藍生有先生インタビュー

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藍生有先生インタビュー 抑えきれない禁断愛! 隠れブラコン弟×義弟への想いを隠すアナウンサー 小説『義弟の好きな人』

2020/04/04 17:00

舞台は寒さ残る北海道! 義兄弟の危うい均衡は崩れて…

 


BL作家インタビュー「801 AUTHORS 108」第2308回
藍生有/花緒ト綸/心交社/ショコラ文庫
小説『義弟の好きな人』4月10日発売
サイン本プレゼントあり! 詳しくはインタビュー後に!

 

STORY
六歳年下の義理の弟・陽輝に恋心を抱き、離れるべく地方局のアナウンサーとなった隆文。だが陽輝の大学進学を機に始まった同居に限界を感じていたある日、同僚との仲を誤解した陽輝に強引にキスされる。格好よく成長し彼女だっているのに、陽輝は真面目が取り柄なだけの隆文をずっと好きだったという。血の繋がりはなくても兄弟で男同士。隆文は想いを隠し拒絶するが「好きでいるのは自由だろ」と陽輝は言い…。

 

――作品紹介をお願いします
自分の想いにも相手の気持ちにも鈍い義兄弟の恋の話です。
本編は小説ショコラさんに掲載されたものを大幅改稿しました。掲載時のタイトルは『花曇り』で、私には珍しくタイトルが先に決まりました。タイトルに合わせて、春の薄明るい空気の中、二人だけで完結するような空間でじりじりする話を目指したものです。舞台が札幌なので季節感が少し違うかもしれませんが、そのあたりも含め楽しんでいただけると嬉しいです。


――主人公たちはどんな攻×受ですか?
攻の陽輝はごく普通のブラコン大学生のつもりです。ヤンデレにはならないけれど、若い衝動を抱えている年下攻。受の隆文は地方局のアナウンサーで、真面目な年上受です。おとなしいタイプで、迷うと逃げてしまう臆病さもあります。

――今作のこだわりはどのあたりでしょう?
地元の札幌を舞台にしたところと、受の職業です。タイトルの次に決めたのが職業でした。プロット時に実家でローカルテレビ局の情報番組を見ていて、芸能人ではないけれどごく一部で知名度の高いアナウンサーをどうにかできないかと思ったのがきっかけです。
もちろんアナウンサーなのでいい声をしています。よく通るいい声で受がどんなことを言うのかもこだわりました。アナウンサーには実況してもらいたいですよね。


――苦労した点、また楽しかった点など聞かせてください
本編の改稿と後編を書いている時、事情があって実家に仮住まいをしていたところ、PCもスマホもタブレットもトラブル続きで大変でした。メールを何度送っても届かなかったことも。あのメールがどこか行ってしまったのか、間違って誰かに届いてないことを祈るばかりです。寒さのせいか電気製品は不調をきたし、タブレットは通信が一切できなくなりました。

――今作にまつわる裏話はありますか?
地元ローカル番組が好きでよく見ているのですが、そこでアナウンサーの方々が色々としている姿が好きです。なので受にも頑張ってもらいました。取材の場面では漁船に乗せたかったのですが、内容と雰囲気が変わってしまいそうなのでボツにしました。どこかでその部分は書きたいと思っています。

――執筆中の思い出に残る日常エピソードなどうかがえますでしょうか
暗い話になってしまいますが、母のような存在だった伯母が亡くなりました。他にも伯父といとこと訃報が続き、ここ半年は別れが続いて日常が非日常だった気がします。時間が経つのはあっという間でした。自分も体調を崩したので、とにかく健康第一にやっていこうと改めて生活を見直しています。

――今、何かハマっていることは?
2.5次元の舞台にはまり続けています。推しは増える一方です。札幌に戻ってきたので観劇の回数は減ったものの、できる限り足を運ぶようにしています。遠征も楽しい。
どうやら濃いメイクが似合う俳優さんが昔から好みのようで、それは揺るぎません。その原点となった方の息子さんが活躍されるようになり、親子二代で推すべきか悩んでいます。

――発売に関して今のお気持ちはいかがでしょう?
やっと本という形でお届けすることができて嬉しいです。素敵なイラストを自慢したい気持ちでいっぱいです!

――ちるちるユーザーにメッセージをどうぞ!
義兄弟の薄曇りな恋の話、手に取っていただけると嬉しいです。雑誌掲載時に読んでいただいた方にはおまたせいたしました。初めての方はどうぞよろしくお願いいたします。よかったらご感想をお寄せください。


担当編集より
藍生有先生の久々の新作は、タイトルどおりの義兄弟モノ!!
弟・陽輝への恋心に気付きつつも、禁忌ゆえに気持ちを押し隠す兄・隆文。兄を追って北海道の大学へ進学した弟の真意とは…。危うい均衡の中保たれていた日常が、陽輝に強引にキスをされたことをきっかけに歯車を狂わせていく過程は必見です。

そして花緒ト綸先生の超絶うつくしいイラストと、北海道出身の藍生先生ならではの地元ネタが、さらに小説を盛り上げてくれています!!

小説ショコラへの掲載から9年を経て文庫化が実現した本作。陽輝視点での書き下ろし「義兄の好きな人」も収録されています。ぜひこの機会にお手にとってみてください!

 

小説『義弟の好きな人

 

特典情報

 

協力書店限定:書き下ろしSSペーパー
中央書店コミコミスタジオ:A6カラーペーパー

 

その他情報

 

【試し読み】
「あの人、もう帰った?」
キッチンに陽輝が顔を出した。
「ああ」
棘のある声に引っかかりつつも頷く。陽輝は壁にもたれ、こちらをじっと見ている。その目はいつもより険しい。怒っているみたいだ。
「俺がいない時を狙って、あの人を呼んだんだ」
低い声で問いかけられる。陽輝が一歩、近づいてくる。
「結婚式の打ち合わせをしてただけだよ。来るって言えばよかったな、ごめん」
陽輝の視線はあまりに強い。なんで彼が怒っているのか、心当たりがないので笑って否定する。
濡れた手をタオルで拭った。ぴりぴりとした空気がいたたまれない。何が気に障ったのかと問いかける前に、陽輝が抑揚のない口調で言った。
「あの人と付き合ってんだ」
彼は隆文と久永の関係を邪推したらしい。いきなり頬へのキスだけでそこまで考えてしまったのか。驚きすぎて、すぐに否定できなかった。
「まさか。付き合ってない、あれは彼の冗談だよ」
久永と付き合うなんてありえない。その誤解だけは解いておきたい。だが隆文の言葉が陽輝をいっそう不機嫌にする。
「冗談で男とキスすんの?」
険のある目を向けられて、戸惑うと同時に怖くなった。
「あいつは元々、ああいう奴なんだ」
「俺に黙ってたのかよ。いつから付き合ってたんだよ」
隆文の声は陽輝の耳に届かない。彼は勝手に話を進めていく。
「陽輝、ちょっと待て。話を聞け」
迫力に押されつつ、彼を右手で制した。だが陽輝は気にせずに近づいてくる。後ずさると、背中に冷蔵庫の固い感触がした。いつしかキッチンの隅にまで来ていたようだ。
どうしよう。わずかに視線を泳がせたその時、陽輝の手が伸びてきた。
「うわっ」
強く抱きしめられる。ぴったりと密着した体を意識した瞬間、一気に体温が上がった。
陽輝に抱きしめられている。嘘だ。なんで?
「ね、兄貴って男とも付き合えんの?俺が知らなかっただけ?」
陽輝は体を離し、顔を近づけてきた。目が合う。緊張に体が強張った直後、唇に彼の吐息が触れた。
「っ……」
押し当てられた唇の熱さに体が震える。何が起こっているのか分からなかった。
だってこんなこと、現実に起こるなんて思えない。だが確かに陽輝の顔はすぐそばにある。唇にも柔らかなものが触れていた。

 

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(C)藍生有・花緒ト綸/心交社

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