桂小町先生インタビュー

それは果たして性愛なのか捕食なのか？


吸血鬼と人間が共生する世界。高校生の弥生は、クラスメイトである純血の吸血鬼、千歳に淡い想いを抱いています。その想いを見透かされ迫られた「行為」。丁寧に舐めて吸って、優しく抱くそれを彼は「食事」と呼ぶけれども……。桂小町先生の新刊コミックス『花と純潔』が7月27日発売！ 吸血鬼×人間ラブです!! それでは「801 AUTHORS 108」第994回、桂小町先生どうぞ！

Q. 作品紹介をお願いします！
表題作『花と純潔』は吸血鬼と人間が共存している現代社会が舞台の高校生のお話しです。
「吸血鬼は餌の味を良くするために食事の前にセックスをする」という設定で、それは果たして性愛なのか捕食なのか？ が主軸のテーマになっています。


同時収録の『野良猫閣下の美しい人』は気高い野良猫と、彼が雨の日に出会った美しい男とのお話しです。

Q. メインカップルはどんな攻×受ですか？
吸血鬼(千歳)×人間(弥生)。
ビジュアルで語るなら俺様×健気、ストーリーで語るなら千歳は外側かたいけど中身はもろい子で、弥生は外側やわらかいけど中身はタフで芯のある子です。
私は恋愛童貞×お母さん系男子と呼んでます。





Q. 当て馬や重要な脇役は？
特に重要ではありませんが千歳には腹違いの妹(吸血鬼と人間のハーフ)がいます。
脇役を出張らせすぎる癖があって、今回も脇道にそれたところまで描きそうになったんですが、担当さんが上手く私をコントロールしてくれたのでひっこめることが出来ました(笑)。
杏奈という名前で、書店さんの特典でついてくるペーパー漫画では結構出てます。

Q. 今作のこだわりポイントはどのあたりでしょう？
吸血鬼をダークファンタジーではなく現代の高校生ものとして描こうと思いました。
この物語の中で吸血鬼は怪物ではなく人種のひとつで、吸血鬼側には選民意識、人間側には差別意識があります。
しかし皆が皆そうではなく、ミーハーに吸血鬼に憧れる人間や、選民意識をバカらしいと考えるハーフの吸血鬼も居る。
この特殊な世界観で千歳という吸血鬼が怪物ではなく、少しずつ傷ついて育った17歳の男の子であることにこだわりました。



Q. 苦労した点、また楽しかった点など聞かせてください！
この作品に限ったことではないのですが、セックスシーンに擬音やスピード線を多様すると全体的な作風と合わず浮いてしまうためどう描くかでめちゃくちゃ苦労しました。
特に『花と純潔』はテーマが「性愛か捕食か」なので毎話セックスしてるんです(笑)。毎話苦労しました……。
描き下しのセックスシーンは台詞もなしで絵だけの演出にしたのですが、自分では一番それが気に入っています。
これなら作風を崩さずもっとエロくできるかもしれなという可能性が見えて楽しかったので、いつかがっつりエロを描いてみたいです。



Q. 今作にまつわる裏話ってありますか？
『花と純潔』の最初に作ったプロトタイプのプロットは同じ世界観での「吸血鬼を恨んでいる餌用に買われた人間×その人間に恋をした偏食の吸血鬼」でした。
担当さんからはOKをもらったのですが、テーマにこの世界観における暗い面が出すぎてる上に結ばれたかどうかは匂わす程度の終わり方で……それはそれで凄く私好みだったんですが、せっかくBLで吸血鬼描くんだったらもうちょっと楽しいのにした方が良いんじゃない？ と自問自答し(笑)脇役で登場していた千歳をメインに持ってきてテーマを「捕食と性愛」に変えて作り直したのが今回のお話しになります。
タイトルはそのプロトタイプのストーリーで出てくる人間の血が真っ赤なフリージア(花言葉は「純潔」)の味がするところからつけました。
でも「花と純潔」というのは弥生と千歳を表現する言葉としてはぴったりなので、結果的に今の方がしっくりきたなと思ってます。



『野良猫閣下の美しい人』は、当時初めてページ数制限なしで描かせてもらえたお話しでした。自由度高くてとても楽しかったです。
本編では触れてませんが、美しい人の職業は医学書の翻訳家です。

Q. 執筆中の、思い出に残る日常エピソードをご披露お願いします！
ネイルサロンで施術中、突然現れた仔犬が膝の上にのってきて驚きと愛らしさで失神寸前でした。
オーナー室のケージで世話してたのが脱走してきたそうです。




Q. ちるちるユーザーにメッセージをどうぞ！
インタビュー読んでくださってありがとうございました。
『花と純潔』、17歳の初恋のお話しになりました。お口に合いそうでしたら読んで頂けるととても嬉しいです。少しでも楽しんで頂けましたら、天にも昇る気持ちです。

コミックス『花と純潔』

特典情報
描き下ろしペーパー4種
・書店共通
・アニメイト限定
・とらのあな限定
・コミコミスタジオ限定
配布店はコチラをご覧ください。


(C)桂小町/プランタン出版