の名前は、なんでもよかったのです。

――普段どういう漫画を読まれますか? とくに影響を受けた作品などありますか?

雲田
今まで読んだ漫画からは全て影響を受けていると思います。時代もジャンルも問わず、漫画ならなんでも興味がわきます。でも血が出る漫画は力が抜けてしまうのでちょっと苦手です。

――BL限定で、一つあげるとするとお好きな作品はなんですか?

雲田
BLでは「春を抱いていた」の大大大ファンです。何回でも読めます!

――では、漫画に限らず、お好きな絵画・映画・小説・音楽など、雲田先生の作品に影響を及ぼしていると思われる物事について教えてください

雲田
漫画以外は、興味のあるものだけを無責任に楽しんでいます。こちらも時代やジャンル問わず。音楽は洋邦クラシック3:3:2くらい。残り2は落語です。
小説は純文学をかたよった感じで読んでます。漱石が多いような。一番好きな映画はポニョですね。
それと日本画が大好きです。江戸時代の洒落くさい絵がとくに。明治大正の洋画まじりもたまりません。それから日本の古い建物が、漫画に影響をおよぼす程に好きです。

――なるほど。先生の作品て一筋縄じゃいかないというか、色々な要素が詰まっているような気がしたので気になっていました。ところで……、またまた、こんなこと申し上げるのはおこがましいんですけど、漫画自体がすごくしっかりしているって印象がありまして、背景や物もちゃんと描かれているし、構図も色々な角度からで、何か参考にされていることや意識されていることはありますか? これから漫画や絵を描いてみたいと思っている読者へ、先生お勧めの上達術などあれば、合わせて教えてください

雲田
そんな風に言っていただけるのは全く恐縮です。ありがとうございます。その辺りについてはあまり意識してないんですが、読みやすくなりますように、とかは考えてると思います。気まぐれに本屋さんで、人体の描き方の本を立ち読みして、なるほどと思う所は取り入れています。買うと凝り固まってしまうので、立ち読みがちょうどいいです。本屋さんには『すみません』と思いますが。

――ストーリーについてはいかがですか? 全部ではないですが、かなり変わったお話も描かれていますよね

雲田
ストーリーを考えるときは、まずキャラを作って、その人を活かすにはどういうお話がいいかしら?というところから始めることが多いです。
ボーイズラブを描けるようになりたいと励んでいるので、そのBL描けてなさが王道とは違う印象を与えているのかと思います。いつかちゃんとしたBLを描けるようになれるといいです。

――いやいやそんな! 変わっているけど、もちろんボーイズラブで、しかもすごく胸キュンしました! でもきっとこれを生み出すのは相当大変だったんじゃ!?と、思いまして。お仕事が大変なときや終えられたときなどのリフレッシュ方法ってなんですか?

雲田
終ったときに原稿中にできなかった贅沢をします。昼夜構わず漫画、テレビ、睡眠、メール。安い贅沢です。何より漫画を描き終えて、辛かったことはきれいに忘れるのが一番かもしれません。

――ふむふむ。ボーイズラブというジャンルに目覚めたきっかけはありますか?

雲田
ホモマンガを読む抵抗は幼少の頃からなかったんです。ジャンル自体に興味がわいたのはお仕事をいただくちょっと前でした。詳しい知人がいたので、教えてもらいつつ、自分の好きな作家さんやカップリング等の傾向がわかりはじめると、とても楽しいジャンルなんです。

――カップリングといえば、先生の作品には魅力的なドエスが登場しますね! 先生が素敵だと思われるエスな男性の特徴ってなんですか?

雲田
普段はソツなく人当たりもいいんだけど、ドエムをみつけた途端容赦ない人がいいです。その人にはものすごくえげつないことを言うんだけど、言える人を選んでいるんです。そしてドエス行為をする時に目は笑っていません。人は選ぶけど、人類の誰よりも俺が最強って思ってるのがにじみ出てるのが、いいですね。皆さん、私たちは普段ドエスに選別されていますよ! 気をつけましょうね。

――うぅぅ。痺れるお答えです。この話題についていつまでも語っていたいです(笑) 個人的にはサリーさんが一番好きで、他にも好きなキャラが多すぎて、あ~なんでこんなイイとこ付くんだぁみたいな。作品を初めて読ませていただいた時、萌だえ苦しんだ記憶があったので、お話伺えて感激でした。
最後に、これから挑戦してみたいと思われる漫画について教えてください!

雲田
天然ねこっけとKYのゲイカップルの日常を淡々と描く話をずっと温めておりまして、いつかそれができる日が来たら嬉しいです。もうちょっとよみきり短篇に慣れたら描いてみたいです。他にはチマチマとしたよみきりの構想がふわふわ浮いています。学生とかバンドとかロン毛とか。やりたいことがたくさんあるけど、全部ふわふわしすぎてちぎれそうです。


~雲田先生よりメッセージ~
こんなペーペーの作家のインタビューを読んでいただいてありがとうございました。これを読んで何か思う所がありましたら、漫画の方も読んでいただけると嬉しいです。東京漫画社さんの「cab」という雑誌で漫画を描かせていただいています。素晴らしいBL満載のすてき雑誌ですので、共々よろしくお願いいたします。

レビュアーの紹介文

セーラー服のドエスから攻めちゃうオカマまで

紹介者 久江羽

いつも行く本屋さんの書棚の、丁度目の高さのところに「窓辺の君」はこっちを向いていらっしゃいました。
私は基本的に、単行本化されてから読む派なので、それまで雲田はるこさんの存在そのものを知らなかったのですが、淡いピンクの薔薇に囲まれた乙女チックな二人(表題作の主人公です)が、私に“読んで読んで”と訴えてきたのです。もうこれは買うしかありません。

カバーイラストの雰囲気からすると、かの大島弓子氏を思わせるようなほんわかとしたお話を描く方なのかなぁと思っていたのですが、表紙をめくって驚きました。口絵では、上半身ハダカでレディースのようなプリーツスカートを履いた男の子が、極悪な顔をしてクギパイプを担いでいるではありませんか。

『どうしたんだ? 私、買わないほうが良かったのか?』と、ちょっと後ろ向きになっちゃったのですが、さらに次のページ、目次においては、各作品のひとコマを配したようなおしゃれな仕様になっているのです。『どれだけ隠し球を持っているんだ?』こうなると、読む前から期待が高まるのは当たり前です。そしてその期待は裏切られることなく、様々な色合いのお話を読むことができたのです。

表題作「窓辺の君」では大学助手・柴田の乙女チックな片思いと薔薇の品種改良が、カバーイラストのほんわかとした甘い期待を一身に受けてはいるものの、当の窓辺の君(年下攻めの竹宮くん)がそれを打ち崩してしまうほど傍若無人で、乙女チックのはずがセクハラものになる始末。それがちょっとしたエピソードでキュンとくるハッピーエンドになってしまうのだから、かないません。

このコミックス自体、アンソロ本収録作品を集めた作品集なので、様々なテーマのお話が描かれているわけですが、どれも“よくある話”からちょっとズレていて、『そっちから切り込んでくるんですね?』という感じのストーリーになっています。

「グッバイ、ハニー!」では関西弁で新喜劇的ノリだし、かと思えば次の「おやすみ、サリー」はバッドエンドもので、露悪的退廃美を感じさせてくれるサリーさんと、ダメな男につくしてしまうマネージャーの哀愁漂ううなじから背中が魅力的です。

中でも「はじめて弾く恋のうた」はテーマが“はじめて”らしいのですが、はじめてピアノを習う人にボクサーを配置したうえ、ただ彼を救済するだけに留まらずピアノ教師が抱える問題も解決していくという心温まるお話が、たった24ページの中にきちんとわかりやすく凝縮されているのに大変感心いたしました。

その直後に「悪童セヴンティーン」という画期的な作品を持ってきたのは、緩急つけるためでしょうか? 作者もむかつく男に認定したいらしい高校教師と問答無用のドエス高校生(口絵のスカート少年です)のドタバタコメディなのです。実は私、これが一番好きなのです……。SMヘンタイ好きでごめんなさい。

そして最後を文学的にも思えるシリーズ、2作品が飾っています。写真家の黒木がお話の中心人物なのですが、彼はあくまで揺らがない主軸を担い、元カレの青二や今カレの野々瀬がストーリーに厚みをもたらしてくれています。

雲田さんは、シリアスからコメディまで様々なシチュエーションのちょっとひねったお話を、しなやかなペンタッチで読ませてくれる作家さんだと思います。先日「cab」創刊号に載った作品は、オカマちゃんが主人公でした。また新しい分野のお話が読めて、この人の引き出しをもっと開けて欲しくなりました。

「毎日雲助」というブログを読ませていただいたら、オカマとドエスがお好きな栃木県民ということも分りました。どうやら今度は念願の長編ものらしいです。それも、さらに新しい分野みたいなので楽しみにしたいと思います。

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